コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 彼女は魔王で俺はなに!? さっそく自作絵うp
- 日時: 2011/07/26 23:29
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
一番最初に書いていた作品、紅蓮の契約者の一話が終わったため、別の小説を書くことを決意したため書き始めた小説でございます^^(あれ?ほかに書いている小説とかぜんぜん終わってないんだけど・・・まぁいいか!!)
とりあえずそう開き直った末に書き始めました。
まぁ紅蓮の契約者の時と同様、魔法とかそういったファンタジックなものにあこがれている自分は、まぁファンタジー小説しか書けないので・・・とりあえず、そういった弱点を克服するべく、ギャグ要素を含めたファンタジー小説に仕上げて生きたいと思っています。おかしいところとか、ここはこうしたほうがいいと思った場合は、ジャンジャンと、バンバンと、コメントしていってくださいませ!!そうしてくれると作者が喜びます。
前回のとおり、荒らし関係などはご退室願います^^
それでは・・・さっそくはじめたいと思います。
【彼女は魔王で俺はなに!?】というタイトルはかわるかもしれませんのであらかじめご了承を・・・
零章 殲滅の王>>0
一章 【黒炎の魔術師】紅凪黎>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9
キャラクター紹介
主人公———紅凪 黎 (こうなぎれい) 十六歳 男
【魔法】という能力があたりまえのように存在しているこの世界で、唯一といえる【異端者】としての汚名をもつ主人公。過去にそのことで傷を負ったりしたが、妹の存在のおかげでなんとか乗り越えることができて、今は極度のシスコンになっている。妹を傷つけるもの、妹にちょっかいをだすものはなりふりかまわず打ち殺すとかいいだすちょっとやばい兄貴。【魔法】に対抗するための唯一の手段【対魔殺】といわれる術をとある人から伝授され、ひそかに【魔法】をつかわないで最強の【魔術師】を倒すことを夢見ている。
>>10
ヒロイン———??? ? ?
?
妹 紅凪 由比(こうなぎ ゆい) 十四歳 女
シスコンの兄をもつエリート学生。兄とは違い、魔法の扱いが非常に上手い。自分では兄の才能を自分が喰ってしまったから兄は【異端者】になってしまったんだと勘違いをしたりして、過去いろいろなことがおきて今現在極度の【ブラコン】になってしまっている。それを表にはださないが、頭のなかでは毎日兄のことを思い浮かべているほどである。兄のことを馬鹿にされたりすると見境がなくなってしまうことがある。
最近書いてて思ったこと【イラストがこの作風と合ってないことに今気がついたwwww】
コメントをくれたありがたいお客様一覧を今ここに・・・(コメントくれたお客様の作品を1〜3っつまで紹介したいと思います)
王翔様(アーサードお兄ちゃんは浮気性、幼馴染のお嫁さんになる約束をしていた俺、委員会戦争などなどを執筆していらっしゃる作者様です)
零章 殲滅の王
なにもかもがきえてなくなってしまった世界、というのが正しい表現かわわからない。だが、とりあえず一言だけいえることがある・・・。
この世界、今この自分がいる空間・・・世界には、誰一人として、人間が存在しないということ、自分以外に、生命の活動を感じないということだけだった。
何もかもが・・・死んだ、という表現をしてみた。だけども、それは少し違う。どちらかといえば・・・ここには最初から、なにもなかった、という表現のほうが正しいかもしれない。
そんな世界に・・・自分は、一週間に一度の割合で、引き込まれるようになっていた。
どうして自分がこんな世界につれてこられるようになったのかもわからない。もしかしたら、自分は記憶喪失とかになっていたりして、この世界に引き込まれる理由がその記憶の中に入っているっていう可能性は・・・いや、ないな。生まれてこの方、事故などに一度もあったことないし、強く頭をぶつけたことなんていうのもない。
だったらどうして・・・という感情が、自分の頭の仲に、その瞬間生まれようとして・・・前にこの世界にきたときと同じような考えが頭の中に生まれようとしたとき・・・気が付く。前回と同じように・・・ずっと前から、自分がこの世界に連れてこられるようになってから毎回おきる同じ現象が・・・目の前で起こり始めているということに。
