ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- Cross Wing 執筆再開
- 日時: 2010/12/04 17:25
- 名前: スペード ◆DpeXsA0SaE (ID: S8b9wYSL)
- 参照: スペード⇔雅 同一人物ですw
どうも、こんばんは。クリックご感謝いたしますb
改めまして、スペードまたは雅と申します。
久しぶりに執筆再開ですw
以前募集していたオリキャラも出したいと思いますので、よろしくお願いします^^
Cross=交差する Wing=翼
目次*
キャスト>>2
前書き>>1
辞書>>15
-第1章-
一話『一人の少年』>>3
二話『祓魔師と悪魔』>>4
三話『黒』>>5 >>6
四話『絶望と始まり』>>11
五話『列車』>>16
六話『不穏な者』>>18
- Re: Cross Wing −契約者− ( No.18 )
- 日時: 2010/12/04 17:19
- 名前: スぺード ◆lLTUeKKhVg (ID: S8b9wYSL)
六話『不穏な者』
「ガアアアァァァァァァァァァァァッ!!」
列車の最終車両、そこは既に大破し車両の半分は消し飛ばされていた。風が、ゴォォォォォォォッと音を立てて、吹きさらしの状態のその車両に吹きこんでいた。
そして、そんな車両にいたのは白目をむいた背の高い男の人だった。頭から角と長い尻尾が生え、そして袖から見えている手は真っ黒に染まっていた。
「魔症化…!」
リオンは軽く舌打ちし、厄介だな、と難しそうな顔をしていた。それもその筈、悪魔に取りつかれた動物、主に人に見られるのが、あの皮膚が黒くなっていく変色化。あれは悪魔が己の力でイレモノを硬化、またその部分を鋭利な物や攻撃できるものに変化させたりする特有のものだ。ちなみに、黒くなっている所以外は硬化させたり変化させたりすることはできない。おまけに、魔症化させるのに、悪魔の力…すなわち魂の一部を使わなくてはならない。なので、魔症化は力を求める悪魔にとってはあまり使いたくないモノであって、ほとんどの場合、少しの部分しか魔症化させないのだ。
…とは言っても、魔症化させられると厄介なのには変わりない。ジャッジメントで強い攻撃を与えないと、イレモノにダメージを負わせる事は困難になる。それに悪魔がイレモノの一部を硬化、またそれを鋭利な剣にでも変形させていて…それでもし攻撃されたら、こちらが大ダメージを負う事になる。
「———ヴァン、ついて来たのか…!危険だから下がっていろ!」
するとその時、悪魔に気を取られていたリオンが僕が付いてきている事に気が付いた。僕の正体を知らない彼は、僕にそう言いながら彼のジャッジメントを形成した。
「————銃?」
僕は、それを見て思わず声を上げた。僕のジャッジメントが剣だからか、思わず反応してしまったのだ。そして僕は、リオンさんの言った言葉を無視して、
「…こう見えても僕戦うのは得意なんです。なので、貴方の手伝いくらいはさせてください…!」
そう言い一歩前に出た。ジャッジメントを使う訳にはいかないので、僕は破壊された車両の程良い長さの破片を拾い上げると、それを手に持ち構える。
「無茶だ!」
リオンは僕にそう言った。———確かに、無茶といえば無茶だ。だけど…
「それでも…‘こんな’僕でも何かの役に立ちたいんだ…」
——今…自分はどんな顔をしているだろうか…。それは、自分に向けた言葉。闇に堕とされた僕は、悪魔を宿してこの世界に帰ってきた。最早僕は普通の人でもなく、悪魔でもない中途半端な存在。でも、それでも僕にできる事はある筈…。
———何かの役に立てるなら、僕はそれに縋るしか道はないんだ…
祓魔師でもなく、もう人としても生きられない。そんな僕でも何かの役に立てるなら、それは本望だ——…
「…、分かった。くれぐれも無茶はするなよ!」
そんな僕を見てかどうかは知らない。が、彼は共戦することを承諾してくれた。
「…ありがとうございます」
僕は軽く微笑み、彼にそう言った。僕はその時…、本当にうれしかった。
*
