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- 怪奇忌譚秘恋ものがたり
- 日時: 2016/01/25 17:17
- 名前: ひかり (ID: ddk2hi50)
はじめまして! ひかりです☆←
作者の色々な都合により前のスレッドを削除し、新しくスレッドを立て直しました。
二話くらいまでは前と同じor前と全然話が違う……、となるかもしれませんが、ご了承ください。
は? どういうこと??、という人は全然気にしなくてOKです!
少し、ホラーが入ってるので、苦手な人はUターン!
掛け持ちをしすぎて更新はノロノロでs((
では、拙い文章ですが、読んでくださるという神様はGo!
◇◆◇◆◇◆登場人物紹介◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
鳴海 鈴(なるみ りん)
高校一年生で、視える少女。両親を事故で失っており、バイトをしながら独り暮らしをしている。警戒心が強く、気も強い。また、視えることで周囲からも気味悪がられていて孤立している。
守野 弓絃(もりの ゆいと)
由緒ある"守人"の一族の血を引き、霊を祓うことのできる高校一年生。鈴と同じく幼い頃から霊が視え、またそういった人々とたくさん会ってきた。チャラくて軽そうに見えるが霊を祓う力は一級品。守野家次期当主でもある。父は八年前に守人の仕事中に事故で他界、母は同年、病気で他界している。
鶴来 神楽(つるぎ かぐら)
鶴来神社の一人娘で"札師"の力をもつ高校一年生。守野家が守人の仕事で使うお札を代々作っていて、その関係で弓絃とは小さい頃からの知り合い。弓絃と同じく除霊ができる。かなりの美少女だが、荒っぽい性格で何事も雑。
◇◆◇◆◇◆関係する家系◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
守野
平安時代から続く"守人"の血を引く大一族。この家系に生まれた者は霊を祓うことができ、霊が視える者を守ることを使命とする。守野家の現在の当主は、弓絃の祖父にあたる守野正通(もりの まさみち)。弓絃の父が次期当主であったが、八年前に"守人の仕事中の事故"で他界、弓絃が次期当主となった。
鶴来
鈴の夢に出てきた謎の家系。詳細については不明だが、神楽となんらかの関係があることは確か。神楽いわく"札師"の家系らしい。
- Re: 怪奇忌譚秘恋ものがたり ( No.3 )
- 日時: 2016/01/07 01:56
- 名前: ひかり (ID: zc76bp3U)
◇◆◇◆◇◆第参話◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『……を……けて…』
ぼんやりと霞む頭にどこか懐かしい、優しげな声が響いた。
『……気を付けて………!』
どうやらこの声の主は私に警告をしているらしい。
『……守野と鳴海と鶴来……三つが集まってしまったとき……!』
守野と鳴海と鶴来……?
『…………三つが集まったらどうなるの……? ねぇ…教えて……!』
『それは………』
「りーんっ! そろそろ帰ろーよー! もう五時過ぎたんですけど〜!」
はっとして辺りを見回すと守野以外の人のいない教室だった。
校内のスピーカーから五時を告げるチャイムが鳴り、窓の外には夕焼けが広がっていた。
「どうしたの、鈴。変な夢でも見た?」
「………別に。ってか守野今まで待ってたの?」
「もーほんと勘弁してよねー。終礼から今まで爆睡だよ!?」
必死な様子で経緯を話す守野を尻目に先程の夢の内容を思い出そうと試みる。
「守野と、鳴海と………鶴来……?」
「え? なんか言った?」
「………別になにも。」
夢の内容までこいつに話す義理など無い。
なにしろ今日、初めましての人間なのだから当然だ。
「あっ、言おうと思ってたんだけどさ」
唐突に守野が口を開く。
「何。」
「"守野"じゃなくて名前で呼んでほしいなー! 僕、この名字嫌いなんだ〜!」
名字が嫌い?
