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作者: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (総ページ数: 6ページ)
関連タグ: メイドウィン小説 スマブラ戦記シリーズ バッドエンド サテラビュー オリ主
*4*
ソラは両手両足を拘束され、尋問をされている………
「まず、お前の能力について聞きたいだが」
「え、えっと………エキサイトバイクの任天堂戦士です、移住区から遠くまでバイク飛ばして、食糧を運んできたりとか………」
「……………」
七夜と四柳は神妙な表情でその話を聞いていた。
「お前は任天堂世界全体を知らないから無理はねえが……残念なことにエキサイトバイクの任天堂戦士はもう見てるんだよ」
「え……」
「基本、同じゲーム、つまり同じ能力のの任天堂戦士はいない、人口こそ開発された任天堂ゲーム以上に見えるが、案外なんとかなっている」
「エキサイトバイクシリーズはおよそ4種類、4人とも俺らはもう目撃してる」
「だからお前の能力はもっと『別』にあるってわけだ」
「…………」
「今度はこっちから答えてやる、俺達や山吹がおつからお前を疑っていたのか……だが」
「あいつは移住区に来てからずっとお前が妙だと思ってたらしいぞ」
「!?」
「ま、お前も隠蔽工作とかはよくやれてたよ、わざわざマイホーム作ってまで人混みを外れて……」
「家具にある程度痕跡や汚れを残して、いかにも生活していた風を装っていたが俺には偽装って分かる、これに関しては俺も経験があるからだがな……」
「………あとは、あとは何がおかしかったんですか?」
「お前がそのバイクで運んできていたっていう食糧」
「え!?」
七夜の質問に驚くソラ、それはまさに図星だったからだ。
確かにソラはバイクで食糧を運んでいたのだ。
しかし、それの何が怪しいのか? まさか、そんなことはありえない! と、思っていた。
「あの移住区はどうぶつの森の世界を元に作ってる……となると食糧は自然由来のものだ」
「具体的にはフルーツや魚…あそこは『とびだせ どうぶつの森』だからマリンスーツを着ればカニやホタテなんかも得られる」
「もちろん別世界でちゃんとした料理も命懸けで回収している」
「だからよ、見た目で分かんなくても……それがコンビニ弁当だって分かるんだよ、味だけで」
「!!?」
「味に関しては好みの問題だが、添加物は多いし濃い……山吹からの弁だが、お前が持ってきた食糧を口につけていたのは最初の内だけだ」
「そんなもんを毎日食う訳にもいかねえんだよ、こっちは」
「そんな……まさか分かることは……」
「………こいつは気にしてないのか?」
「恐らく毎日食ってる側だな、彼は」
ソラの目の前に立っている七夜と四柳は深刻な顔をする。
彼らはある可能性を危惧しているようだ……。
「決定的になったのは、初めて俺と会った時のお前の発言だ」
「え?」
「お前は俺が灯火に誘った時にこう言ったな、今の所は快適と」
「快適ですよ……のんびりできるし、戦わなくていいし、仕事もしなくていいなら……」
「二日三日ならそんな態度も取れるだろう、だがお前は移住区にも来て1ヶ月」
「俺達は何の脈略もなくここに運ばれ、いつ日本に帰れるかも分からない状況になる、いつ死んでもおかしくない過酷な場所だ」
「だから、移住区に居る奴らは必ずこう考えるんだ」
「早く帰りたい」
「何日も経った上でここが快適だ、なんて本気じゃなくても思うはずがねえんだよ、それが任天堂世界だ」
そう言うと七夜はソラの拘束を解く。
そして四柳はソラに話しかけた。
どうやら彼の目的はソラの拘束ではなく、この場に居させることにあったらしい。
七夜は2人を背にして洞窟の入り口に向かう。
ソラは恐る恐る、四柳に聞いてみた。
「一体何が目的で……?」
「分からないのか、ある意味ではおめでたい男だな」
「これまでの話から推測して俺達が何を考えたのか分かるか?」
「さあ………」
「度々消えて、任天堂世界には無いはずのコンビニ弁当を提供し、更に快適と言うくらいには不便のない生活を送ってると見える」
「山吹はこう考えたんだよ……お前は本当は現実世界と任天堂世界を行き来出来るんじゃないのかって」
「!?」
「仕事だから当たり前だが、山吹はお前に対して内心憎悪を抱いていたぞ、自分達を連れ出すことも出来るのにそれをせず、神様気取りでもしてるかのようにとあんなものを提供……」
「ま、待って!!待ってくださいよ!」
「正直に言いますけど俺の能力はサテラビューといって、仮想世界を作ってそこに住んでいたのであって、そんな……」
「ああ、それは知っている、見たからな」
「見た……?」
「ノブナガも随分優秀な仲間を得たようでな、お前が世界に入る瞬間、カラクリを入れてそこからお前の仮想空間を見させてもらった」
「そして、お前がカラクリに襲われ逃げる瞬間に山吹が入れ違いでサテラビューワールドに入った」
「………ああ、もしかしたらと思ったんだがな」
「もしかしたらって……現実に帰る方法?そんなの脅威とやらを倒せばいいんじゃないんです?俺は能力的に無理で……」
「簡単に言ってくれるな……」
四柳は呆れたようにため息をつく。
そして帰ってきた七夜は話し始めた。
それは七夜と四柳が初めて出会った時のこと。
そして……その僅かな時のこと。
「脅威……簡単な表現だな、脅威!!そんなもんをぶっ潰せば帰れると思ってた!!誰だってそう思う!!」
「けどな……そいつは想像の遥か上を言っていた、どんな奴でも指一本で虫けらのように散っていく……それが任天堂世界の『脅威』だった」
「俺と四柳、途中で抜けたがノブナガもかつては脱出を夢みていたがそれは不可能という結論に達して……」
