コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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くだらない為、無題!〜更新お休み中〜
日時: 2011/10/25 22:47
名前: 仁都 (ID: qcI1n3YR)

(名前募集をしています。詳しくはお知らせより)








見てくださった方、これから見てやるかっという方、
ありがとうございます!!

というか、覗いてくださっただけでも本当にありがたいことです!

こうして書いてみるのは初めての事なので、これからどうなって行くのか自分自身も全く予想がつきません・・・
が!今回は面白可笑しく、笑って読んで頂けるものがかけたらいいなと思っていますw

まだまだ未熟者なのですが、読んで頂けると感謝感激ですっ


一応ですが、「くだらない為、無題!」というのが、この小説の題です!
まあ、くだらないのは本当かもしれませんが・・・(汗




※初心者なので、皆様のアドバイスを是非お聞きしたいです!
もしよろしければコメくださると嬉しいですw←
念のため、荒らしや他の方々の迷惑になる行為はご遠慮ください



★Special Thanks
(書くにあたって改善点などご協力・ご指摘頂いた方々ですw)

羽斗様◎書く上での基本から学ばせていただきましたっ
ゲスト461様◎作品への心構え等々、書きはじめた頃にお世話になりましたっ
桜野兎姫様◎お名前提供(>>30)と漢字のミスのご指摘いただきましたっ
瑚雲様◎鑑定していただきましたっ! 仁都にとって初めての鑑定ですw
棋理様◎鑑定していただきましたっ! 作品を読ませていただいた事もあるんです〜
楓様◎鑑定していただきましたっ! とっても為になりますっ
風様◎鑑定していただきましたっ! この方は神様です、ほんと!
maro様◎凄くお優しい方ですっ! 小説も絵も音楽も手がけられるスペシャリストです〜

★お客様
(とっても心の広い方々・・・!)

桜野兎姫様・かりん様・杏様・maro様


—目次—

☆プロローグ >>1

☆第1話「入部式」Part1>>2 Part2>>3 Part3>>4 
         Part4>>5

☆第2話「childrenのthreat」Part1>>6 Part2>>7 
             Part3>>8 Part4>>21
             Part5>>23 Part6>>26
             Part7>>28

☆番外編 「若き日の、大人な自分」>>33


☆ネタ切れという名の人物紹介(これも更新する予定です)
No1 倉沢雅>>25(最終更新4/17)
No2 上条真野>>27(最終更新4/28)



以下、ゆっくりですが更新していく予定です!


★イラストッ!!
maro様に書いていただきました(冬真&主人公)>>37



★お知らせ
参照100回のお礼>>24
名前募集について>>29
参照200回のお礼>>32
参照300回のお礼(ご紹介アリっ)>>34
参照400回のお礼>>38
お休みのお知らせ>>39

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Re: くだらない為、無題! ( No.5 )
日時: 2011/07/05 22:35
名前: 仁都 (ID: qcI1n3YR)

第1話 「入部式」 Part4


 なに、これ......

 丸眼鏡の女生徒のとりだした「それ」は、大きさが私のー私の身長は女子高校生の平均くらいだけどー腰あたりまではあろうかという巨大な紙製の円錐だった。
 巨大な「それ」にはおよそ小さすぎる星やらハートやらのシールがこれでもかというくらいに貼られいて、ごちゃごちゃしすぎてるな、なんて思ってしまう。

「どうどう? こういうおめでたいときのために用意しておいた、自家製巨大クラッカーだよん!」

 小柄な彼女がかかえていると、更に大きさが増したように錯覚させる。

「自家製ってそれ......危ないんじゃねえの?」

 今朝の迷惑男もさすがに心配になったみたい。
 私もそれには大賛成。

「大丈夫だよー。あ、雅くん、これ持ってて。私が紐ひっぱるからね!」

 と、さっきの綺麗な人に(彼女曰く)クラッカー(らしいもの)を持たせる。
 そして、彼女がひっぱると宣言した「紐」、いや、紐という言葉とはほど遠い、棒のようなものを掲げた。

「では、コホン。新入部員を迎えられた感謝を込めてーー......!」

 バンッ!!



