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作者: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (総ページ数: 6ページ)
関連タグ: メイドウィン小説 スマブラ戦記シリーズ バッドエンド サテラビュー オリ主
*3*
【第3話】
ソラはサテラビューワールドに篭ってても先程移住区で言われていたことが気がかりだった。
「ウチの移住区で違法な薬物……苦労して安心の環境を手に入れたのに、迷惑な話だなぁ……」
「俺だけの問題じゃないことも確かだが、どうにかして特定出来ないだろうか……」
「………そういえば、ぶんぶんマリオバトル以外のBS放送は何があったかな、使える能力があるかもしれない。」
ソラのサテラビューの能力は、衛星から受信される仮想空間の作成と、放送されるラジオとコラボしたゲームの能力の一時的な使用。
その時放送されている番組が違えば、使える能力も違う。
小型ラジオを弄りながら、番組表を見ていると……
「!こ、これは………」
『BSシムシティ』あの空から見上げて都市を開発して発展させていくという、あの名作だ。
それが明日放送される。
「そうか……サテラビューはゲーム機に繋げる周辺機器だから、任天堂作品以外のゲームが流れてくることもあるのか!」
「これなら………!!」
早速サテラビューの本体に繋げて起動すると、すぐにゲームが始まった。
基本的なゲームの説明。
『サウンドリンク・ゲームはBS放送と連動しています。BS放送で放送されている番組の内容がゲーム内に反映されて盛り上げます。』
「おお!これで……」
そして、BSシムシティが始まる時間。
ソラは移住区周りを集中させる。
サテラビューの弱点として番組である為終わる時間がある、およそ1時間。
言うなれば18時から19時までしか特定の能力を使えないのと同じである。
「……シムシティということは、今俺は街を作り変えられる能力」
「移住区であるどうぶつの森の世界も、元々村作りとかDIYの要素もあるし……上手くいってくれ!」
街を作るための画面が現れる。
ソラはとりあえず街の形を確認することにした。
そして、この能力の特徴を見て改めて理解する。
それは、任天堂世界がただゲームキャラがいる世界ではなく、ゲームそのものが今見えている現実となっていることだ。
つまり、ゲームのキャラクター達にも生活があり、そのキャラクター達はゲームの世界で生きている。
「えっと………これで村全体を見渡せる、これで何か怪しいものが無いか手当り次第探って………」
村のあちこちを見ていると、大きな家の地下に更に隠し階段があった。
そこを探っていくと……
「これ……毒キノコか?」
スーパーマリオの世界の毒キノコが栽培されていた、その他にも様々な……分かることは、触れたら危険そうなアイテムが大量に置いてある部屋があり、その近くにはすり潰すのに使う器具だ。
「薬そのものは無いが………十中八九ここで作られているんだよな」
「え……じゃあこれって、マスターアマゾネスの……」
そもそも移住区の家を作っているのはそういう能力を持つマスターアマゾネスのリーダーのイツメン、自分だって功績を作ってマイホームを作ってもらったというのに、理由もなく隠し階段なんてものを作るわけがない、イツメンも把握している、あるいは……
「イツメンが主犯……?どうするんだよそれ、なんて言えば……」
自分からそれを報告しようとしても立場的にはまだ危うい、揉み消されるどころか周囲の空気がより険悪になる可能性もある、そうなると安定した空間を求めるソラにとっては致命的だ。
「……まだ、黙っていた方が良さそうだな」
「でも……ゆくゆくはこの移住区から逃げることも考えないとダメだな」
「あと、こんな物が出回るのも嫌だな……見える分だけでも削除しておこう」
後は毒キノコなどを消去して、……
「よし、これで大丈夫かな」
しかし、これで完全に解決したわけではない。
むしろ問題はここからだった。
「ソラさん、こんにちわ」
「あ、ああ……こんちには、山吹さん」
「……最近、何かありましたか?」
「いや、最近物騒だから警戒していて……あ、そうだ」
……
「我々ア・カウント・バーンとマスターアマゾネスについて?」
「うん、この2組織が移住区を守ってるってことしか聞いてないから、例えばどっちが先にここに居たのかとか知らなくて」
「最初に移住区になりそうな世界を見つけたのは我々です、その後イツメンさんが来て、女性をかきあつめてマスターアマゾネスが結成されました」
「へえ……」
「ただ……仲が悪いというわけではありませんが、我々のリーダーであるオダさんはマスターアマゾネスを良く思っていませんね」
「やっぱり、そうなんだ」
「はい、私も正直あまり好きではないですね、大事な移住区を自分の楽園にしようとしてるとか……」
「…………」
「あ、流石にこれは内密に……皆、生き残ることに必死で変になってる人も居ますから」
「………」
「そういえば、ソラさんは日本ではどんな暮らしをしてたんですか?」
「え?」
唐突に聞かれて困惑するが、なんとか答える。
「デカいビルに住んでるよ、食べるものにも困ってないし、好きなだけ遊んで暮らせるお金がある」
嘘は言っていない、現実世界ではなくサテラビューワールドにおいての自分だ。
大きなビルのような所に住み、食べ物などはゲームで手に入るコインで購入している、街一個分の広さしかないとはいえ満足度は段違いだ。
任天堂世界に来る前の本当の現実では無職の引きこもり、仕事を辞めてからはゲーム三昧の日々、金が尽きたころコンビニのゴミ箱を漁ったり公園の水だけで生き延びていた時期もある。
