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- 或る手記と少女と
- 日時: 2010/01/31 19:29
- 名前: 奄々 (ID: 7nl1k8P4)
07 . 01
Ich liebe Sie.
……Danke so weit.
それは
闇であり
虚無であり
空虚。
貴女は
ただの闇なのに
- 一 ( No.12 )
- 日時: 2010/02/05 22:53
- 名前: 奄々 (ID: KTH/C8PK)
ナターシャが秘密を知ったのはこの国の暦で1月2日。
そして今日、隣国の奇襲を受けたのが1月4日。
もうすぐ、日付が変わろうとしていた。4日から、5日へ。
暗い廃墟を、燦々と輝く黄金色の月が、照らし出す。
其の中を、歩く二つの影。キースと、ナターシャだった。
更に、クラウスは生きていた。
「っはは! 可笑しい…… っぁははは!」
低いハスキーな掠れ声が、廃墟に響き渡った。
真紅の所々焼け焦げたマントが、声の主を包んでいる。此処は城。
否、城跡だ。ぷすぷす、とまだ火が燻っている。玉座の在ったであろう場所に、彼は座っていた。
今はもう無き小さな国の、第一皇子。つまり彼は、ナターシャの兄、クラウス。
妹と同じ、金色の巻き毛。煤だらけの白い頬。碧い瞳は、闇に侵された様にどす黒く、鋭い。
まるで、瞳に映る物全てを壊してしまおうとしているかのような、憎悪に満ちた眼球。
其の目は、妹、ナターシャを真っ直ぐ見据えていた。身構えるように、硬く握り締めた彼女の拳は微かに震えている。
下唇をほんの一瞬噛んだ。不安とやり場の無い恨みは、彼女の中に渦巻いたまま。
隣に立つキースも、皇子と目も合わせようとしない。
空ろな彼の視線は空を彷徨う。
何時もなら頼りになるはずのキースも、今のナターシャには何の理想も、何の意味も、存在しなかった。
ただ、現実が其処にあった。
廃人。かつて栄華を極めた小さな帝国の皇子は、既に其の二文字へと変わっていた。
狂ったように笑い、瓦礫の上に座っている。無防備に投げ出した足を包むように、煤がついていた。
「兄さ……」
「全て知っている。嗚呼、知っているさ! お前がやらかしてくれたんだろ? こんな面白い事。 ははは!」
ナターシャの言葉を遮る様に、クラウスが叫ぶ。叫ぶ、と言うより其れは、嘆いているようだった。
「そう。私のせい」
「違うだろ。ナティのせいじゃないんだ。皇子殿下も本当はお分かりでしょう」
「皇子と呼ぶな……。もう俺はただの、民に過ぎない」
間。
「全てお前の罪だ。ナターシャ……」
呪いのように。
瞬間、クラウスは胸部に刃を突き刺した。
この場所に、命はたった二つになったのだ。
- Re: 或る手記と少女と ( No.13 )
- 日時: 2010/02/03 22:01
- 名前: 十和 (ID: zCJayB0i)
はっ!!それは申し訳ありません!!
ナティはどうなった?!
き、気になります(~_~;)
奄々の話は何か惹かれるものがありますね♪
- いつもありがとうごぜえますだ ( No.14 )
- 日時: 2010/02/05 22:45
- 名前: 奄々 (ID: KTH/C8PK)
十和様。
いやいや、こちらこそ(?)
ナティはこれからどんどん危険な目にあわせるつもりです。
キースは、カンガエテナイデスヨ。
惹かれるもの……
ふぁー 感謝です……。
感想ありがとー
- Re: 或る手記と少女と ( No.15 )
- 日時: 2010/02/06 09:04
- 名前: 十和 (ID: zCJayB0i)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/index.html
ナティ!!頑張れ!!
- かんしゃあー ( No.16 )
- 日時: 2010/02/06 13:35
- 名前: 奄々 (ID: KTH/C8PK)
十和様。
なてぃも頑張ると思います!
ありがとー
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