コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ▼ 純情な微熱に溶かされて、 ( 短篇集 )
- 日時: 2013/09/15 10:51
- 名前: 〒... しあち。 ◆InzVIXj7Ds (ID: qNIh9ax1)
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2013.07.02
- . ( No.13 )
- 日時: 2013/07/06 21:49
- 名前: 〒... しあち。 ◆InzVIXj7Ds (ID: n6vtxjnq)
「雨、止まないわね」
「寧ろ本降りになってきてないかい?」
足りない食材を買いにスーパーへやって来た。
買い終わり、スーパーからでて少し歩いたその時、ぽつぽつと雨が降ってきた。直ぐに止むだろうと、私達は近くのこじんまりとした店の前で、雨が止むのを待っていた。
しかし雨は一向に止む気配が無い。
小さな店の前でいい年した大人二人が縮こまっている。傍から見ればさぞかし滑稽な画なのだろう。
幸いこの店は一本奥の道を入った場所にあり、人気は一切無い。
「まさか降ってくるなんてね」
「ホントだねぇ。おいちゃんすっかりぐしょぐしょだよ」
ふと、隣にいる頭一個分程身長差のある彼を横目で見た。水気を帯びた髪がべったりと額に張り付いているのを、鬱陶しそうに払う。普段は無造作に立てている髪も、今は雨と湿気で随分落ち着いている。
髪から滴り落ちる水滴が妙に……。
自分の頬に熱が集まるのを感じた。
横目で、とは言え見詰め過ぎたのか、視線を感じ取った彼は私の方を向いた。
「さっきから熱の籠もった目で見つめちゃって。おいちゃん照れるよ」
「あら、そんなに熱籠もってた? いやだわ隠し切れてなかったのね」
我ながら上手い返しだと思う。無意識に行ってしまう、自分を隠そうとする照れ隠し。よく友人に直した方が良いと言われていたっけ。
「私の熱の籠もった視線はお嫌い?」
「いんや、まさか。おいちゃん嬉し過ぎるくらいだよ。……ただあんま見つめられると、ねぇ、おいちゃんちょっとキツいかなぁって」
「そんな目つき悪いかしら」
「……そうじゃなくてねぇ」
こんな歯切れが悪い彼は初めてだ。それともう一つ。彼は一向に私と目を合わせない。
私は雨に濡れてよれよれになった彼のシャツを引っ張った。
「ねえ雅之さん、さっきから目を合わせてくれないけれど、どうしたの?」
体調でも悪くなったのかと心配していると、彼が「……はぁ」とため息をついた。
そして私に視線をやる。やっぱりどこか少し外している。
「自分の姿見てみな。雨に濡れて、凄く色っぽくてやらしいから」
「……え?」
予想だにしていなかった言葉が、雅之さんの口から紡がれた。
思わず間抜けな声を出してしまった私。少し恥ずかしい。
「だからねぇ、あんま見詰めたり見詰められたりするとおいちゃん、変な気分になっちゃうんだよ」
……変な気分って。
「そうなの」
「そ。そうなんだよ。だからね、杏奈ちゃん」
「なら私と同じね」
普段なら余裕たっぷりの彼が、ほんの少し間抜けな顔をしてやっと私の方を向いた。
それと同時に私は雅之さんの胸に右手を添えながら、唇を耳元へと寄せる。
「私も雨に濡れた雅之さんを見て変な気分になってたのよ。色っぽいな、って」
私の言葉にキョトンとしていた雅之さんだったが、「ね?」と言うとハッと我に返った。
「あ、杏奈ちゃん……? この体制、おいちゃんちょっと大変……」
「やだわ私ったら、発情期かしら?」
わざとらしく頬に手を添えて呟く。雅之さんは調子を取り戻したのか、目を細めた。
「杏奈ちゃんなら大歓迎だねぇ」
「あらありがと」
頬に触れられると、雅之さんの手の温もり。そっと目をやると、真っ直ぐ私を見る視線と絡んだ。
「杏奈ちゃん、水が滴っててホントえろいよ」
「雅之さんこそ」
互いに密着しながら笑い合う。
「さて、お互いに変な気分になっちゃったんだ、良いかい?」
「待って、ここじゃ嫌よ。帰ってからにしましょ?」
「そんな気にさせといておあずけかい。おいちゃん我慢出来ないんだけどねぇ」
「我慢してよ。帰ったら、……ね?」
私の言葉を聞き、にやりと口元が緩んだかと思えば、触れるくらいの優しいキス。
「もうちょっと深いキスしたかったけど、すると止められなくなるからねぇ」
「ええ、ここじゃ嫌だわ」
「だから帰ったら、たっぷりと可愛がってあげるさ」
「ふふっ、楽しみだわ」
いつの間にか雨は止み、綺麗な青色が雲間から覗いていた。
■ After the rain
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真夜中の産物。
ToP>>000
- Re: ▼ 純情な微熱に溶かされて、 ( 短篇集 ) ( No.14 )
- 日時: 2013/07/06 22:00
- 名前: 珠紀 (ID: 1QppuERs)
な、なんと…
なんて大人!!!!!!