「凄いですね……」
「え、そ、そうかな……」
「だって、それだけの事を出来る人なんて中々居ませんよ」
「そうかな……」
「…………ええ、本当に」
「……あ、自分また食糧探してくるので!失礼します!」
ソラは山吹の所から離れて、去っていった。
「………」
「はい、山吹です……ええ、恐らくは」
「もうしばらく隙を見たら、アクションを起こします……」
………
「ノブナガ殿、お呼びでござるか」
「よくぞまいった、そなたにしか頼めぬ依頼がある」
「ははっ、ノブナガ殿のご命令とあらば……隻腕となった拙者を拾ってくれた恩、必ずや果たすでござるよ」
「期待しているぞ………剣丸よ」
……
「あ、そういえばまだマリオのぶんぶんバトルの放送始まってなかった………しかも番組表見るに2時間はかかる……」
「仕方ない……1時間ちょっとウロウロして、見つかりませんでしたすみませんって頭を下げれば1日くらいは許してもらえるだろう」
ソラはサテラビューワールドに入り、しばらく家に入ることにした。
「村雨忍法、絡繰雀!」
そこに何かが入ってきたことにも気付かず……
「今、咄嗟に頼んだでござるが……山吹殿、これは」
「…………うん、これは………」
………
「高層マンションで、食べるに困らなくて、毎日遊んで暮らしてられる……か」
「本当に現実と大違いだな、サテラビューワールドでの生活は」
名前を忘れた街でソラは1人だけ。
ただし、この街で生きていく上の全てが揃っている。
NPCとはいえ人も沢山いる、ラジオも朝から晩まで世界から発信されて、電気も水道もガスも通っているし、店は何でも揃う。
そんな世界にソラは適応していた。
「ふぅ……今日も良い天気だな」
「……ん?」
「なんだこれ……鳥?」
空から何かが飛んでいた、スズメのように見えたが……
「まあ……空だから鳥のようなものが飛んでいてもおかしくはないか」
すると、その鳥はソラに向かって急降下してきた。
それはまるで猛禽類が獲物を狙うかのように。
そしてソラは気付く。
この鳥は……自分を狙っていることに。
ソラは逃げようとするが、それよりも速く鳥は迫ってくる。
「なんでこんな事に……仕方ない、1回サテラビューワールドから出ないと!」
ソラは能力を解除して、任天堂世界に再び戻っていく………
「今だ、見えた」
「え………?」
その瞬間、何かが通り過ぎていくのが見えたが……あまりにも早くて見えなかった。
だが、それを考えてる暇はなかった。
突如首の後ろを強く叩かれてソラは既に失神していた。
「よし、とりあえず作戦は成功した」
「すまぬな四柳、そなたもここに構ってる暇は無いというのに」
「気にするな、俺とお前の仲だ……俺達では目の届かないところを管理してくれる事は本当に助かっている」
「お前もいい仲間持ったみてえだな、どうだ?忍者」
「絡繰雀の見た通りでござる、しかしまさかこのような奇っ怪な能力が………」
「数年生きてきて任天堂戦士は何でもアリとは思っていたが、俺もここまでの奴は初めて見たな……ソラ・テンドウ……」
「七夜殿、これからどうするのでござるか」
「決まってんだろ、今あの空間に入った山吹が帰ってきてから……全部問いただす」
「なら、それまでに言っておきたいことがある……」
「どうした、ノブナガ」
「…………我らア・カウント・バーンは、近い内にある程度の住民を連れて別の移住区を探そうと考えている」
「そうか、お前も奴らが怪しいと踏んでるか」
「マスターアマゾネスはもう駄目だ、このままでは全員死ぬ」
「確かに……あいつらは最近変だとは思ってたが」
「ああ、最近の騒ぎはいつも奴らの周りで起こっている……このままでは無関係な住民にも被害が及ぶだろうと考えた」
「……分かった、お前の事だ、考え無しには動いていない」
「今はノブナガって呼べばいいんだったか、アテはあるのか?」
「ああ、少し長い度になるかもしれんが責任をもって守り抜く」
「なら、いいか……問題はこっちだな」
四柳と呼ばれた男は地面を指さして言った。
そこにはソラが倒れている。
………………
ソラは目を覚ました。
そこは先程までいた場所とは違い、薄暗い洞窟のようなところにいた。
壁は岩肌むき出しで天井からは水滴が落ちてくる。
手足を動かそうとするが、何かで拘束されている。
それは鎖のようで、ソラは両手両足を広げて磔にされていた。
そして目の前にいるのは、山吹と四柳、そして前に四柳のそばに居た男。
「こ……ここは?」
「俺達の一時的なアジトだ」
「よう、ソラ・テンドウ……あん時以来だな、俺の方から自己紹介が遅れていたが、俺の名前は城之内七夜……いや」
「こっちでは桜井七夜の方が良かったな」
「桜井……?アジトって、ここは灯火の…」
「『灯火』ってのはウソだ、俺達の本当の組織名は『F.D.X』……この任天堂世界で、全てを支配して管理する存在……って言うとワルっぽいだろ?」
「一体なんなんだ、これは……なんで山吹さんが」
「ノブナガしか話していないが、山吹な……元々F.D.Xのメンバーだ、移住区に問題があった時すぐ俺らに報告出来るようにな」
「簡潔に簡単に言い渡せば、スパイだ」
ソラは何も言わずにただ、山吹を見る。
山吹は下を向いていて表情は見えない。
だが、震えていた。
ソラは理解していた。
山吹は自分を殺そうとしている……そんな気がした。
「あの……ちょっと聞きたいんですが、何か勘違いしてません?俺は、何も皆に酷いことした覚えは……」
「覚えはない、か……まあ確かに俺達がそう思ってるだけで、お前からすればそうじゃないと思うだろ、誰だって」
「だからわざわざ、俺達が時間を割いて一から説明してやるんだぞ?お前がこの任天堂世界においてとんでもない事をしたのかってのをな」
………………