コメディ・ライト小説(新)

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ショタくんの反撃!!
日時: 2020/05/14 23:53
名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: rtUefBQN)

 


 2018年の夏ごろから冬にかけて「藍色の宝石」というシリダクの短編集で執筆していました「ショタくんの反撃!」というハイテンションラブコメをリメイクしようと思ってこちらに移動してまいりました。
 普段シリアスなドロドロした恋愛ものばっかり書いている私ですが、この作品に限っては、脳みそ溶けてるんじゃねえかレベルの楽しい作品を目指しております。少しでも笑っていただけますように。



   ◆◇◆


 登場人物

三浦みうら純菜じゅんな
 ショタ好きのOL、25歳。ただただ煩い。
潮見しおみ
 純菜の同僚で趣味の合う良き理解者。下の名前はまだない。
嵯峨さが翔太しょうた
 純菜に好意を寄せる通称ショタくん。モデルをやっている。20歳。




 ≪ きろく ≫

 □ スレ立て日 2018,1/20
 □ ショタくんの反撃! 書き始め 2018,8/16
 □ ショタくんの反撃! 完結 2019,1/5
 □ ショタくんの反撃!! 書き始め 2020,5/15

1 ( No.1 )
日時: 2020/05/15 13:35
名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: .KyU0SCB)



 近所に住んでいた六つ下の男の子。名前は嵯峨翔太くん。私に物凄く懐いてくれていて、いつもお姉ちゃんお姉ちゃんって私の後ろに引っ付いてきた。可愛い。とってもとっても可愛い。つい心の中で「ショタくん」なんて呼んでしまっていて、ひたすらに可愛いと拝み奉っていた彼は、それから十年後、私のもとに再び現れて言うのです。


「ガキ扱いするのは、やめろよ」




***

「どうして、どうしてなの、あんなに可愛かったショタくんはどこに行ったの??? うええええええんっかむばあああああっく、ショタくううううううんっ」
「うるせえ、黙れ」

 私の頭をばしっと叩いた二十歳の青年には、もうあの頃の可愛い可愛いショタくんの面影は私殆どない。あんなに天使だったショタくんはもう存在しないと思うと、悲しくて悲しくて今日も九時間睡眠できる気がしない。

「ああああああああ、私の可愛いショタくんがああああああ」
「だからうるせえって、ってか俺はショタじゃねえ、翔太だ!」
「っていうか、もうおうち帰りなよ、私の部屋狭いんだから」

 ショタくんがうちに転がり込んできたのが先週の水曜日。ちょうど一週間前だ。
 俺のこと覚えてる、って大雨のその日、傘もささずに土砂降りの中びしょびしょになって、私の部屋の前でそう聞いた彼が、あのショタくんだと気づける人間はきっと私だけだ。
 ていうか、どうやってこの場所を知ったのか疑問はたくさんあったけど、とりあえずお風呂に入れて着替えを渡して、その日は私の部屋のソファで眠った。
 
「本当にあのショタくん、なの?」
「どっからどう見ても、そうだろ。あほかよ、お姉ちゃん」
「…………」
「なに、イケメンになっててびっくりした? 惚れたなら別に泊めてくれたお礼で……」
「なんで、なんで」
「…………?」

 思い出す、あの可愛かったショタくんを。ランドセルを背負って笑顔で「お姉ちゃん、今日はね、みーくんとね、鬼ごっこやったの!」ってそんな可愛い報告をしてきてくれたあのショタくんが
 遊びに行くたびに僕も一緒に行きたいっておねだりしてきたあの可愛すぎる天使ことショタくんが



「あああああああああショタくんはこんなんじゃないもんっ!!!」
「は? てかショタくんってなんだよ、俺は翔太だし」
「なにこれ、どう見てもただの男じゃん。十年経ってもショタくんはあのままショタくんのままであることを願ってたのに」

 私がショタくんの顔をつかんで凝視すると、見る見るうちにショタくんの顔は真っ赤になっていく。
 そんなことなんかまったく気にせずに私は大号泣。でも仕方ない、あんなに可愛かったショタくんは、もう、もういないんだ。


「ほら、お姉ちゃん。俺、カッコよくなっただろ、俺はもう子供じゃない!」
「いやああああああああああ、無理無理。可愛くないショタくんはショタくんじゃないもんっ」



 「あああ、うるせえな。もう、わかれよ」


 私が現実逃避しようとしているのをいとも簡単に彼は止める。私の手をつかんで自分のもとに引っ張って私を優しく抱きしめたショタくんは、大人の体で、大人の声で、そっと私に囁く。
 

