コメディ・ライト小説(新)
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- 魔法使い不在のまま、『シンデレラ』の物語は進む。
- 日時: 2019/02/22 16:49
- 名前: ミーミ (ID: xTLxRpAm)
初めましての方、初めまして!もう知ってる方、超お久しぶりです‼︎
小説『タイムスリップ☆スター』の作者ミーミです。
『タイムスリップ☆スター』、2ヶ月程更新が止まっていて本当にごめんなさい(土下座)‼︎ネタが……、思いつかないのです、ガチめに。
そんな時国語の授業で書いたのが、この物語。
『シンデレラ』の世界で魔法が使えなかったら(=魔法使いが存在しなかったら)どうなるのかな〜と考え、連載を始めさせて頂きます。
授業で書いたのは他人に読まれる為恋愛なしバージョンでしたが、こちらではたくさん恋愛要素を入れますのでご安心を!
ちょっと不思議な異世界トリップっぽい物語、お楽しみ下さい。
0,プロローグ
皆さんは知っているだろうか。『シンデレラ』の世界に、魔法など存在しないことを。
カボチャの馬車も、12時で解ける魔法も、全て1人の人間が苦心して「そう見せかけた」だけだということを。
このお話は、その《1人の人間》の物語である。
- Re: 魔法使い不在のまま、『シンデレラ』の物語は進む。 ( No.1 )
- 日時: 2019/02/22 17:44
- 名前: ミーミ (ID: xTLxRpAm)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12258
1,魔法使い不在のまま、『シンデレラ』の物語は始まる。
日野奈々花はその白い腕に黒猫を抱き、困惑していた。
その原因は、約10分前の出来事にある。
学校からの帰り道、奈々花は静かな路地に佇む黒猫を見つけた。
「うわー、綺麗な黒猫。首輪ナシってことは野良猫?」
最近の野良猫は元気そうだねぇ、と奈々花は黒猫の美しい毛並みを見て呟いた。手を伸ばし撫でようとすると、黒猫は警戒したのかその手を引っ掻く。
「いだっ。ヒドイ!撫でようとしただけなのに(泣)」
少し(?)大袈裟に悲しむ奈々花。その瞬間、1人と1匹の周りを眩しい光が包みこんだ。
そして気が付いた時。彼女らは見知らぬ地にいたのだった。
目の前に広がるのは、こぢんまりとした異国風の町。
奈々花は誘拐されたのかな、と現実逃避した。
しかし、容赦なく現実は突き付けられた。
「おい女。逃げるな、これは現実だ。あと悪いのお前だからな」
黒猫によって。
「……黒猫さん、アナタ今喋りました?」
「当然」
奈々花は、もう何も非現実的なことを気にしない、と心に決めた。
黒猫は続ける。
「俺が物語の世界に行こうとするのをお前がジャマするから……」
なんか文句言われた。とりあえず謝る奈々花。
「ごめんね、黒猫ちゃん」
「……ちゃんはヤメろ」
「じゃあ、黒ちゃん?」
「ちゃん変わってねぇ!俺の話聞いてたかお前⁈」
「……ちょっとは」
「聞く気すげえ無いな‼︎ああもう面倒臭い、俺のことは【クロ】とでも呼べ!」
コントの結果、折れたのは黒猫ーークロだった。
奈々花はマイペースに笑う。
「おっけー、クロね。私は日野奈々花。ヨロ‼︎」
自己紹介が済んだ所で、クロは爆弾を投下した。
「ちなみにココは、『シンデレラ』の物語の世界だ」
一瞬の沈黙。奈々花は過去最大の声を上げた。
「ええええええええっ⁉︎⁈」
続く
- Re: 魔法使い不在のまま、『シンデレラ』の物語は進む。 ( No.2 )
- 日時: 2019/02/22 18:16
- 名前: ミーミ (ID: xTLxRpAm)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12258
