コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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妖怪とチョコレート
日時: 2010/11/08 21:30
名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)

 登場人物の詳細>>8

 ・冬郷 深染/ふゆさと しんじ
 ・文下 奏多/ふみしも かなた
 ・トモキ(???)
 ・小山 餡子/こやま あんこ (ヴィオラさん)オリキャラ>>9
 ・東 伊織/あずま いおり (もぎもぎさん)オリキャラ>>12


 序章「妖怪は鼻にポッキーを突っ込んで笑う」
 >>1 >>2 >>6
 >>7 >>11
 第一章「選択肢を間違ってさえいなければ」
 >>14>>15>>
 >> >>
 第二章「与太話と寝物語」
 >>>> >>
 >> >>



 以下オリキャラのアレ

【名前/読み】/
【性別】
【身長】
【性格】
【容姿】
【言動等/サンプルボイスとか】


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Re: 妖怪とチョコレート オリキャラ募集中!! ( No.13 )
日時: 2010/10/31 20:18
名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=a-oZr0WYcc4&feature=related


 OH! こんな小説にコメントありがとうございますっ!
 オリキャラもホント、大変助かりますっ!

 えと、今日も9時半に更新しますのでよろしくおねがいします!

Re: 妖怪とチョコレート オリキャラ募集中!! ( No.14 )
日時: 2010/11/08 20:33
名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)

「あー、だからね、おれっちは優しい妖精さんなのさ」
「……それ、本当?」
「本当の本当。明日キミのクラスメイトの小山さんに聞いてみるといい。少し口は悪いかもしれないけど、きっと太陽からアンドロメダ星雲くらい遠まわしにおれっちがいい妖精さんだって証明してくれるからっ☆」
「……とても尋常でないほど甚だしく遠まわしなんですね」
「そういう娘だからね」

      1.

 翌日、俺はばったりと小山餡子(こやまあんこ)なる少女と出くわした。
 ——学校で。
「……何か用ですか?」
「え、あ……」
 いや、訊きたいことはたくさんある。
 昨日の付き合ってくれ的な物言いとか、鎖野のことなんで知ってるのだとか、俺に向けてきたあの仰々しい「気」はなんだったのか、なんで髪の毛が紫色なんだとか。

 それ以前に、なぜそんな嫌そうな目で俺を見るんだ、とか。

 昨日あの後、小山はまた明日と逃げるように俺から姿を消したので、いつどうやって会えるんだと疑問だったが、よくよく思い返せば小山餡子とはクラスメイトであり、かつ席も歩いて二、三歩と近い方だった。
 が、昨日とは明らかに様子が違う。
 蔑むように、とは言わないまでもどこか視線が冷たい。
 突き刺さるように、嫌われているかのような無表情。
 そして、あの恐ろしい「気」はまるで感じないという謎。
 別人、だろうか。
 しかし、あの少女も髪の毛が紫な上におかっぱ、いま俺の目の前にいるクラスメイトと寸分違わない顔つきで、もう少しフレンドリーに接してくれていた。
 何より、小山餡子と名乗っていたし……。
「あの……用がないならワタシはこれで——」
「あ、ちょっと待てよ」
「…………。なんですか?」
「昨日さ、会ってない?」
「……何とですか?」
「いや、俺と」
「いいえ。会ってません」
 学校ですれ違った、視界に入ってしまったのなら別ですが。
 そう言って小山は教室から出て行った。昼休みだし、どっかで弁当でも食べるのだろう。


 ——さて。
 本人がああいうのなら本当だろう。残念ながら嘘吐いているようは見えない。
 そもそも、小山みたいな可愛い(見た目が)やつを俺が放っておくわけもなかったか。いつぞや話しかけてものすごく嫌そうだったので極力会話を避けてきたが。
 ならば、昨日の小山を名乗る少女はそっくりさん——いやそれで名前が同じなのは変だから偽者というやつだろう。
 トモキみたいな妖怪がいるくらいだ。化ける妖怪がいても全然不思議じゃない。
 けど。

