コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 透明度五十パーセントの非日常。 【完結】
- 日時: 2011/06/18 15:08
- 名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
初めまして。
ファジーの方でひっそりと書かせてもらっています、風琳碧羅と申します。
何故か明るい小説を無性に書きたくなったので立てさせてもらいました。
初心者なので下手ですが温かい目で見てもらえれば嬉しいです。
*注意
自己満足です、八割方。
基本的になんでもありで書いていくので不快に思う場面があるかもしれません。その時はすぐにバックしてください。
−目次−
兄弟の絆。【完結】 >>7
透明度五十パーセントの非日常。【完結】 >>22
兄弟の絆完結 2011.05.27
透明度五十パーセントの非日常完結 2011.06.18
since 2011.05.23
until 2011.06.18
- Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.13 )
- 日時: 2011/06/07 18:42
- 名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
- 参照: そして乱入する勇者とも呼べる存在もどき(
五 『俺はどっからどう見ても男だからな』
「それにしても喧嘩慣れしすぎじゃないの、茜」
「そうね、あんたのせいでね。歩はあたしのモノって決まってるのよ」
「いやいや、俺は誰のものでもないからな」
家に戻って、そんな会話が続いていた。最早俺は物扱いしかされなくなっているような気がする。
「それにしても……歩、未だに女の子扱いされるんだね」
兄貴のこの一言に俺は絶望したぜ。自分自身に。
確かに、自分は結構な女顔だとは思っていたが、まさか本当に女扱いされるなど思っていなかった。兄貴も姉貴も外見だけはまともなのに、何故俺だけはこんな外見なんだろうな。
「けど、歩は美少女だから僕が食う。喰らうのー」
「止めろ、兄貴。俺はどっからどう見ても男だからな」
「どっからどう見ても女の子だから女の子扱いしてるんじゃないか」
もう駄目だ、俺泣きそう。……頑張れ、俺。俺は戸籍上も、男だ。だから男として誇らしく生きて行こうじゃないか。……よし、俺は男。女ではないんだ。
俺の頭の中がぐるぐると意味不明な事になっている最中にピンポーンと玄関のベルが鳴った。ちなみに言うと、本日二度目。時間的にはもう三時を回っているから別に大丈夫だと思われる。
「あたしが出るわ」
そう言って、俺が止める間もなく姉貴は玄関の方へと駆けて行った。
俺は最早それを咎める気力もなく、ただ自分が女扱いをされた事に対して項垂れていた。と、玄関から「歩ーっ。お友達みたいよ」と姉の声が聞こえた為、ゆっくりと視線を上げて、意味もなく兄の顔を窺ってから玄関の方へと向かった。
「あ、歩君。こんにちは」
玄関に居たのは、確か同じクラスの女子委員長だったと記憶する。名前は確か——
「御園里桜さん……だったよね?」
彼女の名前を口にした。すると、彼女は「あ……、覚えていてくれたんですね」と少し頬を赤らめて、純粋な漆黒の美しい瞳で俺を見つめた。
覚えているも何も、聞いた噂では彼女は学年一、二を争う程の秀才で、しかも見て分かるように美麗。瞳と同じくつやつやとした緑の黒髪に、整った白皙の顔。俺みたいに綺麗な人に慣れていなければ即刻惚れているだろう。それに加えて、父親が大手企業の社長と来た。性格も最強にいいらしく、こんなに恵まれた女性はなかなかいないんじゃないかと俺は思う。
そして、何故、その麗しきお方が俺の家にやって来たのか、俺の中ではそれが一番の問題だった。
「御園さんはどうしてここに?」
「え、あ、その……。今日休んでいたから……だから、プリントを届けに」
彼女は可愛らしく手を動かしながらそう説明してくれた。「明日は学校に来てくださいね」と最後に言い残して、それから彼女は一礼して去って行った。
「……歩。分かっていると思うけど、彼女に手を出したらただじゃおかないからね」
兄と姉の視線が妙に痛かった。
- Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.14 )
- 日時: 2011/06/09 19:14
- 名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
- 参照: http://twitter.com/Suiryoku_Hekira
ツイッター始めました。
六 迷惑だと分かってくれ、と思いつつ
渡されたプリントの束を眺めながら、何故か姉の説教を聞かされていた。単純に、御園さんが綺麗だったから嫉妬しているらしい。俺にとっては迷惑極まりない。というか自分も十分綺麗だろうが。俺に説教した所で意味無い事ぐらい分かってくれよ、本当にな。
「歩はあたしの物なの。分かって頂戴」
「誰が分かるか」
そう言い残して、自室へと戻る。プリントに「明日提出」と書かれた物が何枚かあったしな。さっさとそれを片付けて寝るに限る。
後ろから「こら、歩っ!」という姉の叫び声が聞こえてきたが完全無視を決め込んで、部屋の扉に鍵を掛けた。
そういえば、何故御園さんがわざわざ届けに来てくれたんだろうか。
別に急な手紙があった訳でもなく、明日提出と書かれたプリントも、別に明日貰えばいいだけの話だろう。なのに、何故彼女はわざわざ渡しに来たんだ?
