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ヒーロー
日時: 2015/10/11 10:56
名前: lucky man (ID: T1OugAgl)

ヒーロー。
その言葉を聞いたとき、
貴方は誰を想像しますか?

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Re: ヒーロー ( No.15 )
日時: 2015/10/11 23:27
名前: lucky man (ID: T1OugAgl)

大体、女はなんで
グループを作りたがる?

1週間もすると
教室のあちこちで、
女子の塊が出来始めた。

いや、別に良いけどね。

集団にならないと
やっていけないなんて
情けないなって。

「——櫻場!
 なぁにボーッとしてんだ?」
「うわっ!・・・何の用?
 つか、誰?」

坊主・・・。野球部かな。

「ひど!お前、さては
 自己紹介聞いてなかったな?
 ま、俺も寝てたけど(笑)
 俺は前島匠な。よろしく!

「・・・何の用?」

「お前、まさかのボッチ?」

ボッチ・・・。
ぼっち・・・。
墓っ地・・・?

「よーするにひとりぼっちだ、
 ってこと。かっわいそーなやつ。」

「・・・あっそ。」

第一印象?
うるさい。
めんどくさい。
何なんだ、こいつは。


Re: ヒーロー ( No.16 )
日時: 2015/10/11 23:39
名前: lucky man (ID: T1OugAgl)

昼休み。
私は本を読むのが好き。

ページをめくる。
ふと顔をあげると

「・・・。」
「おっまえ、そんな分厚い本
 よく読めるなぁ。」

無視。

「お前さ、社交性ないよな。」

本に戻しかけていた視線を
思わず匠の方に向けた。

母さんにも言われ、
周りの皆が思っていたこと。
でも、そんなにはっきり言うのか。

「何か問題でも?」

私は言い返して本の続きを読む。

「おっもしれえ。お前、面白えよ。」

何がだよ。

アンタ、頭狂いかかってるだろ。

私はどれだけ本気でこう思ったか。



Re: ヒーロー ( No.17 )
日時: 2015/10/11 23:50
名前: lucky man (ID: T1OugAgl)

「お前、こういう本は読まねーの?
 なかなか面白えけど?」

おもしれえって。
それしか知らないのか、アンタ。

「読んでみろって、な?」

「ま、気が向いたらね。」

別に匠は悪い人じゃないんだろうな。

それだけは分かった。


「櫻場ぁ!」
「・・・。」
「櫻場ぁ!」
「・・・あ?」

「あ?は ないよな。
 俺が話しかけてるのにぃ。」

「そこの港にでも沈めようか?」

「すみません。」

そんなこんなで
仲は悪くない。

私は話を聞くだけが多いけど。
楽しいのね。
こいつも「おもしれえ」だわ。

「なあ、櫻場ぁ?」
「何?」

無視はしない。
とりあえず。

Re: ヒーロー ( No.18 )
日時: 2015/10/12 18:03
名前: lucky man (ID: T1OugAgl)

「さっくらばぁ!」
「・・・何?」

「おすすめの本とか無い?」
「本?」

匠は野球ばか。
だけど休み時間は黙々と
一人で本読んでる。

アンタだって「ぼっち」じゃね?

「んなことねえし。
 本読んでるだけ。」

それなら私だって
それに当てはまるでしょ?
そう言い返すのも面倒だ。

「あっそ。」

「あっそ、じゃなくて。
 本、何がおすすめ?」

仕方ないのでいくつか
本のタイトルを挙げてみる。

「ふーん。・・・全部知らね。」

ま、読むも読まないも
アンタ次第っちゃアンタ次第。
だけどさ。
訊いといて「知らね。」は
無いでしょ?

図書室で実物を見せる。

「これ?あー、ムリ。
 俺には分厚すぎる。」

ふふっ。
中途半端な奴だ。

「あ、笑ったな!!
 俺は普段、マンガか
 ライトノベルしか読まねぇんだよ!」

そういえば匠が
教室で読む本もそんなカンジだった。

「じゃあ、この辺?」

私が本棚の一角を指さすと
匠は一冊手に取って
ページをペラペラめくっていた。

Re: ヒーロー ( No.19 )
日時: 2015/10/12 18:20
名前: lucky man (ID: T1OugAgl)

「なぁ、櫻場ぁ?」
「・・・。」
「櫻場ぁ!」
「あぁ?」



本やその他の話題を
匠は色々と吹っ掛けてくる。

本読んでても、
勉強してても、
ボーッとしてても。

無視しても懲りない。
というか段々、
無視できなくなってくるから
最終的に話をすることになる。



ある日、母さんに言われた。

「アンタ、友達でも出来た?」

「なんで?」

「なんか明るくなった。」

「・・・多分出来たよ、友達。」

「・・・え?
 えーーーっ!!」

え?
「友達出来た?」と訊いておいて
「出来た」って答えたら
驚かれるの?

でもね。
匠のおかげで。
一日誰とも話さないっていう日は
無くなったと思う。




「匠、はよ。」
「ん?はよ———って、えぇー!」

「何?どした?」
「いや、ビックリした。
 櫻場から話しかけてくる事、
 これまで無かったからさ。」

あ、そーいえばね。
そうだな。

「お前、明るくなったな。
 俺のおかげじゃん!」

「港にでも沈めようか?
 あ、山に埋めてほしい?(笑)」

「・・・やっぱ、おもしれえ。」




櫻場星香。
ひとりぼっちの秀才は
ひとりぼっちじゃなくなりました。


どんなに無視しても
どんなに悪態ついても


懲りない


根性の有り余った




明るいヒーローのおかげで。
               —終—


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