コメディ・ライト小説(新)

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喫茶Anjouにお任せ下さい
日時: 2019/05/27 16:44
名前: 青い海 (ID: EDXcI6jL)

海岸沿いの道に、白い壁のお洒落な外観をした喫茶店がある。
18歳の少女が経営している『Anjou』という名前のそのお店は、老若男女問わず人気だ。

なんでも、看板メニューである『ふわとろパンケーキ』が高校生が作ったと思わないくらいに本格的で美味しいらしく、ついつい何回も来てしまうんだとか。

しかし
そんな人気店の『Anjou』にも秘密があった。


それは、
知る人ぞ知る『探偵事務所』だということ。


***


あたしが引き受けるんだ。そこらの探偵よりはいいと思うぞ?」
少し男気がある探偵事務所所長兼喫茶店オーナー
楠木杏樹くすのきあんじゅ

「おい!杏!何でお前はそう後先考えず依頼を引き受けちまうんだよ」
少し俺様気質な杏樹の幼馴染み
須藤拓磨すとうたくま

「まあまあ、2人とも喧嘩しないの。仲直りして。ね?」
物腰柔らかな謎多き従業員
歌野琉生うたのるい

「はあーっ、何でこんなにここの店は可愛くないの!?」
女顔負けの可愛さをもつ女装男子
七瀬遥ななせはるか


暴力上等、危険不可避、波瀾の連続

普通の高校生とはちょっと違う
彼らの日常を少し覗いてみませんか?

Re: 喫茶Anjouにお任せ下さい ( No.1 )
日時: 2019/05/12 11:04
名前: 青い海 (ID: EDXcI6jL)


23時00分

皆が寝静まった真夜中に、とある一件の家に近付く1人の怪しい男。
口には煙草をくわえ、手には油が入っている容器を持っている。
そして家の中に入り、油を撒き散らし煙草を適当な所に落とした。

瞬間

ボウッと火が燃え上がり、家を焼きつくしていく。
それを見ると、男は暗闇のなかへと去っていった。

Re: 喫茶Anjouにお任せ下さい ( No.2 )
日時: 2019/05/18 21:19
名前: 青い海 (ID: EDXcI6jL)

『昨日午後23時ごろ、小河市で木造2階建て住宅が全焼する火事がありました。警察によりますと、この住宅には、30代の夫婦が暮らしていましたが、火事があった当時は2人とも外出中で、家には誰もいないはずでした。ところが今日、警察が現場検証をしたところ、焼け跡の2階から身元不明の女性の遺体が見つかりました。警察は遺体の身元の確認を進めるとともに、出火原因を調べています』

「...小河市って、ここじゃね?」
もぐもぐと、琉生が作ってくれたサンドイッチを食べながら、あたしは食卓テーブルで朝食をとっている3人の方を向いた。
すると、同じくテレビを見ながらサンドイッチにかぶりついていた3人は一斉に私の方を向く。
「そーいや、そうね。なーんか嫌な予感がする」
机に頬杖をついて私をじっと見る美少女。七瀬遥。
チョコレート色の髪をふわっと緩く巻いた髪はポニーテールにされており、少女が動く度ゆらゆらと揺れる。毛穴ひとつない色白の綺麗な肌に、髪と同じく茶色の瞳。桜色のぷっくりとした唇。
顔のパーツがひとつひとつ揃っている端正な顔はまるでお人形のようだ。
毎日この顔を見飽きるほど見ている私でも思わず見いってしまう。
...が。
残念なことに、こいつはこんな格好をしておきながら男なのだ。
そんなことを知らずに、遥に言い寄ってきた男の数は星の数。
まあ、その度に私が追っ払ったけど。
「嫌な予感...ねー。遥の予感はよく当たるから用心しとかないとね?」
首を可愛らしくこてんと傾げる姿もやけに色気がある色男。歌野琉生。
サラサラとしたレモン色の髪に、青い瞳。遥に負けず、色白の肌をしているこいつの顔は勿論整っていて、にこりとこいつが微笑めば落ちない女はいないと言われている。
物腰柔らかで落ち着いた雰囲気を持っているが時々消え入りそうなくらい存在感が無くなる時がある。
その理由を何回も聞くけど、本人はなかなか答えようとはしない。自分のことを話したがらないのだ。だから私は琉生のことは全然知らない。でも人間観察に長けている琉生は、私のことを私以上に分かっている。
それが、なんだかムカつくし、不思議に思う。この4人のなかで一番謎に包まれている人物だ。
「特に杏は用心しとけよ。ただでさえ危なっかしいんだからよ」
珈琲を飲みながら、そんな生意気な口をきくこいつは須藤拓磨。私の幼馴染みだ。
漆黒のサラサラな髪に、透き通るような黒色の瞳。
ムカつくほどにこいつも顔が整っていて、女子からの人気もいように高い。
しかし実はこいつ、大の女嫌いで、近付く女には容赦せず冷たい言葉を浴びせる最低野郎。
まあ、常に近付くなオーラを放っており、女子はおろか話し掛ける人がまずいないのだが。
でもまあ、10年近くこいつと過ごしてきた私から言えば、心配性で意外と真面目。人のことをよく見ている優しい奴なんだけどな。
本人には絶対言ってやらないけど。すぐに調子乗るし。

