ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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逢屋−アワセヤ−
日時: 2009/11/14 19:08
名前: 歪-Hizumi- (ID: kjkAYU9X)

いらっしゃいませ。
貴方にも逢いたい方がいらっしゃるようですね。

ここは逢屋
探している命、亡くなった命……
貴方が本気で逢いたいと望むのならば
私は貴方の望みを叶えて差し上げます。

しかし
貴方の望みが叶ったその時、
私は貴方の一番幸せな“記憶”をいただきます。

それでもよろしいとおっしゃるのですか?

……いいでしょう。
お望みをお伺いします。

でもその前に……

貴方と同じ私に望みを託した
お客様のお話を聞いていきませんか?

■■■■■■新規お客様■■■■■■
・ヒミツ様・朝崎疾風様・架凛様
■■■■−逢屋−お客様名簿■■■■

Opening >>4

№1 >>05
№2 >>08
№3 >>10
№4 >>13 
№5

■■■■■■■■■■■■■■■■■

え?
気が変わりましたか……。

逢いたい方は自分でお探しになるのが一番ですよ。


大切なモノを何も失わずに済みますから……


もう夜になってしまいましたね。
帰り道にはお気をつけてください。

……闇には危険なモノが潜んでいますから——

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Re: 逢屋−アワセヤ− ( No.12 )
日時: 2009/11/14 18:35
名前: 歪-Hizumi- (ID: 3JZ8Axjf)

架凛さん、ありがとうございます^^
誰でも逢いたい人っていますよね。
とか言ってる自分にも逢いたい人いたり……。

Re: 逢屋−アワセヤ− ( No.13 )
日時: 2009/11/14 19:05
名前: 歪-Hizumi- (ID: kjkAYU9X)

第四夜 二代目主

「えー……と。ちょ、ちょっと用事を思い出してしまいましたので」
良くある言い訳をしながら音楽室の扉に手をかけた威玖を帝が止めた。
「ダメダメ。逃がさないって」
帝は笑顔のまま逃げようとする威玖の腕を掴んだ。
笑顔と反面に帝の声はいつもの明るくお調子者のような声でなく、真面目な低い声だった。
その何とも言えない恐怖のような感情に威玖は音楽室の扉から手を離した。
「で、威玖君? さっきの質問の答え、聞いてないんだけど」
その言葉に威玖は下を俯き、帝から顔を逸らした。
「んー……。やっぱりそう簡単には教えてもらえないかぁ……」
そう腕を組んで悩む表情を見せる帝に威玖は問いかけた。
「……一つ、いいですか? そんな事を聞いてくる貴方達は何者? そして何を根拠に僕を逢屋だと言うんですか」
その質問に帝はシエルと目を合わせた。
すると今まで椅子に座って二人の様子を見つめていた彼が立ち上がり口を開いた。
「まぁ確かに、まずは僕達の身元をちゃんと明かさなきゃダメだよね」
そう言って彼は淡々と話し始めた。
彼が話したのはこの三つの事。

帝、シエルの二人は“能力者保護団体”という団体の一員であり、この地域を任されているという事。
この地域で活動していると思われる逢屋の主が彼らの言う“保護対象”つまり人間と違う能力を持つ者だという情報を掴み調査してきたという事。
そして最終的に調査を続けた結果、雨宮 威玖がその逢屋の主と判明した。

「……こんな非現実的な話、誰が信じます?」
威玖はさっきとは一変して強気の態度を見せている。
「それに、能力者とかそんなモノ僕は聞いたことも見たこともない。第一に僕がその保護対象だって言う証拠はあるんですか?」
帝は待ってましたと言わんばかりに手を威玖の目の前にかざした。
すると帝が手をかざした場所にテレビの画面のようなものが浮かびだし、そしてその画面に数枚の写真が映し出された。
その様子を見た威玖、そして旺は驚き目を丸くした。
「これで少しは俺らが普通じゃないって思ってくれたかな? そして、この写真に写っている人物は、君だよね、威玖君」
そう言われ、威玖は俯く。
その写真に写っていたのは間違いなく彼、威玖自身だった。
その写真を見た旺も驚いている。
その写真に写っている威玖は真っ暗の空間に浮かぶ、逢屋と書かれた扉の前に立っていた。
その扉はまるで夜の空に浮かんでいるような普通ではありえないものだった。
「これを見てもまだ言い逃れが出来るかい? 威玖君」
帝の言葉には威玖は俯いていた顔を上げ言った。

