コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ☆星の子☆ 新板に移転しました。
- 日時: 2019/10/20 22:08
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: /FmWkVBR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1a/index.cgi?mode=view&no=11909
この度コメディ・ライト板の新板にスレッドを移転しました。
今後の更新はそちらでしますので、是非新版の方に遊びに来ていただけたら幸いです。
URLを載せておきます。
2019/10/16 朱雀
※大事なお知らせ※>>781
クリックありがとうございます^^
初めて小説作成するので未熟な部分がありますが、楽しんで読んでくれると嬉しいです<(_ _)>
アドバイスや感想などもお待ちしております。
こてこてファンタジーなラブ(?)コメディです。
イメージソングは>>119の参照で聞けます♪
キャラ絵は>>397で!!
※星の子のキャラ絵を担当して下さっているPANDA。さんがキャラ絵専用ページを作ってくださいました^^ 是非見に行ってみて下さい。
※只今初期のお話を修正中ですので、一人称だったり三人称だったりします。ご了承ください。
人物紹介は盛大なネタバレ含みます。ご容赦ください。余裕があったら良い感じに書き直します…笑
>>1 主人公・部員紹介
>>2 Gトップチーム、反乱軍
「まとめ」1>>45 〜まとめてみました。
「まとめ」2>>59 〜輝さん(空の義父)の話を簡潔にまとめてみました。
∞1幕∞
1章 2章 3章
1話ー>>3 10話ー>>22 20話ー>>49
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∞2幕∞
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『戦争』
13章 14章 15章
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16章 17章
101話ー>>525-526 107話ー>>555-556
102話ー>>532-534 108話ー>>779-780
103話ー>>537
104話ー>>539
105話ー>>543-545
106話ー>>551
☆番外編☆
〜葵〜>>410>>411
『100話突破記念 短編3本立て!』
1「冥界」>>516
2「科学者Xの休日」>>518
3「星の子学園! Ep1」>>521
『バレンタイン企画!』
「少女と少年と約束」>>553>>554
☆読者の皆様☆
*ちり様 *PANDA。様 *黒田奏様
*零十様(虎様) *。・*+みつき*+・。様 *日織様
*ボリーン様 *風様 *書き述べる様
*貴也様 *ああ様 *織原ひな様
*恋音様 *宇莉様 *てるてる522様
*友桃様 *杏様 *ひなた様
*星ファン★様 *王翔様
*山口流様 *あんず様
*アスカ様 *朝倉疾風様
*青龍様 *ARMA3様(書き述べる様)
☆朱雀のオススメ!本紹介☆
第一回〜<秘密>>>222
第二回〜<トワイライト>>>250
第三回〜<灼眼のシャナ>>>281
第四回〜<妖界ナビルナ>>>329
☆人気投票結果発表☆
*第一回>>238
*第二回>>435
スレッド作成日
2010.7.20
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- Re: ☆星の子☆ 皆さんの意見お待ちしております! ( No.498 )
- 日時: 2012/04/14 17:43
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: J85uaMhP)
- 参照: http://ameblo.jp/suzaku-runa/
15章 97話「孤独な強敵」
南軍 空中レオ——
おいおい、何故逃げない?
俺はジオが俺達の力が融合した攻撃を前にして、じっと立っている事に不快感にも似た疑問を持っていた。
執事服のイケメンさんよぉ、格好つけるのは良いが丸焦げになって死んじゃあ面目だって丸潰れだぜ? ほら、逃げられないんじゃ無いか。こんなんで終わっちまうとは期待外れにも程が——
ジオが動く気配も無く俺達の攻撃を受けるのを見て、勝利を確信した時。
俺等は信じられない光景を目の当たりにして、思わず目を見張った。
「「あ?」」
煙が立ち込めていて良く見えないが、そこには確かに立ち続けている男の姿が。
しかしおかしい。煙が立っているという事は、攻撃は当たり爆発したという事なのだ。
では何故、敵は生きている?それも全くバランスを崩さずに。
解ける事の無い疑問が悶々と脳内を巡る。
と、ジオの影が煙から姿を消した。
途端に背から感じる凄まじい殺気。
「!」
俺は素早く後方からの攻撃を避ける。すると、さっきまで自分が立っていた場所目掛け雷が落ちてきた。一瞬遅れ、空から雷電と共に雷特有の音が轟く。
俺は咄嗟に右腕を掴んだ。握った左手に力を込める。
俺が、震えている……
双子の最強戦士と謳われた、この俺が?