まあそんな個性豊かな3人と仲良く朝食を食べてる私だけど、実は私達。家族でも親戚でも何でもない。私が経営する喫茶店兼探偵事務所である『Anjou』をとおして仲良くなった友達だ。それで色々な家庭の事情をもつ琉生と遥を私と拓磨が一緒に住まないか、と誘ったのだ。
そして今、私達はここ『Anjou』で4人仲良く暮らしている。

Re: 喫茶Anjouにお任せ下さい ( No.3 )
日時: 2019/05/12 16:07
名前: 青い海 (ID: EDXcI6jL)


「それよりさ~琉生。遥のケーキは?」
「今作ってる」
「早くしてよね~?出掛ける用があるんだから」
「じゃあ自分で作ってくれないかなぁ?僕も忙しいんだけど?」

...まあ、“仲良く”暮らしてるかは微妙だけど。

「あー、朝からうぜぇな。喧嘩すんじゃねーよ。もう開店する時間だぞ?」
「へ?」
開店?
もうそんな時間なのか!?
拓磨の言葉に私は時計に目を向ける。規則正しい音をたてながら正確に動く時計の針は、拓磨の言う通りAnjou開店時間の8時になろうとしていて...。

「やばっ!!」
私は勢いよく立ち上がって、食べかけていたサンドイッチを口の中に詰め込んだ。
「はるはたひもはほへほひほー(遥達も後で来いよー)」
そう言って、バタバタと大きな足音を響かせながら階段を下りていく。
そして、壁にかけてあるエプロンを取ると、そのまま身につけた。
そして、ちょっとだけ店内を掃除して、お店の扉へと向かう。鍵を開けて外へ出ると、ドアノブに掛けてある『close』と書かれている板をひっくり返して『open』にした。

「...おい、お前早すぎるだろ」
「んー。もうちょっと遅く開店してもいいんじゃないかなぁ?」
「あー。嫌だ。だから遥、出掛けるって言ってるでしょ!」
それと同時に3人揃ってギャーギャー騒ぎながら下りてくるバカ達。
おいおい。早いもなにも、Anjouはいつも8時開店だろうが。いつも通りだし。
「早くしろ!拓磨!琉生を手伝って!遥!仕事ある日は遊びに行かない!あんた看板娘なんだから!」
ビシッ、と効果音がつきそうなくらいの勢いで一気に捲し立てて言うと、3人は何も言えなくなったのか、一斉に私の指示通りに動き出した。
「...ふぅ」
それを見て、私も準備に取りかかる。
8時の開店といえど、お客さんはそんなに時間ぴったりに来るはずがなく、いつもこの時間はガラガラだ。でも、この通り私達の準備の取り掛かりの時間が遅いため、8時に開店しているとはいえ、まだ準備中の状態だ。
だから、お客さんが来ないこの時間帯にサッサと準備を終わらせて、お客さんが集まり始めるお昼の時間に備えなければならない。
「あー、忙しいー!」
テーブルを拭いて、砂糖やらメニューやらを綺麗に置き直している時だった。


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