 やはり、気にかかる。

 その偽者に、鎖野ことを知られていた。
 鎖野は数日前の一件以来、とくに普通の人の見える範囲でおかしなことはしていない。
 ——なぜなら、その異変を影ながらなんとかイズナくんが抑えていたからだ。
 もちろん、実際に何がされたかはいまいちわからないし、俺も付き添っていたのはそんな毎日というほどではないので、その辺も全然わからないが。
「……あー、本当になんなんだ」
 あの妖怪ならなんと、言うのだろう。
 くだらない冗談でも言ってくれるのではないだろうか。
 それで、なんの役にも立たない変な豆知識を添えて、こう言うのだろう。
「あ、先輩」
「言わねえよッ!? あいつたまに俺のことボブって言うんだぜ?」
「……えと、あの」
 人違いだった。
「よぉ、後輩」
「ちょっっと待ってください。何がどう『言わない』んですか? 『あいつ』って誰ですかッ?」
「……あー、それは昔ナメック星で壮絶な戦いを繰り広げたフリ——」
「あんたは超サイヤ人ですかぁ!?」
 こいつのツッコミのキレはイマイチなんだよな……。
 俺は話しかけてきた後輩に目だけ向けて、「何か用か?」と尋ねる。
「あ、いえ。用という用はないんですけど——」

「——なんか知り合いの東(あずま)ってやつが、先輩に会いたいらしいんです」




Re: 妖怪 と チョコレート ( No.15 )
日時: 2010/12/23 21:00
名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)

   *  *  *

 ——どういうことだ……?
 少年、東伊織(あずまいおり)は首を傾げた。
 学校中の皆の目が、据わっている。
 一点を見つめたまま視線が動かない、それが何人も何人も。おぞましいと形容して誰が否定できようか。
 廊下を行く生徒たちの誰一人として、“正常”と言えそうな者はいなかった。
 様子が変といえばそうだが——
「な、なあ、どうした?」
 同級生に話しかけても「……もうすぐ終わる」などと呟くだけ。
 洗脳されたような人々に、伊織はある種の恐怖を抱いていた。
 高慢で怠慢。
 極度のゲーム好き。
 そして普通に人見知り。
 探せば、似たのような人間なぞ五万といよう、そういう人種。
 憎めない顔つき、ということだけでなんとかクラスでは孤立せずにすみ、一応礼儀などには気をつけているせいか特に教師たちに目をつけられることはなかった。
 だからこそ、集団行動から抜け出したいま、どうすればいいのかわからない。
 そんなときだった。
「おーい、お前か? その、アズマとか言うのは」
「……あー」
 背後から声。
 何やら“まだまとも”な人に絡まれたようである。
 伊織は心中で「めんどくさいな」と悪態を吐きつつ、初対面ではあまり不快にさせない、いわゆる営業スマイルで振り返った。
「はい、そうですけど何か?」
「えぁ、いや何かっつか、お前の知り合いのサトウだかヤマダだかスズキだか、そんなやつにな、お前が俺に会いたい、とか言ってな……もわけわかんね」
「それはこっちもですよ」
 サトウ? ヤマダ? スズキ? そんなどこにいても全然不思議じゃない名前を挙げられてもな……。
 伊織はわけがわからなかった。
 目の前の人——上履きを見るとどうやら上級生のようである——は中肉中背、いや背は少しばかり高いようである。
 顔はどことなく柔和な印象を受けるが、表情で焦りが覗えた。
「だったら別にいいんだ。じゃな——」
 そう言って、その人は駆け足でどこかへ行ってしまった。


 さて。
 しばらくして昼休みも終わり、午後の授業が始まった。
 そして、教室はどうにも——
 伊織以外、世界の終わりと言わんばかりに目が据わっていた。

 ——なんだ、これ……。

 首の備え付けヘッドフォンからは、兄に貸してもらった某ゲームのファミコン音源曲がむなしく鳴っていた。

Re: 妖怪とチョコレート ( No.16 )
日時: 2011/03/27 23:04
名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)


 うにー、随分古いけどまた書き始めるよこれー

Re: 妖怪とチョコレート ( No.17 )
日時: 2011/03/27 23:11
名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)

          *


 そこは電気屋だかスーパーマーケットだかの、やけに広い駐車場。
 電気屋だかスーパーマーケットから離れているせいか、車が止まってるとこを俺は見たことがない。
 けど、黒い馬鹿がいるとこなら何度も見てる。正直呆れるくらいに。
 そして、これはその黒い馬鹿に馬鹿と言われた、嫌なできごとだ——。


「いやぁー、キミは馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、まさかここまで馬鹿だとはねぇ」
 妖怪風情が偉そうに……。
 俺は睨みつけたが、そいつは動じずに自らの拳ほどはあろうシュークリームを丸呑みした。
「ま、契約は契約だ。ちゃんと代償も支払ったし、ま今回はオッケーということにしてやる。——ところでシンジくん」
「なんだよ?」
「キミにアスカ、またはレイなんて名前の友達いない?」
「いねえよ」

