コメディ・ライト小説(新)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 元勇者、居候になる
- 日時: 2020/08/24 19:34
- 名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: 4mrTcNGz)
>>16(途中報告)
「転生……?つまり……?」
元勇者は、現代に転生していた。
それは、元魔王も同じで。
「そう!勇者も私も転生したの!この平和な世界に……!
って訳でもう勇者の家は無いから、私の家に住んじゃえ!」
元勇者は倒れてた所を元勇者より数年先に転生した元魔王に拾われて。
「すまない、何言ってるか解らない」
現代に馴染んた元魔王の家に、転生したての元勇者は居候する事になり______
このお話は、慣れない世界で試行錯誤してく元勇者と、そんな彼と楽しく過ごすのは、現代慣れした元魔王。平和な日常、偶にトラブル有りな、二人の少年少女によるラブコメディ
________________________
_________________
嘘です。構想段階でシリアスどんどん出てきました。そもそも過去設定が重いです。ラブコメディもするけどシリアス多めです。特にあるキャラのシリアス度合いがヤバくなりそうです。なので地雷な方は回れ右を。
お久しぶりです。覚えてる方はいないかと思いますが、蒼星という者です。
長らく(数ヶ月)失踪しておりました。申しわけありません。
コメライ板『不良部長と私の空想科学部』、二次総合板『クロスな日常物語』を執筆していた者です。
小説に対する熱意が半端なモノだったので(なりきりと平行……というよりなりきり優先だった)ネタが思い浮かばず失踪に至りました。今度は真面目にやります。が、執筆速度は自分のペースでいきます。日常物語みたいにかなりの速度で書いてて失踪になりたくないのでね。それとなりきりは止めときます。失踪したくないので。高校始まって忙しいのでね。
そんなこんなですが、それでも良いという方は宜しくお願いします!
#目次(ちょくちょく配置変わってすいません)
>>0- (一気に見る人用)
>>1 プロローグ
>>2 キャラ説明No1(仙李&雪永)
>>15 キャラ説明No2(勇里、春香、菖蒲、仁愛、優糸)
Episode1
>>3-4 大切な思い出
>>5 幕間 夜の魔王様
Episode2
>>6-13 注目を浴びる
>>14 幕間
Episode3
>>17- 予期せぬ出会い
- Re: 元勇者、居候になる ( No.15 )
- 日時: 2020/08/23 15:14
- 名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: YUWytwmT)
#キャラ説明 No2
栖川勇里
仙李達が通う高校の教頭兼3年生化学教科担任。若い男性である。
人当たりが良く面倒みもいい事から生徒からも他の教師からも人気が高い。が、その反面無理しがちで弱みを隠そうとする面もある。
前世は諜報員『ユーリ』。人間にして魔王側に付き、魔法を得意とする策士である。諜報員をやってるだけあって世界情勢には詳しかったようで、イキシアはユーリに様々な事を教えてもらってきた。尚、実は転生は今回で2回目であり、最初の転生をする前に住んでた世界は、現在彼らがいる世界と同じ世界らしい。
容姿は150後半と小柄で顔立ちも幼い。髪は黒ショートで瞳は黒で垂れ目。前世は身長160強で、髪色は黒と水色のグラデーション、瞳はくすんだ空色。
黒須春香
仙李が通う高校の3年A組の生徒にして生徒会長の女性。
ストイックで堅物、のわりに感情が表に出やすい。自己評価が低く、実際は生徒達に信頼されてるのにも関わらず卑屈になっていたりする。カレーパンが大好物。
容姿は背中に掛かる程長く、若干癖毛で内ハネの黒髪で、ツリ目で瞳は灰色。
蘭菖蒲
仙李と同級生の少女。しっかり者で教室内では比較的大人しい部類だが、芯は強く意見はしっかり持っている、意外とロマンチストでもある。そして軽音部の副部長兼ボーカル兼ギターでもある。
容姿としては、黒く艶のある髪を1つに束ね、年不相当な大人の顔立ち。瞳は墨色のツリ目。
白口仁愛
