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- 亜麻髪のしにがみ
- 日時: 2010/02/02 20:11
- 名前: ダンプ (ID: YYcYgE9A)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=17530
クリックありがとうございます♪
この度引越して来たダンプです。
コメなど遠慮なくどうぞ!
でわ、よろしくお願いします。
- Re: 亜麻髪のしにがみ ( No.8 )
- 日時: 2010/02/07 07:39
- 名前: 竜胆 (ID: 3cat99Tt)
そうですか
それなら安心しました
でも偶然てすごいですね……
作品自体は優しくて良い感じだと思いますよ
- Re: 亜麻髪のしにがみ ( No.9 )
- 日時: 2010/02/10 20:29
- 名前: ダンプ (ID: YYcYgE9A)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
ユキとイヴはさまよる男の子の魂に出逢いました。
「キミは何でここに居るの?」
ユキは問います。
でも、男の子は黙ったままです。
「何か、未練でもあるの?」
今度はイヴが問いました。
男の子は口を開き言いました。
「あの子は今幸せ?」
小学生くらいの真っ黒い髪をした男の子はユキの方をじぃっと見つめています。
ユキは言いました。
「キミがその子の事を想っていたらその子は幸せなんだよ」
男の子は笑いました。
悪戯っぽい顔で
そして、消えてしまいました。
「ユキ。あの子あっちに逝ったのかな?」
「…どうだろう。あたしには分からないよ」
二人が帰ろうと後ろを向いた、その先には…
「また、会った。ユキ」
あのツインテ—ルの死神とアルトという使え魔。
そして、黒いマントを着ている見慣れない死神がいました。
「…何しに来たの?」
ユキは恐る恐る聞いた。
「安心して下さい。私達はあなたに話があるだけです」
答えたのは黒いマントを着た死神。
「話?」
「そう、話です。ユキさん私達の仲間になりませんか?」
「…仲間?」
「そうです。あなたには隠された力がある。私達もあなたと同じような力を持っています—そこで、その力を使って我々の夢を叶えませんか?」
「夢?隠された力?そんなものユキになんかないよ!ユキ、もう帰ろうよ」
イヴが話を終らせて帰ろうと歩き出した瞬間、
イヴはうずくまった。
「イヴ!?どうしたの!?」
ユキはイヴの元に駆け寄った。
「おい…アルト、なに…した」
うずくまっているイヴの横にアルトが居た。
「残念だったわね」
「キミ…イヴに何をしたの?」
「イヴの身体にマヒ能力の魔法をかけたの。このままほっといたらイヴは魔力をなくして普通の猫になるわ」
「!…そんな!」
「ユキさん。あなたがこの話に乗ってくれれば使え魔さんの魔法を解いてあげましょう」
黒マントの死神が追い討ちのように言う。
「…話を聞きます」
「…ユキ…だ…め」
「じゃあ、話を続けましょう。単刀直入に言います。ユキさん我々の仲間になりませんか?」
「…あたしは仲間になるつもりはないです…話は聞きました。イヴをもとに戻してください」
「ないですか…本当にそれでよろしいんですか?」
「え?」
ユキは聞き返した。
「リン様はもとからソイツの魔法を解こう想ってないのよ」
答えたのはユキと同じ髪の色をしたツインテールの死神だった。
「すいませんね。ユキさん、あなたの使え魔を助ける道は一つしかありません。我々の仲間になるしかないんですよ?」
黒いマントの死神は笑った。
それも、ものすごい笑顔で、
「…キ…ダァ…」
ユキが悩んでいる間にもイヴの魔法は効いている…。
ユキは瞳を閉じた。そして、
「わか—」
「ダメ。おねぇちゃん」
ユキは振り向くとそこには—
あの男の子が居た。
- Re: 亜麻髪のしにがみ ( No.10 )
- 日時: 2010/02/12 20:02
- 名前: ダンプ (ID: YYcYgE9A)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
「なんで、キミがここに居るの!?」
ユキの目の前に居たのはさっき逢った黒髪の男の子だった。
「ユキさん。その魂は何ですか?早く葬ってください」
リンという死神は男の子の事を冷たい目で見る。