「ありえねぇ……」
「俺が無傷な事がか?」
ぽつりと呟くと、自分が落とした稲妻が木々に吸い込まれ爆発する様子を楽しげに見ていたジオが聞き返した。自信に満ちた笑みを浮かべて。
ウルはその反面顔を顰める。鼻を鳴らすが、否定しないところを見るとどうやら何故敵が無傷なのか俺以上に不思議なのだろう。
俺はもう、他の南軍を気にかける余裕が無くなっていた。漆黒の犬も相当厄介なんだろうが、こっちの方がもっと危ない。
「はっ……こんなに強いなんて聞いてねぇぞ、ジジイ?」
俺は悔し紛れに毒づいた。
何だよ、最高執行部隊っていうのはグロさんが付け入る隙も見せないような所だったのか?
俺は未だに動こうとしないジオを見る。そして意を決して口を開いた。
「教えろよ……お前の能力は何だ?」
ジオはす、と目を細めた。そして俺を蔑む様に冷たい瞳で一瞥する。
この台詞は聞き飽きている様な、そんな反応だった。
「あぁ、教えてやるとも。だが、教えたところでお前達の敗北に変わりは無い。」
「何だと?」
ウルが怒りを精一杯押し止めながらも聞き返す。
そんなウルを見て、ジオは感情のこもらない瞳で笑った。
「俺の能力は、そう、永遠なる命。外部からの攻撃に一切干渉せず、空腹などの要らぬ感情が体を満たす事も無い。
そう、俺は死なない。例えこの星が滅び、宇宙の彼方へ飛ばされても!」
俺は露骨に顔を顰めた。ジオの狂った様な高笑いが耳障りだった。
そして何より、突きつけられた今の言葉が全て真実だとは、どうしても信じられなかった。
俺は試しに軽く掌に力を込め、そこで小さく渦を巻く玉をジオに投げつけてみる。
ジオは俺の目的がわかったのか、何も言わずにその場から動かなかった。
その玉は空を滑るように飛んでいき、ジオの胴体へ当たって弾けた。赤みを帯びた光が迸る。
しかしそれも束の間、その光は爆発時の煙たい空気と共にジオの体内に吸い込まれる。
そしてそれと連動するように、先程まであったはずの傷が跡形も無く消えた。
執事服までが新品のように小奇麗に修復されるのを見て、俺とウルは揃って絶句する。
「こんな事、ありえるのか……? ただでさえ強いのに不老不死だって?」
ウルが呟いた。考え込む様に眉間に皺を寄せる。
しかし、そんなに弱気ではいられない。俺達は反乱軍の戦闘指揮官。実際、あのジジイも俺達の戦闘技術は認めてくれている。
そうやって自分を鼓舞し、俺は奮然と言い放った。
「俺達に倒せねぇ敵なんていねぇ!!」
頭上の雷音に負けない位声を張り上げ俺は叫ぶ。
すると黒い犬と戦っていた南軍まで振り返り、今の声が俺だと気付くと頼もしげに笑った。俺の自信に満ちた雄叫びを聞き、南軍の士気が高まったのだろうか。皆押され気味だった筈が、一気に形勢逆転したかの様に見えた。
ウルも満足げに微笑み、目の前の強敵へと再度目を向ける。
しかし、その宣戦布告にジオは恐れることも無く、醒めた瞳で俺を真っ直ぐ見据え笑う。
「はっ、今までだってそう言う強敵と何度も戦った事はある。だが結果は同じさ。皆俺を置いて消えていくんだ。好敵手も、仲間も、家族でさえも!
お前達もどうせ、死ぬんだろう?」
その顔には最早感情なんて存在していなかった。
何を考えているのか窺えない、隙の無い表情。
その表情はまるで仮面のようで。
その姿はただ操られる、からくり人形のようで。
しかしただ一つ、瞳だけは孤独な心を露にしていて。
これが真のジオなんだと、不器用な俺にも納得がいった。
そうか——こいつはずっと、
一人だったんだ。
- Re: ☆星の子☆ 皆さんの意見お待ちしております! ( No.499 )
- 日時: 2012/05/07 06:19
- 名前: 友桃 ◆NsLg9LxcnY (ID: KZXdVVzS)
こんにちはー^^
みんなやはり強敵ですね……!!
ジオなんか特に>< 不老不死っていうのも考えものですよね。周りの人皆先にいっちゃうんですもんね……
最後の二行もすごいぐっときました><
敵キャラがたくさんいるけど、悪者っぽい人もいて、ジオみたいに完全な悪者には思えない人もいて、おもしろすぎる科学者とかもいたりして(笑)、すごいいいなぁっておもいますv
敵キャラにも思い入れが……(笑
あ・あと個人的に風狼軍好きですv 狼すきなんでv← なんかかっこよくてv
続きも楽しみにしてますー♪
あ・てか次久しぶりの光聖くんでしたねっ!!v
たぶん少しくらい久しぶりでも出てきたらすぐに主役の存在感出してくれる子な気がします、光聖くんは^^
また来ます(^^)/ 課題も終わったからまたすぐ来れる、はず……!!