雪永の同級生で友人で日本人とアメリカ人のハーフの女性。陽気で流行に敏感なイマドキ女。だが思いやり深いく、察しが良い。前世の記憶は無いものの雪永の前世について知っている人間で、色々と相談に乗ったりもしている。雪永が転生してから初めて出会った人間も仁愛であり、雪永にこの世界について教えたのも仁愛である。
容姿は生まれながらの金髪のおさげツイン、顔立ちは歳相当。瞳は黒だが、普段はカラコンで藍色にしている。身長は160ちょいでスタイルは抜群。
柳優糸
雪永達の大学の世界史担当の若手男性教師。
自由気まま、脱力系省エネタイプ。周りをよく見ており実の所は気遣いは上手いがしないし、空気は読めるが普段は読まない。
前世は人間の青年の『シダ』。表の顔は人間の国の重役であるが、裏の顔はスパイであり、魔王達の味方だった。
容姿はボサボサな焦げ茶色の髪に、ボブに垂れ目。肌は一般的な人達より白い。身長は165センチ程。前世との差異は対して無い。
***
仁愛と優糸も一緒に書きました。どうせ追記するんだから先に書いちゃえの精神。ブロットと本編が乖離しない限り全員追記する事になる。
仙李雪永のようにモチーフ花は書いてませんが、モチーフ花はちゃんとあります。
紅林ちゃんのフルネームは次章解禁なのと、出番はあったけどまだ名前が出てない方が1名。
- Re: 元勇者、居候になる ( No.16 )
- 日時: 2020/08/23 21:18
- 名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: YUWytwmT)
*作業報告*
大まかなプロットが完成いたしましたので報告を。
この物語はEpisode11(+3)+幕間等による構成予定です。
Episode毎の話数はEpisodeによって数話の差が出ると思います。
さてさて、完結までに何年掛かることやら……
ちょっとだけ裏話すると、Episode6が超絶長いので分割の可能性があるのと((+3)はそういう意味)Episode8がプロット段階なのに書いてて悲しくなりました。本編Episode8-EX書いたら多分泣く。それと仰山シリアスパートも出てきましたのでご覚悟を。
のんびり執筆していきますので、拙い文章ですが……今後とも最後までお付き合いの程宜しくお願いします。
- Re: 元勇者、居候になる ( No.17 )
- 日時: 2020/08/24 19:29
- 名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: 4mrTcNGz)
Episode3
#予期せぬ出会い-1
仙李は初登校の日、帰りに勇里にバイト申請をしては、雪永協力のもとバイトする場所を決め、その数日後には面接を受けて、すぐさま採用通知が来し、その後店長さんとシフト等の話もした。
そして翌週末。
学校に慣れてきたこの頃。
今日は休日であり、初バイトの日でもある。
「仙李も今日からバイトかぁ……働かなくてもいいのに」
仙李がバイト先に向かう為に準備をしてると、こちらも仕事先に向かう為に準備してる雪永がそんな風に呟いた。
「貴方だけ働らかせる訳にもいかないよ」
「でも仙李まだ子供じゃん」
「そうだが……私を子供って言うが雪永もまだハタチだろう」
「まぁねー……」
ずっと世話になりっぱなりは性に合わないから、と言う意も込めて述べれば、雪永は年の差を理由にしてくるのてそれに対し言い返す。実際仙李は17歳、雪永は20歳と差はしれている。
「まぁ、仙李が決めた事だし、将来の事を考えればこういう経験も大事だしね。あ……時間大丈夫?」
雪永はスーツの袖に腕を通しながら仕方なさげに呟いては、一旦時計に視線を移して仙李に尋ねる。
「もうそんな時間か……いってきます」
「いってらっしゃーい!」
雪永に言われて時間を見ると、時計の針は家を出ると予定してた時刻を指していた。前もって準備していた鞄を手に取り玄関に向かえば、雪永は学校へ行くとき同様の明るい声で見送ってくれた。
30分程して。
バイト先である、雪永達が通う大学の近くの喫茶店に着いた。
採用通知時に連絡された集合場所……裏口に向かえば、面接時に会ったことがあるこのお店の店長の女性がいた。
「あ、清水さんこっちー」
そんな風に手招きする店長に名前を呼ばれ、店長につていていけばそのまま店内へと入る。
店内には開店前故にお客さんが居ない静かな場所で、それ以外には従業員と思われる人が何人か居た。その中には見覚えのある人がいたが、雰囲気は違ったので気のせいかと思いその場はスルーした。
「はい、みんな集まってください!