 ......目を開けると、黒く焦げた紙くずが宙を舞っていた。
 彼女はといえば、

「あれ、おっかしーなぁ。もっと綺麗なはずだったのに」

 大きな目をまた大きく開いて不思議そうにしていた。

 焦げたのが紙吹雪(?)だけでよかった......

 他の部員らしき人たちは、それぞれに紙くずをみつめるだけだった。

「まあ、いっか! さて、新入部員のみなさん。あらためてようこそー!
ああ、まずは部員紹介からだよね? じゃあ部長からどうぞ!」

 彼女に指名された、部長らしき綺麗な人は、またもや単調な声で自己紹介をしてくれた。

「3年、倉沢雅。一応この部の部長らしい。」

 らしい、って、先輩。
 もしかして、まさかと思うけどこの人って、俗にいう「天然」ですか?

「雅くんは立派な部長だよー。で、私は3年、副部長の上条真野でーす!
えっと次、ケンカ上等、ヤンキー冬真! リズム崩さないでよ?」

 例のあいつだ......
 さっきから黙りこくっちゃってるけど、今朝の恨みは忘れないからね!
 ーーいや、あっちも忘れてないだろうけど。

「変な紹介すんなよ。......2年の冬真沙凪斗。」

 なぜか分からないけど、副部長には逆らえないようで渋々、と言った感じで自己紹介をされた。
 なんなのよ、この態度!
 だらしなく椅子にすわってこっちを睨んでくる冬真にまた腹が立ってきた。

「ここにいる部員のあいさつが済んだところで、新入部員さんの紹介をお願いしようかな? ......じゃあまず、そこの眼鏡君! おそろいだよねっ」
「え、え? 僕ですか!?」
「ああ、おまえだ」
「ええっと、あの......い、1年の、素乃太郎、ですっ......」

 気の小さそうな小柄の素乃くんは、はなで笑う冬真を前に、「ひい」と小さく言ってまた縮まってしまった。

「うんうん、よろしくねっ! さて、次はそこの可愛い子!」

 可愛いなんて、可愛い先輩に言われると余計に恥ずかしいんだけど......
 なんて、考えてる場合じゃなかった!

 私は自己紹介とともに、此処へ来た理由も簡単に説明した。
 その間中、突き刺さるような約1名の視線に心が折れそうだったけど、この際気にしない!!

「ーーというわけで、ここが何部なのか知りたいんですけど......」
「ふむ、此処は何をする部か、か。俺もその答えが知りたいな。」
「そうだよねー。それが分かれば退屈しないのになぁ。」
「え?」

 分からない?
 この部に所属してる彼らが?

「だから」

 それまで黙っていた冬真が、しびれを切らしたように口を開く。

「此処は他の部活になんの興味もない奴らが入る部なんだよ。いうなら、ただの暇つぶし場所だ。名前なんてもんはない」

 はあ......
 なんとなく読めて来た。
 つまり、此処にいるみんなはあたしと同じような人達なわけだ。

「でも、よくそんな部が作れましたね」
「結構簡単なんだよー? この学校、部活動を推進してるから」
「でも、名前もない部なんて」
「......名前なんかより、その中身が重要だ」

 なるほど。
 さすが倉沢先輩、見た目のように美しい事をおっしゃいます。

 名前より中身、かぁ。
 確かにね。
 此処なら私、なにか見つけられるのかな......?

「と、いってみたら簡単に許可がおりた」

 ......前言撤回。
 ああ、私、上手くやって行けるのかな......

