コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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××××、××××、×××××。
日時: 2014/09/06 17:44
名前: ファイトソング (ID: nnuqNgn3)

こんにちは。クリックさんきゅーです。

宣伝になっちゃいますが…

「君と一緒に。」って小説も書いてるんで、そちらのほうも是非!笑

タイトルは、
ばきゅん、ばきゅん、ばきゅーん。
て読みます。
って下っぽいですけど、違うんで!

色々意味があります!笑
その辺もうまく書いていけたらと思います。

応援よろしくお願いします。

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Re: ××××、××××、×××××。第四話 ( No.6 )
日時: 2014/10/16 16:02
名前: ファイトソング (ID: lU2b9h8R)

第四話 否定。

波羽side


「波羽ー!起きてきなさい!」

はー、うっせ。

「今日も行かないっつーの!毎回も言わせんな!」

「なんだ?!その口は!」

ダンダンダンッ
階段を駆け上がってくる音。
急いで、部屋の鍵を閉めようと立ち上がった。
が、遅かった。

「何つったってんのよ。」

私は大きくため息をついた。
それとほぼ同時に、ババアが髪をかきあげた。
イラつくとする仕草。
小さい頃は、大人の顔色を伺って生きていたからな…
ババアの昔からの癖は、よーくわかっている。

「私がどんな気持ちでアンタと接しているかわかってんの?」

「知らん。そんなもん。」

「アンタを子役の養成所に入れたのはなぜ?」

何で急にその質問?

「女優にさせるためー」

「はい、正解。」

「だから何?」

「女優にさせたいのに、歌手目指してもらっちゃ困るのよねー」

「はー?」

「今まで思い通りに育ってた子が急に反抗して、歌手になりたいだなんて…」

何が言いたいの?
私に女優になれって言ってるの?
私が…歌手になりたいって言うから、思い通りにならないから、そんなにありのままを否定するの?

「やめてよ!私は歌手になるんだから!」

「ダメよ」

「ふざけんな!」

「明日…」

「何?!」

「明日…ドラマのオーディションを受けてもらうから」

「はぁ?!」

絶対行かない!
第一、ここ一〜ニ年演技なんてしていない…
子役養成所は、小学校六年生でやめた。
それからは、家で演技するぐらいだっけど、次第に歌を歌うようになって…

「アンタには、才能があるのよ?!」

「知ってる」

自分の才能には気づいている。
養成所にいた頃、周りの子の演技が、自分の演技と比べてかなり劣っているように思えた。
オーディションで受かるのは、いつも私。
競う相手がいないから、つまらなくなって演技をやめた。

「アンタが演技をやめた理由は知っているけど、そのピカイチの才能を放っておくのは…私にはできない」

知らねーよ
…私は歌が好き…
だから、演技はしない。

「歌はやめない…演技はしない…」

「女優になって、それから歌手デビューすればいいでしょ?」

「嫌だ!女優兼歌手は嫌!私は歌手でありたいの!」

私はギターを持って部屋を飛び出した。
家を出て、
いつものあの場所へ…

涙が止まらなかった。
自分を否定されることは、
こんなにも、辛いんだ…

Re: ××××、××××、×××××。第五話 ( No.7 )
日時: 2014/10/15 19:04
名前: ファイトソング (ID: nnuqNgn3)

第五話 一緒にいて。

波羽side

いつものように、歌った私。
感情のこもっていない歌を歌った。

これっていつも通り?