珠紀…ドキドキしてしまいました汗
こんなにドキドキしたのは久しぶりかもデス
大人な表現、素晴らしいです
珠紀の文はお子ちゃまっぽいので見直さなきゃデスね(´・ω・`)
とても、勉強になり
深く感動しました。
更新頑張ってください!!
- Re: ▼ 純情な微熱に溶かされて、 ( 短篇集 ) ( No.15 )
- 日時: 2013/07/06 23:53
- 名前: アズきん (ID: n6vtxjnq)
はじめまして!
短編好きで押してみたら神短編でした
ほのぼのから大人なのまで書けるなんてスゴイです!
自分的には続きものの小説が気になります
あと After the rain が大人なカンジで、ドキドキだらけでした!
応援してます!
- お返事 ( No.16 )
- 日時: 2013/07/07 22:56
- 名前: 〒... しあち。 ◆InzVIXj7Ds (ID: n6vtxjnq)
▼ 珠紀様
ドキドキして頂けて良かったです。書き甲斐がありました。
大人テイストな雰囲気が好きで書くのですが、まだまだです。使いたい表現が出せませんでした。
こんなのを参考にしてしまったら、文才が退化してしまいますよ。
頑張ります(*´`*)
▼ アズきん様
初めまして。短編好きさんに出会えて嬉しいです^^
神短編だなんてそんな、嬉しいお言葉を有難うございます。
『After the rain』は真夜中の産物なので、気に入って頂けて良かったです。
続き物の『ロリポップ-ドルチェ』は気紛れに更新しますので、気長にお待ち下さいませ。
応援有難うございます。
- . ( No.17 )
- 日時: 2013/07/07 23:48
- 名前: 〒... しあち。 ◆InzVIXj7Ds (ID: n6vtxjnq)
放課後、俺はセンコーに呼ばれて学校に残っていた。
外はもう夕日でオレンジ色に染まっている。いつもは直ぐに帰るから、こんな時間まで学校に居たのは初めてだ。
「あ〜、くそだりぃな」
愚痴りながら俺は図書室の前を通った。
ふと図書室の中を見ると、そこに女子生徒が居た。何も考えず、俺は図書室の中へ入っていった。
そこに居たのは、クラスメイトの倉地だ。
「って、寝てんじゃんか」
倉地は書きかけのノートの上で寝ていた。その寝顔がとても綺麗で、可愛くて……。
俺は無意識のうちに、倉地の頬に触れようと手を伸ばしていた。
「ん……」
触れるか触れないかくらいで、倉地が身じろいだ。俺は慌てて伸ばしていた手を引っ込める。
暫く様子を窺っていたが、起きる気配は無かった。
俺はカバンを持って直ぐ様図書室を出た。
早歩きになるにつれて、早くなる鼓動。
「くそっ、何だってんだよ……」
顔が赤いのは 夕日の所為。
■ 思わず触れてしまいそうになった
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青春。
ToP>>000
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