「うるさい!ウザい!うざったい‼︎」
「おお、ソレが噂の3U(うるさい、ウザい、うざったい、の頭文字)!……若干意味被ってるけど」
奈々花の天然ボケに頭を抱えるクロ。
「そうか、コイツはそういう奴なんだな……(諦め)」
悟りを開いた。
クロは言う。これまでのいきさつを。
「俺は、この世のありとあらゆる物語を進める神の遣い。今回は『シンデレラ』の物語を進め、最終的に2人を結婚させるのが仕事だった。で、行こうとした矢先にお前が俺に触れて、慌てて振り払うも間に合わずに一緒に来ちまったって訳だ」
「……ソレって、ただタイミングが悪かっただけじゃない⁇」
しっかり反論する奈々花。正しいので、クロは言い返せなかった。
そして脱線した話を戻す。
「だから、王子とシンデレラを結婚させるまで元の世界に帰れないぞ、お前も」
奈々花は最後の言葉に引っかかりを覚えた。
「……私、も?え、嘘でしょ今スグ帰してよ」
ブンブンクロを振り回す。クロは途切れ途切れに言った。
「無理、だ。神様は、仕事が終わるまで、帰してくれないいい⁉︎」
絶望した奈々花は、クロを落とす。憐れクロ。
「終わった……。明日の体育、楽しみにしてたのに……」
理由がくだらない、と言ってはイケナイ。天誅が下る(奈々花から)。
クロは嘆息しながら言った。
「そんな感じだからさ、お前も協力してくんね?一緒にやれば早く終わるかもしれないだろ」
こんな奴でもいないよりはマシなはず、が本音であるが。
クロの台詞に納得した奈々花は、クロと共戦条約を結んだのだった。
続く
- Re: 魔法使い不在のまま、『シンデレラ』の物語は進む。 ( No.3 )
- 日時: 2019/02/22 21:17
- 名前: ミーミ (ID: xTLxRpAm)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12258
2,魔法使い不在のまま、『シンデレラ』の物語は進む。〜ミッションその1 王子の家臣になれ〜
さて、協力して王子とシンデレラをくっつけることになった1人と1匹だが、どう動こうか考えていた。
「シンデレラの所に行くのは論外だよな。継母と義姉達に家事押し付けられて身動き取れなくなるだろうし」
「そうだね。やっぱり一番手っ取り早いのは、王子の家臣になることじゃない?」
その考えに至るまでは早かった。だが問題はここからだ。
「いきなり出会った人を家臣にする訳ないよね〜」
「無理だな。そんな警戒心ゼロな人間が、王子なんてできるはずがない」
次期国王に取り入ろうとする人は山ほどいる。王子とは、そういう人間すら利用できる程頭が良くないとやっていけない仕事なのだ。いろいろな物語の中に入ったクロだから言えることだった。
頭を悩ましている彼女らに、声を掛けてきた人物がいた。
「すまないっ。少々匿ってくれ」
大きなフードを深く被った背の高い青年は、そう言うと姿を消す。
遅れて屈強な数人の男が走ってくる。
「失礼。ここに、フードを深く被った青年が来なかっただろうか」
面倒なことに巻き込まれたな、と思いつつ奈々花はしれっと嘘を吐いた。
「あの、あっちに走っていきましたよ」
適当な方向を指差す。騙された男達は礼を言い、走り去っていった。
その後ろ姿を眺め、小さく呟く奈々花。
「あんなにアッサリ信じてもらうと、罪悪感あるなぁ。……あ、もう行きましたよ」
側にある井戸に向かって囁くと、ムクリと青年は立ち上がった。そして感心したように言う。
「よく分かったな、俺が井戸に隠れていると」
「まぁ、ソコが一番隠れるのに適してますし。ところでアナタ、もしかして金髪碧眼だったりしません?」
だったらフラグ立つな〜と尋ねる。
黙る青年。まさか、と驚く少女。混沌な状況である。
空はどこまでも青く、澄み渡っていた。
続く