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夜空と僕
日時: 2010/04/27 15:12
名前: 修羅人 (ID: JgiXnGnD)

【夜空と僕】

初めまして。修羅人といいます。
面白い小説が書けるように、一生懸命頑張ります。
アドバイスとか、まってます。
感想・コメント、気軽にしてくださいね。


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夜空と僕 ( No.8 )
日時: 2010/04/06 11:51
名前: 修羅人 (ID: JgiXnGnD)

「じゃあ、次は校庭30分間ジョグ。」
(はぁ!?この校庭、一周何mあると思って・・・)
流石陸上部。
僕の想像以上に、大変。
そして、薬らしき物を持っていたのが
金堂烈詩(kondouretusi)
坂爪慧翠(sakazumekeisui)
家島魁心(iezimakaisin)
の、三人。
まだ確定した訳では無いが、場合によっては直ぐに止めないと。
死に至ってからでは、遅い。
「おい!!雅人、ちゃんと走れよ。」
イキナリ怒鳴られた。
でも何か、聞き覚えの在る声。声のした方を振返ると、玉玄。
「あ、阿久根先輩・・・・・。」
(此処での名前は、阿久根翔。覚えなきゃ・・・今ちょっと危なかった。)
そう。今、僕は玉玄と言いそうになった。
そのまま走ろうと思ったら、腕を掴まれた。
「なっ!!は、何ですか??」
振返ると、玉玄は無表情で言った。
「体調が悪そうだな。こっち来い。」
(えぇ・・・何?急に。)
僕は腕を引かれ、校舎裏へ
「無理は辞めてください。」
さっきから、玉玄は僕の心配ばっかり。にしても、玉玄も陸上部・・・。
「玉玄も、陸上部だったんだ。」
「それはもぅ、心配ですから。当然です。それに、分家である私が、本家の結羅様の傍に居なくて、どうするんですか?!守るべき者は、結羅様。」
まぁ、家でするような会話。
僕にとっては普通でも、はたから見ると変だ。さて、部活に戻ろう。
校庭へ行こうとした時、僕等の後ろに俵藤が___。
不思議そうに僕等を見ている。
(ヤバイ・・・!!!!)
固まる僕等。
俵藤は何故か、目を輝かせながら近づいてくる。そして僕等の前へ・・・_____。
(こんな所見られたら、終わりだ。変人として皆に言われて、話すどころか、近付けなくなる。)
依頼が、青樹家始まって初、失敗。と思ったとき。

「雅人×翔。萌える。」

はい?何ですかそれ。
疑問に思っていると、俵藤がまた言った。

「受けは、雅人君だね。」

だから何?それ何??
玉玄が、思い出したように言った。
「はぁ、俺は腐じゃねぇ。女好きだ。」
「それは、残念です。でもお似合いですけどね。で、今の話、いったい・・・・・」
最後まで言い終わらないうちに、玉玄が俵藤の、耳元で囁いた。
『忘れなさい。そして、三分眠れ。』
俵藤は、直ぐにその場に倒れた。
「す、凄い。今の、玉玄の能力?!」
「お役に立てて、光栄です。」
照れながら、玉玄は笑った。
「で、俵藤が言ってたのって何?」
「腐女子ですね、俵藤さんは。腐女子とは、主に男性同士の恋愛を好む女性のことです。『雅人×翔』とはカップリング。受けとは、ヤる時攻められる側の事ですね。一緒に居る所が、絵になったのでしょう。」
かなり勉強になった・・・。
俵藤、まさかそんな奴だったなんて。僕は、寒気を覚えた。玉玄は、話が終わると俵藤を担いだ。
「何処に連れて行くんだ」
「?・・・・この女性も、陸上部ですよ。」
「へ??そぉなんだぁ。」
僕等は、部活へ戻った。


