コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- あの日
- 日時： 2015/11/04 14:56
- 名前： 顔無し@ （ID: jAa55n87）
真夏の暑い日差しに視界が歪む。
鳴り止まない蝉の声。人の声。
皆煩くて大っ嫌いだ。
今日の空だってーーーーーーーーーーーー。
雲一つ無い空は、僕に何も与えてくれない。
ー知ってるんでしょう？僕のこと、何もかも。ー
「ああ、知ってるよ。何もかも、みーんな」
そんな事を一人呟いては、また消える。
こんな日々にーーーーーー意味なんて。
手に持って生温くなってしまったコーラを一気に飲み干した。
なるべく遠くへ。誰も、僕を知らない場所へ行かないと。
さっき飲み干したペットボトルをぐしゃりと潰した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
自己紹介遅れました！
はじめまして……？の方が大半だと思います。
普段は違う名前で、シリアス・ダーク小説で書かせてもらってます、顔無し@です(。-_-。)ヨロシクオネガイシマス！
いつも暗い…というか、重い感じなので、今回は初めてコメディ・ライト小説に挑戦！！
明るい感じの小説を書いてみたいなーって思ってスレ立てしました！
でも、書いてみたらーーーー。
《全然明るくないじゃん(笑顔)》ってなりました……。
こんな私ですが、よろしくお願いします！
○＊○＊○＊○＊○＊○＊○＊○＊○＊○＊○
《訪問者》
＊のれり様
著書:Amnesia
＊まみむ めも様
著書:中1ですか？澪さん！
＊碧様
著書:君が居なくなった八月。
＊はるた様
著書:Ｉ live with ヴぁんぱいあ。
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- Re: あの日 ( No.43 )
- 日時： 2015/08/02 21:15
- 名前： 顔無し@ （ID: aR6TWlBF）
「美月…？」
そこには確かに、浜村美月(はまむら みつき)の姿があった。
「え、はい。美月ですけど…。何処かでお会いしましたか？」
美月は、首を傾げていた。
まるで、初めて会う人に名前を知られているような、そんな不思議な気持ちが、彼女から読み取れた。
本当の、本当に過去に戻ったのか？
そう聞こうとも、肝心のキラが居ないのだから、どうしようもない。
「あの…緑ヶ丘高校は…」
「え。ああ、ごめん。案内するよ」
美月が今、隣にいる。
それは、僕が望んでいたことなのに、泣きたくなるのは何故だろう。
嬉しい。僕は彼女に、会いたかった。会って、謝りたかった。
もう会えないから、命に代えて償おうと思った。
なのに…。今謝っても、美月はきっと、何もわからないだろう。
知らない人なんだ。今の僕は。
未来を見ている僕に、また同じことを繰り返せとでも言うのか？
それを知っていて…そんなの、あんまりだ。
僕らは、黙ったまま歩いた。
未来が変わると信じて。
- Re: あの日 ( No.44 )
- 日時： 2015/08/03 14:50
- 名前： 顔無し＠ （ID: gf8XCp7W）
学校に着くと、龍野先生が僕らをしかめっ面で見た。
「おい、岡本！何してたんだ！」
「何してたって…。あの、浜村さんを連れて来ました」
視線を美月の方へ向ける。彼女は、相変わらず首を傾げていた。
「私…貴方に、自己紹介しましたっけ」
こう言われて、まずいな、と思った。
自己紹介どころか、美月の中では、僕は赤の他人だ。
何も知らない彼女は、幸せなのか、可哀想なのか。
「ああ、浜村くんだね。聞いていたよ。ほら、岡本も仲良くするんだぞー」
そう言って先生は、僕の頭をくしゃっと撫でた。
「はい…」
「あ、そうそう。授業っていうか、平和学習でテレビ見ただけだけどな、もう終わったから帰っていいぞ」
先生は、怒るのを忘れたのか、そう言ってそそくさと職員室に帰っていった。
廊下には、僕ら二人が、真夏の暑さに干からびそうになりながら、何を話すともなく、ただ呆然と立っていた。