明日、彼女に訊いてみるとするか。
俺はそう一人で呟いて、渡されたプリントを全て埋めて行き、そしていつの間にか眠ってしまっていた。
- Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.15 )
- 日時: 2011/06/10 17:58
- 名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
- 参照: フラグが奇妙すぎるww
七 普通に立った奇妙なフラグ
次の朝起きると、何故か兄も姉も大人しく、とりあえず朝食を作ると、ただ「ありがとう」とだけ言って食べていた。昨日俺が寝た後に何かあったのか、と不安になりつつもとりあえず俺は学校へ行く支度をして「いってきます」と玄関で叫んだ。返って来たのは兄の「いってらっしゃい」という弱弱しい声だけだった。
今日は雨か。
呑気にそんな事を考えながら、家を後にした。
学校につくと、のんびりとHRまで時間を潰すのが恒例だ。だが、今日は違った。
朝から何故か男友達に囲まれ、そして何故か全然知らない女子たちにも囲まれていた。いうなればその時教室に居た全員だ。
「あーゆーむー。まっさか男子クラス委員長が、なぁ?」
「委員長がまさか……羨ましい限りだぜ」
「歩君、可愛いもんねー」
「うちも結構歩君好きやで」
口々に好き勝手な事を言い始める同級生達。全く意味が分からない。何が言いたいんだ、お前等は。というか俺が休んでいた間に何があった。
ちなみに今更だが男子委員長と言うのは俺の事だ。吃驚だろ。なんか他の男子よりモテると言う意味不明すぎる理由で推薦された。
俺からすると途轍もなく迷惑な話だ。だって……なぁ。俺がモテているかどうかも不明なうえ、もしそうだったとしても、その理由が……女の子みたいで可愛いから、というのは俺の心がズタボロになるって気がつかないのか、皆。というか気付いて欲しかったな、なんて。
「で、何の用だ、皆して」
とりあえず聞くだけ聞いてみる。まぁ、いつも用がなくても集まってくる連中だが今日はちょっと様子がおかしいしな。
その時、教室の空気が一変した。
「……ッ!」
その原因となったように見える彼女は、やはり俺を見ていた。もしかしなくても原因は俺だろう。俺の周りに群がっていたクラスメイト達が一気に離れて行く。
教室の入り口に、彼女が立っていた。頬を赤らめて、綺麗な瞳を少し濡らせて、そして——
「——ごめんなさい……っ」
そうだけ言い残して彼女は走り去ってしまった。微かに甘い香りがその場に残る。黒髪が靡いて行くのを見て、俺は思わず叫んでいた。「御園さん!」
それにも反応せずに彼女はただ「ごめんなさい」と何度も呟いて、走り去ってしまった。それを追いかけようとすると、今まで離れていたクラスメイトが俺を行かせまいとして取り囲んだ。
「放せっ! どういう事なんだ! 何故御園さんは泣いていたんだ! 説明しろよっ!」
「歩、落ち付け。今から全部話す。昨日——お前が休んでいた間に何があったのか全て」
仲の言い男友達にそう言い包められて、俺はその場にへたり込んだ。
「実はな——」
- Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.16 )
- 日時: 2011/06/15 15:50
- 名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
- 参照: ……自分で言うのもなんだが、こいつら絶対頭オカシイ(
八 まだまだ続く奇妙なフラグ
「……はぁ?」
俺は途轍もなく苛立っていた。
クラスメイトから話された内容を整理してみると、こうなる。
・俺が休んだ事を担任が話した。ちなみに俺は担任に「家庭の事情」としか告げていない。
・そして何故か俺が引越しすると確定された。この原因が、御園さんの発言「道明寺さんは転校するのですか?」と。何故そうなるのか超疑問。
・その為、御園さんが直々に俺の家にやって来て、俺の事を確認。
・しかし今日の朝俺が来た為、それは間違いだと言う事に気が付いた。