「雅人ォ〜、一緒に帰ろっ^^」
(ひょ、俵藤。)
僕は、正直嫌だったが仕方ない。OKした。
校門から出て、暫く歩いた。沈黙が破られ、俵藤が口を開いた。
「私、今日気絶してたんだ?助けてくれて有難ねっ。」
笑顔の俵藤、可愛い・・・?。僕は、自分でも顔が熱くなるのが分かった。
「俵藤さ、腐女子なの?」
「え!!!・・・そ、そんな事無いもん。/////////」
(はぁ。可愛い・・・かも。)
僕は、俵藤が苦手では無くなった。
「良いよ。僕、そうゆうの嫌いじゃないから。」
これが、仕事じゃなかったら、もっと仲良くなれただろう。
俵藤と別れて、暗い道を進む。この道は、通らなくても家に行けるが・・・
「さっきから、気付いてる。アンタ、一体何?」
僕は、振り向かないで問う。相手は、ため息をついた。
「お前、青樹か?」
(っ!!??何で知ってる)
僕は少し焦ったが、平然を装った。顔色が変わってなければ良いが。僕は、ゆっくりと振り向く。
そして、返事をした。
「いいや。ただの少年Yだね。」
はぁ。ため息が出る。本当は怖い。まだ本当にひよっこ。能力もまともに使えない。カッコつけて、俵藤と別れて戦う。ははっ。僕は、馬鹿だな。でも、本当にカッコ良い!!

飛び掛ってくる奴、僕を後ろから蹴る奴。悪いのは、ナイフだ。運よく交わせているが、いつまで続くか。
時間の問題だ。早く終われば、僕の勝ち。長く続けば、僕はぼろぼろになって、負け。
(やばっ)
僕の肩に、ナイフが突き刺される。流石に痛い。僕は、傷口を抑え、後ろへ下がる。
「ははっ、掛かったな。そこに行けば逃げ道は無いぞ。」
(殺されるのか?そんなの嫌だ。正々堂々戦って、生きるんだ。)
男の一人が、僕に向かってゆっくりと近づく。
『運が悪ィなァ〜。お前等、死ぬんだナ。俺に殺してもらえる事、アリガタアクオモエヨ?』
最強の僕、降臨_______。あの時と一緒。力が、漲る。軽く殴っても、相手が遠くまで飛ぶ!!
こんなの、ゲームの中でしか在り得ないのに。
男達は、情けなく逃げようとする。
『そうは、させるか。俺等の楽しいゲェムは、始まったばかりだろ?』
僕は、思いっきりジャンプした。
僕の体は、10m以上上へ上がった。そのまま、男達の前に先回りする。
僕は、男達に向かって意識を集中した。
____バチッ・・・バチバチッ_____
『俺ってもしかして、最強!』
地面に、電流が走る。感電した奴等は、その場に倒れた。
「死んでないよね?」
救急車の中で、僕は何度も玉玄に尋ねた。
「はい。一人も亡くなっておりません。」
この救急車は、青樹家の物だ。今回の喧嘩(?)は、誰にも知られなかった。倒れた人達は、僕らがこれから青樹家が経営する病院に極秘に運ぶ。
「にしても、凄いな結羅。」
「私、感動です。」
二人は、かなり興奮中。僕はまだ、混乱中。救急車が病院に着いた。病院には、お祖父ちゃんも、桔梗も湖もいた。外に出ると、お祖父ちゃんが走ってきた。
「大丈夫か?!結羅。」
気が気でないような顔。いつもの様に、優しそうに笑って欲しいけどな。
「うん。大丈夫だよ。」

病院の一室。僕は、腕の傷の治療をしているが、もう傷は塞がり始めていた。
「あの男は、一体何者なんですか?」
玉玄は、さっきからずっと僕の隣に居る。
お祖父ちゃんは、今はまだ分かっておらんと言った。
「とにかく、この事は誰にも知られないように。そして、見張りの奴等は一体何をしていたんだ?!」
「見張ってはいたが、助ける必要がないとの判断。」
「何を言っているのだ?!見張りはちゃんと助けろ!怪我がまだ軽いから良かった物の、命にかかわる大怪我だったらどうするんだ!!」
お祖父ちゃんは、怒っていたが、桔梗も顔色一つ変えずに、反論した。
「では、これから先結羅様が成長しんなくても良いとお思いですか?窮地に立ち、傷付いてこそ人は強くなるのです!!」
この事も、正しい。だが、少々の意見の違いは、あるものだろう。僕は、二人の話には入らなかった。

