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いつだって私達は。
作者: のゆり  (総ページ数: 17ページ)
関連タグ: 熱愛 依存 サイコパス 風俗 復讐 自惚れ 嫉妬 
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10~

*16*


 計算通り。ニート男は犠牲になったけど、そんなのはどうでも良かった。
 「お姉ちゃんがこのまま私の思い通りになったら、私の今までの頑張りが報われる」
 その為に私は善意という善意を押し殺して、こんな人間になったのだ。


 ____崩壊した家族。

 お母さんは私達、娘を自分の理想の娘に変えた。
 だから麗奈より早く産まれたの本当の長女はお母さん本人に直接捨てられた。
 瑠璃歌も孤児院から引き取った子で、本当のお母さんの娘じゃない。
 すべてはお母さんの理想を実現させるため。
 お父さんはそんなお母さんを見てられずに自殺。
 やがてお母さんも捨てた長女に待ち伏せされて殺された。
 でも私はお母さんが捨てたお姉ちゃんと面識が無いし、別に会う気も無い。
 お姉ちゃん達みたいに特別可愛くも無いし、私に何かした訳でも無いから、ネットで特定しようとも思わなかった。
 私達は、4人姉妹だからね?


























 その後、麗奈も無事に自殺したし、
 百合菜は死ななかったけど、だいぶ精神に来ていると思う。
 百合菜は優しいのか、ただ馬鹿なのか、こんなに身内に不幸があったのに私だけ無事なのを怪しいとか、微塵も疑わない。
 不思議だなぁ、と思った。

 私は大切にされていたらしい。
 将来は私をアイドルにするってお母さんがずっと言ってたらしくて、お姉ちゃん達にずっと守ってもらってたらしい。
 よく考えれば、車道側を歩いた事も無いし、嫌いな食べ物を2度出された事も無い。
 我儘は全部聞いてくれたし、学生の頃は毎日送迎してもらってた。

 ぽた、と涙が出て来た。
 私がやった事がどれだけの事か、ようやく分かった。
 今まで愛してくれてたのに、ずっと愛情を貰っていたのに。
 勝手に勘違いして、ただの八つ当たりでこんな大罪犯して。
 昨日まであんなに会いたくなくて消えてほしかったのに、今は会えなくなってしまったのに会いたくて仕方ない。
 「お姉ちゃんに、謝りたい」
 その言葉を地球に置いて、私は静かにこの世を去った。







 いつだって私達は、すれ違い、時にぶつかり合いながら生きている。
 小さい頃のように、互いに言いたい事が言えなくなった最近。
 それでもお互いを思うその気持ちは変わらない。
 家族に言えないような仕事に就いて、嫌悪感を抱えながら働いても。
 感性が周りとずれていて、前に進む事が難しくても。
 推しと好きな人の境界線が無くなって、未来の形が分からなくても。
 自分に自信を付けたくて、ネットに依存してしまっても。
 それぞれが大好きだって気持ちは変わらない。
 いつだって私達は、そうやって、歪みながら生きていくのだ。

 「いつだって私達は。」end

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