ある建物の中——————、一人の男は窓の外を眺めていた。その男の瞳が何を捉えているのかは分からない。だけど、その男の口の端は少しつり上がり…小さな笑みとなっていたのは確かだった。
「———シンク?あなた何やってんの」
するとそこへ、そう言いながら小さな女の子と妖艶な顔立ちの女性が部屋に入ってきた。
「…ちっ…」
すると、シンクと呼ばれた男は眉間にしわを寄せて舌打ちをした。
「全く…主は失礼にも程がある」
「そうそう、明らかに嫌そうにするのやめてよね!」
シンクの言った事を聞いた二人は少し苛立ちを覚えていた。しかし、シンクはそんなのどうでもいい、と言う風にため息をつきながら立ち上がった。
「…五月女、ビークトルはどうした」
そして二人の横をすれ違いながら妖艶な顔立ちをした女性ににそう尋ねた。
「奴ならまたアレの手入れ…じゃと思うが。のう、テイナ」
五月女と呼ばれた女性は、少し古臭い言葉ではあるがそうシンクに言った。
「本当バイク好きだよねぇ…。私なんかこの前『寄るな雌豚が…』とか言われたもん。あ、今なんか急にムカついて来た…!」
五月女の言葉に付け足すように、テイナと呼ばれた少女はそう言っていた。
「…」
しかし、シンクはそれらに対して何も言わず、そのまま部屋から出て行った。
「ムカッ、何あれ」
そんな態度のシンクに対して、またまた苛立ちを覚えたテイナはふくれる様にそう言った。
「…同じ“魔導師”じゃが、何時になっても奴だけは好かんのう…」
そして五月女もテイナに同感するように、そう言っていた。
バタン…
シンクは、ドアを閉めるとまた静かな場所を求めて歩き出した。
—動きはどうだったんだ?シンク—
するとその時、突然声が頭に響いた。しかし、それが当たり前なのかのように…シンクは表情を変える事もなく、ただ愉快そうに怪しく笑った。
「クク…、今日‘下’を“奴”に向けて放った」
そして彼はそう呟く。
—ほぅ…、“奴”のお手並み拝見というやつか?—
すると、頭の中で響いている声が楽しそうにそう言った。…その時、シンクは外が見える窓を見つけ、外を眺めた。その瞳に映るのは一つの列車…。
「…事が順調に運べている。奴がどれほどの力を“闇”から授かったのか…見ものだ」
そう言ってシンクは怪しく笑い、そしてその窓からゆっくりと離れていった。
- Re: Cross Wing −契約者− ( No.20 )
- 日時: 2010/12/04 16:58
- 名前: 雅 ◆2WetyLTYZk (ID: S8b9wYSL)
久しぶりに前のスレを見つけた…じゃあ書いてみようかと思い上げてみましたww
スレを立てたのはスペードという名前ですが、いちお同一人物なので←
暇があれば更新したいと思いますので
- Re: Cross Wing 執筆再開 ( No.21 )
- 日時: 2010/12/04 18:18
- 名前: 雅 ◆2WetyLTYZk (ID: S8b9wYSL)
七話『でき損ない』
「ヴァン、行くぞ!」
リオンが、そう言った瞬間彼と僕は一斉に動いた。彼は銃型のジャッジメントで、僕は刀くらいの鉄の破片…僕が悪魔を引き付け、彼が銃で遠くから攻撃するのが一番ノーリスクだ。おそらく、後退した彼もそれと同じ事を考えている筈だ。
「———俺が絶対に援護する!奴は任せるぞ…!」
彼は不安そうな声でそう言って僕の後ろに回った。彼からしたら僕は怪我人。確かに…心配になるだろう。
「分かりました!…剣術や接近戦は僕の得意分野です!」
なので、僕は少しでも彼に安心してもらえるようそう言った。戦いは周りの事を考えるよう余裕はあまり無い。せめて、彼の負担にはなるまいと僕は思った。
そして、僕は勢いよく床を蹴った。相手との距離を一気に詰め、まず脚に斬りかかった。まずは相手の動きを鈍らせる作戦だった。
「グオォォオッ!!」
しかし、脚を斬りつけられた奴は、全く動じず僕に魔症化で硬化した腕を叩きつけるかのように僕に振り下ろした。
「————っ!」
その攻撃を素早くかわし、僕はまた奴の後ろに回った。そして次は反対の脚を斬りつけた。
ドッ…!