そう・・・そこには「光」があった。希望の光だとか、そんな比喩てきなものではない。本物の光がそこにあったのだ。それは、自分と同じように、人間の形をしていて・・・叙々にその光を薄れさせていき・・・その場所に・・・君臨する。
そう・・・それは———女・・・いや・・・幼い、女の子の姿をしていた。だがしかし・・・それはあまりにも・・・美しすぎて・・・あまりにも人間ばなれしていて——あまりにも、恐ろしかった。
自分がただの人間だとすれば・・・そう、今姿を現したこの女の子・・・神か悪魔か天使か———そんな伝説上にしか存在しないとおもっていた存在と重ねてしまえるぐらいに・・・人間とは、思えなかったのだ。
だがしかし、この女の子と自分は、一度も目を合わせたことがない。というよりも、この女の子自体が・・・こっちの存在に、気が付いてくれないのだ。だから、自分はただただその女の子を眺めるしかない。永遠と、おんなじ場所で・・・おんなじことを・・・眺めるしかないのだ。
結論からいってしまえば・・・ここに自分はつれてこられているのではなくて・・・無理やり、その女の子の記憶かなにかを・・・映像として見せられているということなのではないだろうか・・・ということになるのだ。
ここでは、自分は動くこともなにをすることもできない。ただただ流れる映像をその目に焼き付けるだけ。そして———絶望するだけなのだ。
そのときはやってくる・・・絶望の、時間はやってくる。
その女の子が目を開き。そのパッチリとしていてかわいらしい瞳を、なにもないこの空間のどこかにむける。それを自分は目で追う。これも前からなにも変わっていない。女の子は手を伸ばす。自分もつられて手を伸ばす。これも変わらない。女の子が笑う。そして自分の顔は恐怖に歪む。そして———女の子は、狂ったかのように笑い———手から赤黒い・・・自分の知っている限りの言葉で表すなら・・・炎を生み出して———こう口にするのだ。
「私の名は・・・殲滅の王、なにもかもを無に返す。何も生み出さない、なにも救わない・・・ただ無に返す」
その炎は、必然としてその少女の手から離れ、この世界に撒き散らされていく。その炎は世界を食い散らかしていき、やがて———自分のところにも、その炎が迫ってくる。
あまりの力、あまりの大きさに、ただの人間である自分は、逃げようとする。だがしかし、体は当然のごとく動いてくれない。ただただ自分はその場から動くこともできずに———その炎を———
「レミィ・・・!!」
という・・・誰のかもわからない名前を叫んで———全身に炎をうけ———そのまま、焼き尽くされる。
現実では味わうこともない痛みが、けして味わいたくもない痛みが、自分の体全身を貫いて、自分の体は消滅していく。少女の名乗る、殲滅の王という言葉のとおりに、自分は殲滅される。自分のその存在自体が、この世界から殲滅され———やがて、目覚める。いつものように、この世界に来たときからずっと同じように———自分の意識はこの世界から乖離されて———もとの現実の世界へと戻るのだ。
ああ———また、あの世界いっちまたんだなぁ・・・とか思いながら———平凡で、つまらない、紅凪黎の現実は、再び始まる。
この世界に自分がつれてこられる意味というのを知らずに、あの少女がどんな存在なのかしらずに・・・そして、自分が最後に叫ぶ、あの名前は・・・誰のものかもわかろうとせず・・・理解しようとせず・・・その世界のなにもかもを拒絶している俺の物語は・・・もう、幕をあけているということを・・・知らずに。
- Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.3 )
- 日時: 2011/07/22 14:45
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
「あのね・・・今回のはね、ちょっと違うんだ」
「ん?なにが違うんだ?」
「あのね・・・今回のは・・・」
「あー・・・わかったわかった。つまりあれだろ、お前が俺のことを誰かにいわれて売り言葉に買い言葉になって、俺は異端者だけど弱くないとかそんなことをいって、喧嘩になって、なんなら証拠を見せてみろっていわれて、困っているっていう感じなんだろ?」
「う・・・うん」