- Re: ☆星の子☆ 皆さんの意見お待ちしております! ( No.500 )
- 日時: 2012/05/08 18:31
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: c1MPgv6i)
- 参照: http://ameblo.jp/suzaku-runa/
@友桃さん
コメントありがとうございます^^
いつも来てくださって嬉しいです><
ジオは強敵です。どうやって倒そうかと頭を悩ませています(ぇ
不老不死は絶対悲しいですよね……! だから私は、あんまり長生きしたくない←
トルがかなりツボな様で嬉しいです♪(笑)
個人的にもリンとトルの絡みは大好きなので、ずっとこれで良いんじゃ無いかという気にもなります(笑)
何より書いてて楽しいv
風狼軍は元々いなかったキャラです^^;
急遽作ったので、完全に後付け(おぃ
気に入ってくれて嬉しいですー!
光聖君……書いたけど結局2ページ足らずで出番終わってしまった∑
完全にリン支持作者だからなぁ(( すごく申し訳ないm(__)m
コメありがとうございます♪
また来てくださいね^^
つか100話記念の話が思いつかないーっ!!
- Re: ☆星の子☆ 久しぶりのヒーローです。 ( No.501 )
- 日時: 2012/05/27 10:50
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: w93.1umH)
- 参照: http://ameblo.jp/suzaku-runa/
15章 98話「ヘンゼルとグレーテル、そして魔女」
東軍 密林 光星——
急に、地が割れるかと思うくらいの爆発音が響いた。その爆発で発生した暴風のせいか、木々の枝や葉がゆらゆらと揺れ僕の不安を煽る。地面も心無しか揺れている気がして、僕は足を止めた。
何故か胸騒ぎがする。ざわざわと不気味に風に吹かれる木々の隙間を見て、無意識に後ろを振り返った僕は、その違和感の正体に気付いた。
「空が……いない……?」
胸が締め付けられたように痛い。止め処なく流れる冷や汗に、背を這い上がるような恐怖の戦慄。それらに負けじと僕はユキに歩み寄った。
紫のベールが顔を覆っているため表情はよく分からないが、彼女の周りには哀愁の雰囲気が漂っていた。
「空は!?」と僕がまくし立てるのに対し、ユキはあくまで冷静に言葉を紡ぐ。
「空さんは今、別次元に飛ばされています。別次元とは……そう、時間さえ干渉できない闇へ。愚かな者です……危険だと、そう言ったのに。」
「……まるでこうなる事が分かっていた様ない言い方だな。」
僕が顔を顰め怪訝そうに言い返すと、ベールの奥からくすりと笑い声が漏れた。
掌の水晶を大切そうに撫でながらユキがか細い声で続ける。
「未来は幾つもに分岐しています。人が行動する選択肢が無数にあるからです。そして私達は今、一つの道を進んでいる途中……その物語の結末がハッピーなのかバッドなのかは誰にも分かりません。」
「え、でもさっき……」
「しかし、その未来には決して定まっている訳ではない、言わば確率があるのも事実です。」
ユキは僕の言葉を遮り、畳み掛けるように言った。最後に、私はその確率が高い未来を見る事が出来る、と付け加えて。
もうこれ以上話す必要は無いと思ったのか、ユキは何も言わずに僕を黙視する。
敵地まで進むのか、空を探すのか。僕が決めろという事だろう。
しかし僕はユキの話を聞いても動くことが出来ずにいた。
別次元に飛ばされてしまった空。敵が望まない限り、見つけ出すのは不可能だろう。
しかし空の無事が分からないまま進むのは心残りがあったし、何より不安だった。
僕は目の前でじっと立っている修道服の女性に再度尋ねる。
「空は……無事戻って来られるかな?」
ユキはまるでその質問が来る事を知っていたかのように、間髪入れず答えた。
「えぇ、きっと。」
- Re: ☆星の子☆ 87話の回想がちょっぴり。 ( No.502 )
- 日時: 2012/05/27 10:52
- 名前: (朱雀*@).゜. ◆Z7bFAH4/cw (ID: w93.1umH)
- 参照: http://ameblo.jp/suzaku-runa/
東軍 空VSムマ——
私は目を瞬かせた。
さっきまでここは森で、目の前には怒り狂った敵がいた筈。
それなのに……
