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8月2日。【赤葦×菅原】
作者: 大和 撫 (総ページ数: 17ページ)
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作者: 大和 撫 (総ページ数: 17ページ)
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*7*
菅原さんはこの辺りの大学に通っているらしい。丁度梟谷学園が近くにあったらしく、時間がある時に見学に来ているそうだ。
(菅原さんはバレーが好きだったからなあ)
そんな事を考えながら今日も俺はここに来る
菅原さんは毎日同じ時間にここに来るから、その時間だけは彼のそばにいることが出来る。何故か事故にあった日の事は思い出せなくて、それからここに来るまでの記憶も曖昧だった。だから、帰り道も当然思い出せるはずがなかった。。死んでからはやることも無かったし久しぶりにバレーを見たかった。 もうボールに触れることは出来ないけれど。
「すみません!ボール取ってください!」
部員の声と転がってくるボール
それを菅原さんは拾い上げた
「ほら、気をつけろよー」
そう言ってボールを投げる
今の菅原さんは案外静かだ。高校の時は後輩を巻き込んで騒いでいる事も少なくなかったけど、それは絡む人が居たこそだったのかもしれない。 今までも、今みたいに部員から話しかけなければ声を発することは無い。俺の声も聞こえないから、菅原さんが自分から話すことは殆どなかった。高校の時の印象が強かった俺には少し寂しいことでもあった
『菅原さん』
返事はない。
『菅原さん 好きです』
『好きです。好きだったんです。高校の時からずっと』
そう彼の横顔に呟く。これもまた、いつもの日課だ。生きている頃に伝えられなかったことをありったけ言葉にする。 彼に俺の言葉は聞こえない。だから好都合だった。幽霊になって、ここに来るのが日課になってからは息をするように【好き】を言葉にしてきた。そうすればいつかきれいにこの気持ちも、俺の存在も消せる気がした。
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