どうしてわかるの?と言いたげな顔をしていたが、まぁ、だいたい予想はつくさ。異端者である俺のことを馬鹿にしたければ、まずは妹を経由しなければならない。普通そんな手間のかかることなんてやらないだろうけど、まぁあれだ。ちょっと素行の悪いやつらが集まる東区域の【魔法教育施設】は、馬鹿ばっかだし、そんな手間とか気にしていないのだろう、というよりも、異端者である俺を倒して、ちょっとしたヒーローになりたいやつが多いんだろうね。まぁあれだ・・・異端者っていうだけで忌み嫌われることにはなれちまっているから、気にしないけど、俺のその想像が的中するとは思っても見なかったね。まじで俺のことを倒したい馬鹿がいるとはね。
ま・・・そうと決まれば、だ。
「しょうがねぇなぁ・・・じゃぁ魔法を使わないでどれだけ俺が戦えるか、由比に見せてやるよ」
と、笑いながら俺は言う。
ま、そういうことだ。俺はあくまでも魔法は使わない。その理由は前々からいっているからもう十分だし、わざわざ誰かに見せるほど特別な力っていうわけでもない。だから、使わない。俺の唯一使える属性である【炎】の魔法も、そこまで強いわけでもなく・・・普通に【魔法教育施設】に通っていて、毎日魔法の特訓をしているようなやつらに、すぐに諦めてしまった俺が、魔法で勝てるわけないし、使う必要もないっていうか、使っちまったら逆に由比を失望させてしまうだろうから・・・俺にとっては、そっちのほうが好都合なのだ。
「・・・あれ?なんかちょっと違うような気もするけど・・・ま、いいか。とりあえずがんばってね!!お兄ちゃん!!」
「まかせとけって」
ま、普通に考えて魔法を使うやつに素手で挑もうものなら確実に負けに行っているのと同じようなものなのだが、愛しい由比にがんばってといわれてしまっては・・・もうあれだ。がんばるしかなくなってしまったな。
とりあえず、そんなこんなで・・・だ。今日の予定はいろいろと狂わされちまったけど・・・まず最初に、オーナーに連絡するか、と考えながら、俺は食パンをほおばるのだった。
「えへへ・・・」
「・・・?どした?なんかうれしいことでもあったのか?」
「なーんでもなーいでっすよー」
朝の通学路・・・【魔法教育施設】は一言でいってしまえば、学校のようなものだ。といいつつも、俺はその学校に通っているわけではないから由比がどんな道を使っているのはまったく知らないのであって、今通っている道・・・家から五分ぐらいしたところにある、俺がいっつも進む道ではなく、枝分かれになっているほうの道を進んでいるので、ちょっと俺は困惑気味だったりもしている。だって初めて通る道なんだもの・・・。
由比は、区域指定の【魔法教育施設】の制服を着ていた。その制服は・・・なんていうんだろうね、黒を基調とした、ブレザータイプの制服だった。スカートも赤黒い色をしたプリーツスカートで、それを完璧に着こなしている我が妹は、兄目線から言わずとも、「かわいい」といえよう。親から引き継いでいる、明るい茶色の髪の毛。一度もその髪の毛は染めたことがないため、そこらへんにうろついている髪を染めたやつらなんかよりもいっそう輝いているようにも見える。顔立ちは十人中十人がかわいいというであろう、小さくてかわいい顔。目はパッチリとしていて、鼻筋は綺麗に整っている。最後に、桜色の小さな口が、よりいっそうかわいらしさを強くアピールしていた。
身長はなぜか母親からも父親からも受け継ぐことはなく・・・あれだ。小さい。十四歳女子で145cmっていうのは小さいのかどうか俺にはわからないことだが、とりあえずれが店のなかでよく見る【魔法教育施設】の女子生徒さんたちよりは小さいことは確実である。
ま、そごかわいいんだけどな。
そして、その妹様はなぜかご機嫌なご様子で・・・俺もちょっと、気分がよくなってきたような気がする。
冬という季節に近づきつつあるこの季節の朝は、一言いって寒い。だからといって、日光がないわけでもなく、俺たちはなるべく影になっていない、暖かい場所を選んで歩く。朝の七時五十分の空は雲ひとつなく、透き通っている。風は少しだけあるが・・・それも気にならない。なんともいえない、快晴だった。・・・ふむ、今日もいいことがありそうだな。・・・別に昨日いいことがあったわけじゃないけどな。
・・・っとそういえば、だ。今思ったんだけど
「そういや俺、私服できてよかったのか?」
今から行く場所は仮にも学校である。いくら荒れているとはいっても、ちゃんと制服があるわけで、生徒という存在があるわけで、部外者である俺が、普通に来ちゃってよかったのかは結構気にしないといけない問題のひとつである。
だけど由比は
「え?べつにいいんじゃないかな?だってあそこ・・・普通にだっさーい私服で来ている男子いっぱいいるし」
「うぐっ・・・ださくてすいません」
