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いつだって私達は。
作者: のゆり  (総ページ数: 17ページ)
関連タグ: 熱愛 依存 サイコパス 風俗 復讐 自惚れ 嫉妬 
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10~

*11*


 『百合菜~!海和様、ドラマに出るんだって!最近すごいよね~♡』
 腹立つなぁ、栞凪。私は海和と付き合ってるんだから知ってて当たり前だし。
 『うん。私も海和から聞いたよ。楽しみだね」
 前デートした時に聞いたんだっけ。その日以来会ってないな。体の関係も途絶えてる。

 「海和、会いたいな」
 仕事中にもそんな事ばっかり考えて、全然頭が回らないので早退した。
 『今会える?』
 海和のスケジュールは把握しているので、多分大丈夫だろう。
 したいな、海和と。
 合鍵を握り締めて誰もいない事を確認して、マネージャーのフリをして部屋に入る。

 「海和!会いたくて、来ちゃった」
 乙女のようなこの甘いセリフは、私に良く似合う。
 部屋をキョロキョロ見渡す。早く、海和来ないかな。
 「あれ?」
 おかしいな、海和が来ない。いつもすぐ来るのに。
 急な仕事?家族の私用?嫌、全部把握してる筈。
 不安になったので一応付けていたGPSのアプリを開く。
 「海…和?」

 『ホテル』
 勿論、ビジネスじゃない、ラブの方の。
 一気に崩れ落ちて、涙を流す。
 あの愛の言葉も、アイドルとしての嘘だったのかもしれない。
 海和にとって、古参も新参も変わり無かったのかもしれない。
 考えるにつれて、精神が擦り減っていく気がした。
 海和、海和、海和。

 その夜は、割とすぐ眠った。


 翌日、[相手は?]という疑問が脳裏に浮かび、海和がよく話す人の事を思い出す。
 マネ…は男性だったし、他の関係者とあまり接点はない。
 ファン?ファンの誰かと…?私と付き合ってるのに…?
 じゃあファンの中で1番よく聞く名前は…










 「栞凪」
 さっとスマホを手に取り、『夏樹瀬栞凪』の欄に触れる。
 違う、海和は栞凪にそんな欲求____ッ!
 『ねぇ栞凪』
 『あ、百合菜!どーしたの?』
 『昨日、海和と何かあった?』
 『えっ』
 返信が途絶える。
 『海和様と…デート、しちゃった!』
 嘘、嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!
 『それって、大人の関係アリ?』
 『…そう、かも?』
 『そっ……か、ごめんね、言いづらい事聞いて』
 『いーよいーよ!丁度、誰かに言いたかったし?』
 『ありがと、そういう時はいつでも頼って?』
 『ありがとー!百合菜大好き!』

 「なら、良かった」
 私はスマホを握って、大好きな海和の夜に、染まる事にした。

 続く

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