 その日の入部式は、無駄に不安を押し付けて終了しましたーー

Re: くだらない為、無題! ( No.6 )
日時: 2011/07/08 21:30
名前: 仁都 (ID: qcI1n3YR)

第2話 「chiidrenのthreat」 Part1


 放課後——
 野球部やサッカー部の張り上げる、威勢のいい声を聞きながら、私はそこより奥まった場所に足を運んでいた。
 そこには小さな小屋、学校曰く「別館・特別授業用室」がそびえ立っている。
 いや、「そびえ立つ」というのは雰囲気ばかりの話で、実際のところはうす気味の悪い、ただのおんぼろ小屋にすぎないのだけれど。

 そこへ初めて足を踏み入れたのは、もう1週間ほど前の事。
 今でも、夕方に別館をでる時には、すこしぞくりとしてしまう。
 私はそれほど恐がりではないつもりだけど、人気のないあの雰囲気はさすがに堪え難いものがあった。
 そのせいか、人一倍怖がりな素乃くんは、いつも私たちより一足はやく帰っていた。


 話は変わるけれど、前述からも分かるように、いまのところ私は あの変な、名前もない部をやめてはいない。
 たいした理由はないけれど、副部長が断固として私たちをやめさせまいとしている事と、他に行くあてがないことの二つが私を食い止めている。

「部活として成り立たせる為には、最低3人の部員が必要なんだよね! でね、来年私たちがやめちゃった時、君達2人がいないと潰れちゃうじゃない?
今の2年生部員は、そこの冬真だけだからさぁ」

 悪気はないんだろうけど、あの笑顔をむけられると、どんな人間でも断りづらい。
 ……いやいや、断るつもりなんてないんだけどね?

 なんだかんだ言っているうちに、例の別館に着いた。
 何もすることなんてないんだけど、放課後は部活にいくのが規則だし。
 今日は何をしよう……

「こんにちはー」

 なんとなく挨拶なんてしながら扉をあけると、そこには私以外の4人の部員がそろっていた。
 ある人はニコニコとこちらに手を振り、
 ある人は私に少し会釈をかえし、
 ある人は見向きもせずにため息をついて、
 またある人は、ドアが開いた瞬間にびくっとして、不安そうにしていた。

 どれが誰かなんていわないけど、3番目の人、礼儀を学んだ方がいいんじゃないの?

 さてさて、何をしましょうか。
 まだ放課後は沢山のこっているのに、やることがない。
 目的なんてない部だから、当然といえば当然だけど、暇なんだよねー。
 いままでやって来た事をしようにしても、
 この1週間のどの日も、結局そうして過ごして来たわけで。

「暇ぁー……イカでいイカ?」

 退屈でしようがないのか、ぽつりと上条先輩が言った。

「イカん」
「冬真がイカった」

 ……何ですか、この変なリズムは。
 ていうか、冬真がこういうことに乗ってるなんて、すごい意外なんですけど。

「ダジャレしりとりだよー」

 疑問が顔に出ていたのか、はたまた心の中を読んだのか、いずれにしろ、上条先輩が私に説明してくれた。
 ……くだらない、本当に、心のそこからくだらないよこれ、先輩。

「でも、しりをとってないですよね」
「………」

 一同、沈黙。
 え、まさかつっこんじゃいけないトコでしたか?

「つまんねーこと言い出すんじゃねえよ」

 う……
 なんか知らないけど怒られた。
 なんでよっ!?
 イカん、イカん、これじゃあいつに負けたみたいじゃない。
 ……って! 私まではいってどうする!?
 はあ……いかんせん、いくところがないしなぁ。
 ………もうっ

「うーん、それにしても退屈だねぇ。あ、これなんてどう?」
「先輩、それ……」
「うん、この間の失敗をいかして、今度は普通サイズでつくったんだよー!」

 またしてもカラフルなクラッカーでした。
 追記しておくと、サイズは普通のね。

「まあ、景気付けに一発パンっと……それ!」

 パンッ

 自家製らしいけど、今度は正常な、クラッカーらしい音が響いた。
 少し安心——
 を、していたら、それに続くように「きゃあっ!!」という悲鳴。
 ついでに、窓の外から棒のようなものが飛んで来てーー

 ガシャーン——!

 あぁ……

「窓、割れちゃったね……」

 上条先輩が現状を解説してくださいました。

 もう、一体なんなのっ!?