「え!?お兄ちゃんはべつにださくなんかないよ!!むしろ何きてもかっこいいよ!!」
なぜか俺は、ださいという言葉に反応して謝ってしまったのだが・・・よかった。俺は由比にとってかっこいい兄でいられているのか・・・それならまだ俺は元気でいられるな、うん。
「ま、そういうことだからお兄ちゃんは私服で大丈夫なのです!!」
「ならいいんだけどな」
・・・まぁ、そのだっさーい男子とおんなじ分類に入ってしまうというところがなんというか尺だが・・・別に俺は妹以外の女性に好意をもってもらおうだなんて思ってもいないし、関係ないことだな、うん。というよりも・・・こんな俺に好意をもってくれるのは、由比だけだからなぁ・・・現実逃避してもしょうがないけど、とりあえず今は・・・別に行為をうけようとは思ってもいないしもってほしいとも思わないからいいか。
- Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.4 )
- 日時: 2011/07/22 15:10
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
「なぁ由比」
「んー?なぁに?」
「由比ってさ、えーと・・・なんだっけ・・・あれだ、前回の東地区【魔法施設トーナメント】で何位だったんだっけ?」
「あ、そっか。そういえばお兄ちゃんにはまだいってなかったね・・・といっても、別に自慢できるような順位じゃなかったから言わなかっただけなんだけどね・・・」
「んで?結局何位だったのよ?結構優秀なんだろ?由比は」
「自分でいうのもあれだけどね〜、私は優秀なのですよ!!」
「うん、じゃぁその優秀さんはいったい前の大会で何位だったのかなぁ〜?」
「なんと・・・五百十八人中・・・七十一位だったのです!!」
「・・・おい、なにが自慢できない順位だって?」
ちなみに、【魔法施設トーナメント】というのは、その施設での最強、最優秀者を競って争う、半年に一回行われる大会である。当然のごとく、その参加者はその施設の生徒たちで、努力しているものは当然のように上に上り詰めていき、努力をしていないものは、半年でその順位を下に落としていってしまうという、いわば努力と才能を見極めるテストのようなものだ。この大会は、十二歳から参加可能で、十八歳までが参加上限だ。もちろん、年齢制限はその十二歳から十八歳の間まではなく、大会には、十二歳から十八歳までの生徒たちが、全員でているということになり・・・由比は、たった十四歳にして、その年上たちを何人も打ち負かしているということになる・・・ということだ。
それは確実に・・・由比には才能がある、努力をしているということをあらわしているものであることは明確だった。
「うーん・・・でもね、でもね?」
「ん?」
「次の・・・来月にある大会は絶対に上位五十位以内に入ってやるんだ!!」
「おぉ!!それはなかなかに高い理想をもってるんだな・・・ま、無理しないようにがんばれよ?」
「ハッハッハ、応援ありがとう!!諸君!!」
「・・・それ、なにキャラ?」
そんな無駄な話をハイテンションで繰り広げながら俺たちは・・・家をでて十五分、ようやく見えてきた【魔法教育施設】へと、足を踏み入れたのだった。
当然のように、俺はこの施設に入ったことがない。というよりも、前の中央の施設にすら、俺は一度しかはいっていないため、基本的に【魔法教育施設】というのがどういうものなのかわかっていないのが現状である。
道行くところには、由比と同じような格好をした女子とか、私服をきたちょっと超とのっているふうな感じの女子とか男子とか・・・制服をきて登校しているやつらは、基本的にまじめなグループらしい。それでも、私服を着ている生徒はものすごく目立つ。なんたって・・・その人数が多いのだ。
いってしまえば・・・俺が今まで見てきた生徒を百人と数えよう。そしたら、その三分の二はだいたい私服で来ている生徒さんたちだったわけで・・・わかるだろう?ここがどれだけ荒れていて、どれだけ・・・由比に悪影響を与えてしまう場所かっていうことが。
そうとわかった以上、兄として・・・
「由比、いますぐ俺は一緒に中央区域に二人だけで行こう」
「ふぇ!?・・・ど、どうしたの?お兄ちゃん」
ひしっ、と由比の両手を包み込んで、真剣なまなざしで由比にそういう。すると由比は、ちょっと恥ずかしそうに目をそらして・・・それでも、別に俺のことを拒もうとはせず———ああ、だめだだめだ。今はそんなどころではない!!
