コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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あの日
日時: 2015/11/04 14:56
名前: 顔無し@ (ID: jAa55n87)

真夏の暑い日差しに視界が歪む。

鳴り止まない蝉の声。人の声。

皆煩くて大っ嫌いだ。

今日の空だってーーーーーーーーーーーー。

雲一つ無い空は、僕に何も与えてくれない。

ー知ってるんでしょう?僕のこと、何もかも。ー

「ああ、知ってるよ。何もかも、みーんな」

そんな事を一人呟いては、また消える。

こんな日々にーーーーーー意味なんて。

手に持って生温くなってしまったコーラを一気に飲み干した。

なるべく遠くへ。誰も、僕を知らない場所へ行かないと。

さっき飲み干したペットボトルをぐしゃりと潰した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
自己紹介遅れました!

はじめまして……?の方が大半だと思います。

普段は違う名前で、シリアス・ダーク小説で書かせてもらってます、顔無し@です(。-_-。)ヨロシクオネガイシマス!

いつも暗い…というか、重い感じなので、今回は初めてコメディ・ライト小説に挑戦!!

明るい感じの小説を書いてみたいなーって思ってスレ立てしました!

でも、書いてみたらーーーー。

《全然明るくないじゃん(笑顔)》ってなりました……。

こんな私ですが、よろしくお願いします!

○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○

《訪問者》

*のれり様
著書:Amnesia

*まみむ めも様
著書:中1ですか?澪さん!

*碧様
著書:君が居なくなった八月。

*はるた様
著書:I live with ヴぁんぱいあ。








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Re: あの日 ( No.58 )
日時: 2015/09/04 08:34
名前: 顔無し@ (ID: 6tDnREag)


ご飯の時間だと言われていつも通り食卓に座った。

祖母と僕、そして妹。そして、かつて祖父が座っていたであろう空椅子は、美月によって埋められていた。

祖母は、加那葉が家に来たときみたいに豪華な夕食を作っていた。

ビーフシチューに可愛らしくハートや星の散りばめられたサラダがあった。

「お婆ちゃん、洋食作れたの?」

食事中、あまりにも沈黙が続いたので、僕は話を切り出した。

祖母はいつも、和食しか作らない。

たまに、洋食を頼めば作ってくれるけど。

「美月ちゃんが洋食が好きだって言ったからね」

祖母が美月を見ると、美月はこくりと頷いた。

今更だが、何故美月が僕の横に座っているんだろう。

気まずくて、夕食はうまく喉を通ってくれなかった。

ビーフシチューは味がしない。

どっちかというと、そうなるはずなのは美月なのに、美月は平然として祖母や加那葉と楽しく話しながら食べていた。



Re: あの日 ( No.59 )
日時: 2015/09/08 10:43
名前: 顔無し@ (ID: 4pC6k30f)

食事が終わると、僕は部屋に戻り、8時にはベッドの中に入っていた。

美月はもう夜遅くになってしまったため、女の子を一人では返せないと祖母が言うので泊まる事になった。

美月は、加那葉の部屋で泊まることとなった。

二人はまだ寝ないのか、女子特有の恋バナというもので盛り上がっているらしい。

廊下のほうから、きゃっきゃと楽しそうな笑い声が聞こえる。

僕は眠くはなかったけど、目を瞑って今日のことを思い返していた。

…そうだった。僕は、ここの人じゃないんだ。

だって…。美月は、本当の美月は…。

とても幸せな夢だと思う。

また、美月と一緒に過ごせて、こうして笑ったりして。

でも、これが現実でないことは、わかってる。

時々忘れてしまうけど、これは素敵な夢。

そう考えると、不意に虚しさが襲ってきた。



Re: あの日 ( No.60 )
日時: 2015/09/16 08:29
名前: 顔無し@ (ID: mextbE/J)


「おはようございまーす…?」

どこか聞き覚えのある声で目が覚めた。

目を開けると…真っ白…?