「で、でも…」
ユキはためらう。そんな姿を見てため息をつくリン。
「…しょうがないですね。サチ、あの魂に衝撃波を」
「解りました。リン様」
サチは鎌を力強く振り下ろした。
「ダメッ—!」
ユキは男の子を抱きしめるようにかばう。
男の子は消えてユキは深手を負うはずだった。
サチの攻撃から逃れる事なんかできないはずだった。
「…!」
ユキは閉ざしていた眼を開ける。
目の前には男がいた。
「あなたは…誰?」
「お、ユキさっきはかばってくれてありがとな」
ユキはとっさに抱きしめていた男の子の方を見る。
しかし、男の子は居ない。
男はユキの手を取りユキを立たせた。
黒のダウンジャケット、下はジーパン。
そんなラフな格好の男はイヴに触った。
すると、普通の猫イヴから魔力の宿った使え魔イヴになった。
「あなたは一体?」
ユキは疑いながら男に聞いた。
「やっぱしまだ忘れてんだな」
男はそう言うとユキの頭にポンッと手を乗せた。
すると、叫び声には聞こえない声がした。
「な、何で…お前が、いるんだぁ!?」
「リン様!?いかがなさいました?」
「何でだぁ!?」
さっきまでの凛としたリンはここにはもういなかった。
「うっせーよ。前世だ」
「…そうか、お前さっきの魂の前世だったのか」
「リン様?」
サチが不安そうにリンの顔を覗き込む。
「大丈夫だ。少し興奮しただけだ」
「…そうですか」
「リン、もういいじゃねぇか」
「急に同情か?お前に何が解るって言うんだ」
「確かに…俺はお前のが感じてきた事、想ってきた事…わからねぇよ」
男はうつむきながら言う。
「でも、ユキを巻きこむな!」
男はリンを睨む。そして、ユキの方を見ると
「ユキ。いい加減思い出せ」
男はユキの頭に手を置いて何か呟いた。
ユキは何をしているか解らなかったが男が呟いた瞬間
頭の中に映像が入ってきた。
あたしは、今全てを知る—。
- Re: 亜麻髪のしにがみ ( No.11 )
- 日時: 2010/02/18 21:04
- 名前: ダンプ (ID: YYcYgE9A)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
ごめんなさい。作品を書く一秒一瞬
どうしても死にたいと思ってしまうんです…はぁ〜天才文学女子高校生作家がねぇ…で、テメェは飛ぶの?」
真っ黒の髪をした少年が問う。
少年の手には「遺書」とかかれた原稿用紙。
少年の目線の先にある少女は振り向いて答えた。
「そうしたいんだけど、最期に作品書き終えてからしかしねないんだよね」
少年はほぉ…と感心した。
「もう遺書も書いてんのに?」
「そうなんだけど、あたし文学小説家だからね。ちゃんと最期の作品とか書かないと…で、あなたは誰?」
少年は少女の目の前に立ちお辞儀をした。
「俺はヒラリ。死神だ」
少女は一瞬驚いた顔をした。そして、
「…死神。いいじゃん。あたしの最期の作品のネタになってくれない?」
「は?いやいや、俺はお前の命を狩に来たんだぞ」
「え〜そんなのいつでもいいじゃない?」
「…まぁいいや。で、何をするんだ?」
「簡単♪あなたの話を聞かせてくれるだけ。そこの猫ちゃんも」
「…イヴ。来いって」
すると、後ろから夜色の猫がやって来た。
「…ヒラリ。これはどう言う事なんだ?こいつの魂を狩れば終りなのに…」
イヴはため息をついた。
「おぉ、この猫喋るのね」
少女は目を輝かせペンを動かす。
「いやぁ…なんか力ずくで奪ったら呪われそうだし…」
「呪われそう!?アホかお前は死神だぞ?」
イヴが呆れている間にも少女は手を動かしている。
そして—
「よしっ、半分出来たぁ〜♪」
その言葉に死神と使え魔が少女の方を見る。
「えっ?もう!?半分ってまだ書いてから五分しかたってないぞ?」
「へっ?そう?あたしマイペースだからさ」
少女は悪戯っぽい顔で笑った。
「さてと、書くか」
少女はまた手を動かした。
「ヒラリ。あれが天才というものだ」
「次…次元が違うだろ…」
しかし、少女の手は止まってしまった。
ヒラリは不思議に思って少女に問い掛けた。
「どうしたんだ?」
「…うーん、ちょっとね息詰っちゃったみたい…ちょっと顔洗ってくる」
「おぉ、そーか俺はちょっと仕事あるからな」
「あーそう?じゃ」
少女は屋上のドアを開けた。それは淋しげな音だった。
蛇口をひねる音。水が勢い良く出る。
少女はその水をすくい顔にかけた。
はぁ…この作品はあたしをどう導いてくれる?