「俺がお前を養ってやる・・・俺がお前を立派な女の子に育ててやる・・・だから・・・だから!!俺と二人だけで暮らそう!!」
「ふええぇぇぇ!?ちょっ・・・ちょっとお兄ちゃん!?いきなりどうしたの!?あの・・・その・・・二人きりって・・・お兄ちゃんのことはたしかに好きだけど・・・それでも・・・世間体というものが・・・」
「そんなもんしったこっちゃねぇ!!俺はお前を———」
「おー、ゆいにゃんおっはよー!!」
俺が、自分の人生なんかよりも大切な話をしていたところで・・・突然俺のわき腹に鋭いけりがくりだされる。危険を察知した俺はすぐさまその足をかわすべく由比の手を放してそのままバクテンして後ろに下がる。そのまま俺は次の攻撃に対する臨戦態勢をとろうとするが・・・さきほど俺をけろうとした相手が、女子・・・それも、由比に仲のよさそうな感じでしゃべりかけた女子だったので、やめた。
「え・・・えりなさん、お・・・おはようございます」
「ハッハッハッ!!硬い硬い!!だけど・・・あぶなかったわね・・・ゆいにゃん。もうすぐであの男の毒牙にかかるところに・・・」
「あのー・・・」
「もしもあたしがゆいにゃんの立場だったら・・・すぐにあいつの鳩尾に拳に叩き込んで相手がよろめいたところで踵落としで脳天勝ち割ってやるのに・・・」
「えーと・・・えりなさん!!」
「ん?どったの?あたしの愛しいゆいにゃぁん」
「うっ・・・え・・・えっとですね?えりなさんが今蹴ろうとしたの・・・私の、お兄ちゃん、なのです」
「お・・・お兄・・・ちゃん?だと?」
「は・・・はい」
- Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.5 )
- 日時: 2011/07/22 15:13
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
会話をおとなしく聞いていた俺に、突然、由比にえりなさんと呼ばれていた人物が振り向く。その瞬間に後ろで結ばれた漆黒の髪がなびき、俺はそれに一瞬俺は一瞬それに目を奪われるが・・・その瞬間、再び放たれた蹴りにすぐさま反応して、俺は今度は助走なしでスライディングをするというちょっとありえない行動をとって、由比のもとに戻る。由比はちょっと戸惑っているふうな感じなのだが・・・ふむ、どうやらこれが一度じゃないみたいだな。由比が男にいいよられるというものは。それはそれとして兄としてはなんともいえないものなのだが、どうやらこのえりなそんとかいう人物・・・由比が男に言い寄られるたびにこうやって現れて撃退しているらしい。・・・いい用心棒だな。これで俺が働いてためた金の全財産を使ってまでも実行しようとしていた由比との二人暮しはなくなるが、俺のサイフにもやさしいのでとりあえず俺は安堵のため息をつく。
「お兄ちゃん・・・だと?貴様・・・あたしでさえもまだ『お姉さま』とか『お姉ちゃん』とかいわれたことないのに・・・」
だけど、どうやらいらない怒りを買ってしまっているような・・・
「この怒り・・・どうやって貴様に叩き込んでやろうか・・・」
えりなさんというかたはどうやら臨戦態勢になってしまって・・・っておいおい、まずいまずい。あいつは仮にも【魔法教育施設】の人間で、魔法を心得いるはずだ。だから本当の戦いになっちまえば、俺は由比に連れられてきた理由を果たさずに病院送りになっちまえ可能性が高いんだな。
ま・・・そうならないためにも・・・えりなさんには悪いが・・・俺もちょっくら本気をださせていただこうか。
そう思いながら・・・俺も独自の臨戦態勢をとろうと構えなおす寸前で・・・
「えりなさん!!それにお兄ちゃんも仲良くぅっ!!」
という、由比のちょっと怒ったようで、泣き声が混ざったかのような・・・聞いていて切なくなってしまう、心が痛んでしまう叫びを聞い
て・・・俺たちは・・・
「やぁえりなさん、はじめまして、そしてキレイですね、結婚してください」
「オホホホ、お兄さんはお世辞がうまいんですねぇ、ですが結婚はいたしません、あたしはお兄さんの妹、ゆいにゃんさまと結婚するつもりですから」
「おっとえりなさん、なにをおっしゃっているのですか?この俺こそが由比に相応しいと思われるのですが・・・」
「あたしの聞き間違いでしょうか?お兄さんはあくまでもゆいにゃんさまの兄でございますよね?それならば結婚できるはずがないかと・・・」
「そんなことは関係ないのですよ。形ではなく、心があればいいのですよ」
「オホホホホ、かっこいいことをいっているように見えて、ずいぶんとシスコンなことですねぇ、お兄さん?」
「ハッハッハ、なにをいっているのやら、兄として、悪い虫がつかないようにするにはそういうのが一番でしょう?」
「あたしの聞き間違いでしょうか?悪い虫と聞こえたのですが・・・」
「ハッハッハ、えりなさんは確実に悪い虫ですよ、俺の中では」