今日からバイトで入る清水仙李さんです」
「はじめまして、今日からアルバイトてしてこちらでお世話になります、新人の清水仙李です。宜しくお願いします」
店長の一声で従業員達は一箇所に集まり、店長によって彼らに紹介されたので、その紹介に続き仙李自身からも自己紹介する。この挨拶は雪永受け売りだ。
自己紹介が終わり、お辞儀をした時。従業員の中の1人の女性が「あっ、もしかして……!」と声をあげた。
「あ……やはり、あの時高校の近くで会った……」
「そうそう、先週の!まさかこんな形で会うとは……!」
その声で、先程の気のせいと流した事がが気のせいでは無いと気づき、確認すれば相手も覚えてた様子で。
そう。女性は先週、高校へ行く迂回路を案内してくれた女性なのである。その時のようなきらびやかな格好ではなく、他の人より少し派手な程度だったのが仙李が気のせいだと思った理由だ。
「え、なに?紅林さんこの子と知り合い?」
「あっ……知り合いというよりは一回会ったことがあるだけですけど……」
「なら清水さんの教育係任せていい?」
「構いませんが…………アタシバイトですけど……」
「紅林さんが問題無いならいいでしょ」
仙李の意を余所に、紅林と呼ばれた女性と店長は二人で話が進んでいた。話の流れからして彼女が仙李に仕事内容などを教えてくれる様だ。
「じゃ、清水さんについては決まった事だし……清水さん!向こうに1部屋従業員用の休憩室あるから、そこで紅林さんに業務内容の説明してもらって!他の皆は開店準備!」
「「「「はい!」」」」
気が付いたら店長が話を締め、それぞれが各持ち場へと移動し始める。仙李は休憩の場所が解らないので、自分の教育係らしい先程の女性に声を掛けようとしたら先に声をかけられた。
「新人君ー!休憩室こっちだよー!」
「は、はい……!」
駆け足で先行する女性を後ろから追い、そのまま休憩室へと向かった。
休憩室にて。
後から入ってきた仙李が扉を閉めては室内にあった椅子に両者座る。
「いやー、まさかこんな再開の仕方があるとはねぇ。
こないだ何人かバイトの子辞めちゃったからさ、丁度人手足りなかったから来てくれて助かるよ」
「そうでしたか。なら辞めた方の分も私が頑張ります」
「おっ、頼もしいじゃーん☆」
女性は近くの棚のフックに引っ掛けてあった金具で纏められた紙を取り、それを目で確認しながら呟いていたので、頑張る意思を伝えると期待が籠もった返事返ってきた。
「じゃあ、時間も限られてるから早速説明するね。アタシが教育係になったって事は……新人君はアタシと同じ接客担当かな?」
「はい」
「オーケ、オーケー。それなら説明しやすいや」
仙李は料理も出来ず事務……機械類もさっぱりなので、面接時は接客として応募したのである。
女性の質問に答えれば、女性は頷くと簡単に業務内容を説明してくれた。
