完結小説図書館
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*3*
ほんの少しの頭痛を抑えながら、あたし達の住むマンションを駆け上がる。
風はいつもより爽やかで、空の色も綺麗な青。
「風も空も、最近は見てなかったな」
気付くとそこは屋上で、人が見えない、自然との触れ合いになっている。
目を閉じて、よく考える。
もう、風俗を続けるのは無理だろう。
年齢が年齢だし、運営ももうあたしを手放すつもりだったんだと思う。
そうすると、あたしが上手く生きていくのも無理だろう。
心が空っぽのまま、いつも通りの生活何て出来る筈ない。
そして、妹を養う事も出来無くなるだろう。
収入が悪くなって、精心的にも続けていくのは無理だ。
美しさを保つ事が出来るかでさえ不安なのだ。
ゆっくりと、目を開ける。
もう、この社会においてあたしは必要とされてない。
そして、あたしもこの生活が、自分の体が嫌いだ。
無理だよ、こんな気持ちになるまで頑張るのが。
自分の、葛藤が自分をぐちゃぐちゃに壊していく。
嫌だ、歳を取って若くなくなる自分が居るのが辛い。
___もうあたしなんて、死んじゃえ。
屋上入口から突っ走って、フェンスを避けてマンションの㟨っこに歩み寄る。
朝の白くて小さな月が、まだ視界の隅に残っている。
その月目指して軽く飛ぶ。
グシャ
「速報です。東京都港区の高級マンションに、女性の遺体が発見されました。警察は、遺体の身元を確認するとともに、くわしい死因を調べています」
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甘い月光が差す夜、彼女…明鏡麗奈の勤務先の風俗店では、利益が大幅に下がり、誹謗中傷コメン卜をした可能性がある、「愛」こと木槌山(きづちやま)愛子(いとこ)が店を解雇。
麗奈の遺族は葬式で、「美人で頼れるお姉ちゃんだった」と告白。
部屋にはまだ麗奈の私物が残っていて、まだ麗奈が生きている様だった。
___ちなみに、麗奈が風俗嬢だった事を、警察は妹達には言わなかった。
第1章「甘い月光」end
第2章「死神の呼び声」順次更新
明日から旅行に行くので3日間は投稿しません。すみません。