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作者: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (総ページ数: 6ページ)
関連タグ: メイドウィン小説 スマブラ戦記シリーズ 魔法少女 ぽっちゃり バッドエンド
*4*
それはアルカが世界総合研究所に到着していた時の事………
「帰ってきたぞ!」
「アルカ!」
凪が迎えてくれるが、アルカの持ってきた赤い人形を次々と取り出して確認する。
それらをテーブルの上に一通り置いていく、何十個もある………
「所長!こちらに!」
研究所の人々も次々とその赤い人形に集まっていく。
「なんだー?その人形がそんなに気になるのかー?」
「どうです、所長……」
「こ、これは……間違いない……」
「この赤い人形、どこにあったんだ!?」
「ああ、これなぁ~なんかそこらへんにいたから拾ってきたぞ」
「もっとないのか?」
「多分、ある!」
凪も流石に所長に問い詰める。
「所長、これは……」
「凪、君の連れていった魔法少女とやらは人が突然このような赤いフィギュアのようになったと言ってたな?」
「ええ……彼女たちが見たものが確かなら」
「………同じだ、こいつは博多だ……」
「この任天堂世界で死んだとされた人間の……フィギュアだ……」
その言葉を聞いて凪は驚いた表情を見せる。
さらに他の研究員たちもざわつき始める。
そして、研究所にいる全員がそのフィギュアを手に取って確認していく……
中には涙を流しながら手を合わせて拝む者もいた。
しかし、その誰もが困惑していた。
なぜなら、任天堂世界においても死はある、しんだらそこでおわり、それが現実だと思っていた、だがこのフィギュアも人為的に作られたとは思えない、これは……
「聞いたことがあります、スマブラは厳密には任天堂キャラクターではなく、フィギュアに妄想を重ねたもの、それと同じように……」
「我々も本当は……任天堂戦士は死んだらこの赤いフィギュアになるのだろう」
「これが示されるものは何か分かるかね」
「我々人類は、まだ見ぬ未知の力を持った者たちによって守られていたということですか?」
「いや、それもいい考えだが違うな」
「我々は世界総合研究所、この任天堂世界の全てを調べて明らかにするためにここを作った。」
「__蘇生出来るのではないか?ゲームを最初からやり直すように、死んだ任天堂戦士を蘇ることが!」
「!!」
「だが……確かに出来たなら凄い発見だと思う」
「ただ……理不尽に死んで甦った人達が、今も尚この世界から出れないと知ったらどう思うのか……それが気がかりだ」
「宮崎所長…」
「俺自身、かつて脱出を夢みたある組織に属してきたが、そんな物は無いと思い知らされた……」
「?」
「暗滅教、ダンテ……彼女のような惑星デスギアの侵略者によって多くの犠牲が出た……だから俺はこういう形で戦う……どんな敵だろうと」
「うふふ……このような事例は初めてですね……」
「!?」
アルカ以外の全員に悪寒が走る。
今からこの研究所に新たな来訪者が来ようとしている……
アルカが警戒しているのを見て凪が言う。
それは凪自身も感じているものだった。
アルカが感じているのは魔力によるものだが、凪が感じるのはそれとは違う別のものだ……
それはまるで……
カタストロフ
隕石の激突
爆発
とにかく 一発で即死しそうな程の悪意。
アルカはそのオーラの相手を見て、嬉しそうな顔をして呼びかける。
「ダンテ!」
「やれやれ……探しましたよ、アルカ」
「う、ウワアアア ダンテだああぁ!!暗滅教の教祖じゃねえかッ!!」
そこに現れたのは……紫色で隻腕の人のような何か。
本当に何かとしか言いようがない、右腕は隻腕のようで紫の糸のようになっており、目のような部分は実際には目では無い、ただの黒い線だ。