接客の時の挨拶のテンプレートや、注文の取り方を始め、バイトの欠席の時などの注意事項や開店前や閉店後にする事等。会計については大雑把に教えてもらい、レジスターという機械を使うからと実践の時に細かく教えてくれるそうだ。その後女性をお客さんに見立て接客のシュミレーションをひと通りしたり、このお店のメニューを覚えるようにという話もあった。
そして開店時間が過ぎた頃。説明が全て終わり、店の制服に着替えている頃。
「いやー、笑顔良し姿勢良し態度良し。物覚えもいいし……これは恐らく即戦力級だねぇ。スゴイや」
「そんな……まだこれからですよ。それに、貴方の教え方が良いですし」
女性にべた褒めされ、仙李は内心嬉しくなりつつも口では謙遜気味に言う。事実彼女の教え方は仙李と相性が良いし、仙李が物覚えもよく礼儀が良いのもこれまた事実である。
「嬉しいこと言ってくれるじゃんこのこのー☆」
「ちょ……まだネクタイ整えてますから……!」
仙李に褒められ気分が良くなった彼女はニヤけながら仙李に近づいて仙李の頬を指で突く。突かれた仙李は身体のバランスを崩してふらつきながらも、なんとか保っては結び途中のネクタイを結びきる。
「あ、ゴメンね?
それと……もう時期仕事始まるけど、わかんない事あったらいつでも聞いてね」
「はい、ありがとうございます…………あの、名前を伺っても?」
彼女は少し離れると、素直に謝っては微笑みながらそう言って。その好意は素直に受け取れば、ふと彼女の名前をまだ知らないのに気付いて名前を尋ねる。尋ねられた彼女は「あ」と、今思い出したような声をあげては少しこちらに顔を近づけて……
「あー、そっか。そっちは自己紹介してくれたけどアタシはまだだったね。
アタシは紅林一華。これからヨロシク、仙李君!」
そう言っては大きく笑みを浮かべたのだった。
- Re: 元勇者、居候になる ( No.18 )
- 日時: 2020/08/26 11:55
- 名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: YhMlOecY)
#予期せぬ出会い-2
「宜しくお願いします。紅林先輩」
「!」
笑みを浮かべた一華に、仙李も笑顔を浮かべた。
その言葉を聞いた彼女は、嬉しそうに目を輝かせて。
「ねぇ、今のもう一回、もーいっかい言って!」
「わ、解りましたから手を止めてください……!」
彼女は仙李の両肩を掴んでは、前後に激しく振ってきた。仙李が止めるように言えば、彼女の手はぱっと止まる。
「えっと……宜しくお願いします。紅林先輩
………これでいいですか?」
「うん、ありがとー!
……ねぇ、後輩君、これからも先輩って呼んでくれる?」
「は、はぁ……構いませんが……」
一華は満足気に笑うと、期待が篭った目でお願いをしてきて。余りにも嬉しそうなので断れるものじゃないし、そもそも目上の方への言葉遣いはしっかりとしないといけないらしいこの世界なので、言われなくてもそうするつもりであった。
「やったー!