「あ、暑いですねー。それにしても、同じクラスの子だったなんて。卒業生とか言うから、年上かと思った」
あはは、と笑って誤魔化した。
本当は、もうとっくに卒業してるんだけど。
欲を言えば、美月と一緒に卒業したかったな、なんて。
僕には、そんな事許されるはず無いのに。
「初めまして、私、浜村美月。今後ともどうぞよろしく！」
そう言って手を差し出す美月に、思わず笑ってしまった。
「何かおかしい？」
膨れる美月に、僕は言った。
「いやいや、それ、中学生がする自己紹介じゃないだろ」
「え、ごめん。私今時の子じゃないからさ、中学生の自己紹介とかわかんないんだよねー。そんなことより、君は？」
「僕は、岡本遥。よろしく」
そう言って、美月の手を握った。
美月は、普通すぎて面白くないなあ、なんて言って笑った。
やっぱり、昔と変わらない。
彼女の声も、この、口に手を添えて笑う仕草も。
もしかしたら、これが現実なのかもしれない、と思った。
僕の見たものが、夢。そうだ。きっとそうだ。
僕に今があるなら。ここが、僕の”今”なら、僕はここで、彼女と笑っていたかった。
僕と美月は、すっかり気が合って、帰り道は、ずっと笑っていた。
「私ね、友達できた事ないんだ」
帰り道、美月はが急に、思い出したように呟いた。
「何で？」
「お母さんが、病気でさ。私、付きっ切りで看病してたの」
「でも、学校の休み時間とかは？話せたんじゃないの？」
友達の僕が言うのも何だけど、僕は、美月に友達ができた事がないというのが、どうも不思議で仕方がなかった。
「私、皆に嫌われてたから。最初はね、色んな子と話してたの。だけどさ、だからなのかな。皆に八方美人って言われた」
「そんなことないよ」
僕は、強く言ってしまった。
「美月は、優しくて、思いやりのある子だよ」
僕が言うと、美月は目を丸くして、ひどく驚いていた。
「そう言えば、私のこと、最初から呼び捨てだよね。変なの。今時の中学生ってみんなそうなの？」
動揺したのか、美月は話題を変えてしまった。
「んじゃ、私も遥って呼ぼう。今時の中学生になりたいしね」
そう言って、美月は笑った。
「美月、本当に今時の中学生になりたいんだな」
「もちろん！あ、バス来た！やばい乗り遅れる！じゃ、バイバイ！また、夏休み明けだね！今日は、本当にありがとう！」
彼女の視線の先には、確かにバスがあった。
それは、100メートルくらい先に見えていて、追いつけないのは目に見えているのに、美月は僕に大きく手を振って、駆けて行った。
炎天下の下、暑さが滲み出すコンクリートの上を彼女が駆けていく。
彼女が遠くなるにつれて、足元が、ゆらゆらとして見えた。
こう言うのを、陽炎と言うのだろうか。
そんな事を考えながら、僕は田圃道に入っていった。
ショッピングモールは、皆暑さにやられて出てこないのか、SALEという看板が沢山出ているにも関わらず、見かけたのはたった二三人程だ。
僕は、いつもの自動販売機の前へ行った。
コーラ、コーラ…心の中で呟きながらコーラを探すが、どれも売り切れという赤い文字が虚しく光っているばかりだった。
「はぁ…暑い」
喉が、何か飲み物を求めていたので、僕は仕方がなく、サイダーを購入した。
「何で夏休みなのに、仕入れてないんだよ。まぁ、いいけど。てか、皆どれだけコーラ好きなんだよ！」
そんな事を自販機に言って、出てきたサイダーの飲み口に爪をかけた。
プシューッと炭酸が抜ける音がして、蓋が開いた。
真夏の暑さで温まらないうちに、僕はサイダーを飲み干した。
甘ったるいかつシュワシュワとしたサイダーを一気に飲むのは至難の技だったけど、僕の喉は、余程飲み物を欲していたのか、飲むのを止められなかった。
飲み終わった缶をぐしゃりと潰した。
よく見ると、サイダー風味と書いてある。
何だか、とても詐欺られた気がして、ゴミ箱に思いっきり投げ入れた。
サイダー風味の謎の飲み物の缶は、ガシャガシャっと音を立てて、見事にゴミ箱にゴールインした。
あれだけ飲んだのに、まだ喉が渇いている気がした。