夜空と僕 ( No.9 )
日時: 2010/04/06 13:13
名前: 修羅人 (ID: JgiXnGnD)


居心地の悪い病室から出た。
夜の病院の廊下を向ける。暗いと、怖かったがあそこに居るよりはマシだ。
一階に下りると、中庭を目指す。
パタパタと、僕のスリッパの足音しか聞こえない。
中庭のベンチに座ると、息を思いっきり吐いた。
少しは、気持ちが楽になる。
今日はまだ、二日目なのに色んなことがあった。
まだ、整理が出来ていない。
「玉玄・・・どうした?」
僕は最近、人の気配を敏感に感じることが出来るようになった。
「お気付きでしたか・・・?」
僕は、振り向いた時胸が思いっきり、締め付けられた。
今まで見た事が無いほどの、悲しい顔。
玉玄は、強くて、何でも出来る。だから、余り気に留めたことは無かった。なのに、こんな顔をするなんて。
言いたいことは大体分かった。
「また、心配か?僕は大丈夫だから。」
返事が来る前に、僕の頬が真っ赤に染まった。
____バシッ____
玉玄が、僕の頬を打った。
「なんでっ!?」
玉玄は、もう泣きそうだった。
「お願いです。貴方一人で、全てを背負おうとしないで下さい。貴方達を助けるために・・・私達分家が共に居るでは在りませんか?!貴方が傷付くのは、何よりも私達を傷つけるのです!!お願い・・・です・・・もぅ、無茶しないで下さい。」
(僕は、知らない内に皆を傷つけていた?)
月明かりしかない中庭。良く見えなかったけど、多分玉玄は泣いていた。
いつも、僕のために色んな事をしていてくれたのに。
僕は、その大切な人を・・・簡単に泣かしてしまった。
最低だ。僕は、反論しなかった。
「ゴメン。」











落ち着いたところで、僕等は病室へ戻った。
お祖父ちゃんも、桔梗も言い合いをしていた。
(僕のせいで・・・あんな無茶しなければ。)
その光景を見ていると、罪悪感が自分を取り巻いた。
『結羅様が強くなるのは、私達にとって嬉しい事ですが、心配させないで下さい。傷付くなら、私達も一緒に傷付きますから。』
さっきの、玉玄の言葉。
僕は、お祖父ちゃんに言った。
「ごめん。もぅ、大丈夫。次からは、絶対無茶しないから。」
二人の言い合いは、一先ず納まった。











「フンッ、余計な真似をして。」
桔梗が、一人になった僕の病室に来た。
相変わらず、可愛くない性格。美人が勿体無い。
「言い合いは、僕が嫌なんだ。聞いていていい気にならない。それに、桔梗の気持ちは分かってるから。」
(そうそう。二人とも、僕を思って言い合いしてたんだよね。)
そんな考えのつもりが、桔梗は違った。
「なっ//////私の気持ちが分かるだと?!ふざけるな。」
「?・・・照れるなよ。」
「てっ、照れる・・・だろ。」
(?何でだ・・・まぁ、桔梗は少しでも人に心を読まれるのが、嫌なんだろうな。)
_____チュッ_____
「・・・じゃあな。」











「へ?・・・キス、した?」
よく考えると、恥ずかしい。直ぐに、心拍数が上がって、顔から火が出るほど赤面した。
「なっ、何なんだよ」













次の日から、僕はもう学校に行った。
男達の正体は、まだ分かっていない。
そんなモヤモヤを残したまま、二日目は終わった。
そして、三日目。
どんな事があるのだろう_______


続く

夜空と僕 ( No.10 )
日時: 2010/04/25 13:15
名前: 修羅人 (ID: JgiXnGnD)