すると、奴は思い通り膝を床につけるような形で崩れた。
「———ヴァン、伏せろ!」
そして今度は、リオンが遠距離で奴の腕、肩などの箇所を撃ち抜く。
「グルルルル…」
すると、奴は呻き声を上げながらリオンの方を向いた。
「立てるのか…!?」
僕は奴の動きを見てそう声を上げた。銃のリオンを接近攻撃すると、遠距離系の彼の武器では不利だ。
…僕は奴の脚をまた斬撃し動きを止めようと一気に距離を詰めた。しかしその時…奴が不意に振り向いた。
「なっ…!?」
奴は笑っていた。
『…そうか、奴の狙いは…僕————』
だが、そう思ったときにはもう遅かった。奴の黒ずんだ、硬化した拳は…僕の頭をとらえた。その時一瞬、目の前がブレた様な感覚に襲われた。その刹那、気が付いたら床に勢いよく叩きつけられていた。
「が…はっ…」
そしてようやく体中に激痛を感じた瞬間に、僕の意識は一瞬途絶えた。
*
———ミシッ
鈍い音が半壊した車両に響いた。
「ヴァン…!!」
思わず俺は叫んだ。奴は、ヴァンから流れる血を見て満足そうに笑みを浮かべていた。俺の顔から血の気が引いていくのが分かった。…一瞬の事だった。あまりにも瞬間的だったので俺は何もできなかった。
「…ッ!」
俺は銃を強く握った。そして奴に向かって弾を乱射する。
「ギッ!」
しかし、奴はいとも簡単にその弾を避け、俺との距離を詰めてきた。そして、魔症化した腕を俺に向かって振るう。
ザシュッ…!
が…、その時その腕は宙を舞った。
「グォオオオオオオオ…!!」
その衝撃に、奴は悲鳴に近い声を上げた。…斬られた腕は、ボト、と鈍い音を立てて床に落ちた。俺は、魔症化されていない部分を斬ったのだ。
「…あまり俺を甘く見るなよ…!」
俺は奴に言った。そして今、俺が持っているジャッジメントは—————大きな剣に変形していた。いや、俺がジャッジメントを再構築させた、といった方がいいだろう。ジャッジメントは、精神を使わないとできないが、変形させる事ができる。
「…ガァ…ッ!」
それを見た奴は鬱陶しい、と言わんばかりに俺を睨みつけた。
「…来い」
俺も、剣を構えて奴をにらみ返す。
そして一瞬、シンとした空気が流れた。
…この勝負、先に動いた方が勝つ…!
その瞬間、俺と奴はほぼ同時に動いた。
「でやぁぁぁぁぁあああああああっ!!」
俺は、剣の持ち手を思いきり握り締めた。負けられない。この車内の者を守るのが俺の使命。俺がコイツを倒す理由に…それ以上もそれ以下もない。
…俺は祓魔師。悪魔も、その契約者も、障害になる全てを殺す…、それが俺、祓魔師。契約者がどんな生物でも、どんな人間でも…殺す事こそ、俺の存在理由だ…!!
キィィィ——————…ィィィ…ン—————…
その瞬間、勝負は着いたかに等しかった。俺が、奴をこの大剣で抑え込む形になり、後はそのままこの大剣で首を落とすだけであった。
- Re: Cross Wing 執筆再開 ( No.22 )
- 日時: 2010/12/04 18:20
- 名前: 雅 ◆2WetyLTYZk (ID: S8b9wYSL)
「グルルルルル…」
奴は唸り声を上げていた。今から己がどうなるかを全て理解したのだろう。しかし、悪魔本体にとってはどうでもいい事。“イレモノが壊されるだけ、また新しいイレモノと契約すればいいだけ”なのだから。
「…」
この者に罪は無い。ただ、悪魔と強制的に契約を結ばれた被害者なのだ。だが…殺す他に、この者を解放できる手段は無い。…全ては仕方の無い事。だが…しかし———…
俺は‘また’躊躇った。汗が、頬を伝って床に落ちる。今の現状を把握する程に、微かな震えが生まれ、息はどんどん乱れてゆく。どうしようもできない気持が、俺の頭を支配した。
——————怖い。
俺がこの手を下せば、この車内の人間全て救う事ができる。だが、この者は死ぬ。犠牲になってしまう。いくら悪魔のイレモノとなり果てた者でも、元は人。何の罪の無い被害者に過ぎないのだ。…そんな者を———この手で殺める?