Re: くだらない為、無題! ( No.7 )
日時: 2011/07/08 21:37
名前: 仁都 (ID: qcI1n3YR)

第2話 「childrenのthreat」 Part2


 飛んで来た物体を、倉沢先輩が持ち上げてみると、それは——

「ほうき……?」

 ごく普通の竹箒だった。

「なんでほうきなんかが——」
「これは、あの子かなぁ」
「ったく、またあいつかよ……」

 私と素乃くんを除く部員はみんなそれに見覚えがあるようで、苦笑あるいは迷惑顔など、個々にリアクションをとっている。
 素乃くんはもちろん、いつもの不安顔でキョロキョロ、だけど。
 私はといえば、そんな場合にする表情や言葉の持ち合わせなんてないものだから、ただ成り行きを見ているしかない。
 これは何か聞くべきか、なんて思ったところで、別館の古くさい扉が大きく開かれた。

「みなさん、ご無事ですかっ!?」

 扉を開いたその女生徒は、慌てたように大声を張り上げてそう言った。

 でも、私が彼女に抱いた第一印象は、「綺麗」というその言葉だった。
 それこそ、倉沢先輩と並ぶくらいに。

 背中に流れる艶やかな黒髪。
 あんなに大きな音をたててドアをあけたとは思えないほどに細く、長い指。
 制服からのぞく肌は色白で、一見すればひ弱そうなのに、よく見るとしっかり筋肉がついているようで。
 「健康的な美しさ」というものを完璧に兼ね備えた彼女は10人中10人の目を奪うことなんて容易だろう。

 しかし彼女は、私のそんな羨望の眼差しなどには気付く様子もなく慌ただしく言葉をつなげた。

「あの、そこの花壇をお手入れしていたら大きな音が聞こえて——……!!」
「いやいや、大丈夫だよー」

 一向に落ち着きを見せない彼女に対し、上条先輩はまったりとそう言う。

「この部屋ん中みれば分かるだろ。なんもねえよ」

 冬真も面倒くさそうに続いた。

「え、え、あ——……あ、はい。そうみたいですね、よかった……。て、冬真くん、先輩には敬語、ですよ! いつも言ってるじゃないですか」
「んなことより窓みろって、窓。……あっちのがよっぽど大変だろ」
「窓……? あ、ああーっ! 私ですか!? ご、ごめんなさいっ! ごめんなさいぃ!!」

 なんかこの人、色々すごいなぁ……。

「まあまあ、落ち着いて未花ちゃん。新入部員諸君にも紹介しなくっちゃ!」
「新入……あ、1年生のですか? よかったですね、真野ちゃん!」

 そこで初めて「未花」先輩は笑顔になった。
 に、しても——
 やっぱりこの人、美人だ、と私は思う。
 笑顔になると、とたんにまわりの雰囲気まで明るくなる。
 私や素乃くんの入部が原因みたいだけど、この笑顔を見られるなら入部してよかったかも、なんて無意識に思ってしまうのが不思議だ。

「えーと、この子は此処の部員じゃないんだけど、簡単に紹介しておくねっ!
私の友達の未花ちゃんでーす! 部活は園芸部、ちなみに部長で、担当がこの別館の窓の外の花壇。だからこれからもちょこちょこ見かけるかもね!」

 あ、この人だったんだ、あの花壇手入れしてたの。
 それにしても、几帳面なんだなぁ。

「それでもって、この通り心配屋さんなのっ。まあ、そこが可愛いんだけどねぇ。」
「ちょ、真野ちゃん! やめてくださいよーっ」

 未花先輩は照れたように否定したけど、どうも本当らしい。
 さっきの一件で十分すぎるほどに分かってしまいますよ……。

 すると未花先輩は、またいきなり申し訳なさそうな顔になり、

「それよりも窓……すみませんでした! 今から先生のところに報告して、私が弁償しますから!しばらく不便なのは本当に申し訳ないんですが——……」
「いいよ、いいよ。こっちこそごめんねぇ、びっくりさせて。それに……弁償は私たちでがするよ!」
「ええっ!? いいんですか? わたしが割ってしまったのに——」
「ううん、もとはといえばこっちの責任だし」
「おい、勝手にきめんなよ。俺は金なんてねえから」