あー、遂にアタシも先輩の仲間入かぁー」
「……あの、先輩…………そろそろ表に戻ったほうが……」
彼女はご機嫌な様子でボソボソと呟いていたので、何だか話しかけ辛い雰囲気だったが、時間の都合もあるのでと声を掛ける。
「あっ、ごめんごめん
バイトでは初めての後輩だから嬉しくて。じゃ、いこっか」
「はい」
彼女は少し申し訳なく謝っては、優しい笑顔を浮かべながら部屋を出て仙李を手招きしたのだった。
客席に出ては、確認を兼ねて店長と少し会話をしては伝票等を貰う。その後は早速接客が始まった。
「すいませーん!」
席の場所の把握の為に店内を動いていたら、若い男女の2人組の男性に声を掛けられたので、直ぐ様彼らの席の側へ向う。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「オリジナルブレンドと……パンケーキを2つずつ」
先程一華に教わったばかりの言葉と営業スマイルというもので男性に尋ねると、男性はメニューのオリジナルブレンドとパンケーキの写真をそれぞれ指指して、最後に指で2を示す。
「ご確認します。オリジナルブレンドの珈琲とパンケーキ、それぞれ2つずつですね」
「はい」
「畏まりました。少々お待ちください」
仙李は注文を復唱し、手元の伝票に席の番号と注文された商品を書き込めば、お辞儀をしてその場を離れる。
キッチンの方へ向かえば、その伝票をキッチン前の伝票入れのトレーへ置いて「オーダー入りました」と一言。
少しすれば料理はできるので、その間に他のお客さんの注文も受ける。その後キッチン側から「○番席の準備できました!」と聞こえたのでキッチンへ向かい、先程のトレーの隣に置かれた珈琲とパンケーキ、そして先程の伝票を受けっとては客の元へ商品を届け行く。
「お待たせしました。オリジナルブレンドとパンケーキ、それぞれ2つでございます。
ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「はい」
「畏まりました。ごゆっくりどうぞ」
珈琲とパンケーキをそれぞれ置いては、他に注文はないかと確認をする。どうやら無いようなので、伝票を机の上に置いてはお辞儀をしてその場を去る。
これが注文から届けるまでのひと通りの行程だ。
内心、初めてにしては上手くできたのではないか?と感じ、この調子で頑張ろう、と考える仙李。
そこからはそのまま同じ事の繰り返し。
途中、一度だけ一華と共に会計にチャレンジしたが、これは出来ないどころか完全に彼女の足手まといになってしまう。その様子を見てた他の従業員の人に暫くは空いてる時間に練習するようにと言われてしまった。
機械音痴なのを自覚していた仙李だが、まさかここまでとは思って無かったのでこれは少しショックを受ける。一華に「誰しも初めから上手くできる事はないから大丈夫大丈夫!アタシも練習付き合うから!」とフォローしてもらえたのが救いだった。
数時間後。
バイトの終わりの時間が近づいていた頃。
ここで、仙李にとって想定外の小さなトラブルが起きた。
「あのー、オススメってありますか?」
仙李よりも年下のような少年にそのように声を掛けられた。
「あ、はい。当店オリジナルブレンドの珈琲はどうでしょうか?」
「あ、珈琲以外で」
それに対しこのお店の珈琲は看板メニューだと教わったのでそれを提示したのだが、なんと条件付き、珈琲は駄目という事だそうで。
それ以外、と言われても解らないかった。メニュー名は覚えていても、それを実際飲んたことなければオススメするのはどうかとも思った。
そんなこんなで悩んでると、仙李の後ろからジュースのページが開かれたメニューの本が出てきた。
「ならば……ソーダーフロートはいかがでしょうか?」
驚いて後ろを振り向けば、一華がお客の少年に向ってソーダーフロートの写真を指し示していた。
「あ……!それでお願いします」
「わかりました。ソーダーフロート1つですね。少々お待ちください」
一華は注文を受けると、慣れた手つきで伝票に注文内容を書き込んで。颯爽と現れてトラブルを解決した彼女だが、何事も無かったようにその場を後にする。
「あの……ありがとうございます、紅林先輩」
「いいって事よ☆困ったときはお互い様だし、後輩を助けるのは先輩の役目でしょ?」
仙李は一華を追い、手助けしてくれた事に対してお礼を言えば、彼女は笑顔でピースをした。
そんな彼女は何だか頼もしく感じ、初日ながらも彼女のような人が自分の先輩で良かったと思うのであった。
