ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 包帯戦争。(グロあり)
- 日時: 2009/11/08 10:17
- 名前: 朝崎疾風 (ID: VZEtILIi)
消えた…。消えました…。検索しても出てこないので、途中から書きます。
■登場人物■
祝詞
事件の被害者で、ひねくれ者。ヒナトから「少年」と呼ばれている。
ヒナト
ゴスロリと金属バッドを愛用する、人体改造が趣味で、自傷行為や動物を解体している。
小春
祝詞の保護者で駄菓子屋のお兄さん。元ヤンで喧嘩っぱやい。根は優しい。
木庭里輪廻
祝詞の同級生で一人称が「俺」の大阪人。ナゴミという姉がいる。
- Re: 包帯戦争。(グロあり) ( No.1 )
- 日時: 2009/11/08 10:26
- 名前: 朝崎疾風 (ID: VZEtILIi)
これまでのお話。(少年談)
僕がまだ小学生のとき、僕の家で人間を解体している
女の子がいた。
その子は精神崩壊で、双子のおにーさんに酷い事をされて、そして。
僕の家族を殺した。
あれから何年が経ったっけ。
今、その子は僕が居候している駄菓子屋によく足を運ぶ。
ゴスロリ服で、金属バッドを持って。
体中血だらけになりながら。返り血を浴びて。
僕を「少年」と呼んで。
その僕らの住んでいる田舎町に、十代の少女の目玉をくりぬく殺人事件が勃発している。
最近も、僕の同級生の素行の悪い不良少女が生きたまま目玉をくりぬかれた。
- Re: 包帯戦争。(グロあり) ( No.2 )
- 日時: 2009/11/08 11:17
- 名前: 朝崎疾風 (ID: VZEtILIi)
ニュースで、不良少女が生きたまま目玉をくりぬかれていた事が報じられた。夕飯を食べながら、よくもまぁ生きていたなと感心する。
「とんだイカレ野郎だな」
小春ちゃんが人事みたいにそう言った。いや、人事なんですけどね。
まったく、他所でやってほしい。
犯人の気持ちなんて、わかるわけないんだ。
人間がどう思っているかとか、一々気にしてられないし。
「あいつも、イカレてるけどな」
「小春ちゃん。ヒナトはイカレてないよ」
なんてね。
ヒナトがイカレてないとすれば、この世はどうなってしまうんだよ。
「金属バッド振り回して動物解体してその上人まで殺したあいつのどこが正常なんだよ」
ごもっとも。
「アレは、正当防衛だよ」
「だけど、あんなミキサーにかけたようにする事ねーだろ」
「でも、殺されそうになったのは確かだよ」
双子のおにーさんに。
「だから、イカレたわけだな」
「イカレてないって」
まだ気づかないのか、小春ちゃん。
ヒナトがイカレてないって言ってる僕も、イカレてるんだよ。
日付が変わって、いつものように教室に行くと、全体の雰囲気が〆切直前の売れない漫画家みたいになっている。黒板には、乱暴に「自習」と書かれていた。
見ると、一つだけ机の上に菊が飾られていた。
目玉を削がれた不良少女は、僕の同級生だ。
まったくの同情もしかねないほどの悪だったけど、身近な人が犠牲者になって、動揺しているのだろう。
「ンで…あんなグロイ事するわけ?」
「訳わからん…最悪だろ」
教室の隅で、明らかに素行の悪い女子が集まって仲間の被害を嘆いている。
目玉といっても片目だけだろ?目はあと一つだぜ、ベイビー!とか言ったら殺されそうなのでやめておく。
「……つかさぁ。あの女が殺ったんじゃねぇの?」
一人が容疑者を割り出したようだ。あんなちっさい頭で。
「あの、バッド振り回してるゴスロリ女」
教室が一瞬でざわつく。
あー確かにとか思ってるんだろうな、きっと。
僕も思ったから。あー確かに、ヒナトならやりかねない。
でも、ヒナトじゃない。
確信している。何でと聞かれたら、ちょっと困るけど。
「おい。お前」
誰を呼んだのか、気づいたけど無視していた。
「シカトこいてんじゃねーよ」
チッ…五月蝿いなぁ。
明後日の方向を見ながら、あくびをしてみた。
ブチッ。あ、きれた。
「聞こえてんのかよっ、この糞!」
人間を糞呼ばわりしないでほしい。
僕の前に立った、名前が少し裏覚えのその人は、校則違反なんてものにしない、ばりばりのギャルだった。香水の匂いがキツイ。
「アンタ、あのゴスロリ女と仲良さそうじゃん。アイツ、見るからに危ないケド、アイツが殺ったんじゃねーの?うちの連れとか、他人とかさっ!」
「…ヒナトは、違うよ」
どこにそんな根拠があるんだろうか。
「ウチ、知ってんだからっ!アンタとあいつ、昔の事件の関係者で、あいつが人殺しだって!そんで、あんな風にイカレたんだって!」
迷惑この上ない。何で今ここでそんな事を暴露するのかな。
僕らが事件に関わっている事は、多分誰もが知ってる。大きな店の社長がらみという事で大きなニュースになったから。
でも、犯人が惨殺され、生き残ったのが僕とヒナトだという事から、犯人は自殺ではなく他殺。
僕かヒナトが殺した、と断定された。
事情聴取で、僕とヒナトは精神が崩壊寸前で、何も答えられなかったみたいだけど。
「ヒナトは、目玉を抉るなんて事しないと思う」
「何でそう思うわけ!?」
あー、耳鳴りがしてきた。
息を吸い込んで、気持ちを落ち着かせる。
