コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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幼き頃の約束は永遠に
日時: 2013/09/12 22:34
名前: 明衣 (ID: cm34dabg)

+登場人物+


和宮 愛花 Aika Wamiya (11)
小学六年生の少女。ある日裏世界の能力情報を一人で背負うことになった。

吉川 晃太郎 Koutarou Yosikawa (12)
愛花の幼なじみ。

渡辺 彩月 Satuki Watanabe (10)
愛花の幼なじみで大親友。


和宮 鈴花 Reika Wamiya (17)
愛花の姉で高校三年生。

和宮 唯花 Yuika Wamiya (17)
鈴花の双子の妹。

和宮 奏 Sou Wamiya(17)
愛花の兄で高校二年生。


渡辺 龍樹 Tatuki Watanabe(6)
彩月の弟で小学一年生。

加藤 七海 Nanami Katou (12)
愛花たちの小六時クラスメイトで晃太郎のことが好き。裏世界の住民。


+目次+


〈1〉日常の崩壊【小学生編】

0.災い >>001
1.日常 >>001-3
2.告白 >>004-5
3.地震 >>006-7
4.避難 >>008-9
5.落雷 >>010-11
6.能力 >>012-13
7.親友 >>018-19
8.忠告 >>022-23
9.困惑 >>024-25
10.旅行 >>026-27


+あいさつ+

はじめまして。明衣【Mei】といいます。
この物語は三人の幼なじみが成長し、様々な困難を越えていくようなものです。
途中でおかしくなるかもですが、暖かい目で見ていただければ幸いです。
また、コメント、アドバイス等大歓迎です。では、よろしくお願いします。


2013/6/12 スレッド生成
2013/6/16 作品紹介文登録開始
2013/6/19 目次作成開始
2013/7/22 ☆サザンカ☆様から初コメント頂きました! >>014-15
2013/7/23 乃愛様からコメント頂きました! >>016-17
2013/7/30 檸檬様からコメント頂きました! >>020-21
2013/9/7 七海様からコメント頂きました! >>028-29
2013/9/9 ☆小学生編、目次10達成記念☆ 【特別コーナー1】 >>030
2013/9/9 七海様からコメント頂きました! >>031-32

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Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.5 )
日時: 2013/06/19 17:51
名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)

一瞬間があって緊張する。
何で緊張なんかしてるんだ、愛花!
あれ、もうパニック状態だよ〜!?

「アレってアレだよね。まだ言ってない……。その、きっかけがなくてね」

「そうなんだあ。あの、七海ちゃんが話したいことあるって言ってたって晃太郎に言ってしまいまして……。
本当にすいませんっ!」

全力で謝る。これは自己責任だ。

「え、そうなの?ありがとうー!」

「へ?」

「きっかけを作ってくれたんだよね!愛花ちゃん、ありがとう」

拍子抜けとは、こういうことを言うのだろうか。
七海ちゃん、こちらこそありがとう。
てか、これで良いことしたんだよね?安心安心。

「じゃあね。休み時間に言ってみる!」

やっぱり乙女だあ。可愛いな、七海ちゃん。


「晃太郎くん!」

その、休み時間になっちゃいました。
何故か七海ちゃんが晃太郎を呼び止める瞬間を目撃してしまったのです。

「はい?あ、加藤か。何?って放送委員のヤツか」

「放送委員?」

そこは突っ込まないでねー。

「あ、そうなの。今いい?」

「いいけど……。ここで済ませられないの?」

晃太郎は人の密集する正面玄関を見渡す。
七海ちゃんが頷くと、二人は中庭に出て行った。

「で、話したいことって?」

付いてきちゃいました。
すると、七海ちゃんがいきなり大きめの声で晃太郎に<告白>と呼ばれる内容を話した。

「私、晃太郎くんのことが好きですっ!」

しばらくの沈黙。七海ちゃん、辛いよねえ。

「……加藤の気持ちは嬉しいし、俺も嫌いじゃないよ。でも、小学生だしさ。悪い」

その時、七海ちゃんの表情が笑顔になった。

「晃太郎くんが私にそう言う理由、もうひとつあるでしょ?バレバレだからね」

ど、どういうこと……?
私が答えを見つけられる前に休み時間は終わった。


掃除時間なう。てへ。
なーんてふざけている和宮愛花でーす!
どうしてこんなに変なのかは本人にも良く分かりません。

「愛花、さっきからいろいろと突っ込みたい独り言が聞こえるのは幻聴?」

箒を持った彩月に救いようがない、というような目を向けられる。
え、ヤバ、声に出てた?!

