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- いつか始まりの魔法世界
- 日時: 2015/12/15 22:28
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
はじめまして! 九尾桜花(くおおうか)と申します。
このたびは、この作品「いつか始まりの魔法世界」をご閲覧頂き、ありがとうございます。
更新頑張ります! 初作品なので、温かい目で見てやってください!
いつか始まりの魔法世界 ——目次
<プロローグ>
第零話 始まりは光と共に——咲花はいずこに?>>01
第一話 次に来るのは何か——咲花は迷う>>04
第黒話 世界政府機関は何を狙う——二瑚は異世界へと送られる>>05
第二話 輝きと闇とこの世界に——咲花は知る>>06-07
第緑話 目下は輝きに満ちる——二瑚は自由を有する>>08
<第一章どこの世界でも学生は学園へ——咲花は常識を憶える>
第一話>>09-10
お詫び…………。>>11
第二話>>12-13-14-15-16
- Re: いつか始まりの魔法世界 ( No.9 )
- 日時: 2015/10/07 22:20
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
<第一章どこの世界でも学生は学園へ——咲花は常識を憶える>
第一話
魔法世界ミクロス イヴァン王国 第5ノ月 38日 9:30
「陛下は、どうして私を呼びだしたんだろ?」
異世界の時間の進み方はなんとなくだけど、早い気がする。
この世界のこの国に来てから約三週間が過ぎた。三週間と言っても、地球にいたときの感覚で、だ。
ミクロスでは、時の流れが違う。一年は600日だし、一月は50日間。一日は30時間もある。全部、地球にいた時よりも長い。けれども、短く感じてしまう。
どれもこれも、この世界に充満する“自然魔力”と呼ばれるもののせいだと思う。
魔力は、全ての生命の生きる糧。実際、魔力さえあれば何日も眠らなくても平気だったりする。(じっさい、私もやってみたら三日くらいなら楽勝だった)
それは置いといて。
そんなことで、時間の感覚が、いまいち分からない。そのため、集合時刻に遅れることのしばしば。
しかし、今日は陛下直々に呼び出されているから、それも出来ない。
悩みながら歩いていると、グレルの姿が見えた。
陛下の執務室へと入っていく。私と同じように呼び出されている可能性が高い。
嫌な予感がする。
「失礼します」
中には国王陛下、リメル様とグレルがいた。
「遅れてしまい、すみません」
「大丈夫だよ、サキカちゃん。時間ぴったり」
「まあ、遅れなかっただけマシだろ」
ちっ、グレルむかつく。
「お前、今俺に対してイラついただろ」
「分かるんなら、そんな言い方しないでよね」
「まぁまぁ二人とも、明日から一緒に生活する仲じゃないか。喧嘩しないの」
陛下が、笑顔でなだめる。…………ん、なにか今、聞き逃してはいけない事を聞いたような。って、
「「は!?」」
「二人とも、息ピッタリ♪」
「ふざけんな陛下!!」「陛下冗談はやめてください……」
前者が私、後者がグレルだ。
「詳しく事情も聞かないうちから、そんなこと言っちゃだめじゃないか〜」
「陛下、三文で理由を」
「明日からサキカちゃんには学校へ行ってもらいます。
拒否権はありません。
グレルと同じ寮で同じ部屋だけど文句言わないでね!」
「意味不明です……」
なんだか、私よりもグレルの方がショックを受けてるみたい。
そんな事より、グレルって学校行ってたんだ。マジで知らなかった。
「俺、寮になんか入ってませんけど」
「大丈夫、明日からそこに暮らすことになってるから」
「全然大丈夫じゃないですよ」
「いや、私置いて話されてますけど、結局私のことですよね、これ」
「まぁ、そういうことだよ」
ふう、ちょっと話を整理しようではないか。
陛下は、こういった訳だ。明日から私に学校へ通わせると。そのうえで、グレルと同じ部屋にしたと。
「陛下、私は別にいいですよ。学校とか楽しそうだし。それにきっと前の世界の知り合いとかもいそうだし。あと付け足すなら、同じ部屋になって困るのは、グレルだけでしょう」
「大丈夫だサキカ。お前に興味はないからな」
「それはそれで、問題発言だということに気付いているのかな、グレル君」
臨戦態勢。こいつは今、私に対してひどく失礼なことをいったぞ。
「はいはい、二人とも落ち着く。ね、分かったかな」
無意識のうちに触っていたナイフを、太股に付けたケースに戻す。
「こんな無愛想で、ちょっと強いだけの男ですが、まぁ許します。私の心は海より深く広いですからね」
「ちょっとサキカちゃん落ち着こうか。うん、同じ部屋にしちゃったのは悪いなぁとは思っていたんだけど、丁度部屋が無くてね」
絶対嘘だ、確信犯だ。 ま、陛下も考えあってのことだろう。これ以上は何も言わないでおこう。
「でもまた、どうして学校なんかに? 私、それなりに魔法もこの世界のことも分かるようになりましたよ?」
「いやー、世界って広いからさ。いろいろ経験してもらいたい訳なんだよね。グレルも通ってるところだし、安心かなって」
「なるほど〜」
