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ぼくらのいるばしょ
日時: 2010/01/18 16:00
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

消されてたんで、もーいっかい!



http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=12884


上記からどぞ。

イメソンhttp://www.youtube.com/watch?v=qHJa3mKeoKg

目次 第8章(続きからだけど)>>2 >>5
   第9章 >>8 >>9 >>11

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Re: ぼくらのいるばしょ ( No.7 )
日時: 2010/01/14 17:18
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

女の喧嘩は凄いですね。

Re: ぼくらのいるばしょ ( No.8 )
日時: 2010/01/14 17:40
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

         第九章
       平常の反映は異質


『おい、お前から電話なんて珍しい・・・つか、俺の番号なんで知ってんだよ』
『メジロさんから聞いた。 メジロさんはアンタの爺様から聞いた』
『あーそー。 んで何だよ。 つか前まで俺と会ったらかなり嫌そうな顔してたのに。 今俺さ、ゲームしながらメシ食ってて更に漫画まで読んでる忙しさなんだけど』
『最近よく外出てるみたいだけど・・・・誰かと会った?』
『ノラ猫、近所のババア、ガキ、化粧の濃い女、女子高生、親子連れ』
『・・・・マコトって嘘つけないタイプだよな』
『ははははー。 おい、もう切るぞ。 てかこれ以上俺と関わりたくねェんだろ?』
『それには一理あるんだけど・・・どうにもキミを野放しにしておくと危険すぎて安眠妨害の原因となってるんだけど』
『それは有難い。 ・・・・で、わざわざ俺の所に電話してきたっつー事は、何か言いたい事あったんだろ?ウジウジしてないで言えや。 きーてやる』
『もし、マコトの記憶が異常じゃなくなったらどうする?』
『・・・・・・・・質問の意味がまったく分からんが』
『マコトの記憶がもし正常に戻ったら・・・・・』
『俺は事件のことは覚えてる。 何をされたのかはまったく覚えてないが』
『それ、忘れたんじゃなくて自分で記憶を抑えてるだけなんだよ』
『喧嘩売ってんのか? 切るぞ』
『もしさ、マコトが普通の人だったら異常になりたいなんて思う?』
『・・・・・・・・・・・・・・・・マジで喧嘩売ってんのか』
『ん、だよねェ。 分かった。 ありがと。 電話番号は消しておく』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・連れねぇな。 マジで青犯しにいくぞ?』
『そんな場面見つけたら遠慮なく俺はお前を殺.すっつーの』





          

  10ねんごのわたしへ  
             いしがき青

いま、わたしはべんきょうなんてしてなくて、音がくばかりきいています。
10ねんごなんて言われても、しょうじき全然おもいつかないです。
しんでるかもしれないし、いきているのかも。
でもたぶん、まともな人にはなれないとおもいます。
べんきょうしていないからです。
お母さんはべつにそんなのしなくてもいいって言います。 ほんとにその通りだとおもいます。
ゆうやもべんきょうしていません。
だから、10ねんごのわたしなんていないんです。
どこにも、いないんです。




「・・・・・・・・・・・どこにも、いない」
呟いてみる。 ん、耳鳴りがした。
小学校の5年生の割には漢字があまり使われていない青の作文。
勉強はまったくしておらず、漢字も好きな音楽の歌詞にのっているものだけだ。
もう必要ないけど、母さんが送ってきた荷物の中に小学校の頃の文集があった。 俺のは知らない。 多分書いてなかったと思う。

Re: ぼくらのいるばしょ ( No.9 )
日時: 2010/01/15 17:53
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