よく分からないがまあいい。
名前くらいなら呼んでも別に損はない。
「………分かった」
「わーい、じゃあそろそろ帰らなきゃ先生に見つかったら生徒指導室行きだよ〜」
焦ってる素振りを全く見せず、余裕綽々の態度で帰る支度を始める弓絃。
まったく、調子がいい。
結局こいつのペースに乗せられている私も私だが。
- Re: 怪奇忌譚秘恋ものがたり ( No.4 )
- 日時: 2016/01/08 00:44
- 名前: ひかり (ID: zc76bp3U)
◇◆◇◆◇◆第肆話◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
上靴を靴箱に仕舞い、ローファーの踵を鳴らす。
「よし、じゃあ行こっか。」
「………どこに行くの?」
ずっと気になっていたことを弓絃に問う。
しかし、帰り道でするような話でもない。
「僕の実家。ここからちょっと遠いんだけど。電車賃は僕が払うからいいよね?」
「……実家って、あんた独り暮らし?」
「うん、そう。そのへんのことも後でひっくるめて説明するね。なにせキビシーイお家柄だから、さ。」
ウインクをして人差し指を口に当てる弓絃の言葉に疑問を感じながらも駅の改札で切符を二人分買う。
「僕定期持ってないんだよねー。あ、鈴は持ってないの知ってるから大丈夫。」
何が大丈夫なのかいまいち理解不能だが、定期の所持まで把握している弓絃が本気で怖い。
若干引きながら切符を受けとり、改札を通って、ちょうどホームに入ってきた電車に乗り込む。
「何駅先なの?」
「えーっと………三駅先だよ。あー…もしかすると夕飯の時間までに帰れないかも。」
「別にいい。それよりなんであんたの実家に行かなきゃなんないの? 別にどこでもよかったんじゃ……」
「えー、だって鈴、僕が口で説明したって絶対信じてくれないもん。それ位突飛な話だし。」
あはは、と笑う弓絃は本当に何を考えているのか分からない。
私が不機嫌な顔で黙り込むと、急に真剣な顔をした弓絃が目に入った。
「電車が着くまでまだ時間があるね」
弓絃が右腕につけた腕時計を見て言う。
ガタン、と電車が大きく揺れる。
「少しだけ先に話そうか。」
にこり、と笑う弓絃には得体の知れない"恐ろしさ"があった。
背中にゾクリ、と悪寒が走り、動けなくなる。
「ここから先のことは、一般人に知られてはいけない。これを外部に洩らしたら…………」
弓絃は制服のポケットから、朝見た物とは違う種類の札を取り出してこう言った。
「この札の中に閉じ込める。もちろん、一生ね。」
「……………私がそんなことバラす友達がいないの知ってるでしょう?」
「さすが鈴、話が早いね!」
またもやガタン、と電車が揺れて駅のホームに着いたことを知らせた。
『終点、柳川、終点、柳川_______』
「あーあ、着いちゃったみたいだねー。続きはまた後で話そうか。ここからまたバスに乗り換えなきゃいけないんだ。」
さっきまでの面影は全く無く、楽しげな笑みを浮かべた顔に戻る。
降りたホームは寂れて人気が無かった。
「すっっっごい田舎なんだ、僕んち。田んぼばっかでしょー。」
「…………別に私はこういうの、嫌いじゃないわ。」
「そっか、そういえば鈴って和風のものとか好きだもんねー! 容姿もザ・日本人って感じだし。」
そんなことまで調べてたのか、と内心溜め息を吐き、改札をぬけてバス停へ向かう。
「お、もうすぐバスくるかも。 」
バス停の時刻表を見ながら弓絃が嬉しそうに言う。
どうやら三十分に一本しか出ていないバスらしい。
弓絃の言葉通り数分で来たバスに乗り込み、私は決意した。
どんな突飛な話でも、私は必ず受け入れることを。
- Re: 怪奇忌譚秘恋ものがたり ( No.5 )
- 日時: 2016/01/09 14:48
- 名前: ひかり (ID: zc76bp3U)
◇◆◇◆◇◆第伍話◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「まあまあ! おかえりなさいませ、坊っちゃま!」
「ただいまー、ばあや」
バスを降りて歩くこと10分。
弓絃の実家は驚くほどにバカでかかった。
尤も、周りには田んぼしかないが。
「あら? こちらのお嬢様は?」
「あ、この子が前に話してた子だよー」