「お菓子……っ!?」
目の前には甘い香りを漂わし、まるで私に手招きをしているようなお菓子の家。
屋根はチョコ、壁は全てビスケットやクッキーで出来ていて、窓の縁はキャンディ、ガラスは水飴を固体にしたらしきもので形作られていた。
私はごくりと唾を飲み込む。
これはムマの罠だと本能は告げているのに、先程から積もっていた疲労を甘い物を食べる事で晴らしたい。そう思う私の欲求が勝っている。
すると、ここぞとばかりにお腹がなった。
「そういえばお昼から何も食べてなかったっけ……」
ふらり、と私は前へ進む。『腹が減っては戦は出来ぬ』その教えに今こそ従うべきだと調子のいい事を考えて。
近づけば近づく程、お菓子の家は魅力的に思えた。かぐわしい芳香が鼻をくすぐり、私を急かす。私はドアノブへ手を伸ばした。
そして取手にようやく手が触れ、それを回したその時。
——そういえばヘンゼルとグレーテルのお話にも、お菓子の家が出てきたっけ——
ふとそんな考えが脳裏を過ぎる。
——確かお菓子の家には、悪い魔女が住んでいたんだよね——
そこまで考えて、私は手を止めた。
この家の中に、何か良からぬものがある……勘だし根拠も無いが、何となくそう感じた。
しかし、気付くのが少し遅かったらしい。
現に私の手はドアノブを回した後で、まさに今、扉に重心を掛けていたところだったのだ。ギィと古い金属が擦れ合う音がする。と同時に冷たい風が耳元を通り抜けていった。背を這うような寒気と不安、その全てが入り混じった感覚に耐えきれなくなり、私は一歩後退する。
すると突如、嗄れた声がした。
『逃げるんじゃない……』
「ひっ!?」
私は飛び上がり小さく悲鳴を漏らす。
そして気が動転してしまったのだろうか。
私は竦む足に鞭を振るい、目の前の家から距離をとる。そして足をもつれさせながら必死に反対方向へと走り出した。
先程までは確かにお菓子の家だった筈なのに。今ではすっかり錆びれた奇妙な廃墟と化している。
どうして? ここは何処——!?
後ろから、こちらへ何かが襲ってくる殺気じみたものを感じる。そしてどんどん近づく、甲高い笑い声。その声は先程と同じように嗄がれていた。
止め処なく流れる汗に、荒い息遣い。しかし足だけは、必死に動かす。
茂みを必死に掻き分けて、森の奥深くまで走った。
そろそろ大丈夫だろうか……?
ひとしきり走ったところで私はやっと止まった。後ろからは先程も気配も感じなかったので、私は大きく深呼吸し気持ちを落ち着かせる。
さっきのあれは、一体何だったの……? まさか本当に魔女が——ううん、そんな筈ない。だって魔女ならばホウキに跨って空を飛んで、一瞬で私を捕まえられるもの。
そうやって自問自答し、空を見上げたその時。
「えっ!?」
私の視界に写ったのは、毛先が乱れた箒に乗って私を追ってくる、魔女の姿だった。深い紫の三角帽子を目深に被っているので顔はよく見えない。しかし大きい鼻の下で唇が不気味に弧を描いたのを見た途端、私はまた全速力で走り出した。
どうして魔女がこんなところに、だなんてもう大した問題じゃ無くなっていた。有り得ない話だが、確かに魔女はここにいる。そして私を追っているのだから。
しかし箒に乗って私を追う老婆から逃げるのは、至難の業に思えた。
空から追跡する魔女が私を見失うはずがないし、その反面私はこの森を全く知らないのだ。それに、私は所詮人間なのだから。
すると世界がぐらりと傾き、
「も……無理っ……」
私の意志とは裏腹に、体が無残にも崩れ落ちる。
私の足が、体力が、限界を訴えたのだった。
もう立つ気力も私には残されていない。ただ足を引きずり、少しずつ退歩するだけ、
魔女の甲高い笑い声が脳天に響く。同時に私は目を瞑った。
その時、脳裏で唐突に浮かび上がる、人影。俗に言うフラッシュバックが、私を襲う。
流れる金髪に、美しい瞳をキラリと光らせ私を見つめる美少年。冷徹な眼差しも今となっては恋しく懐かしい。
『——俺が守る。お前は一人じゃない——』
何故だか右手が冷たくも温もりのある大きな手を覚えた。
私は最後の頼みの綱に縋り付く思いで、彼の名を呼ぶ。
すると魔女の乾いた笑い声が急に、ムマの動揺を隠しきれていない叫びに変わった。
「リンさんっ!!」
「ちょっ、だ、だめっ……!」
辺りを包み込む、目映い閃光——
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