やばい、学校とかめちゃくちゃいきたい。前の世界では、そんなに興味とか無かったけど、学校で魔法……、だめだ、考えただけで面白い。
「明日からですね」
「おぉ、サキカちゃん物わかりがいいね。さ、グレルも諦めて、明日から寮で生活してね」
「…………陛下のお考えとあらば」
「あ、サキカちゃんの教科書とか制服とか、全部この中に入ってるから」
陛下が私にそんなに大きくもない箱を手渡した。
ずっしりとしていて思っていたよりも重かった。
体がぐらりと傾く。
「っと、危なっかしい」
「あ、ありがと」
グレルが支えてくれた。
「いちゃつくなら、部屋の外でやってね」
「「いちゃついてません!!」」
「とりあえず説明はこれで終わり、僕もこれから公務があるし。“シルベネラ—空間転移—”!」
************
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- Re: いつか始まりの魔法世界 ( No.10 )
- 日時: 2015/10/10 23:19
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
空間転移で、部屋の外へ閉め出された。
陛下の魔法コントロールは世界一だ。こういう小さな魔法一つだって絶対に外さないし手を抜かない。
どうやら、グレルも私と同じような事を考えていたらしい。思わずため息をついていた。
「まったく……、陛下は何を勝手なことを」
「まぁ、考えあってのことでしょ。部屋を一緒にしたのだって、きっと“仕事”に支障が無いようにするためだと思うし」
「だが——」
「グレルはいちいち気にしてたら、疲れちゃうよ。簡単に考えなよ」
グレルに背を向けて、自室へと歩いて行く。まだ、何か言いたげだったが、放っておこう。話を聞いていたら、長くなりそうな予感がするもん。
——ガチャ
私の部屋は、お城の一番北側にある部屋だ。今の季節は、丁度いい気温だが冬になったら、少し寒そうな感じだった。
部屋の大きさは、そこそこ広い。お城の中だと、狭いに分類されるが、全くそんな風に感じさせない、立派な部屋だった。
「箱の中身は何じゃろな〜」
陛下にもらった箱を開く。中には、布のようなもの×2、教科書類、ノート、などなどが入っていた。
制服、と聞いていたが私の想像していたものとは違っていた。壁にかけてある高校のブレザーに目を向ける。
「何というか、あれだ、ローブか」
小さいころに見た映画に出てきた魔法使いの羽織っていたような、ローブだ。現実離れしすぎで、恥ずかしい。
他に入ってたのはスカート。紺色のボックスプリーツのスカートだった。
「あ、これは普通かも……」
小さなメモが入っていた。陛下からのものだ。
「何々、“サキカちゃんの知ってるような制服じゃないかも〜 結構自由だからね”。
ふーん、どうしよっか」
制服はまた今度にしよう。まだ、時間はあるから。
次は教科書を手に取る。
パラパラとページをめくってみる。
…………、何というか
「これ全部、陛下とグレルから教えてもらったよね……」
パラパラ、わぁお、まじで全部わかるぞこれ。あいつらは、この三週間でいったい私にどれだけのことを詰め込んだのだろう……。
「……、勉強については何とかなりそうだし、他に用意するものは〜」
がさごそと箱を探ると、何やら指輪と腕輪が出てくる。プラス陛下からのメモ二通目。
「“サキカちゃんは魔力量が多いから、これを付けていってね。これを付けてようやく普通の学生より多いくらいに収まるから” なるはど」
光にかざしてみると、二つとも淡い粒子のようなものが出てきているのが分かる。
ためしにつけてみる。
指輪を右手の人差指に付けると、透明になり、やがて見えなくなった。 消えてしまったのかと不安になり、触ってみると確かにある。
指から外すと、また元に戻る。
「“キルネラト—魔法可視—”」
中級生物属性魔法を目に施す。視界が紫色っぽく変化すると、そこに指輪に対する魔法が視えた。
「光属性の不可視魔法と、空間属性の魔貯蔵魔法付き魔封具、か。これ、結構いい値段するんじゃない?」
私自身で軽く見積もって15万モール(1モール=1円)くらい。2つで30万モール。私の為にこんな高額商品を……、感謝のしようがない。
「“魔法解除”」
視界が元に戻る。陛下から頂いた魔封具を2つとも付けてみる。
体がどっと、重くなる。これは、魔法が抑えつけられていることの弊害だ。
「やばい……かも、眠い……」
魔力が無くなる=眠くなる。と、いうわけで、
私の思考は緩やかに停止していった。
- Re: いつか始まりの魔法世界 ( No.11 )
- 日時: 2015/10/10 23:45
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
お詫び…………。
九尾でございます。
えー、その、おそらくこの後重要になるであろうグレルくんの容姿についてを、ほぼほぼ何一つとして伝えていないような、いるような……。と、言う訳でして
人物紹介!!としたいと思います。
変なタイミングで、すみません。今後、このような事が無いようにさせていただきます。
グレル・アキメス(16)
・イヴァン王国近衛騎士団副団長
・???