「なぁ…大丈夫?」

帰る準備を整えた時、声をかけられた。
顔を上げると、あの人の顔があった。

チャラそうな、でも毎日来てくれている大事な大事な人。

「え…と」

目を合わすことができなかった。
見透かされているような気がしたから。

「今日なんかあったっしょ」

やっぱり…

「いえ…」

「それ、目ぇ見て言ってくんない?」

私は顔を上げた。
そして口を開く。

「何も…」

「何もありません」そう言いかけた時、涙が溢れた。
止まらない、どうしても。
必死に手で拭うけど、そんなのは全くの無意味で。

ぎゅっ…

私は不意に、あたたかいものに包まれた。

あ、
音楽に似てる…
ふわって、一瞬であたたかくなる。
抱き締められるってこんな感じなんだ。

「辛いなら何も無いって言うな。誰かを頼れ。誰もいないなら、俺を頼れ。」

更に涙が溢れた。
そんな優しい言葉…私には勿体無いよ…

「私は…誰かに頼らなくても大丈夫です。」

こんな嘘…ばれちゃうよね…
でもね…私は一人でいなきゃいけない。

「嘘つくな…今は俺を頼って?」

名前も知らない人なのに私はなんでこんなに心を開いているの…?
私に、人を頼る資格なんてないのに。
頼るってことは、必然的に過去を話さなければいけないって思うんだ。
そんなのはだめ…

「…私は、誰も頼りません」

「頑固だな…本当に頼らないのね…?」

すっと離れる体。
でもまだあたたかさだけは残っていた。

「…じゃぁね」
そう言って彼は、私に背を向け歩き出した。

「ちょっと待ってください…」

無意識のうちに出ていた小さな声。

「ん?」

振り向く顔。優しい表情が目に映る。

「今日だけは…今日だけは一緒にいてください。」

「うん」

そう言って微笑んだ。


どうか…
今日だけは…



身勝手な私を許してください。

Re: ××××、××××、×××××。第六話 ( No.8 )
日時: 2014/10/18 10:17
名前: ファイトソング (ID: 0exqyz.j)

第六話 噴水。

波羽side

すっかり日が落ちた。
私の手を握りまっすぐ前を向いて歩く、名前も知らない人。

第一印象は決して良く無くて、どこか警戒していた人なのに…

…その背中にすがりたい自分がいる。

「あの…」

「ん?」

ピタリと足を止めた。

「名前は…」

「んぁ…言ってないっけ?俺の名前は、けい。」

振り向きざまにちょっと笑って答えた。
けい…

「お前は?」

「あ、私は…波羽です。」

「な…わ…」

眉間にシワを寄せたけい君。
あれ?どうしたんだろう…

「どうしました?」

「なわって俺の姉ちゃんと同じ名前!」

「あ、そういうことですか」

「めっちゃ怖い姉ちゃんでさー、なわって聞いて姉ちゃんのこと色々思い出しちゃった。」

へー、怖いお姉さんかー…
だから眉間にシワが。
でもいいなー。
妹弟仲良さそう…
だって、今のけい君の顔最高に楽しそう。

「あ、そういえば…」

私の肩にかけたギターケースを自分の肩にかけ、
思い出したように走り出したけい君。
もちろん手は繋がれたままだから、私も必然的に走らなければいけない。

はやいよー…!

ここはどこだろう…
ふと周りを見渡した。
この街にこんな通りがあったんだ。
可愛い雑貨店が並んでいる。

「ねぇ…まだ…?」

「もーちょい!」

なにも考えないで俯いて走った。



ゆっくりと足を止めるけい君。
「見て?」

顔を上げるとそこには小さな噴水があった。

「噴水?」

「うん。でもただの噴水じゃないよ…中を見て?」

ゆっくり近付いて中を覗くと、そこには小さな海底都市があった。
すごい…
サイズからして人の手で作られた都市。
確かにそこには街がある。
私は、声も出ないぐらいに驚いた。


「よく見てみ?ほら、ここ。」

けい君の指の先を見ると、そこには可愛い親指くらいの熊のぬいぐるみが沈んでいた。

なんで熊のぬいぐるみ…?

