コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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  同居人は、旦那様。  
日時: 2015/09/16 16:44
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)








皆様、初めまして*
以前は違うサイトで小説を執筆させて頂いてました、悠。と申します。

今回こちらの方で活動させて頂くのは初めてで、とても緊張してます(
精一杯頑張らせて頂きますので、宜しくお願いしますっ*



*、ご注意

誠に勝手ながら、荒らしや成りすましは勿論の事パクリなども禁止させて頂きますがご理解下さい。

また、主は呼び捨てやタメOKですので気軽に声を掛けて下さいね!
更新はスローペースですが、温かく見てやって下さい(*´`*)


*、あらすじ

世界的に有名な会社のお嬢様と、これまた有名会社の跡取り息子。
そんな二人に訪れた、「政略結婚」という名の奇跡——!?



私なりに頑張るので、宜しくお願いします!
アドバイスなど、随時受付中なので是非どうぞ。



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Re:   同居人は、旦那様。   ( No.21 )
日時: 2015/09/19 23:30
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)



【 第九話 】






朝、小鳥のさえずりが窓から聞こえてくる。
煩く鳴り響く携帯のアラームを止めて、私は起き上がった。

今日は月曜日、学校に行かなければいけない日だ。
翼さんを起こす前に朝食作りを始め、ガスの電源を指で押した。



 「……あの、朝です」

 「——ん、あ?」



悪い寝起きの彼を起こして、何とか出来上がった味噌汁を皿に注ぐ。
木目模様がきれいな机に朝食を並べ、両手を合わせる。

パジャマ姿で味噌汁をすすっている姿を想像すると、笑えてくる。
本当に゛結婚 ゛したんだな、と。

皿洗いを終えて、スクールバッグへ用意を詰める。
翼さんも、聖明学園よりもかなり頭が良くなきゃ入れない学校の制服に身を包んでいた。

時計を見るともう時刻は8時ぎりぎりで、慌てて玄関へと飛び出す。
そんな私を追うように翼さんも靴を履き替え、立ち上がった。

私も茶色のローファーに足を通して、玄関扉を押した。
金色の古い鍵を鍵穴に差し込んで、大きく空へと手を伸ばす。




 「今日は帰り何時ごろですか?」

 「知らない」



こんなにいい天気だというのに、この人は未だにこんな態度だ。
歩こうと一歩進めようとすると、昨日の事を不意に頭に浮かんだ。

聞いてもいい事なのかな、と若干考えたけれどやっぱり口が動いた。
それまで私の前を歩いていた彼の足元が、ぐらついたような気がした。





 
 「_____あの、古都さんって、誰ですか……?」

 「何で、知ってんだよお前」







整った顔が歪んで、物凄く怖い顔に変わった。
何か口籠ったように見えたけれど、彼はすぐに元の表情に戻る。

そのまま何ごともなかったかのように、また足を進めた。
でも彼の周りからは、「踏み込むな」という空気が流れていた。

私も俯き、彼の後を追いかける。
当たり前の事だけれど、周りから聞こえる声は酷く煩いもので。



爽やかなはずの春風が、翼さんのさらさらとした黒髪を靡かせる。
不意に向かれた横顔はとても、哀しいもので。

いや、気のせいかもしれないのだけれど。
その深い瞳には、涙が溜まって零れそうになっているように見えた。






春のせいなのかも、知れないけれど。
とてもいい天気なのに、私たちの周りだけ雨が降っているようだった。


 

Re:   同居人は、旦那様。   ( No.22 )
日時: 2015/09/22 20:50
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)