少女の家系は文学小説の家系などではない。
普通の一般の家系だった。
ただ、偶然に少女に才能があっただけだった。
少女は多くの賞状、たくさんの賞を取り—
『天才文学女子高校生作家』と世間から呼ばれるようになった。
少女はこの名前が好きだった。
ちょっと、痒くてもこの名前は好きだった。
それからだった。少女は作品を書きつづけた。
その作品は道行く人を虜にし、たちまち売り切れになった。
自分の書いたモノがこんなにも人の心に届くなんて…少女はうれしかった。
でも、その想いとは裏腹に少女の周りは変わってしまうのだ。
初めて少女の作品が全く売れなかった日のことだった。
「何をやっているんだ!お前は!」
親に殴られ、蹴られ。口元から鉄の臭いがした。
そして、決り文句のようにこう言われた。
『お前は天才文学女子高校生作家なんだぞ!?』
少女は段々この名前が嫌いになっていった。
あたしは、ただ書きたいだけなのに…
書きたい話を書いても破られ『売れる作品』を書けと言われる。
少女は始めからプロとか関係なかった。
ただ、書きたいだけ、ただ愛して欲しかっただけ—。
少女は はっ!?と我に帰る。
蛇口を閉め、少女は屋上に戻った。
- Re: 亜麻髪のしにがみ ( No.12 )
- 日時: 2010/02/18 22:29
- 名前: ダンプ (ID: YYcYgE9A)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
「あのね、あなた達の名前はねお父さんとお母さんの願いが込められているのよ?」
願い—幸せに生きて欲しい。だから幸(ゆき)
ずっと、この名前を呼んでくれると思っていた…。
でも、あたしの作品が売れてお金が入ってくると…
呼んでくれなくなった。変わりに呼ばれたのは『天才文学女子高校生作家』。
あたしはもう佐藤 幸(さとうゆき)ではなく、
ただ、書いてお金を生み出すキカイ…。
あたしに幸せに生きて欲しかったんじゃないの?
あのコトバは嘘だったの—?
あたしはただ、愛して欲しいんだ—。
寂れた音がするドアを開けた幸は屋上にいる人影に気が付いた。
「今日は私、リンと申します」
「あ…どうも、幸です…あなたは死神?」
幸がそう思ったのは彼女の手に大きな鎌があった事と肩に猫が乗っていた。
「いいえ、私は逝神です」
「逝神?」
「えぇ、簡単に言えば『死者を逝きかえらせる力を持っている人』です」
「はぁ…」幸は思わず感嘆の声をあげた。
「で、何か用ですか?」
「はい。あなたは死後…逝神になれます。その時私の仲間になりますか?」
「……まぁ、面白そうだし…」
「それは承知ということでしょうか?」
幸は首を縦に振った。
すると、力強い風が吹いて気が付いたときにはリンの姿はなかった。
ギィィィ…。
幸の後ろからヒラリが現れた。
「お?どした幸?」
「あ…ううん。何もないよ?さてと、続き書こう」
少女が手を動かして10分。作品は出来あがった。
「よっし!出来たぁ〜♪さてと…」
「…もう飛ぶのか?」
後ろで寝転がっているヒラリが聞いた。
「うん」
ヒラリは眼をつぶった。瞬間鈍い音が聞こえた。
「…ヒラリ仕事だ」
「おう」
少年が鎌を振るう時だった。
「待ちなさい」
凛とした声がした。
「リン!?何でお前が…」
「あなたには関係ない事ですよ?ヒラリ」
リンは少女に触った。瞬間、少女の魂が人型になった。
手には大きな鎌が握られていた。
「お前…まさか!?」
その声をさえぎるように幸が問いかけた。
「あたしは逝神?」
「えぇ、逝神です。では、『眠りなさい』」
幸の目の色が変わる。冷たく、何も感じない色に…
