コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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三千回目の『はじめまして』を君に。
日時: 2012/12/16 19:42
名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: au7rBPzb)

「はじめまして」

君は、笑顔で私にそう言った。

私も、笑顔で同じ言葉を返す。



いつからだろう。

『はじめまして』

その言葉に、悲しさしか感じなくなってしまったのは。



さあ 今


三千回目の『はじめまして』を君に。


———————

登場人物

椎名唯香 (転生少女) 
時間を繰り返す少女

神崎透
時間に流される少年

朝比奈紫苑 (不老不死)
時間が止まった少女

峰岸樹 (記憶少年)
時間を取り戻す少年



第一話 必然的なこの出会いを >>3 >>4
第二話 転生少女       >>5 >>6 >>11 >>12
第三話 時を動かす少年少女  >>15 >>16 >>19 >>20 >>31
第四話 消えかけの記憶    >>33 >>35 >>36 >>47
第五話 不老不死と記憶少年  >>49



やってしまいました・・。
ついに、ついに、掛け持ちをっ!!

「モノクロストリート」を書いている、にゅるあと申します!

書きたい衝動に負け、ついに書いてしまったのがこの話。
コメントされると、気持ち悪い程度に喜びます。


転生を繰り返す少女と少女に何度でも恋する少年

これは、そんな二人の、長い時間のお話です。

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第一話 必然的なこの出会いを ( No.3 )
日時: 2012/10/07 16:25
名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: d.3c/y7H)

第一話 必然なこの出会いを


「ねえ」
声をかけられて振り向けば、そこにいた少女。
なびく髪は、綺麗な金色。
目は、赤と黄色のオッドアイ。

……一瞬見とれてしまった。

「こんにちは。私は、椎名唯香。よろしくね」
目の前の少女は、綺麗に笑った。
その笑顔を、見たことがあるような、そんな気が一瞬した。

「……はじめまして。俺は神崎透」
そう返しただけだったのだが、その少女は酷く悲しそうな顔をした。

どうしたのか、と聞けば、「なんでもない」とまた笑顔で返された。

「神崎君、約束してくれる?」
会ってから数分だと言うのに、目の前の少女はそう言った。
「何を?」

「今度から、私に『はじめまして』を言わないで」
「は? 一回会ってるのに、はじめましてなんて言うわけないだろ」

少年は、少女の言っていることの意味がわからなかった。

少女の言う、『今度』が何を指すのかも。

「じゃあ、約束しよう」
出された小指に、指を絡める。そして、歌を歌う。

「嘘ついたら針千本、飲ますからね!」
と、無邪気に笑うと、指を話す。


これが少年の、少女との出会い。
    
    そして、少女にとっての再会。

第一話 必然的なこの出会いを ( No.4 )
日時: 2012/10/07 16:27
名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: d.3c/y7H)

「唯香」
透は、ふと疑問に思ったことを聞くために読書をしている唯香に話しかけた。

「ん、何? 神崎君」
「唯香って、なんで俺のこと苗字で呼ぶんだ?」
素朴な疑問。唯香は読んでいた本を閉じると、こちらを見る。

「なんでって……」
と言ってから、唯香は少し間を置く。
「俺は唯香のこと、名前で読んでるだろ? でも、唯香が俺のこと呼ぶときは、苗字に君付けって」

「んー、なんとなくだよ? 特に深い意味はないし」

「なんとなくなら名前で呼べよ」
と言う透は、顔が少し赤い。
「ははっ! 神崎君、顔赤いよ? 可愛いー……」

「うるっさい! なんか、その呼び方って子供扱いされてる気がする」
「神崎君が子供だから仕方ないじゃん」
と、唯香が言えば、「同い年のくせに」とか「子供じゃない」とか。必死な反論が聞こえてきた。

「同い年、か。まあ、そういうことになるのかな」
「はあ? 何言ってんの。俺も唯香も、同じ15歳だろ」
「……そうだね」
「唯香って時々変なこと言うよなー」

唯香は笑う透を見て、『昔』とその表情を重ねる。
「変わらないな」と思い、懐かしさと同時に、虚しさがこみ上げてくるのを、唯香は感じた。

(透。なんて呼んだら、諦めきれなくなっちゃうからなぁ。

                 あの頃の君を)


第二話 転生少女 ( No.5 )
日時: 2012/09/19 18:38
名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: 82QqnAtN)

私は、ただただ繰り返す。残酷なほど続くこの時間を。

第二話 転生少女

なんで覚えてないの!って怒鳴りたくなることもあった。
でも、おかしいのは私。私が覚えてることが異常。

私は、過去に何回の転生をしたんだっけ。
何度、君と約束をしたんだっけ。
君に『はじめまして』を言ったのは何回だっけ。

何回転生したって、状況は全く変わらなかった。
毎回、同じ出会い。同じ別れ。同じ運命。

同じように君に恋をしてしまう、自分がすごくすごく憎いんだ。
バッドエンドの繰り返しで、嫌になる。

でも、どこか君を信じてしまうんだ。
笑ってしまう。こんなに何回も生まれ変わって、生きて、死んで、
この繰り返しなのに、君を何回でも信じてしまうんだよ?馬鹿みたい、でしょ。

今回、何か変わるだろうか。変えられるだろうか。

何回目かわからない『さようなら』を君に伝える前に。

第二話 転生少女 ( No.6 )
日時: 2012/11/23 18:38
名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: yIVvsUU5)

「お前は、俺じゃない俺を見てることがないか?」
「……え?」

君の言った言葉に、私は固まった。

「思い出した、の?」
「え、何をだよ」
「……ん、なんでもないよ。何、俺じゃない俺って」

「いや、なんかさ」
言葉を詰まらせる君を見て、思い出しかけているのかと思った。早く思い出してほしい。
一人の私を、助け出してほしい。

「神崎君を見てるよ? 私は。違う神崎君って何ー?」
馬鹿にするように、笑う。
「……なんでもねえよ。俺さ」
「んー?」

長い沈黙。言うことをためらっているようで、また俯く。
「もー、何? さっさと言いなよー」

何かを決めたような表情で、神崎君はこちらを見た。
今にも動き出しそうな口元を見つめる。

ああ、前も、その前もこんな感じだっけ。
これから言う、君の言葉が想像できてしまうのが悲しく感じた。



「唯香が、好きなんだ」



やっぱりなあ。と思う自分もどうなのだろう

「私も神崎君が好きだよ」
「っ!」
「神崎君と同じ意味の、好きだよ」

これも、前のときと同じ言葉。本当に、同じ意味の『好き』なのだろうか?
それを今考えるのは、やめようと思った。

Re: 三千回目の『はじめまして』を君に。 ( No.7 )
日時: 2012/09/22 00:35
名前: *Selena* (ID: gT4Hbmrj)

すごく面白いです★

毎日くるようにします!


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