コメディ・ライト小説(新)

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孫が現れたんだけど。
日時: 2017/12/24 21:04
名前: m (ID: dZI9QaVT)

えっ、私の孫!?
バイトに明け暮れる恋する女子高生の前に現れた1人の孫。
彼は何のために現代にやって来たのか?
そこには愛しくて切ない理由があったのです。

Re: 1999 ( No.5 )
日時: 2017/12/21 00:43
名前: m (ID: dZI9QaVT)

「こんばんは。」

勢いで出てきたが対照的に声はこわばっていた。まだ警戒が解けたわけではない。
そっと相手を見る。

その時、不思議な感覚に陥った。
まるで胸の奥に鉛が差し込まれたような。
何だこれは?
こんな気持ち初めてだ。

身長は165センチくらいで紺色のチェスターコートに黒色のズボン。
くりっとした目が特徴的で鼻筋がすっと通っている。
子犬系の顔はまだ少しあどけなさが残っていて、年は私と同じくらいだった。
むこうも少し緊張したような顔をしていた。


「こんばんは。改めまして、一ノ瀬 明です。夜にすみません。」

「いいえ。」

2人の息は白かった。
夜の風は冷たい。
この季節となればなおさらだ。

「それでですね、俺は......」

私をちらっと見てからすぐに目線を逸らした。

何なの?
何者なんですかあなたは?

その答えは私の想像を軽く超えていた。







「藤岡 香織さん、あなたの孫です。」









「..................は?」








Re: 1999 ( No.6 )
日時: 2017/12/14 12:52
名前: m (ID: Re8SsDCb)

「いやいやいや何言ってるんですかっっ!」

私は自称孫からさっと離れた。
頭を抱えてブンブン横に振る。

やっぱりやばいよこの人!
私の孫?
結婚もしてないし、それ以前に私は高校生だし!!!
わけわからん。

すると相手は手を口に当てて吹き出した。

「ふっ、思ってた以上の反応だな。」

今まで緊張した面持ちをしてたのが嘘みたいなくだけた言い方だった。

「てか、こんなのが俺と同い年の時のおばあちゃんかよ。」

眉毛を下げて手をひらひらさせる。

口悪いっ!!

馬鹿にしたような顔で私を見下ろした。
私の頭は混乱している。

「ほんとジェスンギーだな。」

じぇすんぎー?
なんだその言葉は。

「ああ今のは2084年の言葉だ。流行りなんだよ。思わず出てしまった。」

どうしたらいいこの人?

もう色々と限界だ。
ムリ、この人。

「警察呼びましょか?それとも救急車呼びましょうか?変なクスリやってますか?」

呼吸もせずに一気に問いただす。
そのせいでぜぇぜぇと私の呼吸は荒くなった。
私の前から消えてくれ。
絶対クスリやってるだろ、お前。

「そんな興奮すんなって。」

なだめるように言う。
興奮させてるにはどこのどいつだ。
じろっと睨む。

「じゃあ証明しようか?」

私に顔を近付けてくる。
近すぎだ。
私はすぐに後ろに下がる。
そして、自称孫はうーんと何かを思い出すような仕草をしたのだった。


Re: 1999 ( No.7 )
日時: 2017/12/10 15:04
名前: m (ID: dZI9QaVT)

思い出したようだ。
不穏な笑みを浮かべる。

「おばあちゃん、高校生の時にバイトで稼いだお金をアイドルに全て貢いでいたらしいな。」

「なっ、何でそんなの知ってるのよ。」

趣味まで把握済みか。
どこからの情報なのよ?