「これはね、人間への暗示なんだよ。」

「どういうことですか?」

そう言うとけい君は優しい口調で話し始めた。

「人間は人間に危害を加える生物を殺す。
それなのに、その生物と同じ種を動物園で展示するんだ。
可愛い可愛いって言ってね。
だけど、野生にかえると人は冷たい目で生物を隔離する。
ここに沈んだあの熊は可愛い可愛いって言われた生物であり、野生の生物なんだ。
この世界を支配しているのは人間ではないんだよ。
自然なんだよ。
だから人間に生物の生死を決める資格は無いハズだ。
食べもしない、毛皮にもしない。ただ、怖いから殺す。
人間は間違っているよ。
この地球を変えてしまった人間の汚さをこの熊を沈めた人は示しているんだ。」

「海底都市は?」

「これは地球温暖化で沈んだ都市だよ。
これも、人間のせいで沈んだんだ。
人間が地球温暖化を引き起こした。
住みやすい地球にしたくて、便利な物を作った。
環境のことを考えずにね。
地球温暖化を引き起こしたせいで海面は上昇。
人間は自然の物で自然が住処なのに自分たちでそれを壊したんだ。
自分を沈めて行く愚かな人間。
でも、今更逆らえない。沈んで行くのを待つしかないんだ。」

凄く深い話だ…
そうやって話を聞いた後だと、この噴水が凄く残酷な物に見えてくる。

「♪♪♪♪♪」

私は自然と鼻歌を歌っていた。
知らないメロディー。
でもずっとからだの内側にあったかのような…
…懐かしくて泣きそうになるメロディー。

「曲…できそう?」

「うん…!不思議な感じ…メロディーがどんどん降りてくる…」

「良かった。」

けい君は全てわかっていたかのように微笑んだ。

Re: ××××、××××、×××××。第七話 ( No.9 )
日時: 2014/10/18 10:11
名前: ファイトソング (ID: KBFVK1Mo)

第七話 苦笑。

波羽side

「どうしよっか」

けい君はそう言って噴水を見つめた。

「…」

「俺ん家くる?」

いいの…?
でもそんなの迷惑だよね…

「…」

「全然迷惑じゃないからおいで?」

心、読まれてた…
断れる雰囲気でもなくて…
それに、私が今はけい君といたい…

「…はい。お邪魔します」

そう言っていた。

「おけ。ここからすぐだから。」

再び私の手を握り、歩き出した。
冷たい風が頬をかすめるけど、繋がれた手の温もりが体温を一気に上げた。


「ほい、着いたよ」

大きな一軒家がそこにはあった。

「…大きいですね」

「そうか?あ、言い忘れてたけど、俺一人暮らしだから。」

一人暮らし?!この家に?!

「入って。」

中に入ると、広い玄関が待っていた。
そして、長い廊下。

「…お邪魔します」

靴を脱いで、けい君に着いて行く。

「じゃぁー…ここで曲作りしてね。」

けい君が案内した部屋には、色々な音楽機材がおいてあった。

「すごい…」

「じゃ、使ってね?」

そう言ってどこかに行ってしまった。

なんで家にこんな部屋があるの…?

私はその部屋のソファーに腰掛けた。
あ、そういえばギターどこ?
けい君がずっと持ってくれていたけど、
ギター持ったままどこか行っちゃった。

「ギター無いと曲作れないよー…」

私はその部屋を出てけい君を探した。
広くてどこに行けばいいかわからない。
でも、とりあえず歩いた。

リビングとかかな…

なんとかリビングにたどり着いて、けい君がいないかと探した。

「それにしても広いなー…」

♪♪♪♪♪♪♪

どこからか聞こえる音…
これ、私のギターの音だ。

音のする方へ進んだ。
リビングじゃなくて、その奥の小さな部屋から聞こえる。

がちゃ

扉を開けた。

「あ、ごめん。ちょっと直してた。」

「そうですか。で、どこ直してたんですか?」

「音響が気になってね?」

「直せるんですか?」

「うん、親に習ってたから。」

「親…?」

「親ね、歌手なんだよ。」

「へぇー!」

「知ってるかな…ローマ字のKってかくバンドなんだけど…」

K?!ってあの?!

