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カオスヘッドな僕ら【連載終了】
作者: むう  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: コメディー 未完結作品 妖怪幽霊 現代ファンタジー 天使 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~

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 〈チカside〉

 バキュン先輩が言う所の「大人の世界」すなわちオカルトトーク。
 なんとこの人、八雲から初めて札狩や紗明の説明をされた時、ニッコリ笑って「そっかー」と言っただけらしい。懐が深い…のか、どうなのか。
 
 というわけで僕―チカは只今、バキュン先輩から札狩の仕方についての講義を聞かされている。
 僕の横ではクコが鼻をほじり、その横で紗明が「お兄様カッコいいです!」とキラキラお目目。
 そしてそしてその横では八雲が、ドクロ型のコップ片手に拝聴中だ。

「ってことで、俺たちが戦うのは悪霊だ。当然、戦闘とかになるわけだけど、百木くんは運動ってある程度できるタイプ?」
「あ、いえ、運動は、平均くらいです」

 ハードルもなんとか転ばずに飛べる程度。
 鉄棒も、二回に一回の割合で逆上がりが失敗する。
 50メートル走のタイムは9秒8、100メートルは18秒23と平均より少し遅いくらいだ。
 
 これが朔になると、50メートルはなんと6秒台だし、運動会ではいつも大活躍だ。
 生まれた順番が違うだけで、ここまで差がつくもんなんだろうか。不思議だ。


「ちなみに、そこのお嬢さんは戦えたりするのかな?」
「あ、うち? うちは、まぁ一応、死んだ人を送り届けるんを生業(なりわい)にしとるさかい、戦闘っちゅうのは自信ないなぁ」

 バキュン先輩に突然話を振られて、慌ててクコは開いた股を閉じる。
 鼻ほじったり、股を開いたり、うちの天使は本当に女の子なんだろうか?
 

「クコは会った時から、なにも成長してない気がするけど」
「それって、セクハラやで」
「~~~~~ッ 性格の話だよ!」

 ドSな天使は早速、僕がいい反応をするのをいいことに、好き放題からかってくる。
 ムキになって叫ぶと、クコがカラカラと笑い、横に座っている紗明の背中を「バッシバッシ」。


「あーでも、うち、キューピッドやってる姉ちゃんから、『愛の戦い』は習ってますん」
「…………君、プリキュ〇?」
「ちゃうわ。キューピッド学科のラファエル先生が、『天使は愛情』って口酸っぱく言うん」

 
 なんなの、そのキューピッド学科とか、ラファエル先生とか。
 ラファエル……ってどっかで聞いたような名前だけど…。
 
 僕が首をひねっていると、クコはセーラー服の懐からあるものを取り出して胸を張る。
 彼女が取り出したのはプリキュ〇とかでよくある、ハートやら羽やらがあしらわれた、絶対プリキュ〇のアニメの前後に挟まるⅭMで「キュア○○と一緒!」ってな感じで宣伝されそうな、一対の弓矢だった。


「うちが持ってんのは、まぁこの程度のもんですわ。百木くんにこれを使わせれば、ある程度行けそうな気もするわな」
「絶っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ対にヤダ」


 僕はコンマ何秒レベルで反論した。

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