コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

▼ 純情な微熱に溶かされて、 ( 短篇集 )
日時: 2013/09/15 10:51
名前: 〒... しあち。 ◆InzVIXj7Ds (ID: qNIh9ax1)




 Access thank you !




、、、 ⇒ あてんしょん

幾つ立てるんだお前、こと、しあち。です。
自由気ままにゆったりと短篇や詩等を綴っていきます。
一言書き置きして下さると、とても励みになりますのでお気軽に。


、、、 ⇒ ほんだな

| ぽえむ |
>>001 言葉よりも
>>002 響く声
>>004 その行方
>>024 求めるもの

| みじかいの |
>>003 子供扱い、恋人扱い
>>006 間接より
>>013 After the rain
>>017 思わず触れてしまいそうになった
>>027 眠れない夜に
>>032 真っ白なシーツの上で

| つづくの |
>>005 小さな忘れ物


、、、 ⇒ そのた

>>020 100hit Thank you !


、、、 ⇒ おきゃくさま

珠紀様
つばき。様
朔良様
孔雀音様
アズきん様
華世様
ちなつ。様
百足@100様

◎ ありがとうございました ◎




2013.07.02

Page:1 2 3 4 5 6 7 8



. ( No.13 )
日時: 2013/07/06 21:49
名前: 〒... しあち。 ◆InzVIXj7Ds (ID: n6vtxjnq)





「雨、止まないわね」

「寧ろ本降りになってきてないかい?」

 足りない食材を買いにスーパーへやって来た。
 買い終わり、スーパーからでて少し歩いたその時、ぽつぽつと雨が降ってきた。直ぐに止むだろうと、私達は近くのこじんまりとした店の前で、雨が止むのを待っていた。

 しかし雨は一向に止む気配が無い。
 小さな店の前でいい年した大人二人が縮こまっている。傍から見ればさぞかし滑稽な画なのだろう。
 幸いこの店は一本奥の道を入った場所にあり、人気は一切無い。

「まさか降ってくるなんてね」

「ホントだねぇ。おいちゃんすっかりぐしょぐしょだよ」

 ふと、隣にいる頭一個分程身長差のある彼を横目で見た。水気を帯びた髪がべったりと額に張り付いているのを、鬱陶しそうに払う。普段は無造作に立てている髪も、今は雨と湿気で随分落ち着いている。