【 第十話 】






バスの停留所で翼さんとは別れて、私は聖明学園へと向かった。
学園に着くとまわりからは絶えない噂が、どろどろと流れている。

私が結婚をしたかとか、相手はこの学園の誰よりも裕福らしいとか。
有ること無いこと囁(ささや)かれ、視線が集まってくる。

こうなるのは分かっていたけれど、やはり自分が惨めになって穢くて。
気がつくと、紺色のスカートを右手で握り締めていた。




 「おはよ、茉彩」

 「理、人……」




なのに理人はいつだって、立場なんか関係なしに私に接してくれて。
いなくなると探してしまうのはいつも、彼だった。

会うと、胸がきゅんと縮こまるのが分かって、変に苦しくなる。
思うと、どうしようもなく気恥ずかしくて、素っ気なくなる。

こんな初めてのキモチを、教えてくれたのは「彼」で。
翼さんでも他の人でもなくて、いつも隣にいてくれたこの人だから。

でも、もう遅過ぎたね。




 「教室、先行ってるね」

 「茉彩_______……?」





零れ落ちそうになる悔し涙を堪えて、廊下を走り出す。
頭の中で、理人の甘い声が嫌になるほど響いて、止まらなくなる。

どうして、もっと早く気がつけなかったんだろう。
気づいた所で何も変わらないのは、分かっていたけれど。

今、隣にいて欲しいのは理人なのに。
追いかけてきてくれる貴方の姿は、何処にもなくて。

積み重ねてきた「好き」は、私が思っていたものとは違って。
小さな頃、感じた理人の背中の暖かさが、恋しくなって。







 「……っ、う」

 「茉彩!? 何してんのっ——」







モノクロに染まった廊下に響いた、求め続けていたあの声。
私が泣いているのに気付き、その言葉を一瞬止めて、息を止めた。

止めなきゃいけないのに、溢れ出した涙は止まらなくて。
顔を覆った手の平から零れ落ちる涙は、とても冷たく醜いもので。



うんと奥の方で聞こえる噂をする声が、煩く響いて。
私はすぐに立ち上がって、理人の横を身体ごとすり抜けた。

こんな時くらい甘えればいいのに、私にはそんな事さえできなくて。
出来るだけ冷たくしようと思って喉に溜めていた声を、絞った。




 「もう、近づかなくていいから」

 「は、」






今更遅すぎた想いは、酷く切なくて怖くて。
伝えずに抑えてきた言葉は、もう期限が効かないもので。

たった一言、「好き」って言うだけで良かったのに。
そんな事が出来なくて、大切な人を壊そうとして、傷つけて。



(私はいつだって、セカイで一番悪い人だ……———)






たった今、突き放したはずのあの声が、もう聞きたくなって。
振り返ってみても、貴方の姿はもうなくて。

もうずっと、「ない」のかもだね。


Re:   同居人は、旦那様。   ( No.23 )
日時: 2015/09/22 21:24
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)






*、お知らせ




この度、参照が300突破致しました!
あと、更新のお休みが終わりましたのでまた更新させて頂きます。

いつもの事ながら、本当に読者様に感謝です(*^_^*)
のんびり更新なこの作品ですが、今後とも宜しくお願い致します!




Re:   同居人は、旦那様。   ( No.24 )
日時: 2015/09/22 23:20
名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)

 はじめまして、朔良と申します。
 読み始めた瞬間「クリックして正解だったな」と思いました!
 一気に更新されていた分読んでしまいました……!

 茉彩ちゃんの淡々としているのに、翼君の裸を見てあたふたしてしまう免疫のなさにキュンとしてしまいました///
 そういう初な女の子ってついからかいたくなってしまうものですよね←

 翼君と理人君二人とも格好いいです……!
 腹黒王子と親切王子、どっちも好きなのですが、朔良は翼君が好みです!
 その整った顔で罵られたい、と思ってしまいました((

 茉彩ちゃんの理人君への想いが切ないですね。
 自分から離れたはずなのに、その声が聞きたいと思ってしまうのが恋の曖昧な部分だなあと思って読んでいました。
 すごく女の子の感情が丁寧にリアルに表現していて、とっても共感しやすかったです。
 

 次回更新も楽しみに待っていますね!
 頑張って下さい。

Re:   同居人は、旦那様。   ( No.25 )
日時: 2015/09/23 10:08
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)






*、朔良 さま




初めまして、コメントありがとうございます!
クリックして正解だなんて……不正解ですよ駄目ですよ((
おお、一気にとは、目はおかしくなってませんか←

あのシーンは、茉彩のキャラ崩壊って入れとくべきだったと常々(汗
からかいたくなっちゃうの、凄い分かります!(笑)

翼が好みですか、の、罵られたい!?←
何故か朔良さまが、アブナイ人に見えてしまいますよっ((失礼

切ない表現は自分で苦手としているので、とても嬉しいです(*^_^*)
茉彩は書きにくい性格なので……苦労します((聞いてない

これからも、精一杯頑張らせて頂きますね!




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