コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- こぼれた星屑の温度 (短編集)
- 日時: 2014/09/15 13:35
- 名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: ikPsPKC4)
花鳴り様よりステキなお題お借りさせて頂きました。
感想、アドバイス等書いて頂けるととても喜びます!
ぜひぜひお願いします(*`u´*)
(12/15 執筆開始)
_______短編集_______
大人なフリと知らないフリ:>>1>>4-6 完結
見つめあう世界の途中:>>7-9 完結
彼女が天使だったころ:>>10>>13-14>>17-19 完結
魔法の言葉も知らないくせに:>>20-21
_______短編集_______
のんびりと更新。
- Re: こぼれた星屑の温度 (たんぺん) ( No.3 )
- 日時: 2013/12/15 22:46
- 名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: 1j9Ea2l5)
- 参照: 冬鍋さいこー!太るけど。
きこさんへ、
ありがとうございますううう!((泣))
神文とかファンとかもうそんなとんでもございません…
けどめっちゃ嬉しいですありがとーございます泣泣
きこさんもお題使われてるんですね! わたしも頻繁にお題使ってます!
じゃないと物語のアイデアが浮かばないんですよね…
とにかくステキなご感想ありがとうございました(*'u'*)
きこさんの小説にもお邪魔させていただきますね!
- Re: こぼれた星屑の温度 (たんぺん) ( No.4 )
- 日時: 2013/12/17 00:10
- 名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: 1j9Ea2l5)
- 参照: さむすぎ
昔から、彼はそんな瞳をしていた。私にイタいところをつつかれると、ムスッとした顔でこちらを睨む。けれども反論なんて一度もされたことが無かった。この、口だけは達者である私に口論で勝てるわけがない、と悟っていたからかもしれない。そして年下であるはずの私のことを、彼は妙に恐れていた。
とにかく彼は、彼だけは本当に、今も昔も変わらない。への字に曲がった彼の口がそれ以上言葉をこぼすことはなかった。重苦しいわけでもない短い沈黙が、私と彼の間を流れてゆく。
「まだ大学生のくせに」
ぽつり、と雫がおちるようにそう呟いたのは私である。彼は、うるせーな、と言葉を返したと同時に、私から視線を逸らした。眉間の皺は一層深くなっていった。ああ、すっかりご機嫌斜めだな。
「でも私もまだ高校生だから……二人ともそう変わらないよ」
ガキ同士だね!そう声を張り上げて付け足した。彼は私の言葉を流そうとするかのように、再びコーヒーカップに口をつけた。
「でも、大学生になってから変わったよね」
「……俺が? どう変わったんだよ」
ちらりと視線をこちらに向けた彼は、どこか期待を含んだ目をしていた。
「うーん、私のことをよく“ガキ”って言うようになった」
「……それだけか」
呆れたように笑う彼の吐息からはコーヒーの香りがした。大人な雰囲気なんてしない、と言えば嘘になるけれども、彼にコーヒーなんて似合わない。まだ子供だもの。
- Re: こぼれた星屑の温度 (たんぺん) ( No.5 )
- 日時: 2013/12/17 00:08
- 名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: 1j9Ea2l5)
「とにかく。俺は大人なフリをしてるんじゃなくて、大人なんだよ。それに、大学生と高校生っつったら結構な差だろう。高校生はまだガキだ」
彼が口を開く度にコーヒーの香りが鼻にまとわりつく。そして一旦まとわりついた香りはなかなか離れてなどくれない。ついさきほどまではたいして気にならなかったはずなのに。
「口、コーヒーくさいよ」
思わずとびだした言葉がそれだった。彼は一瞬目を丸くして口を押えたが、動揺を隠すように声を出した。
「そういうところがガキなんだよ。大人はちゃんと空気よんで発言すんだよ。お前の今の発言は、全っ然空気よんでないだろうが」
彼の説教くさい言葉にうなだれた。幼馴染の間柄でも、空気をよんで発言するべきなのであろうか。そんなの息苦しいに決まっている。親しき仲にも礼儀ありって言葉もあるくらいだけれど、少なくとも、今の私には空気をよんで発言するということができないのかもしれない。ただし、彼に対してのみだが。
