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第2章・明鏡瑠璃歌「死神の呼び声」
出来ない、出来ない、出来ない。
どう足掻いたって、努力したって、人と関る事なんて出来ない。
暗い部屋の中で髪をぐしゃぐしゃにしながら、その瞳に涙を滲ませ、顔を覆っている。
「私もう無理、誰かと会話がしたい、笑いながら手を取り合いたい…」
視界は涙で潤んで風景がはっきりとしない。目を閉じてゆっくりと開ける。
ピコ、という通知音がしたのでスマホを手に取り、わざわざアプリを開いて既読を付ける。
『瑠璃歌お姉ちゃん、朝ごはん出来たけど、食べる?』
どうしようかと考えてる内に、
『もちろん買ってきたやつだよ!』
と追記した。
『なら』
とだけ応答して、潔癖症みたいだなぁと呟く。
_____私はサイコキラー、所謂サイコパスなのだ。
症状も結構な重症で、私は人の顔も声も音もすべて駄目で、見たり聞いたりするとすぐに体が興奮しておかしくなる。
だから百合菜もスマホから会話をしているのだ。
だって、自分の命が無くなると困るから。
でも、私だって人を殺したい訳じゃない。
だから部屋に引き篭もって人と関わらない事を選んだ。
それでもやっぱり、サイコキラーが発覚する前の、仲良く4人で遊んでいた頃に戻りたい。
うじうじ、またもやもやスマホを置いて椅子に座る。
いつまで引き篭もってんのよ、とか麗奈には言われるんだろうな。
会いたいよ麗奈ぁ。
百合菜も、私の為にいろいろ考えてくれてるんだよね。
百合菜ありがとう。
しばらく結花も会ってないな、またお買い物しよう?
「みんなぁ…」
やっぱり私、弱いんだなぁ。
でも、でもね。人と関わりたいのに関われない人の気持ちなんて、わからないでしょ。
「わかってくれたら…嫌、わかっても変わらないか」
無理だ、と思った矢先、私にはとある思考が脳裏を過った。
誰かに助けてもらうのでは無く、私からサイコキラーを克服できるようにすれば良い。
今すぐ外に出よう。麗奈にデパコスと、百合菜にマカロン、結花にワンピースを買って来よう。
なるべく人は見ないようにして、克服したって報告したい。
また、あの日の様に……!
この日の外出がどれだけ大変だったか何て、今の私には知る術もない。
続く
<解説>
違う世界観なので伝説の風俗嬢、麗奈は生きてます。
それと、朝ごはんを運んで来たのは次のヒロインであり三女の百合菜です。
瑠璃歌は麗奈ほど強いメンタルを持ってないので人によっては苦手かもです…。