「…くっ…」
出来ない。俺にはできない。…怖い。罪もない者を殺す事など…、
同じ人間を殺す事など…俺には————無理だ。
その時、俺の剣を持つ手が緩んだ。奴はその好機を見逃す訳がなかった。
「ギッ…!!」
奴は俺の喉元を掴み、そのまま壁に叩きつける様にして投げ飛ばした。
「がッ…!」
あまりに強い衝撃に、俺は吐血した。
—————『だからお前は出来損ないなんだ』
そう言えば…いつか誰かにもそう言われた。俺は、殺せない祓魔師。祓魔師として最低の存在だった。今までに、悪魔もといイレモノを一度も殺した事が無い。怖くなるのだ、いざ敵を殺すとなると…俺自身が殺すことに対して拒否を起こしてしまう。
目の前の奴は、俺に止めを刺そうとゆっくり近づいてきた。
…俺は本当にどうしようもない奴だ。目の前で倒せた筈の相手に殺られる。
昔から変わらない。全く変わらない。守れるものも、守りきる事ができない、
———————俺は出来損ないじゃない、俺はただの弱虫なだけだ。
「———リオン、そのまましゃがんでて!」
と、その時。
不意にその叫び声が聞こえた。思わず顔を上げそうになる。————この声は、間違えない。…ヴァンの声だ。
気が付いていたのか………いや、アイツは怪我人だ!それにまともな武器すら持っていない筈、今動くのは危険だ————
——ザシュッ…ッ!
だが、その時聞いた音は…剣が獲物をとらえた音だった。俺と悪魔との間合いに立つヴァン。彼は、“黒いジャッジメントを持っていた。”悪魔と同じ、黒色の光を帯びたソレは、悪魔の体を突き刺していたが、悪魔からは血が漏れていない。
「——————…」
レオンは思わず目を見開き、その光景に見入っていた。そして、ポツリ呟く。
「…“悪魔堕ち”…したのか?」
だが彼は、ヴァンは答えない。ヴァンはリオンの声をかき消すかのように剣を持つ腕の力を強くし、そのまま悪魔を引き裂いた。
「グ…ガアアアアアアアッ!」
悪魔は、苦しそうに引き裂かれたはずの腹を押さえた。だが、そこからはやはり血は漏れていない。リオンはそれを見て、確信した。やはり、ヴァンは—————…!
「いいえ、残念ですリオン・レイジェクト。それは違います、彼は“悪魔堕ち”した人物ではありません」
———だが、その核心を促す声が、背後から聞こえた。振り返ると、そこには金色の髪をした背の低い少女が佇んでいた。黒いワンピースに身を包み、そして腰には小さな藁人形を携えている。そんな人形みたいに可愛らしい顔をした少女は、リオンを真っ直ぐ見つめて言葉を続けた。
「貴方は黒い光を見て確信したのでしょうが、違います。しかし、あれは貴方達祓魔師や‘私達’が行方を追っている“咎人”…
————つまりは悪魔ですよ」
…この少女の言っている事が、分らない。ヴァンが咎人?そんな筈はない!
「言ってくれる…咎人は理性など無い筈だ!だが、…ヴァンには理性がある。何処から見ても咎人ではない、もし言うならば悪魔堕ちした人間だろう!」
リオンは、少女を見上げ、否定の言葉を紡ぎ出した。だが、その言葉を聞いてもなお、彼女は否定の言葉を並べた。
「…確かに、貴方の意見にもあながち間違えではありません。悪魔堕ちは、自分の意思で悪魔の力を必要とし、悪魔と契約を交わした、理性を保つ事のできる人間です。しかし、彼は数年前一度…永遠の闇に堕とされた人物なんですよ」————…
- Re: Cross Wing 執筆再開 ( No.23 )
- 日時: 2010/12/05 12:28
- 名前: 朔 ◆sZ.PMZVBhw (ID: 7Qg9ad9R)
- 参照: We Shoudn't relate to people sepurficially.
こんにちは!読ませていただいちゃいました〜さっそくお気に入りに追加しちゃったり…。
お話が凄くつぼにはまりました!引き込まれちゃっていつの間にかわーっと全部読んじゃったり((オイ
世界観もキャラも非常に素敵んぐ〜で御座います(´q`)
更新頑張ってくださいね!
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