完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

いつだって私達は。
作者: のゆり  (総ページ数: 17ページ)
関連タグ: 熱愛 依存 サイコパス 風俗 復讐 自惚れ 嫉妬 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~

*2*

 1人目が終わって、シャワーを浴びた後すぐ、次の客の準備を始める。
 髪は一瞬で乾かして、鏡を見ては営業スマイルをする。
 「キモ。本当にこれあたし?」
 朝はあんなに美人だなぁと思ったのに。しかも、自己肯定感がどうとか語ったのに。
 あたしは、思った以上に汚いのかもしれないと思うと、わざわざあたしと差のありすぎる愛ちゃんを運営が推す理由が分かった気がした。
 「あたし…もうダメなのかな」
 そう呟いたすぐ呼び出され、次々に客と行為を重ね、すべて終えて帰宅した。

 部屋に入ると結花は寝ていて、起こすと悪いので小さいランプを灯して夕食を作り、さっと食べて片付けて、お風呂に入る。
 その後は退勤日誌に勤務時の業務内容を軽くまとめる。
 スマホを顔に向けると2:00と表示される。今日も疲れた。おやすみなさい。

  
 「麗奈ぁ~?あんまり調子に乗らないでよね♡」
 「麗奈、目障りなのよ。ブス、ブス、ブス。死ね、消えろ…」
 __ネットには、こうも書き込まれているとは、本人は知らない。



 あぁ、今日も朝を迎えてしまった。
 嫌だ、嫌だ、あんな事したくないのに。体が、言う事聞かないから…。
 でも、しないと生きていけない。
 スマホで時刻を確認しようとすると、『今日は休日』と通知が来ていた。そっか…休みだ。
 ぽっかり空いた心の穴を埋めるために行為をしている、でも今日はそれが無い。
 嬉しいと悲しいと、わくわくとムカムカが、ぐちゃぐちゃに絡んで気持ち悪い。
 風俗を始める前の休日は、より自分を高めるためにデパコスとかを買いに行ってたっけ。
 今も美しさには拘るけど、昔ほど流行とかを気にしなくなった。
 
 やる事が、無い。
 そして夜になれば劣等感に襲われるだろうし、精神が不安定になるだろう。
 久しぶりの休みとはいえ、これからの自分がどうなるかが手に取るように分かる。
 思考を止めないと、いつまでも想像して吐きそうだ。

 「朝ごはん」
 ふらふらと鏡も見ずにキッチンヘ向かう。
 お腹は空いてないけど、結花は食べると思うから。
 いつもなら自分で「妹思いなあたし、美人~」って褒めてただろうけど、こんな仕事してるからそのお詫び、と思うと別に当然の事だなぁとも思う。
 カタコトと小さく音を立てて料理をする。結花が起きない様に。
  シュガートーストとカフェラテ。
 甘いにおいが鼻を棘激して、心臓にもったりと埋めつけて行く。
 いつもはこの勢いで結花を起こして、この甘さを毎日摂取していたのだけど。
 今日は余力が無くて、またベッドに潜り込んでしまった。

 しばらく経って、結花が起きた。それと共にあたしもベッドから出て、スマホを手に取るとついこんな事を考えた。
 「みんなに迷惑かけるのなら.あたしは何のために生きているのだろう?」
 誰かに体を売るため?でもあたしが落ち付かないからだし。
 妹達を養うため?いや、妹に言われてやってる訳じゃない。
 あたしの生きる意味____

 あたしははっとして、結花を置いて外に出た。

 続く

1 < 2 > 3