「こうやって!!!何十年も自営組織という名の世界への共存……いや、服従をして必死に生きてきた!!」
「え、ちょっと……服従……何十年!?まさか、貴方達まだ俺と同じくらいの歳……」
「……任天堂世界には、寿命はない」
「若いやつは一生若いままだし、死にはするが天寿を全うする事は絶対にない」
「試しに山吹桜がいつから任天堂世界にいたか教えてやろうか……?」
七夜はソラに語りかける。
七夜はその言葉を聞いて少しだけ考える素振りを見せる。
しかし、すぐに答えは出た。
「18年6ヶ月4ヶ月16日7時間50分42秒」
「今この質問をした直後のタイムだ」
「っ……!?」
「当然、俺や四柳なんかはその二倍近くは生きている、俺ら以上だって居る」
「あいつらも奥底で考えてんだ、このまま永遠にここで生きるしかないのか、あるいは数百年はここに居たままなのか」
「だが移住区の奴らは任天堂世界に無いモノを見た瞬間、希望が湧いたんだ…もしかしたらいけるんじゃないか、他に帰る方法があったんじゃないのかと」
「移住区どころか任天堂世界の全てがそう思ってたんだ」
「ぬか喜びさせやがって!!」
七夜はソラに怒りをぶつける。
それは今までずっと溜め込んでいたものなのだろう。
彼はソラに近づき胸ぐらを掴む。
そしてソラの顔面に拳を入れようとするが……
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!」
「現実に帰れるかもしれないとか、それは向こうが勝手にそう思っただけじゃないですか!!」
「俺としてはただ、サテラビューワールドでずっと暮らしていたいと思って安全の為に色々手を尽くしただけなのに!ア・カウント・バーンの為になることもちゃんとやって助けてもらおうと……」
「………」
「確かに俺達が勝手に勘違いしただけというのは正しい考えだ」
「だが……これだけは言っておく、自分1人だけが楽に過ごしていればいいものを、その立場で誰かに助けてもらい甘い汁を吸って生きようとするなんて……都合のいい事があると思うな」
「………どうするよ、こいつ」
「別に俺達もそこまで頭にきている訳でもない、それ以上に失望とガッカリ感が半端ない」
「……た、助かる?」
「ポジティブに考えるな、血と命と人生を懸けて、明日も生きられるか分からない世界でそれぞれの希望と帰りたい理由のために足掻いている……それが任天堂戦士だ」
「もうあそこにはお前の居場所は無い」
七夜は冷たく言い放つ。
ソラは七夜の言ったことがショックで何も言えない。
すると七夜は洞窟の奥に歩き始めた。
四柳もそれに続く。
七夜は振り返りながらソラに言う。
「一応言っとくが、ノブナガの組織はあの移住区から出ていくつもりらしい、まあそれに関してはお前の件とは無関係とだけ言っておくよ」
……
七夜の言った通り、移住区に戻っていくと大半が出ていく準備を始めていた。
近付こうとしたが、誰もが自分を見向きもしなかった。
裏に見てみると、自分が今まで移住区に渡していたコンビニ弁当の残骸が散らばっている。
恐らく、これからは自分達だけでどうにかしろということなのだろう、本当に居場所が無くなりつつあった。
ソラは絶望的な気分になりながらも、マイホームに戻ろうとする、すると山吹にまた会った。
「山吹さん」
「…………」
「貴方は自分勝手な人です、こんなことならずっと閉じこもっていれば良かったのに、私たちに助けてもらいたいなんて烏滸がましいです」
「どうしてそんな………」
「じゃあなんで、貴方は自分の能力を我々に打ち明けなかったのですか?」
「剣丸さんの絡繰雀も入れましたし、何より私は貴方と入れ違いでサテラビューワールドとやらに入れました、街1つ分を再現した、ひとりで住むにはだだっ広すぎる大きな空間」
「移住区の1つとして運用できるレベルです、これさえあればもっと戦えない人達が助かった……私達だって本当はカツカツなんですよ?」
「それは……俺以外に入れると思わなかったからで………」
「卑怯なウソです、ここでも自分一人しかいないマイホームを作ってもらったくせに何を言ってるんですか、そこまでしてサテラビューワールドの存在を私達に隠したかった、独り占めするために」
「……私、子供の頃は小さい家暮しで、自分の部屋も無く我慢して生きてきました」
「大人になったら、おっきい自分の家を建てて、そこで家族と楽しく生きることが小さいことからの夢でした」
「正直言うと貴方がどんな人か?って聞いた時からもう軽蔑してました、あれが嘘でも本当でももう知ったことはありません」
「何にせよ貴方はそういう人でした、自分の事しか考えられない、自分だけが良ければそれでいい」
「ち、違う……」
「貴方みたいな人は……ずっと独りで生きててください、せめてもの情けで私の作った人工衛星は壊さないでおきましたので」
山吹はそう言い残し、去って行った。
ソラはその場に座り込む。
「………今は、サテラビューワールドに行こう」
………
あの移住区からア・カウント・バーンの面々は戦えない人々を連れてあの場所から全員出ていってしまった。
マスターアマゾネスが残ってはいるが、リーダーのイツメン以外は誰一人として見たことがないし、イツメンは危険人物候補。
ソラは守ってもらうツテが完全に無くなってしまった……
「何が……まずかったんだろうか……」
「……」
「俺はただ……幸せになりたいだけなのに……それだけだったのに……」
「……」
「……とりあえず、帰ろう」
ソラは立ち上がりマイホームに歩いていく。
すると……
足が…動かない、それどころかお腹に違和感が感じる、何かが乗っかっているような……
確認する暇もなく……ソラは目を大きく開き、恐怖で震えて地に付した。