宮崎所長はそんな怪物を見て震え上がる。
凪も見ただけで感じた、いつ死んでもおかしくないと。
(ダンテ、所長から度々聞かされている……奴と暗滅教には決して近付くなと)
「いや……これ、なんですか?アルカの反応や匂いを辿りこの研究所に来ましたが……その、それは?」
「アルカはまほーしょーじょとなって平和のシンボルとなるのだぞ!」
「意味が分かりませんよ……地球の文化はある程度覚えましたが、なんだか困惑の方が強いのですが、私」
「だ、ダンテ……アルカを連れに来たのか!?」
「それは、まあ、そもそもデスギア人なので侵略する側が現地人と仲良くするというのもどうかという話じゃないですか」
「ダンテはそれでいいのか?」
「そうは言われても、デスギアを滅ぼされダーズ様の復活を急ぐ私には時間が無いのですよ、ここ数十年で何やら文化も発展したようなので、分裂体を作らないとやっていけませんし」
「ぶ、分裂体……じゃあ」
「アルカは私の分裂体の1つで、最も新しい物になります」
所長がダンテの言葉を聞き青ざめる。
そして……ダンテが所長を見る目が恐ろしい。
まるで虫けらを見下すように所長を眺めていた……その瞳は黒ではなく紫色……
そしてその瞳を見た凪の体が勝手に動く……! そして所長に駆け寄ろうとする。
「安心してください、私は侵略者ですが殺人鬼ではありません、何もこの研究所の人々全員皆殺しにしたいとは思っていませんし」
「……まあ、今回の件はちょっと首を傾げますが」
「……ん?アルカ、その赤い人の形をした石はなんですか」
「ダンテ!地球人は死ぬと赤い石になるんだぞ!アルカ沢山見たぞ!」
「は!?地球人が石に……そんな馬鹿なことが、しかし実物が……?」
「生き物は死んだら終わり、それは宇宙共通の自然の摂理です!死んだ生物が生き返るなんてことが、たとえこの世界が異能力の集まりだろうと………」
「へえ、面白いことを聞いた」
まただ、また外から恐ろしい物を感じた。
今度はダンテの時とは違う、リアリティのある殺意。
研究所内にいる全員が怯える中、その気配を感じていないのはアルカだけ。
すると、ダンテもそれに反応したのか、研究所内に入り込み、入口を見る。
「世界総合研究所なら何か面白いものでもあるかなと思っていたが、想定通りだった」
「おや、貴方は……」
「お前は……ありえない!!戸北ユカ!!」
戸北ユカ、任天堂世界の裏の頂点である『コレクターズファミリー』の主。
見た目こそ小学生だがこの任天堂世界を生きてきた年数は遥かに上であり、精神年齢なら齢50を超えていると推測されている。
「そんな馬鹿な!ユカは……ユカは死んだと聞いている!」
「僕に関しては、その赤い人形から生き返ったのかは分からない」
「死んだ、確かに死んだけど………面白いものがいってね」
「まさか、能力で!?」
「うん、持つべきものはトモダチだね」
ユカは死んだ、確かに死んだはずだった。
だが、今こうして自分たちの目の前にいる。
凪達は当然としてダンテですら想定外だったようで、少しづつ近寄っていく。
「貴方の噂は私も度々耳にします、この世界で独自の文化圏を築いていたとか…地球人は蘇生なんてことが出来るのですかね」
「僕だけの力じゃないよ宇宙人さん、こっちも暗滅教の事は何かしら聞いているけど……これは想定外だったんだ」
「僕の任天堂戦士としての能力は『トモダチコレクション』、仮想空間のそれなりに大きい島に入れる他、僕がトモダチと判断した人をマンションに住ませることで、その人の能力を僕も使うことが出来る」
「最近面白い任天堂戦士を見つけてね、僕のとはちょっと別の仮想世界を作れる奴だったんだけど、そいつが『サテラビュー』の任天堂戦士なんだ」
「その周辺機器にはメモリーパックがあってね、受信したデータをセーブする大事な所なんだけど………」