『僕を君の中に入れて。』
初めてあなたに会ったとき、僕は妖精かと思った。
だけど、それは幼すぎた僕の間違いだった。
あなたは、どんな者より恐ろしい、悪魔だった。




朝起きると、僕は毎日のように、時計を止める。
その後、歯磨きをして朝ごはんを食べる。
学校に行って、帰って、塾に行く。
毎日・・・毎日・・・
同じ事の繰り返しのようだった。
退屈な毎日。早く逃げ出したいって思う。
そんなある日、まず僕の運命を変える最初の
間違った歯車が動き出す。




僕の親は帰りが遅いため、その夜は家に僕一人だった。
テレビを見て、本を読んで、ご飯を食べたり。
そんな、極々普通の事をしていた。
いつものように。
『ピーンポーン』
家のインターホンが鳴った。
ソファで眠りかけていた僕は、少し驚いて出て行った。
「はーい。」
と・・・出てみたが誰も居ない。
両親が帰って来るまで、まだ一時間以上ある。
玄関の時計を見ながら、はぁと短い溜息をついた。
リビングに戻ろうとしたとき、
『ピーンポーン』
(あれ?おかしいな。)
僕は玄関に居て、扉は開いている。
外には誰も居ない。
『ピーンポーン』
「えっ!?」
三度目のインターホンが鳴ったとき、急に強い風が吹いた。砂埃か何か混ざっていたらしく、目が痛くて開かない。
「なっ・・・ぁ・・・」
少し怖くなって、手探りで扉を閉めた。
ガチャ。
扉が閉まったとき、何かが僕の後ろに居た。
正確には、見えないが気配がする。
やっと目が開いたとき、ゆっくりと僕は振り向いた。
そこには、黒いスーツを着て、にっこりと笑う男が居た。釣り目で、顔色が良くない。
身長は180くらいだろう。
訳の分からない光景に、僕は男を暫く眺めた。
「貴方が、青樹様ですか?」
僕は確かに、青樹結羅。
だが、混乱して返事が出来ない。
「違うんですか?・・・まぁ良い。私には時間が無い のです。」
男はそう言うと、僕を担いだ。
「やぁ・・・止めろ!!」
僕は驚いて、暴れた。
すると、男がなにか耳元で呟いた。
「ぁ・・・っ!!」
一瞬のうちに、僕は眠ってしまった。




気が付くと、広くて綺麗な部屋に居た。
何だか、体が軽くて、頭がスッキリしている。
ゆっくりと体を起こす。
「・・・何処だ此処??」
訳の分からないまま、部屋の扉に近づいた。
ドアノブに手を掛けると、向こうから誰かがガチャっと開けた。驚いて一歩下がると、あの男が入ってきた。


夜空と僕 ( No.11 )
日時: 2010/04/27 14:11
名前: 修羅人 (ID: JgiXnGnD)

「ようっ、雅人。」
学校に着くと、直ぐに慧翠に話しかけられた。
「お早う。」
僕は、昨日の事もあって、まだ落ち着いていなかった。
「だあっ!!」
「よしっ、遅刻は免れたな。」
暫くすると、烈詩と魁心も来た。
遅刻し掛けたのか、走ってきている事が息遣いから分かる。
三人は、その後直ぐに、僕を置いてトイレに行った。
(何してるんだろ?)
僕は、覗きに行く事にした。











トイレに行くと、三人は隠れてお菓子を食べていた。
僕を見ると、焦りだした。
「雅人、この事は先生達には、言うなよ。」
「こっ、これ・・・あげるから。」
「大体、この学校校則、厳しすぎるんだよ。」
僕は、ホッとした。
皆が薬に関係するような事、してなくて良かった。
逆に、そうゆう目でしか、三人を見れないのが恥かしかった。