でも、2本目を買うのは気が引けて、そのまま祖母の家まで我慢することにした。
祖母が待っている。最近は家の中でも熱中症になるとよく聞く。
それが心配なのもあって、僕は走り出した。
通り掛かった電気屋からは、いつものように、
『今日は、猛暑日です。今年の最高気温を記録しており…ーーーーーー』
と、聞きなれた女子アナの声が聞こえていた。
鳴り止まない、蝉の声。
煩くて、大っ嫌いなのに、今だけは、僕を祝福しているように聞こえた。
- Re: あの日 ( No.45 )
- 日時： 2015/08/03 15:46
- 名前： のれり （ID: R4l9RSpR）
おはこんばんは！
お久しぶりです！のれりです。
サイダー風味の飲み物…サイダー風味のコーラ…ですかね笑
それにしても、美月ちゃんがかわいいです！(o゜▽゜)
元気な子なんですね！
それでは！更新頑張ってください！
- Re: あの日 ( No.46 )
- 日時： 2015/08/03 17:52
- 名前： 顔無し＠ （ID: fGppk.V/）
お久しぶりぶりです！のれりさん（≧∇≦）
サイダー風味の件はですね…
私の実体験です！
サイダーが飲みたい→サイダーをpush
→開けてみたら白い→混乱→《サイダー風味》
友達にもちょっとあげたのですが、「歯磨き粉みたい」と言われました←
サイダーの飲み物には要注意ですよ！詐欺がありますからね！
ちなみに私はコーラ好きじゃないです←どうでもいい情報。
美月ちゃんは明るい子です！
私が遥の立場だったら一目惚れですね（笑）
更新頑張ります(‾^‾)ゞ
- Re: あの日 ( No.47 )
- 日時： 2015/08/04 09:02
- 名前： 顔無し＠ （ID: HtS8ZtHP）
家に帰ると、いつものように祖母が出迎えてくれ、客間を覗いてごらんと言ってきた。
僕はその理由が分からないまま、廊下から客間を見た。
そこには、小学生くらいの、小さな女の子が、仏壇の前に座っていた。
手を合わせたまま、ずっと、何かを祈っているのか、動かない。
こんなに小さい子なのに、きちんと正座をしている。
無造作に結ばれた、二つの髪は、少女自身が自分で結んだものだと見えた。
「あの子、誰」
こちらに歩いてきた祖母に、小声で訪ねた。
「加那葉ちゃんだよ」
「加那葉…？」
記憶を辿る。もう、何年も会っていないけれど、加那葉は、確か…僕の、妹だ。
でも、父と美鈴さんに引き取られて、一緒に住んでいるはずだった。
それに、父は僕を加那葉に合わせたがらなかった。
だからあの日、父と美鈴さんだけできたのだ。
なのに、何故だろう。今更、僕に合わせても良いと許可でもしたのだろうか。
それとも、祖母に会いに来たのだろうか。
でも、父親は、一度何かを決めると、他に譲らない頑固者だったから、いくら考えても、矛盾してしまう。
加那葉は、手を合わせるのを止めて、目を擦った。
お母さん…と小さく呟く声が聞こえて、それが凄く耳に残った。
まるで、あの時の僕のようで。
加那葉は、僕の方を見て、お兄ちゃん…と呟いた。
目には、また、涙が溜まってきている。
僕はどうしたらいいのかわからなかったけど、とりあえず加那葉の元へ駆け寄って強く抱きしめた。
こういう時、お兄ちゃんならどうすべきなのか。
兄の役割を果たしたこともない僕には、全くわからなかった。
加那葉は、嗚咽混じりに泣いて、僕の肩をギュっと掴んでいた。
何か、言葉を掛けてやるべきなのか。でも、何年も会っていないせいか、妹に掛けてやる言葉なんて、一つも出てこない。
僕はただ、小さな背中をさすることしか出来なかった。
「お兄ちゃん…」
「どうした？」
「私も…ね。捨てられちゃったんだよ」
”捨てられちゃったんだよ”これを言う時、加那葉から、躊躇いがあるのを感じた。
加那葉はまた、嗚咽を一層酷くして、泣き始めた。
そして、また、僕の父への強い憎悪が、ふつふつと煮立ってきたのを、この時の僕はまだ知らなかった。
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