作文集を折りたたんで、どうしようもなく苛立ちが募ってくるから急いでそれを削る。
ジョリジョリジョリジョリジョリ・・・・・・・。
「どうしてどうしてどうしてどうしてどうして」
部屋から青の声が聞こえてきた。 ベランダの網戸を閉めて、部屋に足を運ぶ。
青が上半身を起こして両手で頭を抱えていた。
「青」
「どうしてどうしてどうしてどうしてどうして」
「青、大丈夫だから。 大丈夫」
抱きしめる。
抵抗も歓喜もなく、ただ青は呟き続けた。
どうしてどうしてどうして、
青と俺は、生きてるんだろうねぇ。
あの時タヒんじゃってたら、何か変わったのかねぇ。
楓も、トモと一緒に殺.されていたら苦しい思いせずにいたのかも知れないのに。
「・・・・・・裕也」
「ん?」
「嫌い、大嫌い。 みんなみんな大嫌い。 タヒんじゃえ」
「・・・・・・そうだねぇ」
「そうだよね。 嫌いだよね、全部。 全部チャラにしてやりたい。 みんな消えちゃえばいい」
「青、ゆっくり息をしてみて」
「息、いき? 吸って吐いて? それ、いききき?」
青が焦点の合わない目でどこかを見ている。
暗い所。
真っ暗。
しばらくして青が俺を見た。
「みんなみんな、消えました」
めでたしめでたし。
俺と青のお話はこれで終わるんです。

青が笑う。 あんまり上手じゃなかった。
頭を撫でるとそのまま脱力したように目を閉じて倒れる。
元のように寝かしつけて、
さて。
「行きますか」
もういいだろう、柊。



           ♪


だあいきらい。 普通。

だから僕は壊れる。 自分で自分を、破壊する。


           ♪


真っ暗な道を歩いていく。 ぬー、暑い。
夏の夜ってなんでこんなに暑苦しいんだ。
あ、やばい。 もう少しゆっくり歩こう。
今何時? あー、夜の10時ねぇ。
そろそろか? んー、眠すぎてやっばい。 青ほどじゃないけど、早寝するタイプだからなぁ、俺。
歩く速度を速くする。
人通りの少ない道を、俺は歩き、そして走り出す。
ぐいっと、肩を掴んだ。
「わっ!」 「しーっ」
慌てて口元に人差し指を持っていく。
俺だと分かって迷惑そうに、
「・・・・・・僕のストーカーなんかして、気持ち悪いです、ユーさん」
「お前も気持ち悪いです、柊さん」
お互いに向かい合って、久しぶりに柊イチルの顔を見た。
少し痩せたか? 大きな目が僕を睨む。
「僕マニアなんですね、よっぽど。 悪い人だ」
「柊ほどじゃないよ」
「意味が分からないんだけど。 何ですか?」
柊が疑い深い目で周囲をキョロキョロ見渡す。
動揺している証拠だ。
「柊はさ、ここで何してるわけ?」
「ユーさんに言う必要、あります?」
「俺が聞いちゃダメ?」
ため息をついて柊が、 「両親を殺.した奴を探してるんです」
予想していた通りの答えが返ってきた。
学校で柊が夜な夜な犯人を捜していると噂がたっていたから。

「ふーん。 そういや犯人はまだ捕まっていないっけ」
「はい。 ホント殺.してやります」
柊の口調が少しだけ変わった。
「なあ、何で広瀬楓と喧嘩したんだ?」
「あの女、トモくんトモくんうるさい。 こっちの教室に入ってきてトモくんどこどこって。 頭にきたから絞めてやったんです」
「宮岡マコトにも会ったんだな」
沈黙。
柊が視線を逸らす。
鼻を鳴らして、 「何ですか、ソレ」 
「宮岡マコト、知ってるだろ?」
「知りませんよ、ソレ」
「会った事、あるだろ」
「だから何でですかって」
「その“何で”ってどういう意味だ?」
「はあ?」

柊が苛立ったのか口調を荒げる。 余裕がなくなってきている証拠でーす。
「さっき俺、宮岡マコトに会ったか?って聞いた時、柊が“何でですか”って聞いただろ?」
「だから?」
「マコトを知らないのなら、“誰ですか?”って聞くべきじゃないの?」
「何が言いたいんですか」
白を切るつもりかー、よかろう。
「柊は俺に、“何でそう思うんですか?”って聞いたんだろ? 普通知らない奴に会っただろって言われたら、真っ先に誰だって質問するはず。 だけど柊は誰だとは聞かなかった」
「・・・・・・・・で?」
「宮岡マコトに会ったんだろ? 実際本人に電話で聞いたら、出会った人間の中に女子高生が入ってた。あれって、柊なんだろうなーって」
「その根拠は?」
ようやく食いついて来た。 
「何でかよくわからんが、柊が“普通”を嫌っているのは俺も知ってる。 “異常”に憧れているのも」
欠伸をしやがった。 廊下に立ってろーい。
柊は何も言わずに聞いてるみたいだったから続けた。