 「好きなんだ。俺はこれからお姉ちゃんとずっと一緒にいたい」

 ドラマチックに、まるで映画のワンシーンみたいに、ショタくんは私の腕を引っ張ってぎゅっと抱きしめた。
 あの頃の可愛いショタくんなら絶対「イエスッマイロード」って言っておねだり何でも聞いてただろうけど、今は違う。全然違う。無理だ。だってもう彼はショタじゃない。
 可愛くおねだりしてきても見た目は成人男子。無理、死ぬ。吐く。


「いや、出て行ってください」
「はあ、なんでだよ、泊めてくれてもいいじゃん。ほら、何でもするから」
「じゃあ昔の可愛いショタくんに戻ってよおおおおおおおお」



 これは昔最高に好きだった可愛い天使ショタくんとの再会の物語(死亡フラグ)

Re: ショタくんの反撃!! ( No.2 )
日時: 2020/05/17 21:51
名前: 柑橘 檸檬 (ID: 58y6MThT)

めっちゃ好きです( ^ω^)

Re: ショタくんの反撃!! ( No.3 )
日時: 2020/05/20 22:57
名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: rtUefBQN)



 ◆ 柑橘 檸檬 様


 コメントありがとうございます!!!!!!
 私もこういう楽しいお話大好きなので、そう言っていただけて嬉しいです。しばらくはストックがあるので定期更新できますので、またお時間のある時に読んでいただけると幸いです。
 ありがとうございました!!!!

2 ( No.4 )
日時: 2020/05/20 23:46
名前: 立花 ◆FaxflHSkao (ID: rtUefBQN)

「で、純菜はどうすんの、それ」
「え、どうするって?」

 お昼休憩中。私は職場で同僚の潮見と最近の非日常(突然やってきたショタくん)について語っていた。

「だって、もうそいつはショタじゃないんだろ。じゃあ、もうお前のストライクゾーンからは大きく外れて、ってかむしろ圏外じゃん」
「あー、ほんとそれ、つらみ。まじ、つらみ」
「しかも、その翔太くん? って、あれだろ、なんか最近話題の」
「話題……?」

 休憩室の端っこにある雑誌コーナーから一冊の人気雑誌を彼は持ち出してきた。見て、びっくり。なんとその表紙にはあのショタくんの顔がばっちり映っている。

「ちょ、え、待って、なにこれ。ショタくんじゃんっ」
「ああ、さっき名前聞いたあたりからなんか聞いたことあんなぁって思ってたら、やっぱそうなんだ。ってか、お前もこれくらい知っとけよ。嵯峨翔太っていったら、今話題のモデルじゃん」


 潮見がさらっというものだから、もう私はプチパニック。雑誌をパラパラめくってみると、ショタくんの特集が十ページくらいにわたって続いていた。あの頃のショタくんを匂わせるものなんて一つもない。成長してしまった彼の姿に私は心底ショックを受けて、ゆっくりとその雑誌を閉じた。


「しおみいいいい、どうしよう、なんかイケメンと一緒に暮らしてる私やばいよおおおおお」
「おう、ファンに家見つかって焼け野原になる前に次の部屋探しとけよ」
「やだよおおお、ショタくんのファンに家燃やされるなんてやだああああああ」

 家に帰ると、きっと今日もショタくんは当然のように私の帰りを待っているのだろう。最近は気軽に「好きだよ」なんて私に触れてくるようになった。ませてる。本当あいつませてる。
 あの頃のショタくんなら「お姉ちゃん大好きだよ」って恥ずかしがりながら手を握るくらいだったのに。あれいや、昔から結構ませてたのか。

「潮見、やっぱさ、ショタは健気で儚くて……」
「可愛いのが鉄則だよな」
「だよね!!!!!ほんと、それ!!!!!」


 私は潮見の手を取ってぶんぶん振った。
 潮見は私の同僚で、親友だ。入社式のあとにあった歓迎飲み会でショタ好きの趣味がお互い発覚し(正しくは酔っぱらったせいでうっかり喋ってしまった)すぐに仲良くなった私たち。いい新刊が手に入るたびに二人飲み会を開き、明け方まで語りつくす。周りは私たちが付き合ってるなんて勘違いをしているけれど、むしろ好都合だ。潮見に彼女なんかできたらこの幸せな時間が終わってしまう。そんなの嫌だ。


「潮見はずっと私のショタ好き仲間だよね!!!!」
「どした、急に」
「なんか、いま潮見に彼女できた時のこと考えちゃった」
「あー、まぁしばらくはできないだろうな、お前とこうやって喋るほうが楽しいし」

 潮見が歯を見せて笑う。私も満面の笑みを浮かべて今日もサイトで発見したショタ小説を潮見に見せる。
 こんなにもショタは素晴らしく、天使なのに。
 いつかは大人になってしまう短いその時間を、私たちは止めることができないからとても歯がゆい。
 ショタくんがあのまま、ずっと可愛い子供のままだったら、私は彼の好きに全力で応えれたのだろうか。


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