 なんでそういう風に人の善意を踏みにじるのよ!
 と、いいたいところだけど、私も正直持ち合わせがない。
 どっちに着くべきか、と、私の中の天使と悪魔が格闘試合を始めた時、倉沢先輩が口を開いた。

「金なら俺がだす。それならいいだろう?」

 ええ、なんという善人!
 いや、もしかしてお金持ちだったりして?
 うん、この先輩なら十分にあり得る。

「だめだめ! ひとりに任せるなんてできないよ。」
「あの、私は……」
「未花ちゃんは気にしないで? 部長さんが他の部の事に気を回してたら、園芸部の子も大変だもん。ね?」

 上条先輩、何気にうまくフォローしてる……。
 なんか感動かも。
 そうだ、私だってお金の事気になんてしてられない!

「あの、私も協力します」
「おお、さすが未来のエース! 我らが期待の星っ!」

 さすがにそれは褒め過ぎですよ。

「だから、冬真も協力してよね」
「なんで俺なんだよ。つーか呼び捨てしてんじゃねえ」

 無視無視。
 この場は挑発してでも協力させるんだから!

 その時、校内放送が流れてこう告げた。

——園芸部部員の生徒は、次回の高校園芸大会について打ち合わせを行いますので、職員室前に集合してください——

「あ、私行かなきゃ。……けど、本当にいいんですか、みなさん……」
「もちのろんだよ! さあ部長は行った行ったぁ!」
「あ、で、では。本当にごめんなさい」

 そういうと、後ろ髪を引かれるのか、ちらちらと振り返りながら未花先輩は職員室に向かった。
 それを確認すると、私はおずおすと不安を告げた。

「すみません、あんなこと言った割に、私あんまりお金ってないんですけど……」

 言いたくないけど言わないとどうしようもない。
 すると他の部員は

「わたしもないよんっ」
「ぼ、僕も……すみません……」

 ——え?
 上条先輩、自信ありげに弁償するって言ってたけど……

「じゃあ、どうするんですか?」
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました!」

 わざとらしく一呼吸おいて、先輩はこう言った。

「みんなでバイトをします!!」

Re: くだらない為、無題! ( No.8 )
日時: 2011/07/08 21:42
名前: 仁都 (ID: qcI1n3YR)

第2話 「childrenのthreat」 Part3


「バイト、ですか」

 なるほど、確かにお金を稼ぐ為にはそれしかない。

「うん! 暇でやる事ないんだし、社会勉強になるし、一石二鳥でしょっ」

 二つ目の理由って、とってつけたような感じがするんだけど、あえて今はスルーしておこう、うん。

「待てよ。俺はバイトなんかしねえ」

 出た!
 冬真の俺様・我が儘虫!!

「ダメだよー。だって募集人員5人のそろわないとできないんだもん」
「え、なにするか決まってるんですか?」
「うふふ、コレだよ、コレ!」

 といって上条先輩が、ストラップのついた自分の鞄から取り出したのは、1枚のプリント。
 私と倉沢先輩、素乃くんの3人は、A4サイズの大して大きくもないそのプリントを覗き込んだ。
 いちばん上には『おほしさま幼稚園』という大きな字と、白黒印刷の星のマークがいくつか躍っている。

「『おほしさま幼稚園』? なんですか、これ」
「あのね、話すと長くなるんだけど——」

 前置きして語り出した上条先輩の話はまとまっておらず、その言葉通りに長くなったので、私が代弁しておこうと思う。

 先輩にはお姉さんがいて、その人にはすでに子どもがいるそうだ。
 早婚だったお姉さんは、周りのお母さんのように器用になんでもできるわけがなく、困っていたという。
 そんな時に彼女が子供を入園させたのが、この幼稚園。
 夜にお泊まり保育なんかもしている親切な幼稚園で先生もいい人達ばかり。
 困った事があると、幼稚園以外のところの事でも相談に乗ってくれ、大いに助かっていたそうだ。
 先輩のお姉さんの子——、いわゆる、先輩の姪にあたる子は卒園してしまったらしいけれど、その頃の縁が今も続いているそうで、今に至るという。