「後輩君ってバイトあと30分?」
「あ、はい」
「そっか、なら上がる時間アタシと同じだね。
じゃあ……後少し頑張ろう!」
「はい!」
一華はキッチンに伝票を置いては時計を見て尋ねてきて。問いかけに肯定すれば、彼女は笑顔で励ましてくれたのだった。
***
蒼星は本日から遅めの夏休みです。期間は1週間です。しかもテスト週間と重なってます。鬼畜…………
一華先輩とかいうノリも良くて面倒見良い先輩に勉強教わりたい今日この頃。学校では友達に教える側なんだ…………
Episode2から雪永さん出番少ないけど雪永さんの出番はまだ先だから……
- Re: 元勇者、居候になる ( No.19 )
- 日時: 2020/08/28 20:03
- 名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: y9FxUFsG)
#予期せぬ出会い-3
30分後。17時過ぎ。時間が来たからと、店長達に一言言ってから休憩室に向かい、制服を脱いで早々と着替える。
まだ一華は来てないようだが、じきに来るだろう。
同じ時間に上がる先輩より先に帰るのはどうかと思い、彼女が来るまで待つことにした。
「疲れたな。でもこの感じなら半月程で慣れれそうだ。
…………自動販売機か。喉乾いてたところだし何か買うか」
少しの間椅子に座っていたが、休憩室の隅に自動販売機が置いているのに気づき、席を立って販売機に近づく。
機械音痴の仙李といえど、この世界に来てから2週間以上経ってるのだ。流石に自動販売機の使い方くらいは解るので、財布から取り出したお金を入れて緑茶を購入する。
ガタン、という落下音と共に冷えたお茶入りペットボトルが出てきたのでそれを手に取れば、キャップを取ってお茶を飲む。
「ほんと、この世界の飲食物はどうなってるんだが……一般的に飲まれるお茶ですら前の世界の高級茶以上に美味しいとはな。値段も格安だし」
少し飲んだ後キャップを締めたペットボトルを眺めて。
転生前の世界とこの世界は科学文明は勿論、食文化のレベル格段に違う。これがこの世界の常識なのだから仕方ないのだろうが、仙李はイマイチ飲食物の品質の違いに関してはまだ慣れないでいた。______まぁ、美味しいからいいのだが。
「……先輩の分も買っておくか」
まだ一華は来ないので、恐らく疲れてるであろう彼女にも何か飲み物を買おうとする。とはいえ彼女の好き嫌いは解らないので、無難に仙李が先程買ったものと同じ緑茶にしておく。
買い終わって再び椅子に座ろうとしたところで一華が休憩室にやってきた。
「お、後輩君お疲れ様ー☆
いやー……今日も疲れたぁー」
一華は汗を流しながら一直線に椅子に座り込んでは、彼女の鞄からタオルを取り出して顔や首を拭いていた。
「お疲れ様です、紅林先輩。よかったらこれどうぞ」
「いいの?」
「はい。お疲れのようですし」
「ありがと!気が利くじゃん」
そんな彼女に、仙李は先程買った新品の緑茶を差し出せば彼女は喜んで受け取りすぐにその緑茶を飲みほした。
「ね、もうじき帰るんだよね?
家ってどっち方面?」
「北ですね」
「お、アタシもそっちの方だよ。
色々話しておきたい事もあるし、途中まで一緒に帰れる?」
「はい。大丈夫です」
そんな風に途中まで一緒に帰る約束をすると、一華は「着替えてくから待っててー」と部屋を後にした。仙李は一華がもどってくるまでただ座っていたのだった。
暫くして。
一華が戻ってきたのでそのまま裏口から店を出ては大通りに出て、そのまま北へと向う。
途中、一華には今日の事のような特殊な場合への対応方法や、もしもという事でクレーマーへの対応なども教えてもらった。
「あ、ちょっとあの店寄っていい?シャーペンの芯切らしてて」
「わかりました。自分もついでに何かないか見ておきますね」
ある程度歩いたところで。一華は道沿いにある文房具屋を指差してはそう言った。特に断る理由も無いし、この世界の筆記用具は種類が豊富なので色々見てみたいという事もあるので頷くと、彼女は「ありがとー!じゃ、いこっ」と店内へと入っていく。そんな彼女を追うように店内に入っていったのだが、入店してすぐ、仙李は立ち止まった。
「雪永……!?貴方もここに来てたのか!」
「あ、仙李ー!偶然だね!」
店内には、なんと雪永も居たのだ。彼女はすぐ様こちらに気づき駆け寄ってくる。
「あ、仙李君ってよく話してる例の子?
