コメディ・ライト小説(新)
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- 喧騒と静寂の唄
- 日時: 2021/10/03 12:46
- 名前: 坂蜻蛉 宙露 (ID: lCrRYYeA)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12899
喧騒と静寂の唄
こんにちは、坂蜻蛉です。
開いて頂きありがとうございます。
ここでは短編小説などを書いていこうと思います。
・これがデビュー作です!( ̄▽ ̄)
・感想言ってもらえたら凄く嬉しいです!
・たまにシリアスな場面も…
・キャラ画URL >>58
宇宙宛ての茶封筒 >>5-22
萌芽と共に薫風は、 >>30-66
言の葉フロンティア >>68~
2021年1月14日閲覧1000回突破!
ありがとうございます。
来て下さった皆様、読んで下さった皆様に心より感謝致します。
- Re: 萌芽と共に薫風は、 ( No.61 )
- 日時: 2021/02/04 18:47
- 名前: 坂蜻蛉 宙露 (ID: lCrRYYeA)
それから大分日が傾いて、私はスマホを触りながら滉芽に話しかけた。
「輪廻だって。これが一番だと思う」
「…他には何がある?」
ほんの少し不機嫌に話す。滉芽は輪廻の意味がわからないようだ。
「じゃあね、煉獄?天国に行く前の世界だって。熱そうだけど」
「格好いいけど違う!だから天国が良いって」
もう一ヶ月位前だろうか。
滉芽と神社で初めて逢ったのは。
私の目玉であんなにビビったのにはこっちも驚いた。
四月一日に新しい元号が発表されるらしい。
- Re: 萌芽と共に薫風は、 ( No.62 )
- 日時: 2021/04/15 07:41
- 名前: 坂蜻蛉 宙露 (ID: lCrRYYeA)
三月も終わりに近づいてきた。ニュースは新しい元号の話で持ちきりだ。
最近、滉芽が変わったように感じる。何だか…妙に優しくなった気が。
「滉芽!」
大きな声で呼んでみた。びっくりした様子で私の方を向く。
「ここは変わってないや。あのね、私達が会ってから今日でぴったり一ヶ月経ったって」
スマホで日記を書いているなんて言えないけれど。
「そうなのか!早いな。本当に色んな事があった」
「私の眼でビビってたのは忘れられないなぁ。あと寝起きがヤバい事」
「それはもういいだろ!」
「楽しかった。全部。もう終わりなんだよね?嫌だよ…」
つい、本音と涙が溢れる。
「えっお前、何泣いてんの!?早く拭けよ」
滉芽は少し焦ってる。何だか安心して、深呼吸してみた。
青々としてきた木の葉が美しい。
更新出来ず誠に申し訳ございませんでした。以後気をつけます。
- Re: 萌芽と共に薫風は、 ( No.63 )
- 日時: 2021/03/13 14:46
- 名前: 坂蜻蛉 宙露 (ID: lCrRYYeA)
四月一日正午前、スマホのワンセグを開いて滉芽と一緒に覗き込んでいた。
「新しい元号は、令和であります―――」
フラッシュと共にそれは発表される。
「新しい事が始まるの…確か萌芽っていうんだよな」
更にフラッシュが騒がしくなる中、滉芽は静かに呟く。
独り言のつもりだったようだが、しっかり私の耳に届いていた。
地面に手を伸ばしてオオバコを二本、そっと抜き取る。 絡ませ、片方を滉芽に差し出す。
少しずつ、慎重に引っ張っていく。勝負がつかない。
滉芽が強めに引いた時、私の勝ちが確定した。
悔しそうな顔をして切れたオオバコを渡してくる。
桜が咲き誇って綺麗だ。
- Re: 萌芽と共に薫風は、 ( No.64 )
- 日時: 2021/04/01 07:39
- 名前: 坂蜻蛉 宙露 (ID: lCrRYYeA)
「綺麗だなぁ」
滉芽は目を細めて桜を眺めている。私はその姿を見ていた。
地味だけどもこういうのを幸せと呼ぶのだろう。
このまま命が尽きても、桜が散ってしまったとしてもあまり悲しくはないと思う。
強く、そして温かい風が吹いて桜吹雪になる。
二人でその景色を食い入るように見つめる。
そっと滉芽の写真を撮ると気付いたようで、振り向いて私に文句を言ってきた。
「別に写真位いいじゃん、せっかく背景綺麗なんだし。…そうだ、もう一度、空を飛びたい」
滉芽に抱えられ、初めて会った日のように林の上空を飛んでいる。
これが最後になってもいい。ただ、滉芽に少しでも笑って欲しい。その願いが叶ったように滉芽は微笑んでいる。
この世から居なくなったら、転生は出来るのだろうか。
- Re: 萌芽と共に薫風は、 ( No.65 )
- 日時: 2021/04/01 07:42
- 名前: 坂蜻蛉 宙露 (ID: lCrRYYeA)
今日。
その事だけが感じられた。多分、滉芽も。強い何かの力を感じるからだ。
空、桜、木々の緑の葉を眺めて私はふと考える。
もう命を狙われないように、独りにならないように、そして滉芽と一緒にいられるように生まれ変わりたい。
スマホをいじってからいつものように滉芽に話しかける。
「薫風…吹いてる」
静かに頷き、
「萌芽もだ」
滉芽の漆黒の羽根が沢山抜け落ちてしまった。私の体中の眼は眠ったように目を瞑っている。
二人でそっと微笑み、
「じゃあね、またいつか」
滉芽、この世界で私を見つけて巡り逢ってくれて、ありがとう…
言葉にはならなかったけれど滉芽にちゃんと伝わったと思う。
萌芽と共に薫風は、私と滉芽の間を吹き抜けていった。爽やかだけど暖かい。
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