「ヒナトなら、人肉をミキサーにかけて、ミートソースにしちゃうだろうから」
「…………………ッッ!!」
凍り付いていく。空気が。
それはきっと、僕の言葉だけじゃない。
「少年」
ヒナトが戸の前に立っていた。金属バッドを持ち、改造しまくった制服で、僕を見ている。
「何?」
「その女、殺していいか?」
ギャルが、青ざめた表情でヒナトを見る。教室も、誰も動かず、喋らない。
「殺したら、ダメだよ」
そう答えてみる。
大きな目が、少し細くなった。
「それは、殺してはダメという意味か?それとも、手出しはするなという意味か?」
多分、ここで「殺してはダメ」と答えると、ヒナトはギャルを半殺しにしかねない。
殺さなければいいんだから。
「僕はどっちの意味で言ったんだと思う?」
「あたしの好きに解釈していいのか?」
危険だ。ヤバイ。遊びすぎた。
ヒナトが一歩、教室内に入る。前に座っていた男子が、びくっと肩を震わせる。
「そうは言ってない。僕は手出しはダメって意味で言ったんだよ」
「お前は、人間に優しすぎるからな」
ヒナトが、冷徹な目でギャルを睨む。
そして、ポケットから何かを取り出し、僕が止める前に、ギャルに向かってダーツのように投げた。
「っ」
ギャルの右頬が、かすかに切れて少量の血が流れる。そして、後ろのヒビの入った窓ガラスには、ナイフが刺さっている。
「外した」
「ヒナト、人に向けちゃダメだよ」
ギャルが恐々と手で傷に触れる。少量の血が出ているのを見て、泣きそうな顔になった。
いいザマだ、ははははは。
- Re: 包帯戦争。(グロあり) ( No.3 )
- 日時: 2009/11/09 16:14
- 名前: 朝崎疾風 (ID: VZEtILIi)
ヒナトを無実の罪で晒し上げたギャルの名前は岡崎ヤマト。金髪で校則違反のメイクも当たり前で、ヒナトに並ぶ問題児らしい。よく屋上で煙草を吸っているのを見かけられる。生息地:屋上だ。
問題児、と言われているが義理人情が強く、パラメーターにギャップが加わる。
そんなどーでもいい情報を、さっきから横で木庭里が機械的に喋っている。
コイツの声は、鼓膜に粘つきやすい特性なのか、聞くまいとしている僕も、何となく言葉が入ってしまう。
「っつー事やな。でもさすがにあの子には敵わんかったんやろなあ。あの、ヒナトさん?」
「ヒナトの事を“ヒナト”と呼んでいいのは僕だけだから。苗字で呼んで」
我ながら独占力が強くなったものだ。
「んじゃー、茅野」
「呼び捨てかよ…ま、いいけど」
「茅野、コントロールいいんやねぇ」
未だに、自習が続いている授業時間。
他の生徒もそれぞれの不安やらを話し始め、ざわついている。
ヒナトは先ほど、保健の先生に連れて行かれ、ギャルさん(岡崎の仮名)は仲間と一緒にこっちを見ている。
席が後ろの木庭里が、のんびりと言った。
「てか、アンタと××って本来なら敵対どーしやないの?何でそこまであの子にこだわるん?」
「あのさ、木庭里」
耳鳴りがした。キーキーキーキーッッ。
「木庭里に、全然関係なだろ。その事」
僕が一番嫌いな、他人に土足で心にズカズカと入り込まれるパターン。
木庭里が一瞬泣きそうな顔で僕を見て、でもすぐに真顔になった。
「ほんまやな。俺にはアンタを心配する資格さえ、無いんやから。堪忍やわ」
どこか吐き捨てるような感情。
でも、
「うん、そうだよ。木庭里は僕に突っかかりすぎだよ」
でも、正解。
ハズレじゃない。
木庭里は僕の友達のような顔で近づいてくるけど、残念ながら僕の頭の中じゃそんなのは消去されていく。
デリート。
虚しいなんてもう思わない。
ヒナトが、無表情で帰ってきた。
バッドは奪われたのだろうか、持っていない。
僕を見て、
「少年」
僕を呼んで、
「帰るぞ」
僕を誘った。
言われるがまま、僕は何も言わずに席を立つ。
「茅野さん」
木庭里に苗字で名前を呼ばれたヒナトが、チラッと横目でそっちを見た。
修羅場か?なんてな。
「茅野さんは、殺人なんてしてないですよね」
何で標準語で話すのかわからないけど。
ギャルさんが凄い目でヒナトを見ている。
「少年」
「ん?」
「キモい親父にバッドが取られた」
「…………」
副校長先生、オイタわしや。
「取りに行く?」
「行く」
木庭里は無視か。無視なのか。
「ちょっと待てやっ!」
ほ〜ら、ギャルさんがキレたじゃんか。ヒナトのせいだぁ。
「お前…っ、お前ぇぇぇえええぇっ!」
「岡崎さん」
初めて、ヒナトが人の名前を読んだ。僕でさえ読んでもらえなかったのに。
「静かにしてください。ウザイです。キモイです」
「……………」
ヒナトの丁寧語、久しぶりに聞いた。
他の人間には好意は与えないという意味か。
ズバズバと小学生並みの低レベルな悪口を言い、僕の腕を掴んで教室から出た。
「ちょっと、何してるのっ」
会議が終わったのか、先生が僕達を呼び止める。
「茅野さんっ、バッドはもう持ってきちゃダメよっ」
「………」
無視だ。
僕をぐいぐいと引っ張っていく。
「あ、えっと、その、早退するみたいです。僕ら」
一応言っておく。
怒りオーラを撒き散らして、先生が何か叫んでいる。
ヒナトは全然見向きもせず、進んで行く。
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