「おばあちゃんが言ってたんだよ。starsとかいうアイドル。」

「そのおばあちゃんが私ってわけ?」

「うん。」

余りにもあっさり返事をする。
何を考えているんだか。

「それでさっきの続き。ある日バイトの帰りにさつまいも屋さんの前を通ったんだ。買おうかなっと思ったらしんだけどお金が無くて、家に帰った。さつまいもが食べれなくて残念がってたおばあちゃんは冷蔵庫にあるプリンを見つける。」

これ今日の私じゃん。
何で知ってんの
ああ、そのおばあちゃんに聞いたのね。

突っ込まずにとりあえず静かに聞く。
向こうは淡々と表情を変えずに話し続ける。

「プリンを見つけて大喜びしたおばあちゃんは急いで食べようする。
でも、実はそのプリン賞味期限が2週間も切れていた。そしてそれを知らずにプリンを食べたおばあちゃんはお腹を壊してしまった。しかも寝ている時にプリン怪獣に襲われるという夢を見たそうな。」

なぜか最後は昔話口調だ。

プリン怪獣......?
なんだそれ
あきれた顔をした。

でも少し引っかかる所がある。
プリンの賞味期限切れてたの?
本当だったらどうしよう。
楽しみにしてたのに。

私はダッシュでリビングに戻りプリンの日付けを確認した。
慌てた様子で家の中に入るのを見た相手はびっくりした様子だったがそんなの知らない。

「あっ」

Re: 1999 *コメント募集中です!* ( No.8 )
日時: 2017/12/14 15:36
名前: m (ID: exZtdiuL)

プラスチック製の容器に入ったプリンはもうぬるくなっていた。

「ほんとだ!賞味期限が2週間もきれてる!」

当たっていたとは思ってなかったのでびっくりだ。
思わず大きな声を出してしまう。

まさか本当に私の孫なの?

「いやいやいやないから。絶対。」

一瞬よぎった考えを全力で否定する。
そんなわけないでしょ。
現実的に考えて。
でも、
本当かもしれない
と思う自分もいた。
初めて見た時からそう感じる瞬間があったのだ。
顔、雰囲気、仕草、表情全てが。
今、私と血縁関係のある親戚は1人もいない。
住まさせてもらっている叔母でさえないのだ。

だから、一ノ瀬 明と会った瞬間、今まで出会った事のない感情に陥ってしまったのかもしれない。
唯一、自分と血の繋がりがある人に出会って。
まさかだとは思うけど。

Re: 1999 *コメント募集中です!* ( No.9 )
日時: 2017/12/14 15:35
名前: m (ID: exZtdiuL)

「おーい、まだー?」

その時玄関先から私を呼ぶ声が聞こえた。
機嫌が悪そうだ。

ああ、ほったらかしにしてたな。
寒いのに。

「今行きまーす。」

玄関に向かいながら相手に届くように大きな声で答える。
そんな広い家じゃないけど。

そして、一ノ瀬 明は案の定玄関でむすっとした顔で腕を組みながら立っていた。
うわ、絶対寒い。

「ごめんごめん。急に部屋に入っちゃって。」

私は前髪を触って半分笑いながら謝る。
遅いって思われてたよね。

何か言われると思って、相手を伺う。

「別にいいよ。」

すると、相手はそんな私を見て突然笑った。
目尻が垂れている。
その顔は仔犬そのものだ。

「何で突然笑い出すの?」

「いや、何でもない。」

そう言いながらも手で口を隠して笑いを抑えている。
なんだなんだ。
どこがおかしいのよ!

私は眉をひそめた。
挙動不審か。

「プリンの賞味期限当たってたでしょ?」

まだ目に涙を浮かべながら尋ねてきた。
そんなにウケたのか。

「うん、当たってたよ。驚いた。」

笑ってる事に触れずに答えた。
普通にしとこう、私は。

「じゃあ俺の言ってる事信じた?」

「100%じゃないけどね。」

私は否定できなかった。
ありえないけど信じている自分がいる。
本当にありえないけど。

「良かった。」

相手はホッと安心したような溜息をついた。
笑いはいつの間にか止まっている。

「じゃあ、今日はこのへんで帰るよ。」

「えっ?」

そう言って相手は家の階段を降り始めた。
私は突然の行動にあっけにとられていた。

「もう一度会いに行くよ。」
振り返った一ノ瀬 明はこちらを見てにこっと微笑んだ。
何なのこの人。







「そんじゃ、おばあちゃん」




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