「……ちょっと待て。それだったら何故御園さんが謝る? というか明らかにそれはおかしいだろう、流れ的に」
俺が話を聞いてそう言うと、クラスメイト達は皆一様に顔を見合わせて困った顔をした。暫くその状態が続き、それに耐えられなくなったのか、別の男友達が手を合わせて「ごめん!」と俺に頭を下げた。全く今日は何なんだ。全く訳が分からん。
「実はな、俺等、御園さんに頼まれて——」
「ごめんなさいっ! ごめんなさい、ごめんなさいっ! わたくしが話しますっ!」
そう言って、話を遮ったのはやはり彼女、御園さんだった。
何かと思い、全員が彼女に注目する。
注目を一様に集めた彼女は、少し頬を赤らめながら、ゆっくりと俯いていた顔を上げた。
「……あ、え……と……。歩、君……」
彼女がぎこちない足取りで俺によって来る。俺はどうしたものかと普通に彼女を見つめていた。
次の瞬間、までは。
「……ッ!?」
彼女は急に俺の方へと走り出したかと思うと、俺に抱きついてきた。俺は何が何だか分からず、そのまま立ちすくんでいた。
呆然と彼女を見ていると、彼女と目が合った。瞳は未だに濡れていた。
「あゆ……む…………君………………」
そう呟いたかと思うと、彼女はそのまま倒れ込んだ。その時彼女の頬が腕に当たって熱を感じた。
「ちょ……。御園さん、熱があるんじゃ……」
「あゆむ……くん……。離れちゃ嫌です…………」
凄い熱があると言うのに、彼女は俺の服を放さずに、終いにはそのまま倒れ込んだ。彼女の体重を支えきれずに俺も倒れ込んだ。
「歩! 保健室だ!」
誰かが叫んでいるのが遠く感じた。
- Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.17 )
- 日時: 2011/06/16 18:19
- 名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
- 参照: うーんと。こいつら……馬鹿だ、正真正銘の(
九 そして狂うよ何処までも
結局、彼女を俗に言うお姫様だっこで連れて行き、それでも掴んだ手を放してくれない為に、保健室に居た。一時限目の開始のチャイムが鳴るのが聞こえた。どうせもう皆勤は取れないんだ、無視するに限る。
「……ん…………」
時々彼女が寝返りを打つたびに、可愛らしい声が漏れる。このまま居ててもどうしようもない為、とりあえず俺と一緒についてきた男友達に声をかける。
「なぁ、櫂。お前、彼女になんて聞いたんだ?」
「……あのな、里桜が自分で言うって言ってるんだから俺に聞いちゃいけないだろ?」
「いや、だって本人寝てるし」
俺がそう言うと、彼は困ったように腕を組んだ。ちなみに今更だが、コイツの名前は『真藤櫂』という。俺の一番仲の言い男友達だ。最近御園さんと一緒に居る所をよく見かける。その時は大体御園さんが真剣な顔で何かを話しているようだから、俺は近づかないようにしている。だから彼女とどういう関係なのか未だに知らない。
「……そうだなぁ…………。少しだけなら……」
櫂がそう言いかけた時、びくっと御園さんが動いた。そして、ゆっくりと起き上がる。「大丈夫?」と櫂が声をかけても、何も返事をせずに、ただ虚空を眺めていた。
俺も試しに「大丈夫か」と声をかけてみる。すると、彼女は急激に眠りから覚めたようで「だ、大丈夫ですっ!」とまたもや頬を赤らめながら答えてくれた。どうでもいいが、毎回頬を赤らめられるとこっちもこっちでちょっとビビるんだな。本当どうでもいいことだが。
「え、あ、えっと……。あ、あひゅむくんっ」
「……え……っと…………」
普通に舌を噛んだようで、再び紅潮する。その仕草が結構可愛いと思ったらいけないのだろうか。彼女はもう一度「歩君っ!」と言い直して俺に向き直った。
何故か櫂は心底楽しそうに俺を見てから「里桜、俺は外に行っとくな」と言い残して、部屋を出て行ってしまった。
何が何だか分からず残された俺は、御園さんに「ちょっと待ってて下さいね」と言って、保健室の先生の所へ行ってしまった。すぐに彼女は戻ってきて、そして彼女はいきなり、それこそ唐突すぎるぐらいに言った。
「歩君っ! 大好きですっ!」
嗚呼、狂ってしまいそうだ。