コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 新米教師と死にたがりの女生徒。 完結!
- 日時: 2010/02/14 14:00
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
とある中学校の始業式。新任教師の紹介が、その学校でも当然あった。
『今年から教師になりました、相沢タツキ先生です』
『初めまして、二年生に理科を教えることになった相沢タツキです。まだまだ新米ですが、よろしくお願いします』
俺に出来たのは、そのくらいのありふれた挨拶だった。
二年生だけの集会でも、似たような挨拶をした。
そこで、他の中学生とは全く違う雰囲気を放っている女生徒と目が合った。
他の生徒は陽気な笑顔を浮かべながら、時々周りと喋りながら話を聞いていた。いわゆる普通の反応だ。
だが、その女生徒はこちらの心を見透かすかのような視線を送り、周りとは一切喋らなかった。
——浮いている生徒がいるな。
最初はその程度しか思わなかったが、やけに印象に残ったので、他の教師に聞いてみることにした。
「あの生徒を知ってますか?」
「ああ、職員室でもよく話題になるな。頭はすごくいいんだが、何を考えているか分からないって評判だ」
「名前って分かります?」
「二年B組の『田中マナミ』。君も苦労するかもな」
それから、特に接点もないまま一年が経った。
そして、学年が一つ上がった頃。
俺は、『田中マナミ』がいる三年D組の副担任になった。
続く
久々にコメディ・ライトを書きました。応援ヨロシクです。
- Re: 新米教師と死にたがりの女生徒。 ( No.10 )
- 日時: 2009/10/01 12:32
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
「京都に着きましたねー」
相変わらずの無表情で田中が言う。感動とかしないのか?
「どこ行くか決めてんのか?」
「とりあえず抹茶スイーツ食べたいです」
「普通神社とか寺見るもんだろ。せっかく京都まで来たんだから」
「あまり興味ないです。まあ、タツキ兄さんが見たいって言うなら見てもいいですけどね」
言い終えると、すたすたと歩いていってしまった。
「え、おい、待て! こんな所で迷子になったらシャレにならんだろーが!」
慌てて俺は田中の後を走って追いかけていった。案外足速いなコイツ……!
何とか追いついて、抹茶スイーツがあるという店に入った。
「ったく、あまり速く歩くなよ。迷子になったらどうするつもりなんだよ」
「きっとどうにかなりますって。あ、すいませーん、注文お願いしまーす!」
「説教を聞き流すな!」
ああ、もう何を言っても無駄だ。渋々諦め、ウーロン茶を注文することにした。
「タツキ兄さん、ウーロン茶なんてコンビニでも飲めますよ。やっぱりこういう所では抹茶スイーツを頼むのが一番ですって。頼み直しましょうか?」
「やめろ、甘い物は苦手なんだよ。それに、ウーロン茶を飲んだっていいだろ。好きなんだから」
しばらくそんな感じで話していると、注文した物が来た。田中は抹茶パフェを注文したらしく、細いスプーンを使ってがっついていた。
「俺、パフェでがっつく奴って初めて見たわ」
「がっついたっていいじゃないですか。ほら、こんなに美味しいんですし」
「!?」
あろう事か、田中が俺の口の中にパフェをすくって入れた。甘くて苦い味が口の中に広がる。ああ、意外と美味いなコレ……じゃなくて!
「お前今、何使ってパフェ食わせた……?」
「何って、このスプーン以外に何があるんです?」
言ったそばから、パフェをそのスプーンで食べた。そういうのは気にしない奴かも、とは思っていたが、本当にやられるとは思ってもいなかった。
「タツキ兄さん? 何で顔逸らしてるんですか?」
「……何だっていいだろ」
恥ずかしいったらありゃしない。結局、この店を出るまで田中の顔は見られなかった。
続く
- Re: 新米教師と死にたがりの女生徒。 ( No.11 )
- 日時: 2009/10/02 20:08
- 名前: りふぁ (ID: UcmONG3e)
すっごいおもしろいっ!
- Re: 新米教師と死にたがりの女生徒。 ( No.12 )
- 日時: 2009/10/02 20:25
- 名前: 月華 ◆t1IzzuikPg (ID: m/RYF1.C)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?305226
わおっ!!めっちゃおもしろい^^
- Re: 新米教師と死にたがりの女生徒。 ( No.13 )
- 日時: 2009/11/20 14:55
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
- 参照: アイリーンとレヴィメリアの共通点とは……。シリアス・ダーク『姫軍人の運命選択学。』こちらも応援して下さいっ!
そんなこんなで夕方になり、俺達は宿へ向かうことにした。
「ところで、私が泊まる宿ってどんな宿ですか?」
「何気に俺入ってないな。誰の金で宿取ったと思ってるんだ」
「あんたの金に決まってるけど野宿でもしてて下さい」
「仮にも教師を『あんた』って呼ぶのはどうかと思うが……」
それに今、『野宿してろ』って言ったよな。何だコイツ、俺を本当に教師だと思っているのか?
「まあ、とりあえず、修学旅行で泊まった宿だ。皆と同じ所に泊まれるんだ、喜べ……って、ひでー顔だなオイ」
眉間に皺を寄せてるだけだと思ったら大間違い。顔に思いっ切り『何してくれてんだコイツ』って書いてある。
「え、そんなことはありませんよ。ただ、純粋に学校の奴らが騒いだ場所には行きたくない、って思っただけで」
田中、本音が出てる。
宿に着き、予約していた部屋に通される。
「テレビ小さい……。きっと、経営が苦しくて……」
「田中、余計なことは言わなくていいぞ」
コイツの口はガムテープか何かで塞いだ方がいいかもしれない。
ん? 何か大事なことを忘れてる気がする……。何だ?
「はぁ……、同室ですか。予約の時点でそうしていた辺りで気付くべきでした……」
田中が意味不明なことを言っている……はっ!? そういや俺、予約する時——
『「恋人割引」? そんなのあるんですか? もしそれだったら料金は——安っ!? すごく安っ!! いいですね、「それにします」!!』
……やってしまった。この部屋の設備見た時から違和感は感じていたが……はぁ……。
カーテンを握りしめたまま死んでいる田中を見る。まぁ、あれが正常な反応だよな。
「おい、田中?」
「割引で食いつくからいけないんですよ……、反省してください、自業自得なんですから」
コイツ、笑ってやがる……っ、ハメたな!? コイツ、死んだフリして遊んでやがったな!?
「ふっ、先生の今の姿、誰に見せましょう……?」
「お前、ビデオカメラなんかで撮るんじゃねぇ! 消せ! 無理だというなら誰にも見せるな!」
俺は今日、初めて田中が『極度のイタズラ好き』だということを知った。
続く
更新放置しててすみませんっ!! 最近、忙しいもので……。
りふぁさん、月華さん、コメントありがとうございます。
こんな感じでよろしかったら、またコメント下さい!
- Re: 新米教師と死にたがりの女生徒。 ( No.14 )
- 日時: 2009/12/09 16:47
- 名前: りふぁ (ID: UcmONG3e)
さいきんみれなかった!
おもろかったよ!
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