その日、変わった事は無かった。
部活も、授業も・・・。
何も無いのが、平和なのが一番。
僕は、安心して、帰った。
「雅人ー、一緒に帰ろう。」
歩いていると、後ろから誰かに声を掛けられた。
俵藤だ。
「あ、うん。」
僕らは、一緒に帰った。
「雅人、今度学校の行事で、季節に合わないお化け屋敷があるんだ。」
「うっわ、本当に季節に合わない。」
「でね、良かったら・・・その、一緒に行こう。」
「えっ、良いよ^^」
何だか、僕は普通に戻りたいと思った。
そうすれば、何も気にしないで済む。











家に帰ると、玉玄と龍切が、ニコニコしていた。
「結羅、帰れるぞ。」
「良かったですね。」
どうゆう事?
「帰れるって・・・?」
「薬を売ってる奴が、捕まったから。家に帰れるぞ。」
胸が、締め付けられるような痛みに、僕は顔が熱くなっていくのに気付いた。




(帰りたくない・・・)

夜空と僕 ( No.12 )
日時: 2010/04/27 15:10
名前: 修羅人 (ID: JgiXnGnD)

「何でだよ!?まだ・・・来て、三日だぞ。」
僕は、俵藤との約束があった。
だから、今帰る訳には行かなかった。
「結羅…もしかして、帰りたくないのか?」
龍切は、心配する様に僕を見た。
「うん…帰りたくない。後少しでいいから・・・此処に居させて。」
「それは、駄目だ。良いだろ!?無事に終って。誰も殺さないんだぞ。もお、此処には用はない。帰って、十分に休んで、また、次に備えるんだ。」
僕を、説得させようと、龍切は必死に言った。
龍切の言って事は、正しい。
でも、僕は…帰る訳にはいかない。

『安心して、眠りなさい。___』

玉玄の優しい声音が、僕の耳元で聞こえた。
その瞬間、僕の意識は夢の中へ___。











「結羅様・・・」
僕は、元の家のベットに寝ていた。
僕の横には、椅子に座って、申し訳なさそうな顔をした玉玄が居た。
「帰ってきたの?」
「はい。」
大きな窓から差し込む光が、眩しくて目を開けられなかった。
「薬は・・・誰か、やってた?」
「いいえ。誰も。」
「そっか、良かった。」
僕は、起きると玉玄と一緒に、一階のリビングに行った。
其処には、沢山のご馳走を用意した、湖が居た。
「お帰りなさい。」
いつもより、幸せそうな笑顔の湖。
「ただいま…。」
だが、僕は笑う事が出来なかった。
それを、変に思った湖は、玉玄とこそこそ話し出した。











龍切は、今日は居ないらしい。
僕は、また不安になった。
この仕事を続けるなら、こうゆう思いを、これから先も経験する事になる。
そんなの、悲しすぎる。
僕は、自分の部屋に戻ると、窓の外を見た。
たったの二日しか、あの学校には居なかったけど、僕はあの学校が大好きになった。俵藤にも、会いたい。
もう一度戻って、もっともっと皆と仲良くなりたい。
「俵藤・・・・・」
そう呟いた僕は、此処に来る前の学校の事も思い出した。
(あの学校は、なんだか好きじゃなかったな。)
今までの思い出に浸っていた。
僕の両親は?友達は?
今何をしてるかな____?





「よしっ、逃げよう!!」





僕は、着替えると、自信満々に扉を開いた。
此処からは、怪しまれない様に、中庭から外に出よう。
(大丈夫。心配しなくても、危険な事はしないし。少ししたら、帰ってくるよ。)
僕は、長い廊下を勢い良く走り、中庭へ急いだ。

「結羅様?」

廊下の向こうから、玉玄の声がした。
僕は、心臓が高く跳ねた。

「玉、玄・・・。」

玉玄は、全てを知っている様に、話し出した。

「此処から、脱走する御積りですか?」

僕は、黙り込んだ。

「安心してください。私も、協力しますよ。」
「ほっ、本当!?」
「えぇ。しかし、また・・・帰ってきますよね?」
「うん。ちょっと、外に出るだけだから。」
「青樹家の本家の者を、助けてこそ、私は幸せなのです。」



よーしっ!!
少しの間、出かけるぞ。


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