「分かった分かった。私はガキだよね、はいはい。なんかもう、面倒くさい」
空になったコップに目をやり、店員さんにオレンジジュースのおかわりを頼む。もう、私だけがガキでもいいや。彼は大人、私は子供。もう、それでいい。
「何だよ、めずらしい。いつもならずうっと否定してくるくせに」
得心のいかないような顔で彼はこちらをみた。
特に理由なんてない、ただの気まぐれである。今日はなんとなくこのデジャヴのようなやりとりが面倒になっただけで、心から自分自身をガキと認めたわけではない。それに、ガキは彼の方だということを、私は知っている。彼が私を子供扱いする理由も、私を恐れている理由も、大人のフリをする理由も、すべて、分かっている。
- Re: こぼれた星屑の温度 (たんぺん) ( No.6 )
- 日時: 2014/01/18 19:33
- 名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: 1j9Ea2l5)
けれども今はまだ、知らないフリで通しておこうかな。
彼はやっとの思いで飲み終えたのであろうコーヒーの味に顔をしかめている様子であった。やっぱり、まだガキだ。そう考えると思わず口元が綻んだ。
「何ニヤニヤしてんだ、気持ち悪い」
彼が軽蔑した顔でこちらを見るが、それを気に留めようともせずに私は席を立ちあがった。
「ありがとね、今日は。私みたいなガキなんかとデートしてくれて」
椅子に掛けてあったスクールバックを肩にかけてぺこりと頭を下げた私に、彼は深くため息をついた。
「だから……毎回言わせんな、これはデートじゃねえよ」
「はいはい、そういうことにしたげる」
彼のおごりで飲むオレンジジュースの味には、すっかり慣れてしまっていた。また誘ってね、なんて言いながら、制服のスカートを翻して私は出口へと向かっていった。
彼はきっと、私を恐れているのだと思う。今も昔も変わらず。私をガキにして、距離をとろうとしている理由も、それに繋がっているのであろう。
彼は、私に恋をすることを恐れている。ただ、それだけなのであろう。
/大人なフリと知らないフリ
おわり
- Re: こぼれた星屑の温度 (たんぺん) ( No.7 )
- 日時: 2014/01/17 21:47
- 名前: ぶー子 ◆gXRXzU/zlQ (ID: 1j9Ea2l5)
山積みにされたプリントを抱えながら、早足で廊下を渡ってゆく。もう、時間が無い。
「うう、……」
本来なら全力疾走をしなければならない位に時間は迫ってきているのだが、このプリントを抱えているものだからそうはいかない。出来る限りの速さで歩いてはいるものの、抱えるプリントの量は相当なもので、重く、足もとがおぼつかない。同じ委員である坂本君は、先生らに見つからないようにうまくサボっていて消息不明の為、私は誰にも助けを求めることが出来ずにいた。
今にも崩れてしまいそうな危ない足取りでいると、ふいに、後ろから肩を掴まれた。
「あっ、辻君」
ビクリとした私はおずおずと振り向いたものの、そこに立っていたのは同じクラスの辻君だったので、思わず顔が綻んだ。
辻君、このプリント半分持ってくれない?と頼むと、もちろんいいよ。となんの躊躇いもなく彼は返事を返し、私を手伝ってくれる。辻君と半分こにしたおかげで、足取りは先ほどとくらべて随分と軽くなった。
「ごめんね、重たいのに」
「全然大丈夫。そういう青柳こそ、重たかっただろ。酔っ払いみたいな歩き方してたぞ」
可笑しそうに笑う声を交えながら、辻君はそう言った。
「本当は、坂本君と運ぶ予定だったんだけどね……」
言ってから、胸に怒りの塊のようなものがじわじわとこみ上げた。そうだ、私は坂本君と運ぶものを、たった一人でせかせかと運んでいたのか。そう思うと、今までの自分自身の行動が滑稽に思えてくる。
ふう、と浅いため息を漏らす。すかさず辻君が私の顔を覗き込むようにして見た。
「大丈夫か? そんなに重いんなら、俺が全部持つけど」
まるで絹糸のような、そんな彼の柔らかい黒髪が微かに揺れているのが分かる。今、私の目の前で心配そうに声をかけている彼との距離が、思いの外、近い。油断するとお互いの鼻の先がくっついてしまいそうな、そんな距離でいる。無論、私は緊張のあまり、金縛りにあったかのように体が硬直していた。耳に熱が籠るような感覚がして、ああ、今私の顔は真っ赤なんだろうな、と悟る。
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