 ——俺、冬郷深染(ふゆさとしんじ)は妖怪の知り合いがいる。
 その妖怪の名はトモキ。出会い頭「おれっちは本を食べたりする妖怪じゃねえからな」というわけのわからない自己紹介をしてきた変態……の妖怪だ。
 これは俺の自論だったんだが、妖怪ってのは実態のないものだと思ってた。壁すり抜けられたりしそうだと思ったから。あ、いやそれは幽霊なのか?
 とりあえず、この自称トモキなる妖怪には実態がある。そしてケーキとかシュークリームとか、チョコレートとかクッキーとか飴とか菓子パンとか、とりあえず甘いものが好きらしい。それらを食う。——ということで、実態があると仮定した。……たまにわけなくぶん殴ってくるし。
 そんなことより、さて先ほど俺が食わしてやったシュークリーム。あれは餌付かせてるわけではない……といえなくもない。
 妖怪——トモキは大抵のことは知っている。自称情報屋、とのこと。その内新宿や池袋にも行ってみたいとかほざいていたか。
 まあ、さっきのシュークリームは、そのための情報料というか、とりあえずそんなものだ。
 その他いろいろと元ネタがあるらしいことが好きで、要するにオタク。
 オタク妖怪。
 汗をかかないのか、汚れないのか、もともと変わらないようになっているのか、いっつも黒いパーカーに黒いズボン、黒い靴に黒いイヤフォンで大抵アニメソングを聴いている。
 ほんでもって、いつぞやヘンテコパワーに目覚める寸前のやつを失神させて「おれっちが主人公だぜいぇい」などとふざけたこと抜かすアホだ。
 日々チート的なことに関してだけ、頼ってる俺の言えたことじゃないが。

「——んで、何が知りたいんだっけ? シンさんや」
 と、ここでトモキがシリアスムードで話しかけてきた。
 俺は即座に、こんなやつにシュークリーム代五百円を費やした目的を思い出す。
「……鎖野、鎖野巧夢(さのたくむ)についてだ。血液型とか年齢とか性格とかは省いて、できるだけ詳しく。つか、最近のやつの変化について、だ」
「別にいいけど……そいつ男、だよね? まさか、シンさんそっち系に目覚めたりとか……。ちょっと三十光年くらい離れて」
「別の星に移住しろってか!?」
「ジョークジョーク、いくらカミサマでもホモとかゲイは怖いのさ」
 ……妖怪の分際で偏見や差別をするか。色眼鏡野郎ならともかく、意外だな。
 つか、妖怪のくせに神だと? 図々しいにもほどがあるぜ、全く。
「えと、サノタクムね。……サノタムク……サノタムク……」
 途中からサノタクムざなくてサノタムクになっとる……。
 トモキは宙を見ながら、まるで俺には見えてない何かを見るようにその言葉を繰り返した。
「あ、シンさんと同じ学校に通ってるやつだね。最近小遣いが入ってぽいよ?」
「そんなこたぁどうだっていいんだよ!? 小遣い? 知るか! なんでそんなことを確認するために妖怪に頼んなきゃいけねーんだよ!?」
「え? だって好きな人の——なことに——で——をしたとこを——するために情報料払ってくれる人いるよ? キミより付き合い長くてね、常連てやつ?」
「どーでもいいわ! つか何? 他にもてめえみたいな妖怪に頼るアホがいるってか? お笑い種だな、クソッ」
「お笑い種なら笑いなよ」
「死ね」
「無理」
 まあ冗談はそこら辺に置いといて、と妖怪が手で制す。
「——鎖野巧夢、キミのいっこ下でガンオタ。背が低めで詩的なこと言うがいつも的外れて変わってる。妹がいて——そして、よくコミケとか行ってる」
「うんそれで?」
 それがどうかしたのかこの妖怪……ッ!?
 俺は肉親を殺した仇でもあるみたいにトモキを睨む。
「で、多分こっからがキミの知りたいことだと思う。——そして、これはキミは知らなくていい事実だと思う」
 どうする、聞いちゃうかい深染くん?
 妖怪はニヤけつつ尋ねる。詐欺師でも相手にしてるほどの危ない綱渡り気分だ。
 ——知らなくていい事実。
 大人の詭弁。
 隠したい何か。
 嘘を口にしない騙し。
 私はあなたのことを思って言ってるのよ、みたいな?
 そーかいそーかい——ふざけるな。
 知らなくていい事実なんてのは、知って後悔してから理解するんだよ。——それが、悲しいことだってな。
 俺は決心して、言った。
「シュークリーム返せ……」
「やだ。——ってゆうことは知りたいわけね、別に構わないよ」
 気持ち悪いほどにっこりと、妖怪は笑った。
「彼、鎖野くんはね——」


「契約違反者だ」
 別にお金関係のことじゃないけどね、と妖怪がこれ見よがしにニヤついた——。


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