「だ、大丈夫だよ。幻聴だよ」

「本当にい?」

はい、止めようね。その人の発言をあからさまに信用してない目付き。
そして彩月の隣の晃太郎、君ももう少し幼なじみを信じてね。

あれ、なんかおかしい。視界の半分くらいが暗くて。あ、ヤバいかも——。

「愛花?!大丈夫?!」

「彩月には大丈夫に見えるのかよ?!おい、愛花!」

二人の慌てた声と共に私の意識は消えていった。

Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.6 )
日時: 2013/06/20 21:10
名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)

3.地震


真っ暗な世界に浮いている自分。
ここはどこだろう?何でここにいるんだっけ?そんな疑問が次々に現れる。
何も見えない暗い世界の先に真っ白に光る環が現れた。
何故かは分からないが、直感的に【リング】という文字が頭に響く。

(アレは何かな……。気になるけど、危険な気もする)

近付きたいと思った瞬間に体がふわっと飛ぶようにして、光のもとへ進んだ。
近くで見ると白というより、虹色が怪しく蠢いている。
再び脳裏に危険と思う自分が横切った。が、幼い好奇心が更に体を動かす。

(あ……)

とうとう光の環が目先まで近付くと、すうっと糸に引かれていくかのように吸い込まれていった。

【リング】の奥へ行くと抜けたあとにあるはずの暗闇は存在しなくて、パッと閃光にのみ込まれた。
ほんのニ、三秒の間に炎が上がり、風が舞い、水が渦を巻きいた。
鼓動が早くなる。腕の血管が飛び出しそうなくらい、脈の動きが感じられる。
そして、最後に電気と尾を引いた線香が走り抜た。

————っ!

眩しくて目を開いていられなくなってしまい、瞬時に目を強く瞑る。
辺りが落ち着いたのを感じた時、そっとまつ毛を持ち上げた。
訳も分からないのに、暗闇に戻りたいと思う。
光の中の危険を身体中で感じているからだ。

(……良かった。静かになってる)

音まで聞こえてきそうだった心臓の激しい動きも静まってきて、安心する。
まだ環の中であったが、これを初めて見たときと同じようにただ、光る環である。
もちろん、外には真っ暗な世界。

(とにかく出よう)

そう思って【リング】を出ていった——。


「……まだ……はい。でも、もう少し……」

「ううん」

今のは、彩月の声……?
現実世界に戻ってきたのかなあ。というか、夢から醒めたのかなあ。
まだ頭の芯が痺れてるから、アレが何だったのかはっきりしない。

「あれ、愛花?!愛花、目覚めたの?」

「彩月、私どうしたの?」

この薬の匂いと水色がかった黄緑のカーテンから考えて、ここは保健室だよね。
考えは比較的しっかりしているのに、口の中が乾いて話し方が少しおかしい。
でも、彩月は気にもせずに答えた。

「あ、うん。あのね、掃除中に倒れて保健室に運ばれたんだよ」

「は、運んだって誰がっ?」

「えっと、晃太郎と佐紀先生」

「佐紀先生はいいけど何で晃太郎?!彩月運んでくれなかったの?!」

Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.7 )
日時: 2013/06/21 21:44
名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)