「え…けい君の両親って、ヴォーカルのmeyとギターのhayですか?!」

「よく知ってるね。」

だからあの部屋が…

「…はい、直ったと思うよ。弾いてみ?」

「はい…」

♪♪♪♪♪♪♪

ぅわ…すごい。
全然違う…

「ありがとうございます」

「うん。…実は俺、歌手になれって言われてんだよ…」

「え。」

けい君は苦笑した。
私とは全然違う、恵まれた環境にいるのに。

なぜか…

困った顔をしたんだ。

Re: ××××、××××、×××××。第八話 ( No.10 )
日時: 2014/11/08 17:27
名前: ファイトソング (ID: wGslLelu)

第八話 新曲完成。

譜面に自然と溢れてくるメロディーを書いて行く。
ギターの音色と私の声はは小さくこだましているように耳に残る。

「できた…」
あっという間だった。
こんなに早く曲を仕上げたのは始めて。
不思議と達成感も無く、なのに心残りも無い。

がちゃ
少し扉を開けて隙間から顔を覗かせるけい君。
なんか可愛くて、くすっと笑った。

「できた?」

「おかげさまで。」
それは良かった、と満面の笑みで私を見た。

「聞きたいな。」
中に入って私の前の椅子にちょこんと座るけい君。
少し照れながらもギターに手をかけた。

「ヘタクソですけど…」

「ん、ありがとう」


さっき完成したばかりの譜面を見ながら弾き始める。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

「♪だって、だって、だって…一緒にいるって。
小さな月。見てよ。ほら?二人の影。
知っているよ。こうすれば。ね?繋がっている。
弱い手を握った終われない夜。
uh…君と過ごせたらな。
こんなに辛く生きてたかな。
あんなに温かい気持ちは
君とともに消えてたの。
また、逢えるかな。
また、言いたいな。
また、君と…uh…
逃げて、逃げて、逃げて…一緒にいること。
大きな海。行こう。ほら?二人だけ。
絶対だよ。こうしよう。ね?忘れないで。
強いメを見つめた終わらない夜。
uh…君と過ごせたなら。
こんなに強く生きてたかな。
あんなに泣いてた気持ちは
君とともに消えてたの。
また、逢おうよ。
また、言おうよ。
また、君を…uh…
過去に変えられること。
過去に流されてたこと。
今、自分と歩み出そう。
いつか、君と愛してる。♪」

歌い終わり、顔を上げると号泣しているけい君がいた。
あ…
あの時と一緒だね。

「泣かないで下さい笑」

「ん、感動…しちゃった…へへ」
けい君は涙を拭いながらも、笑っている。
その姿にちょっとだけ胸がきゅうって締め付けられた。
戸惑ったけど、すぐに無かったことにした。

「…ふふ。けい君があの噴水を見せてくれたから…この曲が作れました。」

「それは良かった。…あれ?でも今のってラブソングだったよね?」

「でも人間のじゃないです。」

「どゆこと?」
戸惑いがちに首を傾げて私にそっと問いかける。

「絶滅危惧種の動物の気持ち?ってゆーのかな…」

「…うん。説明して?俺がわかるのは…
最後の二匹?ニ頭?…ってわけだよね。その二頭はオスとメス。
メスが〝君〟最後の〝自分〟がオス、ってことぐらいかな。」

「はい。…こんなに広い地球で同じ種のたった二頭がめぐり逢う。そんな奇跡が起こった。そして愛し合う。これで絶滅しないはず。なのに、メスは子供が産めなかった。動物は自分達が最後の二頭だとは知らない。わからない。
まだどこかにいるかもしれない子供の産める違うメス。それをオスは探そうとはしなかった。
そこには愛があったから。オスとメスはそれぞれの時間を愛のために使う。
メスは先に死んでしまうけど、オスは死んだメスのために頑張って生きていく。一頭しかいない自分と、歩き出す。ってことです。」

「…深いね…」

そう言ってけい君はまた涙を流した。

新曲完成。
何か世界が変わる気がした。


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