はじめまして仙李君!雪永の親友の白口仁愛でーす」
「雪永の親友の方ですか。はじめまして、清水仙李です」
その後雪永の近くに居た金髪の女性もこちらに来て名乗りあげる。なんと雪永の親友のようだ。
「後輩君どーしたのー?……って白口先輩!こんちにはー☆奇遇ですねー!」
「お、一華ちゃん奇遇だねー!」
こちらの様子に気づいた一華も駆け寄ってきたが、途中で仁愛に気づき挨拶する。それに対し仁愛も笑顔で返したどうやらこの2人は認識があるよう。
「え、そっちの子は?仁愛も仙李も知ってる子?」
「どーも、仁愛先輩の大学での後輩で、後輩君……仙李君のバイト先の先輩の紅林一華です。貴方は?」
突然の一華の登場に戸惑う雪永に、簡潔に説明して笑みを浮かべる一華。接客業をやってるからか笑顔は完璧である。
「私は草津雪永。仁愛とは親友で同級生。だから貴方と同じ大学だね。仙李とは親戚で、こっちに引っ越してきた仙李と暮らしてるの。宜しくね、一華ちゃん」
「あっはい!宜しくお願いします!
って、え、暮らしてる……?お二人で…?」
一華の問いかけに答える雪永だが、その回答にさらに首を傾げる一華。隣では仁愛もまた首を傾げていては、「親戚……とは?」と呟いていた。
「うん。そうだよ」
「そ、そうなんですか……彼からは親の事情で引っ越してきたと聞いたので驚きです。
まさか嘘吐いてて、実はこんな美人なお姉さんと住んでたのはねー、雪永先輩に何か変なことしたりしてるの、後輩君……?」
雪永の言葉に目を丸くしては、仙李をジト目で見る一華。それに対し仙李は何もしてないとはいえ嘘を吐いたのには変わりなく気まずくなり目を逸らす。
「あ、こら目逸した!」
「待って一華ちゃん!事情があるのは事実だし仙李はそんな事するような子じゃないから……!現になんにもされてないよ」
「えっ、あっ……ごめん後輩君!!」
仙李が目を逸したのをやましい事をしてると受け取った様子の一華に、誤解を解こうと説明する雪永。それを聞いた一華は困惑させながら口をパクパクし、終いには謝ってきた。
「いえ、これは誤解されても仕方ないので……私こそ嘘吐いてごめんなさい」
「ううん、アタシが悪いから!」
「いえ、私が……」
「違うって、アタシが……!」
元はと言えば事実が特殊故仕方ないとはいえ嘘を吐いた事が原因だからと仙李が謝れば、そんなこと無いと一華も謝りだす。それは互いの謝り合いに発展し、収集つかなくなったところで、仁愛が両者の肩を掴んだ。
「はーいそこまで。今回は仙李君達の事情が特別みたいだから誰も悪くないって。若い男女が一緒に暮らしてるのかそんなに言える事じゃないでしょ?こういう風みたいに勘違い起きるんだから。仙李君も仙李君ね。親戚と住んでるって風なら誤解減るし」
「「は、はい」」
「宜しい!」
仁愛にちょっとした説教されやってしまったと思う仙李と、しゅんとなる一華。それぞれ反省したのでそれを見た仁愛は二人の肩を叩いてはこう続けた。
「よし、じゃあこの話はこんでおわり!ここに来たということは一華ちゃん達も文房具見に来たんだろうから見ないとね!」