「そんな時マコトに会った。 異常なアイツに。 そこでなんらかの刺激を受けて両親を殺.した。 異常になりたかったから」
「僕をそういう目で見ていたユーさんを、敬遠します」
「どうぞご勝手に。 で、どうなわけ? 今まで否定はいっこも出てないけど」
バツが悪そうな顔で頬を掻く。 柊が長めのため息をついて、目を細めた。
「ちなみに異常に憧れているから、一人称も“僕”にしたんだろ? 普通は嫌だから」
「まあ・・・・・・・・ひゃくぱーって事はないけど、ある程度は当たってます。 良かったですね」
パチパチと投げやりの拍手をされた。
んだテメー。

「で、どうするんですか?」
柊が俺に背を向ける。
後ろで手を組みながら、

「ここまで謎解きしにきて・・・・・・僕を、やっつけにきたんですか?」

Re: ぼくらのいるばしょ ( No.10 )
日時: 2010/01/17 10:27
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

改行したほうがいいんではないかと言われたので。

改行します!

Re: ぼくらのいるばしょ ( No.11 )
日時: 2010/01/17 11:02
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

やっつける・・・・・別に、柊をとあーって倒す為に来たわけじゃない。 そんな事をしにきたわけじゃない。
「マコトが怒ってたよ。 柊の考え方に」
「でしょうね。 僕殴られかけましたもん」
「・・・・・・・柊は、ある意味では楓よりも、俺よりも異常だね」
柊が振り返る。 笑っていた。
「ホントに?」
「え?」
「ホントに・・・・・・・・そう思いますか?」

あー、ダメだこの子。 ただの『憧れ』じゃすまなくなってる。
「異常を求めて自分で自分を破壊するなんて自傷行為だよ。 タヒにたいじゃなくて異常になりたいだからね」
俺らより壊れていて、俺らより危ない。
「異常な人に異常って言われて、なんか嬉しいです。僕もそうなれたんだ・・・・。 そうですよ、普通なんて嫌いです。 面白くもなんともない。 でも、僕の家族はあったかでほのぼのしていて、事件なんて起こらないような家庭だったから・・・・・壊したんです」

満足そうに笑う柊を、改めて怖いと思った。
いや、恐怖とかじゃなくて、その精神が。 繋ぎ方を間違ったのか、そのまま脱線している。
「ユーさんとは、多分これで最後になります。 今ここでユーさんを殺.しても、僕はあまり乗り気じゃないです」
「どうして? 俺を殺.せば柊は捕まらないのに」
一時的だけど。 ここに来る前にメジロさんに電話したからなぁ。

「僕、今思うとユーさんの事、そんなに嫌いじゃなかったのかも知れません」
「そう?」
「はい。 ・・・・・・・好き、っていうのも違うと思うけど」
俺の心に迷いが生じる前に、ここを立ち去ろうと思った。
「もうすぐで警察が来るから、大人しくしときなさい」
「はい。 実はさっきから待ってるんですけど・・・」
遠くでサイレンの音が聞こえ、赤いランプが見えた。
柊が肩をすくめて、
「ユーさん、最後に、ちょっと」
「ん?」

腕を掴まれたから、一瞬身構えたけど、
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
キス、された。
えええええええええええええ? 何でぇ?
わけも分からず、声もあげず硬直。
唇を離され、
「ユーさん、宮岡くんには謝っといてください」
「・・・・・・・・わかった。 けど何で今キスした?」
「ん、何となく。 別れ際ですから」

そう言って、軽く手を振って柊がパトカーの方へ歩き出す。
「・・・・・・・何だかなぁ」
頭を掻きながら、俺は元の場所に戻る。
戻ろう。
あの場所に。
平凡と異質の真ん中に置かれている、
俺の日常に。


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