コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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日時: 2011/02/15 22:05
名前: No Ink Ballpoint (ID: S20ikyRd)

初めまして。
No Ink Ballpointという者です。
文章能力向上の為に、苦手な恋愛小説を頑張って執筆しようと思います。
このジャンルに関しては全くの無知で、初心者ですので、是非とも、痛烈な批評、アドバイスを戴ければと思います。
未熟な身ですが、どうかよろしくお願いします。

Episode1

Part1 蒼穹、紅く燃えゆ─The First Part─ >>1
Part2 五年後の僕の現在─Every Day─ >>2
Part3 煩悩─Passion─ >>4
Part4 この感情の正体─Unknown─ >>6
Part5 僕の恋路の応援団─Advisers─ >>12
Part6 我が家の晩餐─Dinner─ >>14
Part7 記憶─Past─ >>15

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Re: 蒼穹、紅く燃えゆ ( No.1 )
日時: 2010/12/17 19:40
名前: No Ink Ballpoint (ID: uUme72ux)

蒼穹、紅く燃えゆ Episode1

Part1 蒼穹、紅く燃えゆ─The First Part─

五年前。
僕は”世界の終わり”を見た。
焔に抱擁される世界は、世界の終焉と呼ぶに相応しい。
僕は傷だらけの身体を、大地へと寝かせていた。
周りは紅蓮の焔に包まれ、耳に聞こえるのは何かが焼ける音と、阿鼻叫喚の叫びだけ。

ああ…、僕は死ぬんだな…。

意識が遠退いて行く。
身体に感じる痛みも徐々に薄れて行った。

これが、”死”なのか…。

このまま意識が消えれば、僕は何処へ往く…?
天国…?
それとも、地獄だろうか…?
でも、答は出なかった。

何故なら、僕は答を導き出す時間も無く、意識を失ったからだ。

…。
……。
………。
……………?

ふと、浮遊感を感じた僕は意識を覚醒させた。
閉ざされていた瞳が開き、その先に見えたのは、女性の顔。
整った綺麗な顔立ちに、焔すら霞ませるほどの美しさを見せる紅色の長髪。
こういう人こそ、美人、と呼ぶに相応しいのだろう。
僕は、その女性に傷だらけの身体を抱き上げられていた。
彼女は、何処か憂いを帯びた哀しげな表情に、微笑を湛え、

「良かった。貴方を救えて…」

その瞳から涙を零して、そう言った。
其処で、僕の意識は再び闇に消える。
最後に僕が覚えているのは、紅色の髪の女性、そして。

紅く燃える蒼穹だけだった。

Re: 蒼穹、紅く燃えゆ ( No.2 )
日時: 2010/12/17 21:27
名前: No Ink Ballpoint (ID: uUme72ux)

Part2 五年後の僕の現在─Every Day─

夏は酷く億劫だ。
燦々と陽光が照らす通学路を、妹の車椅子を押しながら移動する鴉間 翔は疲れた表情で呟いた。
暑いのが苦手な彼からすれば、夏は最も億劫な、憂鬱な気分になる季節である。
特に、この日は猛暑と言っても過言では無い暑さで、翔の気分は酷く沈んでいた。

「…夏は僕の天敵だ」

無慈悲に陽光で大地を照らす蒼穹へ、彼は睨みを効かせてみる。
この猛暑に対し、特に何かできる訳では無い、無力な人間の、実に無力な抵抗だ。
そんな彼の耳に、聞き慣れた声が届く。

「暑いねー」

妙な安心感を与えてくれる間延びした声。
その声の音源は、車椅子に乗っている人物からだった。
綺麗な黒髪の上から、防暑用の麦藁帽子を被った、非常に小柄な体型の少女。
人形を連想させる可憐な顔立ちに、喜悦の微笑を湛えた彼女は、翔の妹の鴉間 志織だ。
彼女は猛暑に苦しんでいる兄に対し、

「ちょっと休憩する?」

と、述べた。
相変わらず間延びした暢気な声だが、彼女なりに兄への配慮をしてくれているのだ。
だが、翔は彼女の配慮に首を横に振ると、変わらず車椅子を押し続けた。

「その提案は素敵だけど、休んでたら学校に遅れるだろ?」

「あ、そっか」

現在の時刻は、翔と志織の通っている中等学校の登校時間に当たっている。
このまま休憩を挟まずに歩けば学校の登校時間には間に合う。
が、逆を述べれば、このまま彼女の提案に従っていれば登校時間には間に合わない訳で。
結果、休憩という魅力に溢れた提案を蹴ってでも、前に進まなければならない。

