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- 禁断−妖怪と人間の恋−
- 日時: 2015/12/01 00:15
- 名前: 桜ルカ (ID: ZlHu.kjO)
【序章】
景色は、橙色に染まっていた。
ここは、人間界_自分たちがいる世界の、ずっとずっと上の世界。
綺麗な夕日を見ながら、少女・紅蘭は、紅い大きな羽を大きく開いた。
「我の世界を繋ぐ地界への道よ、開け」
ゴオーッと開いた闇の道に向かって、紅蘭は紅く長い髪をなびかせながら急降下し、妖怪・紅雀として、地界_妖怪の世界へと向かった。
- Re: 禁断−妖怪と人間の恋− ( No.8 )
- 日時: 2015/11/30 23:59
- 名前: 桜ルカ (ID: ZlHu.kjO)
こまちさん…!!!読んでくださりありがとうございますっ!!!
妖怪の紅蘭と人間の亮介の禁断の恋のお話で…///
自分でも何てものを書いているんだろう…と思っています(笑)!
まだまだ続くので、新キャラも含めてどうぞよろしくお願いしますっ!!
by桜ルカ
- Re: 禁断−妖怪と人間の恋− ( No.9 )
- 日時: 2015/12/01 00:11
- 名前: 桜ルカ (ID: ZlHu.kjO)
うっすらと照る日光に目が覚める。
今は…朝の7時頃だろうか。昨日誰一人いなかった道路に、ランドセルを背負った小学生や、バッグを持って走っている中学生と高校生など、たくさんの人間たちが登校していた。少し羨ましく思いながら、羽を羽ばたかせて地面に降りた。
「我の世界を繋ぐ地界への道よ、開け」
紅蘭は地界へ帰ろうと呪文を唱えたが、闇の道が…できない。
「あ…れ…?なんで!?どうして開かないの…!?……まさか_…」
きっとこれが、“無妖力状態”_。
でも、なぜだろう。自分は毎日、鬼紅蓮の特訓をしてきて、この間も行き帰りをしてきたのに、妖力は半分しか減らなかった。なのに今は、行って一晩寝過ごしただけで…使えなくなっている。他にも思うことがあるが、それよりもっと大事なこと……。
今、自分は地界に帰れない_。
- Re: 禁断−妖怪と人間の恋− ( No.10 )
- 日時: 2015/12/01 23:51
- 名前: 桜ルカ (ID: ZlHu.kjO)
意味が分からない突然の無妖力状態と、地界に帰れない恐怖で、紅蘭は崩れるようにその場に座った。
_ぽたっ…ぽたっ…__と、紅蘭の頬を…何か冷たい雫が伝った。
一度も流したことがなかった、涙。
「えっ…?なんっ…で…涙…なんか……が…っ…!!」
紅蘭の目から溢れ出る雫はとまらない。
雨が降っているかのように…次々と零れ落ち、乾いた砂利を濡らしていく。
「私……っ、どうしたらいいの…っ!?もう…戻れない、の……っ!?」
無妖力状態になった者は、最低でも一年で回復するか、二度と戻らないか_…。
今、頼れる人もいない。羽を出しているから、誰一人…存在に気づかない。かといって、羽をしまえる力も…出ない。飛べない…。歩けない_…。
「合格できたのも、この神社のおかげだよ〜!」
「あぁ、神頼みってやつでしょ?すっごい効くよね〜ここ!」
高校生の女の子が二人…入ってきた。
- Re: 禁断−妖怪と人間の恋− ( No.11 )
- 日時: 2015/12/02 00:09
- 名前: 桜ルカ (ID: ZlHu.kjO)
お願い…気づいて…!!__と、紅蘭は願っていた。助けてくれなくてもいいから…せめて、自分の存在に気づいてほしい_…。
「あははっ!ウケる〜」
「このあとどこ行くー?」
キャハハハッ!と笑いながら…紅蘭を通り過ぎていった。
笑い声が遠ざかっていき、紅蘭は絶望感に満ちていた。
誰一人…気づいてくれない__。
当たりまえのことだが、それは強く心が傷ついたことだった。
再び、涙が零れ落ちる。
このまま力尽きて、自分は昇天してしまうのか。そう思った時__。
「こんなところでどうしたの…?」
頭上から、普通そうな少年の声がした。
まさか自分のこと!?と思ったが、少し離れたところに高校生の女の子と男の子がいた。
その二人の事だと思ったが…紅蘭はそれに応えた。
「__大丈夫じゃないよ…っ!妖力が使えなくなって…地界に帰れない…!!羽しまえる力が出ないから……誰一人気づいてくれない…っ!!」
紅蘭は泣き叫んだ。ほんの微かな声でもいいから、人間に…聞こえてもらえるように_…。
「__そうか。君…大変なんだね……」
「もう…どうしたらいいのか…っ!せめて羽がしまえれば人間と話せ……って、えっ!?」
少年の返事を、つい返してしまった紅蘭は慌てて振り返る。羽を出しているのに、なぜ__…。
__ドクン__。
心臓が、高鳴る。
心配そうに覗く少年に……紅蘭は、心を奪われた。
- Re: 禁断−妖怪と人間の恋− ( No.12 )
- 日時: 2015/12/02 22:46
- 名前: 桜ルカ (ID: ZlHu.kjO)
「紅くて…綺麗な姿だな……。四神の朱雀みたいだ…」
四神?朱雀?…と思ったが、一言一言が脳裏に刻まれていく。
「私は四神じゃなくて…妖怪、だよ……。紅雀っていう、紅い孔雀の…」
初対面の、しかも…恋に落ちてしまった少年に…、言ってしまってよかったのだろうか…。
でも、今は彼しか頼れない。こうやって話せるのも…彼しかいない。
たとえ引かれてしまっても、今は__。
「マジか!お前、スゲー奴なんだな!」
「_えっ?」
「いやぁ、びっくりしたよ。本当に妖怪がいたなんてさ…。あ、俺、ここの神社の息子なんだ。すげー神社だろ?」
この少年は…自分を励ましてくれているのだろうか。笑顔で…接してくれている。
さっきから胸の鼓動が止まらない。本当に、彼に__。
「私…許されぬ行為_人間界に来てしまって…。急に妖怪の力…妖力が使えなくなって、地界へ帰れないの……。どうしよう…どうすれば…っ!!」
焦り、震えていた紅蘭の体を…少年はそっと抱き寄せた。
感じたことがない“人間”の温もりに、紅蘭は涙を零した。
「…隠さなくていい。全て話してくれ。俺は、お前が……」
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