・・・俺たちは、偽りの笑顔を貼り付けて、握手を交わす。その交わされた握手はどうしてかすごい握力がかけられていて、すさまじい痛みを伴うものだがしかし、そんなのは関係ない。・・・俺・・・こいつのこと、いきなり嫌いになりました。
一期一会、という言葉が存在する。たとえ一度しか会わない相手でも出会いは大切にしろとかいうようなものだったような気がするが・・・俺はこいつとの出会いを大切にしたくない、というよりも、今すぐこの世界から排除してやりたいね。
それでも、俺たちの妙な緊張感を伴った握手はとまらない。互いが互いの手を握りつぶすまでやめるつもりはないといったふうな感じで笑いあい、美しい友情を語り合っているんだといわんばかりの美しい声で汚い言葉を吐きまくる。
「あらあらお兄さん、言葉が達者なことで。それだからあたしに一発でシスコンだと見抜かれてしまうのですよ?」
「うっ・・・はっはっは、そういうえりなさんこそ、なかなかにお言葉がうまいですねぇ?だからすぐに俺に百合だって見抜かれてしまうんですよ?」
「このくそ・・・オホホホ、それはありがとうございます、あたしにとって最高のほめ言葉でございますわ」
「おっとっと、心の声がでていらっしゃいましたよ?」
「あらあらお兄さん、お兄さんの耳はどうやら幻聴しか聞こえていらっしゃらないようですねぇ?どうです?今から私がいい病院紹介しましょうか?」
「ご遠慮させていただきますよ。どちらかっていうとえりなさんのほうがその病院にいったほうがよろしいのではないでしょうか?」
「オホホホ・・・」
「ハッハッハ・・・」
「くたばれこの百合女あああぁぁぁ!!」「くたばれこの出来損ないのシスコンがああぁぁ!!」
俺たちは同時にそう叫び、すさまじい力でにぎっていた手を離し、距離をとる。そのまま俺は臨戦態勢をとり、えりなさんは・・・魔法の詠唱体制にはいる。おっとまずい・・・このままだとまじで病院いきになっちまう。・・・ならば———ちょっくら本気をだすしか・・・だがまたその瞬間に・・・横からはいってきた声によって———
「もうお兄ちゃんなんかきらい!!えりなさんも・・・きらいいいぃっ!!」
「ハッハッハ、えりなさん、今日からなにとぞ、よろしくお願いしますぞ?」
「オホホホ、こちらこそ、末永くお付き合いいたしましょう、お兄さん」
再び偽りの笑顔で握手を交わすのだった。
あれ・・・なにか目的を忘れちまっているような気もするんだけど・・・どうしてこんなことになったんだっけ?とか思いながら、俺たちは二人がかりで完全に泣き出してしまった由比をあやすのに四苦八苦するはめになってしまった。
- Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.6 )
- 日時: 2011/07/25 23:03
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
「あー・・・それじゃぁ、このお兄さん・・・黎さんが長井のくそったれがいってた・・・その・・・【異端者】なのね?」
由比をあやし終えた後、人がいない場所に移動した俺たちは・・・朝の、ホームルームを無視するとか言い出したえりなさん・・・藤崎えりなさんになぜ俺がここにいるのかということを質問され・・・由比がそれに答え、今この現状に至る。
聞けば、えりなさんはどうやら由比と同じクラスの友達らしい。成績も優秀で、前回の大会では八十五位という、由比と同じぐらいの実力の持ち主だということはいわずともわかった。その上・・・由比とは違う、女らしさをもっている。由比と同じ十四歳のくせに、外見は俺よりもも上に見えてしまうほど美しく、漆黒の髪の毛はそれをさらに際立たせていて・・・大人の魅力、というものをもっていた。あれだ、由比が妹ならえりなさんは姉、といったところだ。それなのに・・・残念なのは、やっぱり百合っ気があるっていうところなんだよなぁ。
もちろん、由比は渡すつもりはないけどな。
「ちょうど二年前に報道された・・・【異端者】が由比のお兄さんだったなんてねぇ・・・なんでも、魔法は使えるけど属性がひとつしか使えないんでしたっけ?」
「ん、まぁそのとおりなんだけど・・・最近だと魔法もろくに使ってないからもう魔法が使えるかどうかも怪しいんだけどな」
「・・・でもお兄さん、さっきの動きは『異常』でしたよ?」
「ん・・・?なにがだ?」
「完全に不意をついたと思ったあたしの蹴り・・・その後のまったくすきのない構え・・・魔法を使っているもの・・・もしくは、王宮で訓練されている兵士とかと同等のレベルの動きでしたよ?」
「あー・・・まぁそのあたりの詮索はしないでくれ。説明がめんどくさいし・・・由比にもまだ、言ってないことだからな」
最後のほうは小さな声で、えりなさんにそう告げる。
えりなさんは、ちょっと納得がいかないといったふうな顔になったあと、直ぐにデレっとしたふうな顔になって由比に振り返り・・・