「——でね、その幼稚園が春のお泊まり会の手伝いをしてくれるバイトを募集してるんだって!」
「それがお姉さんから先輩に伝わって来たわけですか」
「しょーゆーコト!」
「しかし、なんで5人そろってでないといけいないんだ? 別に募集しても変わらない気もするけどな」
「ああ、それはね、幼稚園児の事で先生たちは手一杯で、バイトの方まで余り手が回らないらしくてさ。ついでにお泊まり会だし、気心のしれたバイトがまとめて来てくれたら助かるーっ!ていう感じなんだってっ」

 「気心のしれた」というところで、明らかに素乃くんは不安そうになった。
 それを察知したのか、それまで我関せずとばかりに黙ってそっぽを向いていた冬真が疑問の声をあげた。

「気心しれた5人もなにも、俺らは会って1週間かそこらの、しかも単なる部活仲間だろうが。」
「それで十分! みんなこーんなに仲いいじゃんっ」

 なんて、上条先輩は自信満々におっしゃる。

 そうでしょうか……。

 って、そんなこと言ったらこいつの思うつぼじゃない!

「そこの1年眼鏡がいいっていうならな。けど、どう見てもそいつ、気心しれてねえだろ」

 うっ
 痛いところをつかれた。
 確かに素乃くんはまだ挙動不審というか、私たちを信用しきれてないというか……

「……り……ます」
「へ? どうしたの、太郎くん?」

 ブツブツとなにかを唱え始めた素乃くん。
 上条先輩でなくても同じ事を言いたくなる。

「僕……やりますっ——!」

 初めて素乃くんが顔を上げて私たちを真っ直ぐに見た。
 眼鏡の奥の瞳はまだ不安げだったけど、強い決意が感じられる。

「さっすが!! ……ふふふ、どう? 見た? 冬真っ!」

 まるで自分の手柄をあげるように上条先輩が冬真を振り返る。
 冬真は驚いた顔で素乃くんを見ていたけれど、約束は約束と勝手に話を進める上条先輩を見てあきらめたようだ。
 ため息をつくと、別館を出ようとする。

「ちょっ! どこいくのよ!」
「今日は帰る。……バイトはどうせ明日以降からだろ」

 その言葉に私は少し驚いてしまった。
 その間に冬真は出て行ってしまったけれど。
 ——今の、「バイトする」って意味だよね? ……ひねくれてたけど。

「よしよし、冬真も了承したことだし、私これから幼稚園に行ってくるね!」

 上条先輩も冬真の後を追うように出て行ってしまった。

「今日は解散、か。」

 そう言うと、倉沢先輩も帰り支度をはじめた。

「え、皆さん帰られるんですか? じゃ、じゃあ僕もお先にっ……」

 最後になってはたまらないとばかりに素乃くんはそそくさと部室を出た。
 さっきの彼との違いように私は少し呆然として閉まったドアを見つめる。
 ——私も帰ろっと。

 その時、出て行きがけにポンと頭になにかが乗った。
 びっくりして見上げると、そこには倉沢先輩の整った顔があり、私と反対にこっちを見下ろしていた。
 その手の意味を考えながら、鼓動が速まるのを感じる。
 い、いきなりなんなんだろう……?

 頭の中が赤熱していく私をよそに先輩は、

「鍵、頼むぞ」

 そう言うと、あっさり手をどけて帰ってしまった。

 ……あ、そういうオチですか。

 いささか残念な気持ちも残るものの、外を飛んで行くカラスの声で我に返った私は、日の暮れかけた空を見て、慌てて別館を後にしたのだった。

 もちろん鍵を片手に、ね……。

Re: くだらない為、無題! ( No.9 )
日時: 2011/04/01 16:08
名前: かりん ◆SVvO/z.cC. (ID: ueXHoJNS)

どこが私に顔向けできないんでしょうか?
私のほうが顔向けできませんよ・・・


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