・???
・第四ノ月 四日生まれ
・銀髪金眼のイケメン
・身長187センチ
・真面目 今のところは以上で!
サキカや国王陛下、ニコ、ルーシェなどは、今後どんどん分かっていく(?)予定です。
今後とも、「いつか始まりの魔法世界」をよろしくお願いします。
- Re: いつか始まりの魔法世界 ( No.12 )
- 日時: 2015/10/24 22:26
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
二話
——カッカッカッ
日がすっかり落ちたイヴァン王国の王宮に、自身の足音が響きわたる。
普段は足音も、靴の擦れる音でさえさせないこの俺、グレル・アキメスだが、なぜ、こんな所で、柄にもなく、若干焦っているかというと——
『あ、グレル!』
『陛下、どうされましたか?』
『サキカちゃんのことだけどさー』
『アイツがどうかしましたか?』
『魔封具を、あげた訳なんだ』
『ま、さか……』
『あれから、姿、見せないじゃん?』
『…………やらかしましいたね、完全に』
サキカに、魔封具について詳しく説明した事が無かった。慣れもせず大量の、もしくはたくさんの魔力を押しこめるような魔封具を付けた場合、使用者はその分を回復させようとする。無論、無意識に。
陛下いわく、サキカに渡した魔封具は自然魔力とは別の、“体内魔力”と呼ばれるものをを五分の一にするものだった。それが×2。もともと、体内にあった魔力をほぼ消費したに等しいくらいの、眠気が襲ったはずだ。
それが回復するのにおそらく三日。
少しずつ慣らしながら、魔封具を付ければそういうこともないのだが、一気に2つも付ければ、昏睡状態だろう。
本当に、とんでもないことを……。
——バンっ
「サキカ!!」
サキカの部屋に着いた。女子の部屋に勝手に侵入するのも忍びない。
おそらく聞こえてはいないだらうが、大きな声で扉を開いた。
そんな事はさておき、本当に二つとも付けて、昏睡しているのであれば、魔法をかけつつ、その魔封具を外さなければいけない。
部屋を見回すと、机の上の物が散乱した上で、ぐたぁっとして寝ていた。
「お前、大丈夫か!?」
不可視魔法がかかっていて視えないが、確かに2つの魔封具が付けられているのが分かる。
三日間、回復コースだ。確実に、眠っている。これは、魔力が回復するまで起きない——
「ふぁ、あれ、なんで私の部屋にグレルがいるの? は!!てか、もうこんな時間! くそ、ご飯食べ過ごした……」
は?
「で、どうして突っ立ってんのよ。え、もしかして、また呼び出しでもくらった?」
「え、あ、その、お前、2つ魔封具付けて……?」
「そう、これつけたせいで、眠くなっちゃって。陛下が作ったのかな? 前もって魔法何がかかってるのか視たのに」
「き……」
「き?」
「貴様は、あほかぁぁぁぁああああああ!!!!」
- Re: いつか始まりの魔法世界 ( No.13 )
- 日時: 2015/11/14 21:18
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
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「——と、言う訳だ。貴様が、どんなことをやらかしたのか、そして、陛下がどんな失態をしてしまったのか!!」
はい、咲花です……。
えーやらかしてしまいまして……、って、私のせいじゃない!!
いま、お城の謁見の間で、正座をしている私と陛下の前には、グレルが鬼の形相で、立っている。
ちらり、と腕時計に目をすべらせると、すでにあれから二時間が経っている。
「今日は、ここまでにしておいてやる。明日から、学校に行かなければいけないしな」
「「はい、ありがとうございます!!」」
陛下も、魔法で逃げずに真面目にグレルの話を聞いてた。
私はよくわからないけど、陛下がやらかした事は結構まずい事らしい。
とりあえず、グレルの長かったお説教から解放された私は、さっと立ちあがると
「では、また明日!」
駆け足で謁見の間から逃げ出す。
うう、足が痺れてる……。
自室に着くと、ベットに倒れ込む。ふぁー、と大きくあくびする。
どうやら、さっきのグレルの話によると、私の置かれていた状況は、かなりまずかったらしい。
通常魔封具は、急にたくさんつけると、体に異常をきたすらしい。やばいときは、一週間くらい、昏睡状態に陥るとか。
まあ、私の場合、何故か知らないけど、無事だった。
魔法って、結構なんでもありなのかも??
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