「由比にゃ〜ん・・・長井の件はたぶんもう心配いらないよぉ〜」
「うぇ・・・?どうしてですか?」
・・・同い年だというのに由比はなぜかえりなさんに敬語を使っている。とはいうものの、俺もえりなさんのことはえりなさんとしか呼べないでいる。年上なのに・・・さん付けをしなきゃやっていけない理由はいわずともわかるとは思うが・・・まぁ美しすぎるえりなさんの外見のせいだからな。
「お兄さん、魔法を使わなくても十分・・・【異端者】だからだよ〜」
「・・・っ!!お兄ちゃんは【異端者】なんかじゃないもん!!なんも・・・普通の人と変わんないよ!!」
えりなさんのその言葉に、突然由比が激情する。・・・それはそうだ。今のはえりなさん、言葉が悪かったな。由比はどうも、俺が【異端者】と呼ばれるとわれを忘れるというか、なりふりかまわず怒ってしまうようになってしまったらしい。それは・・・俺が【異端者】と言われ、忌み嫌われたあの一ヶ月・・・俺自身、もう死んでもいいんじゃないかと思ってしまうぐらいの嫌がらせを受けていたあのころ・・・由比も同じように被害をうけていたという。でも、由比は自身の実力で俺の汚名をつぶし、自分は才能があると見せ付けて・・・なんとかなった。だけども、俺はそうはいかなかったのだ。最初、俺は【異端者】だからといって別段嫌われているわけではないとかそんなことをいっていたような気がするけど・・・それはあくまでいまこの現状においての話だから、とりあえずさきにいっておこう。俺は、自身の力でそれを乗り切ることができなかった。魔法の才能もなく、【異端者】としての汚名を捨てようとせず、そのまま家にひきこもってしまった俺は・・・由比に・・・一度だけ、生涯でたった一度だけ・・・由比と、本気で喧嘩をした。
由比はなにもかもから逃げ出した俺に、本気でぶつかってきた。涙を本気で流しながら、魔法を使って、俺のことを本気でつぶしにかかってきた。当然そのころの俺は、一応だけど魔法を使えたので・・・それで応戦をしたが、当然才能があった由比に傷ひとつ与えることなく・・・というよりも、今まで大切に育ててきた妹を傷つけることなんてできるはずもなかったから俺は・・・そのまま、由比の魔法を何度も何度も体にうけて・・・それでも俺は、倒れることなく・・・由比にこういったのだ。
(お前は・・・【異端者】の俺を、認めてくれるのか?)
と。
当然、由比の答えはイエスだった。その返事を聞いた後、俺がなぜ魔法を使うのをやめたのかとかいろいろ由比に話たりして、由比に迷惑をかけたりして・・・それでも、才能のある妹においつけるよう・・・俺は別のことで努力をした。
だいたいそんなこんながあって・・・由比は、俺が【異端者】と呼ばれることを嫌うようになったのだ。
魔法という点において欠点があるが、努力をする姿はどんな人間とも変わらない。人間には必ずひとつ欠点がある。ただ俺のひとつの欠点が魔法なだけだ・・・そう、由比は前に俺に話していた。俺が自分のことを【異端者】だと呼ぶたびに、そんなことを結いは必ずいうのだ。
だから・・・えりなさん、言葉にはちょっと注意したほうがいいぜ?うちの妹様は切れるとちょっと怖いからな。
「おっと・・・ごめんね、ゆいにゃん。今のはあたしが悪かったよ」
「お兄ちゃんは【異端者】じゃないもん・・・それなのに・・・」
「うん・・・そうだね、長井のくそやろうはなんもわかってねぇんだよな。実際問題・・・しゃべってみても、黎さんはいい人だし、【異端者】とかいうだけで、忌み嫌う必要性をなんも感じないしね」
- Re: 彼女は魔王で俺はなに!? ( No.7 )
- 日時: 2011/07/25 23:06
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
よしよし、とえりなさんが由比をなでる。由比はちょっとだけ涙目になりながらも、なんとかそれを我慢しているような感じだった。・・・うーん、由比が泣き虫になったのは二年前・・・ちょうど俺と喧嘩したときあたりからだから・・・これも俺に原因があるのかな?とか俺は場違いなことを考えながらも、二人の様子を見守ることにする。・・・というより、俺のことを妹にいったやつはどうやら長井とかいうやつらしいな。ま、そいつがどんなやつかはしらないけど、妹を困らせたりするようなやつなら制裁を加える必要があるな。
「ま、なんにしても、だ。黎さんは絶対に長井のくそには負けないだろうね。強さが違いすぎる」
「ん?まてまて、俺の戦う相手って魔法使うんだろ?だったら俺のほうが弱いから、俺が絶対に負けるの間違いじゃないか?」
「・・・おっと、自覚無しのタイプときた。こりゃまた・・・大物なのか馬鹿なのか・・・よくわかんないですねぇ」
「?」
意味深な言葉をえりなさんは吐き捨てる。その言葉を俺は当然理解できなかったが・・・とりあえず、気にしないでおくとしようか。
「でもまぁ・・・一回ぐらい実戦をしておいたほうがいいんじゃないかな?」