そうか、ここはーーーーー!

「マキッ」

「はっはひぃ!?」

ガバッと起き上がり、辺りを見回す。

ただっ広くて、真っ白な世界。

「そ、そうだ!キラは…?」

「さぁ?というか貴方、元気ですね。まさかとは思いますが、リセットしたからって美月ちゃんに手出したりしてないですよね…?」

その言葉に、顔が真っ赤になる。

何故か不意に、やばいやばいと同様している自分がいた。

顔が熱い…。早く答えなきゃ…。

「…する訳ないだろ」

声が引きつってしまって、余計誤解を生んでしまいそうな予感は当たってしまった。

「何なんですか、その、間」

「いや、これは…」

「乱用はいけませんよ…」

そう言ってマキはドン引きしたような目でこちらを見てきた。

でも、僕は何かやらかしてしまったような気がする…。

と、思い出しかけてまた赤面した。

マキの視線が冷たい…。

そういえば、マキに最初に会った時もこんな感じだったな、なんて思いながら。

「な、何考えてるんですか!?そんなにやにやして!」

「いや、マキがそんな言い方するから僕が犯罪者みたいになるんだけどね」

マキに久しぶりに会って、何だかまた、あの日に戻ったみたいだった。

熱中症に倒れた僕の前に現れたのは自称美少女だったなんて、夢のまた夢だけど。

まぁ、そうかもしれない。僕はきっと、長い長い夢を見ているんだ。

そう思うと、何だか微笑ましかった。

こんな幸せな未来は存在しないのに、だからこそ、こんな未来があったらな、と求めてしまう。

「…どうしたんですか?」

マキが僕の顔を覗き込んだ。

「ううん。何でもないよ」

「…変な人ですね、貴方って。では、私はこれで失礼します。私、ずっと見てますからっ!」

僕は、この時何も気付けなかった。

マキの言葉の意味も…、笑顔に隠された複雑な思いも。

マキが手を振る。それと同時に、真っ白な世界が遠ざかっていった。

Re: あの日 ( No.61 )
日時: 2015/11/06 14:14
名前: 顔無し@ (ID: kDko/hPR)

いつの間にか参照800突破感謝です!

ーーーーーーーーーーーーーーー


眼が覚めると、僕はショッピングモールを抜けた所にある田圃道にいた。

近くには、ぐしゃりと潰れたコーラの残骸。

……あれ、全部夢だったのか?

「あぁ、やっぱりそうだよな……」

僕は熱中症で倒れていたんだ。

長い長い夢を見ていたんだ。

そう思うと、無性に可笑しくなって笑った。

長い長い夢だった。あれが現実だったらってーーーーー。何度も思ってしまった。

美月に会えたのに……せっかく会えたのに……。

何も言えずに、何も出来ずに、ただ昔に戻ったみたいだと浮かれていた。

「まったく、夢なら夢で、罪償いくらいさせてくれよな」

「罪償い?」

その声は……。

「美月?」

そこには、セーラー服姿の美月の姿があった。

美月は不思議そうな顔をして、うん?と言った。

どうやら、神様は僕にまだ時間をくれるらしい。

「行こう。遥くん」

そう言って差し出す美月は眩しくて。

僕には勿体無いくらい綺麗で。

僕は黙って美月の手を取ったんだ。

何もかも知っている中で、わかりきった未来に進んでいくことはとても残酷なことだ。

それでもーーーーー君と一緒にいたい。

そう思ってしまう自分は、ずるいですか?