彩月に運んで欲しかったなあ。

「彩月が良かったなあ」

思ったことを口にする。すると、彩月は顔を歪めて言った。

「愛花のそーゆうとこ、末っ子だよね」

「あら、和宮さんって末っ子なの?私と一緒ね」

ソプラノが保健室に響く。声の主は黄緑の入った水色のカーテンの隙間から顔をのぞかせている。
養護の今泉京子先生、だったかな。

「はい」

一応先生だから、しっかり敬語を使わなくては。

「よし、元気そうでいいね。軽い風邪かな。ところで、何人兄弟?先生は三人の一番下なんだ。
今どき三人兄弟も少ないわよねえ」

若い先生なのに、ちょっとおばあさんに見えてしまった。
答えようとしたら、私より先にしゃべった人がいた。

「愛花は今どき珍しい四人兄弟ですよ」

「うっそお?!四人兄弟?!」

「あ、はい、って晃太郎?!運んでくれたんだってね、ありがと」

「良く言うよ。聞こえてたぞ、全部」

「お、晃太郎いたんだ〜。愛花のことが心配で心配でって、ちょ、こ、恐いよ?!」

幼なじみの目付きに彩月の額に汗が浮かんだ。
晃太郎が私達二人に向けてかため息をつく。
すると、今泉先生が面白そうに笑う。

「あなた達仲が良いいのねえ。じゃあ、吉川くんが知ってるってことは渡辺さんも和宮さんの兄弟知ってるの?」

「はい!愛花のお兄さんめっちゃカッコいいですよ!」

彩月がやけに嬉しそうにお兄ちゃんのことを語っているけど、どうかなあ。

「そうなの?!会ってみたいな。何歳なの?」

先生、そのノリは付き合いですか、それとも本音ですか……。

「十七歳です。お兄ちゃんのこと嫌いじゃないけど、私は鈴花ちゃんが一番好き」

「レイカちゃんってお姉さん?」

「そうです!あと、鈴花ちゃんの双子の妹の唯花ちゃん。この三人が愛花の兄弟ですよ〜」

はい、そうですよ、正しいですよ。
まったく、彩月も一度乗っちゃうとこうだからなあ。
晃太郎を見ると、口を結んでちゃっかり椅子に座っている。

「和宮ファミリー会いたいわぁ、あ?!」

先生の声で何事かと思ったのはつかの間、すぐに自分でも理解できた。
この場の私だけベットに座る状態だったけれど、近くの柱が軋み、自分自身も揺れている。

「地震……?」

彩月の口からみんなの気持ちをまとめて出た言葉だと感じられる。

最初の方はちょっとだったのに、だんだん強く揺れてきたっ?!
え、ちょっとヤバくない?だって結構揺れてるよ?
彩月と先生は長い机に手を置いて、晃太郎は軋む柱に手を添えて立っている。
みんな立つのに精一杯だ。

Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.8 )
日時: 2013/07/31 21:57
名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)

4.避難


とうとう私もベットの上だと大変になってきた。
晃太郎を支える柱に掴まろうとすると、一度大きく世界がねじまがったように感じるほどの揺れが。

「あっ——」

倒れそうになったのを晃太郎の腕に掴まれて何とか体勢を戻す。

「ありがとう」

「しっかり掴まってろ」

そう言って柱に手を伸ばさせた。
ちょっと乱暴でムカついたけど、意外と優しいよね。

「ふう。落ち着いたかな」

先生の声と共にみんなの顔もほっとしたようにやわらかくなった。
もしかしたら私の表情も固くなってたのかも……。

「……今の地震、結構大きかったのに放送かからないの変じゃないか」

しばらく静かな時が過ぎると晃太郎の声が響いた。
そう。私が黙っていたのはその放送を待ってたからなんだけど、かからない。
どうしたんだろうって言おうとした瞬間、廊下から教頭先生の声がした。

「ええ、今の地震で放送器具に不具合が生じたため、放送はありませんが、校庭に避難してください。
繰り返します。校庭に避難を開始してください。余震の可能性があります。気をつけて行動してください」