 髪から滴り落ちる水滴が妙に……。

 自分の頬に熱が集まるのを感じた。
 横目で、とは言え見詰め過ぎたのか、視線を感じ取った彼は私の方を向いた。

「さっきから熱の籠もった目で見つめちゃって。おいちゃん照れるよ」

「あら、そんなに熱籠もってた? いやだわ隠し切れてなかったのね」

 我ながら上手い返しだと思う。無意識に行ってしまう、自分を隠そうとする照れ隠し。よく友人に直した方が良いと言われていたっけ。

「私の熱の籠もった視線はお嫌い?」

「いんや、まさか。おいちゃん嬉し過ぎるくらいだよ。……ただあんま見つめられると、ねぇ、おいちゃんちょっとキツいかなぁって」

「そんな目つき悪いかしら」

「……そうじゃなくてねぇ」

 こんな歯切れが悪い彼は初めてだ。それともう一つ。彼は一向に私と目を合わせない。
 私は雨に濡れてよれよれになった彼のシャツを引っ張った。

「ねえ雅之さん、さっきから目を合わせてくれないけれど、どうしたの?」

 体調でも悪くなったのかと心配していると、彼が「……はぁ」とため息をついた。
 そして私に視線をやる。やっぱりどこか少し外している。

「自分の姿見てみな。雨に濡れて、凄く色っぽくてやらしいから」

「……え?」

 予想だにしていなかった言葉が、雅之さんの口から紡がれた。
 思わず間抜けな声を出してしまった私。少し恥ずかしい。

「だからねぇ、あんま見詰めたり見詰められたりするとおいちゃん、変な気分になっちゃうんだよ」

 ……変な気分って。

「そうなの」

「そ。そうなんだよ。だからね、杏奈ちゃん」

「なら私と同じね」

 普段なら余裕たっぷりの彼が、ほんの少し間抜けな顔をしてやっと私の方を向いた。
 それと同時に私は雅之さんの胸に右手を添えながら、唇を耳元へと寄せる。

「私も雨に濡れた雅之さんを見て変な気分になってたのよ。色っぽいな、って」

 私の言葉にキョトンとしていた雅之さんだったが、「ね?」と言うとハッと我に返った。

「あ、杏奈ちゃん……? この体制、おいちゃんちょっと大変……」

「やだわ私ったら、発情期かしら?」

 わざとらしく頬に手を添えて呟く。雅之さんは調子を取り戻したのか、目を細めた。

「杏奈ちゃんなら大歓迎だねぇ」

「あらありがと」

 頬に触れられると、雅之さんの手の温もり。そっと目をやると、真っ直ぐ私を見る視線と絡んだ。

「杏奈ちゃん、水が滴っててホントえろいよ」

「雅之さんこそ」

 互いに密着しながら笑い合う。

「さて、お互いに変な気分になっちゃったんだ、良いかい?」

「待って、ここじゃ嫌よ。帰ってからにしましょ?」

「そんな気にさせといておあずけかい。おいちゃん我慢出来ないんだけどねぇ」

「我慢してよ。帰ったら、……ね?」

 私の言葉を聞き、にやりと口元が緩んだかと思えば、触れるくらいの優しいキス。

「もうちょっと深いキスしたかったけど、すると止められなくなるからねぇ」

「ええ、ここじゃ嫌だわ」

「だから帰ったら、たっぷりと可愛がってあげるさ」

「ふふっ、楽しみだわ」

 いつの間にか雨は止み、綺麗な青色が雲間から覗いていた。



 ■ After the rain





——————————————————————

真夜中の産物。




ToP>>000

Re: ▼ 純情な微熱に溶かされて、 ( 短篇集 ) ( No.14 )
日時: 2013/07/06 22:00
名前: 珠紀 (ID: 1QppuERs)

な、なんと…
なんて大人!!!!!!

珠紀…ドキドキしてしまいました汗
こんなにドキドキしたのは久しぶりかもデス

大人な表現、素晴らしいです
珠紀の文はお子ちゃまっぽいので見直さなきゃデスね(´・ω・`)

とても、勉強になり
深く感動しました。

更新頑張ってください!!

Re: ▼ 純情な微熱に溶かされて、 ( 短篇集 ) ( No.15 )
日時: 2013/07/06 23:53
名前: アズきん (ID: n6vtxjnq)

はじめまして!

短編好きで押してみたら神短編でした
ほのぼのから大人なのまで書けるなんてスゴイです!
自分的には続きものの小説が気になります
あと After the rain が大人なカンジで、ドキドキだらけでした!

応援してます!

お返事 ( No.16 )
日時: 2013/07/07 22:56
名前: 〒... しあち。 ◆InzVIXj7Ds (ID: n6vtxjnq)





▼ 珠紀様


ドキドキして頂けて良かったです。書き甲斐がありました。
大人テイストな雰囲気が好きで書くのですが、まだまだです。使いたい表現が出せませんでした。
こんなのを参考にしてしまったら、文才が退化してしまいますよ。

頑張ります(*´`*)




▼ アズきん様


初めまして。短編好きさんに出会えて嬉しいです^^
神短編だなんてそんな、嬉しいお言葉を有難うございます。
『After the rain』は真夜中の産物なので、気に入って頂けて良かったです。
続き物の『ロリポップ-ドルチェ』は気紛れに更新しますので、気長にお待ち下さいませ。

応援有難うございます。




. ( No.17 )
日時: 2013/07/07 23:48
名前: 〒... しあち。 ◆InzVIXj7Ds (ID: n6vtxjnq)





 放課後、俺はセンコーに呼ばれて学校に残っていた。
 外はもう夕日でオレンジ色に染まっている。いつもは直ぐに帰るから、こんな時間まで学校に居たのは初めてだ。

「あ〜、くそだりぃな」

 愚痴りながら俺は図書室の前を通った。
 ふと図書室の中を見ると、そこに女子生徒が居た。何も考えず、俺は図書室の中へ入っていった。

 そこに居たのは、クラスメイトの倉地だ。

「って、寝てんじゃんか」

 倉地は書きかけのノートの上で寝ていた。その寝顔がとても綺麗で、可愛くて……。
 俺は無意識のうちに、倉地の頬に触れようと手を伸ばしていた。

「ん……」

 触れるか触れないかくらいで、倉地が身じろいだ。俺は慌てて伸ばしていた手を引っ込める。
 暫く様子を窺っていたが、起きる気配は無かった。

 俺はカバンを持って直ぐ様図書室を出た。
 早歩きになるにつれて、早くなる鼓動。

「くそっ、何だってんだよ……」

 顔が赤いのは 夕日の所為。



 ■ 思わず触れてしまいそうになった





——————————————————————

青春。




ToP>>000


Page:1 2 3 4 5 6 7 8



この掲示板は過去ログ化されています。