全てを知ってしまった今、君にできることはないかもしれない。

でも……せめて、せめて夢の中だけでも、君を救いたい。




「……っ美月!」

「何?早く学校行かないと遅刻しちゃうよ?」

「うん、あのさ」

「新学期早々遅刻は嫌でしょ?」

”新学期”この言葉が胸に刺さって抜けなかった。

いつの間にか夏休みが終わり、二学期の始まりに来ていた。

心臓がどくんどくんと高鳴る。

この新学期は、地獄の始まりだ。

君の笑顔が消えた日。僕は、よく覚えている。



ーーーーー四年前。

それは、僕がまだ中学一年生の二学期のこと。

僕には友達1人いなかった。

僕は、小学生の頃と同様、”空気”だった。

足を踏まれるのも、肩パンも当たり前。

今思うと物凄く自分が可哀想に思える。

これが、いじめに入るのか否かはわからない。

ただ、誰も干渉してこないのは楽だった。

ぶつかったりされるくらいなら、もう慣れていたから何ともなかった。

たまにいじめられている子を見て可哀想だと思ったが、お互い干渉しないでいた。

いじめられている子にとっても、僕は空気なのだ。

とくにすることもなく、1人読書をしていた昼休み。

僕に声を掛けた悲劇のヒロイン。

ーーーーーそう、美月だった。

「何読んでるの?遥くん」

転校してきたばかりで友達も少ないだろう。

それに、僕がバケモノだということもしらない。

この教室で、僕が空気なのも。全て。

何も知らずに、美月は自ら深い沼の中へ落ちていったのだった。

僕は小声で美月に僕から離れるよう指示した。

周りがざわついている。この瞬間、今だけは僕が空気ではなくなっていた。

美月はきっとまだ、僕しか友達がいないはずだった。

夏休みに出会ってから、僕らは意気投合し、度々会っていた。

僕なんかが友達と呼んでいいのかわからなかったけど、僕は美月を初めての友達だと思っていた。

きっと、美月もそうだ。慣れない環境のなか、初めて話した男子生徒。

僕達は、友達になれない友達。

「僕といたらだめだ」

小声で言うと、美月は首を傾げて、どうして?と返した。

その目はいかにも悲しげだった。

僕を真っ直ぐ見る目。真っ黒な瞳。

そんな目で見られたら、どうしたらいいのかわからなくなった。

「転校生のやつ、空気と付き合ってるんじゃね?」

誰かが、ちゃらけてこんな言葉を吐いた。

その、一言で。その一言で、僕のクラスだけでなく、周りのクラスにもこの噂は広まった。

僕は、バケモノ。知らずに空気と見なしている人が大半だけど、皆が避けている=何かヤバいやつ認識のこの世の中だ。

美月は、何かヤバいやつに話しかけているヤバいやつ認識となってしまった。

転校生だから、知らないから話しかけたんだ………なんて言葉を吐くものはいなかった。

瞬く間に「美月という転校生はヤバい人だ」という噂が広まった。

集団行動。普段ならしてもみないくせに、こういう時に限って皆一となって団結する。

美月は、新しいいじめのターゲットとなってしまった。




地獄の昼休みか終わり、僕は1人で掃除をしていた。

1階から3階までの階段の掃き掃除。

誰も残らない為、僕一人で掃除する羽目となった。

まぁ、いつものことだけど。

その時、4階の旧校舎から啜り泣くような声が聞こえた。

普通なら、走っていくようなことはしない。

だけど、その声はーーーーー

「美月!」

美月の声だったから。

美月は振り返ると、また泣き出した。

「何で、遥くんとしゃべっちゃいけないの?ねぇ……何で?」

次の日から美月は、悪口を言われる空気になった。

誰かも知らないくせに、美月の名を乱用して悪口を言ってストレスを発散しているものも言えば、暇つぶしにそれで盛り上がっている者もいた。

僕は、何も出来なかった。

ただ、美月の悪口を聞いて、腹を立てて、放課後、屋上で二人で話すことを繰り返していた。

つまらない世の中に生まれてきた事。

何を、どれだけ話しても、変わらない未来の事。



















Re: あの日 ( No.63 )
日時: 2018/06/28 08:34
名前: 顔無し@ (ID: jwkKFSfg)


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