「了解ですっと。先生は怪我人のために緊急セット持って行くから。三人は先にそこの戸から出れるよね」

今泉先生は校庭に直接つながる扉を指差す。
私達が頷いたのを見ると準備を始める。
訓練では走るなと言われてるけど、そんなの無理だから小走りで戸の方へ向かう。
そこで、私は自分が何故保健室に居たかを思い出した。
若干目眩がして座ってしまう。どうしよう、これじゃ二人に迷惑かける。

「愛花、大丈夫?ほら、手」

彩月の励ましが聞いたのかな。少し楽になって彩月の手を握れた。
立ち上がると、晃太郎が扉を開けて先に行けと促す。

「もう避難しに来てる人がいるよ……」

びっくりして思わず声に出しちゃった。
大きな地震があると近くの学校に避難する決まりだけど、さすがにこんな早く集まり始めてるなんて驚きでしょ。

「えっと、クラス別に並んでるみたいだな」

六年三組はうさぎ小屋の方で少し遠い。
朝礼台の上で生活指導の遠藤先生が説明を始めてる。
話を聞きながら担任が先頭にいる列に向かう。

「ウソ?!家の人が来るまで待つとかありえない……」

「彩月、仮にも大きな地震があった日くらい良いじゃない」

彩月は引き取り訓練でも文句を言ってるけど、まさか本番までとはね。

Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.9 )
日時: 2013/08/08 08:19
名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)

「愛花、調子まだ悪い?」

彩月が心配そうに訊いてくる。
本音を言うと笑って誤魔化したいんだけど、そんな力は今の私に蓄えられていないんだよ。

「まだ良いとは言えないかも……」

苦笑いで返したとき、七海ちゃんの声が聞こえた。

「愛花ちゃん!大丈夫だった?!」

七海ちゃんの方を見ると、怪我はしてないみたいで少し安心。
大丈夫じゃないんだけど、まあ長い付き合いの彩月とは違うから笑って誤魔化せるかな。

「うん、大丈夫だよ。心配かけてごめんね」

「良かったぁ!じゃあ、先並んでるから。バイバイ」

七海ちゃんは手を振って小走りに佐紀先生の元へ近付いていった。
私達も少し歩いたら着いたけど、クラスメイトは集まりが早くて後ろの方だった。
若干しめっている校庭に座る。
二十分くらい彩月と話してると、何故かあまり口を開かない晃太郎がしゃべり出した。

「愛花、どうして彩月と加藤への言うことが違うんだよ」

「え?ああ、だって、本当のこと言って心配させたら嫌だから」

「じゃ、何で彩月には本当のこと話すんだ?」

「あーもうっ!彩月だと嘘ついたらバレるからだよ。これでいいでしょ」

やけに加藤七海につく晃太郎にムカついた。
自分の状態からしてムカついてる場合じゃないのは分かってるんだけどさあ。

「ていうかさ、七海ちゃんのことふったのに何でそんなこと訊くの?」

勢い余って言ってしまった……。
明らかに白けてる。晃太郎だけじゃなく、彩月もだよ〜?!

「それを何故、愛花が知ってる」

おも〜い幼なじみの声が頭に響く。
ああ、ここから去りたい。

「まあ晃太郎、その話は後にしよう。今は引き取り本番だしね、うん」

「何気に話剃らすなよ。」

「あー、楽しそうなところ悪いんだけど、良いかな」

聞き慣れた優しい声がかかった。
後ろには思った通りお兄ちゃんがいる。

「お兄ちゃん!それに鈴花ちゃんと唯花ちゃんも!どうしたの?」

お兄ちゃんのそばにどうしてか一緒にいる二人にも訪ねる。

「どうしたの、じゃないのよ。ひ、き、と、り!」

唯花ちゃんが三人を代表して言った。

「お母さん達が無理だからって頼まれたの。みんな今日は午前授業でさ。ちょうどここ通ったから、四人で帰ろうと思ってね」

次は鈴花ちゃんが言う。
性格は似てないのに交互にしゃべられると良く分からなくなってくる。
あれ、そういえば、交互にしゃべらなかったら私って二人を見分けられるのかなあ?

高校生以上の引き取り者欄に名前があるらしい三人とともに佐紀先生に帰宅することを伝える。


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