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朱色の戦場 —The Only Easy Day...—
日時: 2010/05/04 14:04
名前: JYU ◆j7ls9NGWQI (ID: w4zhaU6v)

立て直してみた。結構文章内容変えてます
例によって例のごとく軍事物ですが、出来るだけ分かりやすく、読みやすいようにしていこうと思いますのでご容赦願います
生半可な知識で書いてるんですけどね。いや、本当に
アドバイス等お願いいたします。分からないところがあったら気軽にどうぞ!
気軽に! フレンドリーに! ね!

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プロローグ ( No.1 )
日時: 2010/05/14 21:01
名前: JYU ◆j7ls9NGWQI (ID: Vl6H7UjX)

0.




 2018年12月4日のことだ。

 私は、とある作戦に参加した退役中尉とのコンタクトを取ることに成功した。
 会ってすぐに、私の背筋が勝手にピンと伸びた。彼は何かしらを達観している節があり、初対面の私に向けた視線は実に柔らかい物であった。勧められて椅子に座った私と対面するように、彼もまた椅子に座った。その動作も悠然としており、彼を慕う人物がいることも頷ける。

 まず、彼から口を開いた。「何を聞きたいのだったかな」私ははっと気を取り直し、質問の答えをメモするノート、あらかじめ許可を貰って持ってきた録音用のレコーダーを準備した。
「じゃあ、始めましょうか」そう、ぎこちなく返すのが、私の精一杯だったように思う。

 私が彼の口から聞きたかったのは、とある戦闘についてだ。
 中東のとある地域で起きた、正に絶望的ともいえる戦闘から生還したのが彼である。彼はいわば、その戦闘の貴重な経験者。彼と出会えるだけでも、私は幸福だった。彼の歳は一応、まだ30代である。しかし、その威厳は何故か、様々な経験を積んだ初老の紳士……とも言えるような気にさえさせる。
 それも恐らく、私が目的としているその戦闘の所為なのかもしれないと、この時、私はすでに思い始めていた。

「私は、あなたが経験した最大の戦闘について聞きに来たんです」

 それだけで、彼は理解したようだった。ああ、と呟いて、私の目を見る。私は29歳。そう歳は離れていないはずなのだが、頭でも下げたい気分になってくる。その瞳は吸い込まれそうなほどの、不思議な光を見せていた。彼は「私自身」を見ているのだ。

「分かった」

 彼は私の取材に快く応じてくれた。その瞬間、どれほどほっとしたことか。
 目の前に座ったまま、彼はゆっくりと口を開いた。10秒ほど経った頃だったように思う。
 じっくりと、何かを噛み締め、思い返すように、彼は悲哀を帯びた表情のまま、真実を語り始めた。
 それこそが、私にとって人生最大の幸運だったに違いない。きっと、そうなのだ。
 だからこそ私は、彼の声を一言一句逃さず、耳に刻んだ。手元の録音機が人格を持っていて喋ることが出来たら、「何のために俺を持ってきたんだ」と喚き散らしていただろう。それほどに、私は全てをはっきりと、記憶した。
 
 私は彼が経験した「最大の戦闘」の全てを、ここに記そうと思う。

 その戦闘が起きたのは、2011年8月23日——
 まだ灼熱の太陽が頭上を支配する、暑い夏の日のことだった。


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