「うーん。兄様、熱射病で倒れないでねー?」

志織の心配を含んだ言葉に、翔は適当に頷くと、前に前に進んでいく。
家から学校までの距離は遠くないのだが、この猛暑である。
ただでさえ、暑さに対する耐性が並の人より低いのに、神様は何たる試練を与えてくれるのか。
冗談を抜いて、これは倒れるかも知れない。
だが、

(ああ…、ダメだぞ、鴉間 翔。妹の前でぶっ倒れるなんて絶対に嫌だからな。倒れるなら、志織をクラスに届けてからだ…!!)

せめて、両脚が不自由な妹をクラスに届けてから。
そんな義務を己に架して、翔は邁進する。
住宅地を抜け、進路に立ち塞がった坂を越え、ギチギチと歯を噛み締めながら。
前へ、前へ。

「頑張ってー、兄様ー」

鬼の形相で車椅子を押し続ける翔の耳に聞こえたのは、相変わらず間延びした暢気な声だった。
灼熱の陽光が降り注ぐ中、翔は妹の為に前へ突き進む。

Re: 蒼穹、紅く燃えゆ アドバイス募集中 ( No.3 )
日時: 2010/12/17 23:02
名前: No Ink Ballpoint (ID: uUme72ux)

今日は此処までで。
執筆と更新は明日に行います。
ご覧になってくれた読者様方、ありがとうございます。

Re: 蒼穹、紅く燃えゆ アドバイス募集中 ( No.4 )
日時: 2010/12/18 12:10
名前: No Ink Ballpoint (ID: uUme72ux)

Part3 煩悩─Passion─

志織をクラスへ送った後、翔は暑さによるダメージでふらふらの脚を動かして、何とか教室まで到達した。
彼が所属するクラス、二年A組の教室に。
この日だけは、彼は自分が窓側の席である事を深く呪った。
腰を据えた座席付属の木製椅子に座った刹那、窓から燦々と降り注ぐ灼熱の陽光。

(…何の試練だよ、これ)

暑さに対する耐性が無いに等しいのに、神はこんな悪戯を仕掛けてくる訳で。
とりあえず、雨乞いでもするか、と灼熱の陽光にやられた頭で妙な事を考えた彼が腰を上げた瞬間だった。

「おはよう、鴉間」

その声が耳に入った瞬間だった。
鴉間 翔は心臓が飛び出るのではないかと思ったくらい驚き、声の主に視線を向ける。
視線は、窓際である彼の席の隣にある席に向いた。
其処に、声の主はいる。

「あ…。お、おはよう、咲原」

彼は、視線が隣の席に座っている少女を映した瞬間、頬が紅潮するのを確かに感じた。
心臓は高鳴って、口で言葉を紡ぐのも難しくなる。
その視線が捉える少女は、実に可憐な美少女だった。
繊細に造られた彫刻にも負けず劣らない綺麗な顔立ちに、彼女の美麗さを一層引き立てている紅色の髪。
咲原 廉那、それが彼女の名前だ。

「妙に暑いね、今日は。猛暑って奴かな?」

「う、うん。た、多分、そうじゃないかな?」

ふーッ、と息を吐いて、額に滲んだ汗を拭う。
彼女のそれだけの挙動が妙に美しく見えてしまう。

「それじゃ、鴉間。また後でね」

微笑を湛え、翔に手を振った彼女は、友達の所へ去って行く。
特に会話が弾んだ訳では無いが、有意義な時間だった、と彼は感じていた。
去って行く彼女の背中を視線で追った後、彼は窓側を向いて、ぼんやりと灼熱の陽光を注ぐ蒼空に視線を変える。

(あぁ…、今回も僕からは話に行けなかった…)

残ったのは後悔。
彼女との会話は、有意義で、とても幸せだった。
だが、それでは駄目なのだ。
これでは、どれだけ時が経とうとも、彼女に告げる事はできない。

(僕の”想い”を)

そんな事を考えながら、彼は溜息を吐いて、蒼空を眺めていた。
快晴の蒼空から窓を通して降り注ぐ、灼熱の陽光を浴びながら。
何処か憂鬱そうな表情で、ただ一人の少女の事を考えて。


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