「・・・実戦?」
「そ、あたしと黎さんで、一度戦ってみるって言うのはどうかなっていう提案なんですけど・・・もちろん、ハンデはつけますよ?」
実戦をする・・・か。まぁいいかもしれないな、日ごろあんまり運動していないから、ちょっくら体が動くかどうかも心配だけど、とりあえず最初にえりなさんの攻撃になんとか反応できたから、とりあえず大丈夫だろう。それに・・・最初から本番だと、ちょっとつらいかもしれないからな。
それにしてもハンデ・・・か、ふむ
「そうだねぇ・・・たとえば、あたしが魔法を使わないって言う条件で———」
「まぁまてよ・・・ハンデっていうのは戦いを公平にするためのものだろ?だったらべつにそんなもんはいらないじゃないか?」
突然の俺の提案に、えりなさんが目を丸くする。由比も、えりなさんのたわわな胸にうまりながらも驚いた風な顔をする。そりゃそうだろう。魔法も使えない俺が魔法を使う相手にハンデなしの戦いをしようといったのだ。これはどんな歴戦の戦士でも、絶対にやらないような行動のはずだが・・・といっても、歴戦の戦士の場合相手にするのはエリート中のエリートの魔術師だけで、こいつらはまだ見習いだからそのたとえはちょっとあってないような気もするけど・・・とりあえずはそれとおんなじぐらいにありえないことなのだ。
魔法というのはなにもない空間から炎やらなにやらを生み出して、自分の好きな形にして攻撃をできるものなのだ。それはたとえば剣になったり、槍になったり、銃になったり、盾になったり・・・というふうに、さまざまな形に変形をしたり攻撃をしたりできるのだ。それを素手で相手にすめということは・・・無謀中の無謀といってもいいだろう。
だけど・・・結局のところな。えりなさんと戦った後にもそんな無謀な戦いをしないといけないわけなので、ここでやったところでさほど結果はかわりないだろう。
「・・・黎さん、ハンデ無しっていうことは・・・あたしは魔法を使うって言うことですよ?」
えりなさんがそう俺に問いかけてくる。それ以外になんの意味がわかるのかはわからないが、まぁそれだけ動揺しているってことなのかな?
「ん、オーケーオーケー。俺は魔法を使わない、えりなさんは魔法を使う。それが実戦をやる最低限の条件だな」
「ちょ・・・ちょっとお兄ちゃん、正気なの?あとで戦う長井君はそこまで強くないからいいんだけど・・・えりなさんは、ほんとに強いんだよ?」
「そうですよ黎さん。もしも強がってそういっているようなら・・・あとでかならず後悔しますよ?」
・・・まぁ、由比の実力がどれくらいかもわかっていない以上、えりなさんの実力もわからないんだけどな。
「うーん・・・いや、それでも俺は素手で、えりなさんは魔法だ」
「お兄ちゃん・・・」
由比がちょっと心配したような目でこちらをみてくる。それに俺は大丈夫大丈夫、と笑って返してやりながら、えりなさんの反応を見る。
えりなさんは、ちょっと困ったような反応を見せてから・・・さすが兄弟、似ているところは似ているのはと小さくつぶやいて
「いいでしょう、じゃ、ゆいにゃんはちょっとさがっててね〜ん」
こちらを真剣なまなざしでみつめる。
由比はえりなさんに促されるがままに後ろにさがり、俺たちの戦闘でおそらく被害がでないであろう場所まじ移動していく。ふむ・・・戦闘する場所の広さは上々、なかなかにコンディションがいいな。地面もジメジメとしていないし、どちらかというとサラッとしているから、やりやすい。これなら・・・たぶん、本気をだせるだろうな。
そう・・・さきほどから俺がいっている【本気】というのは・・・俺が今まで、【異端者】だと馬鹿にされ続けてきたこの二年間で見出した・・・魔法を使うものとの戦闘においての極意ということだ。つまり、俺は———その極意を体得している。いっちゃぁなんだけど、その極意を教えてくれたのは———なにをかくそう、【キャッツファィヤー】のオーナーさまなのだ。
昔、オーナーさんも魔法を使っていたのだという。だけども、どういう理由かはわからないけれども、オーナーは魔法という力にひどい恐怖を感じたのだという。そのときからオーナーは魔法には一切手をつけなくなり・・・かわりに、魔法を使うやつとと戦って勝つ方法とか、どんな力をつければ魔法をつかうやつに負けないだとか、いろいろなことを考え、試行錯誤して———ついに見出したその【力】を、【異端者】だといわれていた俺に———すべてを教えたのだ。その【力】をどういうふうに活用するのか、どういうふうに使うのか・・・その極意をすべて、俺に教えてくれたのだ。だから———まだ実戦はあまり経験していないが、オーナー直伝のこの・・・【対魔殺】という極意があるから———それなりに、自信はあるっていうわけだ。
「じゃぁはじめるよ?黎さん・・・」
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