「あらまぁ! じゃあこの方が鈴お嬢様でいらっしゃるんですね! こうはしてはおられません! すぐにお茶を淹れて参ります!」
弓絃にばあやと呼ばれた人物が外見に似つかぬ軽やかな足どりで奥の部屋へ駆けていく。
「……誰?」
「汐っていう僕んちの世話係。僕が生まれるずっと前からうちに仕えてたらしいけど。」
先程見たこの家のバカでかさも含め、守野家はかなりの大一族のようだ。
現に今通された部屋にも、沢山の遺影や仏壇やらが置かれてあった。
……とても居心地が悪い。
「あ、これが一代前の守野家当主で僕のひいじいちゃんなんだー 」
私の様子に気づいたのか遺影の中の人物の説明を始める。
私はこんなことを話すためにここに来たのではない。
弓絃に声をかけようと口を開こうとしたときだった。
ガラッと襖か開き、汐さんが部屋に入ってくる。
「お茶が入りました、と言いたいところなのですが……。旦那様がお二方に至急部屋に来るように、と申しておられます。」
「おっけー、じゃ、鈴行こっか。」
弓絃が立ち上がり、私の方に右手を差し出した。
…………足が痺れていたのがバレていた。
不機嫌顔で右手に掴まり、立ち上がる。
「まあまあ、仲のよろしいことで。ばあやは奥にいますので、ご用の際はお呼びくださいませ。」
にこにこ顔でさらりと冷やかしを放ち、また奥の部屋へ引っ込んでいった汐さんを見送り、長い守野家の廊下を歩く。
「旦那様ってあんたのお父さん?」
「ちがうちがう、お祖父ちゃんだよ。僕、お母さんもお父さんもちっちゃい頃に死んでるんだ〜」
笑顔で話すにはあまりに重い内容だった。
弓絃は、私と同じだった。
「今、一緒だって思ったでしょ〜。ほんと運命みたいだね〜僕ら。まるで生まれたときから出会うことが決まってたみたい。」
「……」
いつものおちゃらけた笑顔じゃなく、寂しそうな笑顔。
出かけていた言葉が詰まる。
「さ、着いたよ。」
豪華な絵の描かれた襖をノックする。
こんこん、という歯切れのいい音は鳴らなかったが。
「………入りなさい」
しわがれた老人の声がする。
私は、秘密に包まれたその襖を、開いた。
- Re: 怪奇忌譚秘恋ものがたり ( No.6 )
- 日時: 2016/01/11 14:54
- 名前: ひかり (ID: zc76bp3U)
◇◆◇◆◇◆第陸話◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「じいちゃん、久しぶ…」
弓絃が言いかけたところで、座布団に座った貫禄のある70代位の男性が、ゴホン、咳払いをした。
「お久しぶりです、お祖父様。ただいま戻りました。」
慌てて弓絃が敬語で挨拶をすると、弓絃のお祖父さんが満足そうな顔で頷き、座布団に座るよう勧めた。
お祖父さんと向かい合わせになる形で私と弓絃も座る。
「君が鳴海鈴、といったかな?」
予想していたより随分と優しげな声で問われ、こくりと頷く。
「私は守野家38目当主の守野正通という。弓絃の祖父だ。」
「………鳴海鈴です」
先程名前を聞かれたが、取りあえずもう一度自己紹介をしておく。
守野さんは見透かしたように笑い、少し自分が恥ずかしくなる。
「ところで弓絃。今日の用件はなんじゃ?」
「えーっと、書庫の鍵を……」
ここで、ゴホン、とまた守野さんが咳払いをする。
「書庫の鍵を貸していただけませんでしょうか!」
慌てた弓絃の様子に守野さんが笑い、近くにあった桐箪笥から鍵を取り出した。
「よかろう。今日は特別じゃ。」
「じいちゃ…、じゃなかった、お祖父様、ありがとうごさいます。」
「返すのは帰り際で良い。何かあれば汐に言え。用意できるものなら用意させよう。」
私たちは書庫の鍵を受けとり、また長い守野家の廊下を歩き始めた。
「書庫ってどんなところなの?」
しんとした廊下に二人分の足音が響く。
「歴史書とか、過去の守野家当主のつけた日記とか……色んな書物がおいてるところ。国宝レベルのものとかも置いてあるし、滅多なことがない限り入れない場所だよ。」
「へぇ……」
守野家という一族の大きさをこの数分で実感した。
国宝レベルの書物ってどんなものなのだろう、と少々興味が湧いてくる。
守野家の広い廊下を歩き進め、離れの屋敷に向かう廊下に出る。
「どこにあるの、書庫。」
