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こぼれた星屑の温度 (短編集)
日時: 2014/09/15 13:35
名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: ikPsPKC4)

花鳴り様よりステキなお題お借りさせて頂きました。
感想、アドバイス等書いて頂けるととても喜びます!
ぜひぜひお願いします(*`u´*)

(12/15 執筆開始)

_______短編集_______

大人なフリと知らないフリ:>>1>>4-6 完結

見つめあう世界の途中:>>7-9 完結

彼女が天使だったころ:>>10>>13-14>>17-19 完結

魔法の言葉も知らないくせに:>>20-21

_______短編集_______

のんびりと更新。

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Re: こぼれた星屑の温度 (たんぺん) ( No.13 )
日時: 2014/01/18 22:18
名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: 1j9Ea2l5)
参照: 男の子視点で書くのって難しい

「あなたまで、橘さんなんて呼ばないでよ。小さい頃からの仲なのに」
「……そうだね、ごめん」
「謝らないでよ。私が悪いみたいでしょ」
「ごめん。……あ、ごめん」
「もう、だから謝らないで」

言ってから歩く足を止めた彼女は、眉をキュッとひそめてこちらを睨んでいた。つられて僕も足を止めたが、先程の彼女からは想像もつかないほどに、表情は不機嫌そのものである。コートを染みとおってくる冷気と彼女の険悪な顔つきに、僕の身体は小さく震えた。
建物を映す濡れた道路沿いに立ち止まる彼女は、一向に動こうとはしなかった。何か言いたげな瞳でこちらを見たかと思うと、その尖った口を開いて言った。

「ねえ。さっきのことなんだけど、何であんなこと言ったの」
「あんなこと?……ああ、課題の?」
「そう。余計なこと言ったよね。すごく迷惑だった」
「……橘は、なんで言い返さないんだよ。人の課題押し付けられて、嫌だろう?」
「全然。むしろ嬉しいよ。あの時の彼女たちの顔、見たでしょ? すごく笑顔だった」

ああ、私嫌われてないんだなって、思える。彼女はぽつぽつとそう言葉を零した。

「まだそんなこと、言ってるんだね」

僕がそう返すと、彼女は決まりの悪そうな顔で俯いた。

Re: こぼれた星屑の温度 (たんぺん) ( No.14 )
日時: 2014/01/18 23:34
名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: 1j9Ea2l5)

「高校に入ってから、変に人目を気にするようになって……」

瞼を閉じてそう言った彼女の声は、微かにではあるが震えていた。その気持ちは隠しようもなく表情に表れている。さびしそうな影がちらちらと彼女の頬の辺りを掠めていた。

「何か、あったんだろう? あいつらに何かされたとか」
「ううん、別に何も。ただ————」

言いかけたところで、彼女は言葉を飲み込んだ。思い直すようにして口をつむいでいる。僕に対しては、いつもなら口がだるくなるほどよくしゃべっているくせに。今の彼女の姿は、まさに先程の生徒らに接する時のようにはっきりとしない、ただただ柔らかい微笑みを浮かべるだけのものである。
彼女は本来の自分の姿を押し殺していた。僕の目にはそう映っているし、昔から彼女のことを知っている人からみてもそうであろう。こうまでも変わってしまったきっかけは分からないが、彼女のことだからきっと、精神的に傷つくような出来事があったのだろう。彼女の心は意外にもナイーブなのだから。

Re: こぼれた星屑の温度 (たんぺん) ( No.15 )
日時: 2014/01/19 01:30
名前: 御子柴 ◆InzVIXj7Ds (ID: qNIh9ax1)



初めまして、御子柴と申します^^
題名に惹かれ、そして『たんぺん』という文字を見てお邪魔させて頂きました。
短編好きの私には堪らない素敵な短編ばかりで、読み耽っちゃいました。
描写が分かり易く、読み易いです(*´`*)
私も短編を書いているのですが、描写が酷くて酷くて……。
尊敬します。

同じ短編書きさんとして応援しております。更新頑張って下さい^^
それと、誠に勝手ながら私のスレのTOPにてタイトルとお名前をお借りしました。
それでは失礼しました。


Re: こぼれた星屑の温度 (たんぺん) ( No.16 )
日時: 2014/01/19 16:33
名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: 1j9Ea2l5)

御子柴さんへ、

初めまして!
ぶー子と申します((〃)'v'(〃))
お褒めの言葉ありがとうございますうう感激です泣

私すぐにあきちゃうので、長編はなかなか書き切れなくて…
短編、ちゃんとお話まとまってるか心配だったんですが
そういっていただけて良かったです泣泣
タイトルも褒めてくださってありがとうございます!
とても綺麗な言葉だったので、お題お借りしたんです(笑)

あの、御子柴さんのスレの名前記述については
御子柴さんの小説の方でお返事書かせてもらいます!

ステキなコメントありがとうございました!

Re: こぼれた星屑の温度 (たんぺん) ( No.17 )
日時: 2014/01/22 20:29
名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: 1j9Ea2l5)
参照: 思うように書けない…う゛う゛

けれども傷つきやすいわりには人当りが強く、鉄板みたいに無神経である。何とも面倒くさいものだ。 

「君がそんな調子だと、僕の調子も狂う」

僕にだけは平然とした顔で、ぼろぼろと強い言葉を吐き出す。そんな彼女のままでいてくれないと、僕も彼女に対していつも通りに接すことなどできない。いつも通りの、彼女のことが少し嫌いな僕で、いられない。彼女が、本来の繊細で融通の利かない、お堅く無神経な部分を見せられる相手は、恐らくではあるが、僕ただ一人であろう。だからなのか、尚更、彼女にはせめて僕の前でだけでも良い、本当のありのままの姿でいてほしい。そう、思う。
彼女は俯いたままスッと手を伸ばし、壊れやすい宝物のように僕の手をそっと握った。

「誰かから嫌われるのが、恐くてたまらない」

彼女のか細い声が僕の鼓膜を震わせた。僕が聞きたいのは、嫌われるのを恐れるようになったきっかけであるが、このまま話に踏み込んだとしても彼女を傷つけてしまうだけだと思う。だから僕は、一つ一つの言葉を大切に選びながら言った。

「僕は、橘のことが好きかと聞かれたら、多分、嫌いって答える」

僕の言葉に、彼女は伏せていた目をこちらに向けた。


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