「リン様、あなたの使い魔では無いので関係無いですがこんな事をしたらどうなるか…解りますよね?」
リンは少し笑って、
「うるさい猫だな」
そう呟くとイヴに鎌を振り下ろした。
「ッギャ!?」
「イヴ!?お前は何をしたいんだ!」
ヒラリはイヴのそばに駆け寄りリンを睨んだ。
「何を。決まっているではないですか?私を拒絶した憎い死神を滅ぼすんですよ?」
凛とした眼が紅く染まる。
「…冗談じゃない。どうかしている!」
「…お前もうるさい奴だ。そうだ、お前を第1号にしてやろう。いけ、幸」
「ハイ、リン様」
幸は機械のようにヒラリを切りにかかった。
「幸!止めろ!…ぐっ!?」
鎌で攻撃を防ぐヒラリの足が1歩後ろへ動く。
「アーハッハッハッハッ。お前も知っているだろう?お前達…死神は私達…逝神には勝てない事を。無駄な抵抗を止めろ」
そう、死神は逝神には勝てない。
何故なら、逝神は違反を起こした死神を殺す死刑官なのだから。
「幸!ヒラリだ。解んだろ?俺だよ!」
「…あなたがどなたか存じません」
「お前は『天才文学女子高校生作家』なんだろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
幸は不意をつきヒラリの首に両手をからめた。
「…ッガ!?」
リンは高らかに笑っている。その眼は全てを制したような眼だった。
このままじゃだめだ。何か…何か…ないのか?
この時ヒラリの脳裏に出てきたのは少女の名前だった。
…やるか?…やるしかない!
ヒラリは幸の足に鎌の柄を落した。
瞬間、幸はヒラリから離れる。
「幸、お前の名前はな親御さんの願いが込められてんだ!『幸せに生きて欲しい』つう願いがな!」
「『幸せに生きて欲しい』…?ッガァ、ッグゥ…」
少女はうめき声をあげる。
そして、少女の眼には涙が…
「嘘よ…そんな事。あたしの事なんかいいの!あたしはただお金を作り出す機械…。あたしなんか幸せに生きて欲しくないの!」
「じゃあ、何でお前をプロにしなかった?」
その瞬間少女は我に帰る。
「プロにしたら金も入ってくるんじゃねぇの?それにさ、幸せって誰かが自分の事を想うだけでも幸せじゃねぇ—の?」
少女の眼が元の温かい眼に戻る。
「ヒラリ…。ごめん、ごめん。あたし…」
少女は泣きじゃぐりながらヒラリに抱きついた。
「…ったく、世話かけやがって」
少年は笑う。少女は笑う。しかし、少年の顔が引きつる。
少年の身体から紅い生暖かい液体が流れ出ていた。
少女の手は真っ紅。少年が倒れる。その先に見えたのは鎌を握っている一人の女性。
女性の握っていた鎌は紅い液体で真っ紅になっていた。
「…さぁ、行きましょう」
女性は何事もなかった用に言う。
少女は拒む。
それと同時に少女は思う。
彼が死んだのは私のせいだ。ならあたしは…
女性の目が大きく開く、そう驚いているのだ。
少女の髪は亜麻色に染まり、服装も変わった。
そう、少女は死神になったのだ。
ただの死神じゃない、逝神の力を持つ死神。
少女は女性に言う。
ごめん、あたしはあなたがやろうとしていることは間違っていると想う。
そして、女性に向かって鎌を振り下ろした。
普通、死神は逝神を傷つけれない。
でも、死神の力を持った幸なら—逝神を殺せる。
少女の側にあるのは二人の死体。
そこに少女のすそを引っ張る猫が居た。
「ごめんね。あなたのご主人様は…あたし。よろしくねイヴ」
その後、少女は秘密を知りすぎたという事でこの記憶を消されてしまう—。
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