「貴方達の言っている事は全て真実、そして僕は逢屋の二代目主だ……」

彼のその発言に帝とシエル嬉しそうに微笑んみ、そしてさっきから取り残されたままの旺へ顔を向けた。
「話を聞いちゃった旺には……保護団体の一員として威玖君の事守ってもらおうかな?」
何の詳しい説明もなく、話は帝とシエルと中心に勝手に進んでいく。
「詳しい事は後で話すからね」
シエルがそう言ってパチンと指を鳴らした。


その瞬間確かに音楽室にいたはずの彼ら四人の姿は跡形もなく消えた。

Re: 逢屋−アワセヤ− ( No.14 )
日時: 2009/11/14 19:44
名前: 架凛 ◆V3sV8pUxpk (ID: 81HzK4GC)

能力者保護団体…ですか。
威玖がこれからどうなるのか、続きが気になります☆
頑張ってください。応援してます^^

Re: 逢屋−アワセヤ− ( No.15 )
日時: 2009/11/15 14:29
名前: 歪-Hizumi- (ID: n3l0Ur7T)

架凛さんのコメントにはいつも励まされます^^
ホント感謝です。

Re: 逢屋−アワセヤ− ( No.16 )
日時: 2009/11/15 15:10
名前: 歪-Hizumi- (ID: eXx5XrYY)

第五夜 能力者保護団体

「ここは……」
シエルの指の鳴る音を聞いた直後意識が途切れ、意識の戻った時には見たこともない空間にいた。
白いコンクリート造り、浮かぶいくつもの液晶画面、まるでよく映画に出てくる未来の世界のような空間だった。
自分の置かれている状況をまったく理解していない威玖、旺の二人は額から冷たい汗を流す。
その様子を見たシエルが二人の肩に手を置き言った。
「ここはさっき僕が言っていた能力者保護団体の本部」
「ホントにこんな事がありえるのかよ……」
旺はきょろきょろと辺りを見回している。
「……で、詳しいこと、話してくれるんですよね? 先輩方?」
威玖が冷静の色を浮かべた灰色の瞳で帝とシエルを睨んだ。
「うん。話してあげるからそんな怖い顔で睨まないでよ、威玖君」
そう言って苦笑いを浮かべた。
「あ、でも俺等が話すより、六条さんが話したほうが説得力あるんじゃね? どうやら俺等は威玖君の信頼を失っちゃったみたいだし」
そう言って携帯を取り出した。
「……あ、もしもし? 望月です。ちょっと会ってもらいたい子がいるんだけど……今から大丈夫ッスか?」
どうやら彼が会話をしているのはさっき話しに出てきた六条という名の人物らしい。
パタンと携帯を閉じ、帝は威玖を軽々しく持ち上げ、旺の腕を掴み言った。
「六条さん、大丈夫だって。今から彼の部屋、行くから暴れないでね」
「ちょっ……」
時、既に遅し。
威玖が反論しようとする暇も与えず、帝達四人はその場から姿を消していた。

   *

「よっと……」
帝がそう言って威玖を地面へ降ろした。
「帝先輩……」
「ん?」
その瞬間飛んできた勢いのある拳を帝はぎりぎりで避けた。
「うおっ!? 危ねぇ」
帝は額に冷や汗を浮かべ、威玖の顔を見た。
シエルや旺もその一瞬の出来事に驚いているようだ。
「軽々しく持ち上げないでください!! そして物事を説明してから行動に出てください!!」
威玖は声を荒げて言った。
「いやーごめんごめん。君ってなんか持ち上げやすいからさ」
「もう一度殴りかかりますか?」
そんな風にじゃれあっていると後ろから一つ、新しい声がした。

「じゃれ合ってないで用件って何だ、帝」

大人の男性の声に四人は振り向いた。
「あっ六条さん」
そう帝が名を呼ぶ男性は黒髪を後ろで一つに結い、白衣を身に付け眼鏡をかけていた。
その姿を見ておおよそ検討はついていた。
「ここの研究員か何かですか?」
身長の高い彼を威玖は見上げて問いかけた。
「ん? この子がお前らが連れてきた新しい能力者か……。なんだ、小学生の女子じゃねぇか。話では高校生の男子って聞いてたんだがな」
そう言って六条は威玖の頭に手を置いた。
後ろには旺、帝、シエルの必死で笑いを堪える姿があった。
威玖は顔を俯かせたまま言った。

「高校二年……健全な男子です」

その言葉に六条は目を丸くし、次の瞬間必死で笑いを堪え始めた。
「っ……いや……悪いな……眼鏡が曇ってたようだ」

後ろで笑う三人をその後威玖がどうしたのか、大体予想がつくだろう。
頭に大きなたんこぶを作った三人、そして威玖は改めて六条に言う。

「教えてください。詳しいこと、全て」


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