ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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  暁   
日時: 2009/11/02 20:50
名前: 撰里 (ID: AOK.B8lR)

撰里です。

グロ。シリアス。ダーク。悲恋。

の、短編を書いていきます。

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Re:   暁    ( No.7 )
日時: 2009/11/05 22:07
名前: 撰里 (ID: AOK.B8lR)

よぉさん。

不死身は好きです。

双子も萌えです。

最近、グロとシリアスとかしか

書いてないから、普通の短編が書けないです・・・。

Re:   暁    ( No.8 )
日時: 2009/11/06 20:50
名前: 撰里 (ID: AOK.B8lR)

        【 湖 】

私だけが知っていること。
私だけが分かっていること。
それだけは、譲れないわ。

「・・・なぁに?」
「いや何もない。お前・・・」
隣では、青年が座っている。
「私が、何・・・?」
「いや、」
そこで会話が止まる。
あの事は、爺様のことは言っていない。
いや。
言えないのだ。
彼は爺様を誰よりも慕っていたから。
だから。
言えない。
「私は、もう生きる事が出来ないわ」
「・・・そうか」
身体が衰弱してゆくのが、自分でも分かる。
もうすぐ、死ぬのね・・・。
分かってることなのにね・・・。
「・・・死ぬことを恐れているのか?」
「ううん。恐れては、いないわ。死にたいとも思ったもの」
「じゃあ、なぜそんな哀しそうな顔をする」
「・・・っ!!」
声が詰まった。
何も言えなくなる。
ただ、もう少し時間がほしい・・・。
しかし、私に時間なんてないわ・・・。
「・・・なぜかしらね。あの世で待ってるわ」
「あぁ。爺様にもよろしく言っといてくれ」
「・・・分かったわ」
知っていたのね。
心配することでもなかったわね。

さぁ。
時間ね。

行って来るわ。
あなたも早く来なさいよね。

Re:   暁    ( No.9 )
日時: 2009/11/08 23:14
名前: 撰里 (ID: AOK.B8lR)

     【 俺の生きる証 】

泣かないと決めたんだ。
生きると決めたんだ。
俺は誰のものでもないから。

落ちた刀を拾い上げた。
人間の血を幾度も吸った刀。
そして、俺の生きる“証”。

「おい」
声に振り返った。
「兄上。何だ?」
そう問うと、兄は眉間に皺を刻みながら呟いた。


「・・・また戦が始まった」


兄が小さく呟いた。
「そうか・・・」
俺は複雑そうな微笑を兄に向けた。
俺達は前の戦で父親を亡くした。
父は最期まで立派だった。
それに自分の怪我も完治したばかりだ。
「・・・お前は参加しなくてもいいんだぞ?」
兄の苦しげな声。
「兄上・・・大丈夫だよ。行く」

俺は俺らしく生きるんだ。

俺の務めは敵である人間を抹殺すること。
それ以外に俺の利用価値はない。
兄は父の長男であり、嫡子だ。
しかし俺は次男だ。
正室腹であるが、嫡子ではない。
兄はこれから家督を継がなければならない。


俺は・・・。


俺は家督を継ぐことも出来ない。
「兄上」
「何だ?」
立ち上がり、去ろうとした兄に声をかけた。


「俺は何のために、ここに居る・・・?」


少しの沈黙。
その中で自分の鼓動の音だけが聞こえていた。


「・・・さぁな。自分の胸に聞いてみろ」


それだけ言い残し、兄は歩いていった。
それから、俺は出立準備をしながら何度も何度も自分の胸の問うてみた。
俺の生きる証を見つけるために・・・。

Re:   暁    ( No.10 )
日時: 2009/11/09 20:25
名前: 撰里 (ID: AOK.B8lR)

【 ヨウコソニンギョウノセカイ二 】

僕達は人形。
まぁ、別名は『生きる人形』。
僕は人形だから当然のことだけど、食べなくても死なない。

「人間なんて大嫌い♪」
「僕もだよ♪」
二人で手をつないでスキップする。
人間なんて愚かですぐに裏切る。
本当に都合のいい生き物だよねぇ。
人間を捕まえて皆、人形の世界に連れて戻る。
人間は人形の世界では生きることが出来ない。
来た人間は皆、死んでゆく。


「・・・いい表情だね」


そう言って笑う。
その時の皆は本当に楽しそう。
僕達は壊されない限り死なないよ。
壊されたらさずがに死んじゃう。

「人間の世界にはいつ行くの?」
「そうだね・・・。次の満月かな」

僕達の邪魔は出来ない。
邪魔をしたら、殺すだけ。


「人間なんて居なければいいのに・・・」


これはいつも思うこと。

いつか、人間の世界を人形の世界に変えること。

それが夢。
儚い夢だけど叶えてみせるよ。
だって、僕達は人形だもん。
百年でも千年でも生きることが出来るから。
「まだかなぁ」
「ゆっくり待とうよ」
隣ではムスッと頬を膨らませて彼女は呟く。
その顔を見て、小さく笑う。


僕達は人形。


僕達はいつだってあなた達、人間を見つめてるよ。
いつも、いつだって、ね?

Re:   暁    ( No.11 )
日時: 2009/11/30 12:04
名前: 撰里 ◆TNgl./S.ds (ID: AOK.B8lR)

      【 血迷う桜 】

血の池の中心で二人の男が立っている。
それは僕と彼。
「これで終わりかな?」
重なり合う人を見下ろしながら呟いた。
「酷だな、お前は」
「あははは、そうかな?」
握りしめた刀はもう相手の血でベトベト。
だってこれが僕の仕事だもん。
仕事はこなさなきゃ。


「僕は殺さなきゃ、いけない気がするんだ」


本当にそうだ。
このまま斬るのをやめたら僕が僕じゃなくなってしまう。

僕が僕であるためには・・・・・・・・・・・・


斬らなければならない。


それが誰であろうとも・・・・・・。

「重症だな」
隣から呆れた声が聞こえて来る。
「・・・そうだね」

「・・・戻るぞ。後は処理班に頼もう」
「あぁ」
ゆっくりと歩き出す。

これじゃあ、目立っちゃうなぁ。
でも、仕方ないか。

これは僕がちゃんと仕事をこなした証なんだからね。


もう暁の頃。
こんなに戦っていたんだ、と改めて思った。

さぁ、帰って寝よう。
明日・・・いや、今日の夜も働かなきゃだめだから・・・。


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