「離れの屋敷の一番北っ側。もうちょっとで着くから」
弓絃の言葉通り、北の一番端にとてつもなく大きそうな書庫があった。
弓絃が守野さんから受け取った古めかしい鍵を鍵穴に挿す。
ガシャリ、と大きな音が静まり返った離れに響き渡った。
弓絃が慣れた手つきで重そうな扉を開き、指紋認証システムに人差し指を乗せた。
ハイテクなのかローテクなのか全くもって分からない。
「あはは、見た目こんなに古めかしいのに指紋認証とか笑えるでしょ? 二年くらい前にじいちゃんが急に思い立って設置したんだー」
…………この家の金銭感覚はおかしいと思う。
指紋認証をクリアし、やっと辿り着いた書庫には、長机とたくさんの椅子が置いてあり、大学の図書館のようだ。
弓絃が電気のスイッチを押したが、点いた明かりは暗く、あまり変わらなかった。
弓絃が椅子に座り、私も倣って椅子に座る。
「さて、やっとフィールドが整った。」
弓絃がにこりと笑い、私の背筋が伸びる。
「あんたは、守野家は…………一体なんなの?」
一番聞きたかったことを口にすると、弓絃はまたも笑って答えた。
「僕は、"守人"。守野家は何千年も前から続く、"守人"の一族なんだ___。」
16年間生きてきた中で、最も奇妙で受け入れがたい、現実離れした話を私はこのあと、知ることになる。
- Re: 怪奇忌譚秘恋ものがたり ( No.7 )
- 日時: 2016/01/13 12:45
- 名前: ひかり (ID: zc76bp3U)
◇◆◇◆◇◆第漆話◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「もり、びと?」
「そ、守人。」
聞きなれない言葉をそっくりそのまま返した私に、弓絃はにこりと笑って繰り返した。
「……守人って、なんなの?」
私の質問を聞いて弓絃は無言で立ち上がり、奥の本棚の方へ向かうと、埃を被った古い本を持ってきた。
パラパラッ、と本をめくり、真ん中あたりのページで手を止めた。
「霊を祓い、霊が視え、霊に狙われる者を守る者。それが僕ら守人。そして、守野家の子孫には代々霊を祓う力が宿る。」
弓絃が古びた本を私の前に差し出す。
そこには達者な字で書いた、守人の説明らしき文章が連なっていた。
「つまり、鈴は僕らの警護対象ってワケ。」
「……警護対象ってだけで転校してきたり色々調べたりするの?」
いくらなんでもやりすぎだ。
「それが任務だからねー。」
意地悪く笑った弓絃にまた、私は疑問をぶつける。
「……じゃあ、何で私のお父さんとお母さんを、守人は救ってくれなかったの…?」
お母さんもお父さんも、霊のせいで死んだ。
守人が、そのとき居てくれたら。
「……今、実質動いてる守人は僕だけなんだ。」
「……え?」
「じいちゃんは年だから引退。ばあちゃんも三年前に逝っちゃって。父さんも母さんも八年前に死んじゃってるから。今、守野家の守人は僕だけ、なんだ。」
寂しそうに笑って、弓絃は続ける。
「三年前、鈴の親御さんが亡くなったとき、僕はまだ守人としての力が全くと言っていいほど無かった。力がない僕みたいな守人が助けに入っても、逆に取りつかれたり、いいように使われるだけ。だから……ごめん。そのとき、僕が力を使いこなせてたら………」
「違う! 弓絃のせいじゃない! 私が過去のことを意地悪して聞いただけ! 弓絃は謝らなくていい!」
こんなに大声を出したのは、いつぶりだろうか。
ずっと前にお母さんとケンカしたとき以来だ。
「本当に……無神経なこと聞いて、ごめん」
弓絃は目を見開いて、いつものように笑った。
「よーし、本題に入ろっか。」
弓絃もいつもの調子に戻り、自分の制服のポケットから何かを取り出した。
「それ……!」
取り出されたのは、ボロボロになった朱い巾着型の厄除け御守り。
「うん、鈴も同じの持ってるよね?」
学校鞄に付けた、御守りを急いで取り外し、弓絃の物の隣に並べる。
「一緒………」
まるっきり同じだ。
でも、そんな筈はない。
これは……
「何千年も前から家に受け継がれてきた物、でしょ?」
「なんで、」
「ウチも一緒。なーんか関係あると思わない?」
笑った弓絃がこのあと、あんな暴挙に出るとは思いもしなかった。
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