「僕を綺麗にデータ化出来た、そして……復活したというわけさ!」
戸北ユカは笑顔でそう語る。
その言葉を聞いて研究しますの顔から血の気が引く。
「なるほど……我々からデスギア人やダーズ様から始まった能力がここまで進歩するとは……」
「といっても立場上は死人だよ、ファミリーは壊滅したしF.D.Xに喧嘩なんて売りたくないから大人しくはしてるけど」
「なら、あなたは何故ここに?」
「トモダチ島から全部見てたからに決まってるじゃん!ねえ」
「その赤いフィギュア1つ残さず全部よこせよ」
ユカの言葉に反応するようにアルカが飛びつく! しかし、それをダンテが止める。
そしてダンテは言った。
「これを?」
「メモリーパックがあれば僕以外の奴も蘇生出来るんだよ、試したからわかる!」
「君ら暗滅教だって生贄を使うんだろ?死人は使い回した方がお得じゃない?」
「お前何を言って………」
「おや、地球人が我々異星人の手助けなんてしていいのですか?我々は一応貴方の星を乗っ取りに……」
「いいよ、あんなクソみたいな国も星も僕は興味無いし、この島だけで余裕で暮らしていけるよ」
「お前……自分の島をどれだけ買い被って……」
「マンションに入れるのは能力をコピーしたい奴だけ、別に住居はあと二種類くらいあるし、なんならテントでも貼らせて野宿でもすればいいよ」
「ふむ……なるほど」
「そうなると憎まれ役が必要じゃない?」
ユカの傍から現れたのは……緑色の髪の少女。
服装は黒のワンピースで、顔には大きな傷がある。
右手には鎖鎌を持ち、左手には犬のぬいぐるみを持っている。
その姿を見た所長は驚く。
彼女のことをよく知っているからだ。
「美崎二葉……現実世界で800回結婚詐欺を繰り返して逮捕されたクソメンヘラ女……!!」
「ダンテも知ってるでしょ?F.D.X、君と関わった七夜が居たところ」
「おや、貴方達協力してたのですか」
「七夜やその関係者走らないけどね」
「で、ファミリーが消えて憎まれ役が必要っていうなら…あたし達がやってやるってのよ」
「地球に興味無いのはこっちもそうだし、アイツら全然過激なことをやらないからさ〜」
「……ふむ、それぞれ三組織の同盟みたいなものですか」
「あ、そういやあの研究所の奴らどうすんの?」
「あ、そういえば私の要件それでした」
「あ、気にする事はないよ……」
ユカが研究所内の人達に手を振る。
だが、それはもう手遅れ。
研究所内にいた研究員は全て死んでしまったのだ。
突然研究所内に爆発が起こり、その衝撃によって研究所は崩れ去った。
それは、一瞬の出来事であった……
「結局死なせる気だったんですね、貴方」
「いいじゃん、どうせ復活出来るんだし、生きて情報をバラされたら困る」
「あのアルカと言った小さい宇宙人は人質だ、絶対に無いと思うがこの関係が破綻するようなことがあれば……」
「心配ありませんよ、惑星デスギアは約束守れないような存在は処刑されますので」
「怖っ」
………
そして、今に至る。
知世子達が戻ってきた頃には世界総合研究所は崩壊していた。
「う……」
「こんな……一体なんで……」
「アルカの声は聞こえたはいいけど、凪からは全然繋がんないし……」
「凪さん……?」
「こいつは……!?おい、なんで研究所が荒れてんだ」
「是六!!どこだ!!」
そして、遅れるように七夜も世界総合研究所に辿り着いた。
だが、そこで見た光景はあまりにも酷いものだった。
まず、この場にいたはずの凪とアルカがいない。
そして、宮崎所長が倒れている。
「おい、ジジ……是六!!」
「あ、あの人本当に知り合いが居たんだ……」
宮崎所長は今にも死にそうな声で、最後にこう言った。
「息子を……ハジメを頼む……」
「息子!?何言ってんだよお前独身だろ!!しかもこの世界、結婚したところでガキなんて…」
だがここで宮崎所長も息絶えてしまった。