ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- フルハンティング
- 日時: 2010/07/11 00:59
- 名前: うぃ (ID: dyesuMjg)
俺は路地裏に立っていた。
照りつける太陽が俺にだけ降り注いでいる。
そこには拳銃が落ちていた。
いや、俺が落としたんだ。
俺は何をした?右手が震えている。
生臭さ、血の匂い。
目の前には、血まみれの人だったモノがあった。
「うわぁぁぁあぁぁああぁぁぁ!!」
殺される!俺も殺される!!
逃げて逃げて、やっと人気のある場所に出れた。
だが、俺は取り囲まれていた。
・・・もういい。俺はよくやった。
照りつける日差しの中、銃声だけが響いた。
- Re: フルハンティング ( No.9 )
- 日時: 2010/07/17 00:02
- 名前: うぃ ◆047FkQvAf2 (ID: dyesuMjg)
そして、朝になった。
昨日、約束してた通りに咲が俺を待っていてくれた。
何がおかしいのか。いきなり笑い出す。
「どうしたんだよ」
「ふふっ、あのね?幼なじみみたいに男の子とこういう風になるの初めてだから。楽しくて」
咲はとびっきりの笑顔で返してくれた。
そうか、俺も女の子と一緒に登校なんて初めてだ。
「そうだ、咲。面白いゲーム持ってるか?」
「げ、ゲーム!?」
「驚きすぎだろ」
「はうぅ、え〜っとね。バイオハザード全種。クロックタワー全種に、零も全部持ってるよ」
「ホラーゲームばっかり!?」
「ううん、ちゃんとマリオパーティー5持ってるよ」
「古っ!5とかいつのだよ!」
「実はそれ妹のなんだけどね」
「結局、お前が買ったゲームはホラーゲームだけかっ!」
「はうぅ、ごめんなさい!」
「いや、謝らなくても」
「はうぅ〜」
手をこすってずっと謝ってくる。
そこまで謝られたら、こっちが悪いことしてるみたいだ。
「んふぇ?こーくんはなんで面白いゲーム持ってるか聞いたの?」
「ああ、家にいてもつまらないからな」
「そういえば、むうちゃんがこの町で人気のゲームを手に入れたって言ってたよ」
「ほんとかっ!?どんなゲームなんだろ」
そうこうしてるうちに学校に到着する。
「むう!人気ゲーム手に入れたんだって!?」
「はうあっ!昨日までクールだったのに、今日はやけにテンション高いねぇ」
「だって面白いゲームなんだろ!?ゲーム好きの俺なら今すぐ拝みたい品だぜ!」
「持ってきてるよ。たしか、フルハンティグだっけかな」
「フルハンティング?」
全く聞いたことの無いゲーム名だ。
「うん、ちょうど、こーくんも誘おうと思ってたんだけど、咲が言ったのかな?」
「あははは、こーくんが面白いゲームないか?とか聞いてくるんだもん」
「どんなゲームなんだ?」
「俺から説明するよ。むうは説明が下手だからね。
プレイヤーはこの機械を持って、相手からこの機械を奪い取るんだ。そして、その番号を機械に入れて
1ポイントを入手、あるていど溜まると景品ゲットさ」
「なるほど、家庭用ゲーム機ではないのか」
「ああ、勝負の仕方は人それぞれだけどね」
「ふーん」
俺は手にした機械をマジマジと見つめる。
「景品ってどこから出てくるんだよ」
「住所を書けば配達されるよ」
「この機械にか!?悪用されないか?」
「あははは、大丈夫さ。ポイント貯めるにしても、かなり集めないといけないらしく、君には無理っぽそうだからさ」
「言ったな!絶対ゲットしてやるぜ」
「ポイントで手に入る景品はその機械に全て入ってるはずだよ。なぜか最後が???だけど」
「げ、1000ポイント!?とても溜まりそうにない」
「まあ、頑張ればいいよ。放課後、カードゲームで勝負しようか?」
「いいぜ!用意はお前な」
「先にポイントは貰うよ、二人とも」
「構わないよ、あたしは傍観者さ」
「が、頑張ってね。二人とも」
「俺が一気にリードしてやるぜ!」
そして、放課後。
決戦の火蓋が切って落とされた。
- Re: フルハンティング ( No.10 )
- 日時: 2010/07/24 22:47
- 名前: うぃ ◆047FkQvAf2 (ID: dyesuMjg)
なんと、モンスターの特殊能力で逆転してくれるという熱いデュエルになった。
いやあ、奇跡は信じてみるもんだな……。
そして、ポイントゲットも済ませて気づく
「なあ、お前の名前なんだっけ?」
「えぇ!?聞いてなかったのか!?」
あの時はボケてたからな。
ほとんど記憶が無いな。
「城原修(じょうはら しゅう)だよ。人の話はちゃんと聞けよな」
「あははは、すまない」
確かにな。ちゃんと名乗っているのに
次の日には「誰?」じゃ悲しいよな。
「あれ?こーくんの機械に何か映し出されてるよ」
「え?」
腕に付けてある機械を見てみると、地図と赤い丸が出ていた。
地図の形から見て、この区域。
そして、赤い丸はこの学校だ。
「どうやら、ポイント交換した相手が映し出されるみたいね。でも、一度ポイント交換した相手とは二度と出来ないはずなんだけど」
むうが考えていると、修が「こういうことじゃないか?」と言ってきた。
「たしか、負けた奴は勝った奴にリベンジ出来るだろ?どこでも対戦出来るってことじゃないか?」
「うわ、怖いねそれ」
「どこにいるのか分かるなんて怖いねぇ」
むうと咲が顔をヒキツらせている。
確かにな。いくらリベンジのためとはいえ、これはやりすぎだ。
「ストーカーとポイント交換しない限り大丈夫だろ」
「それも一理ある」
「とにかく、学校中の奴に挑みまくれ!」
「「おー!」」
と、やっていると先生に見つかり
放課後まで没収されて説教されるのでした。
- Re: フルハンティング ( No.11 )
- 日時: 2010/08/01 03:29
- 名前: うぃ ◆047FkQvAf2 (ID: dyesuMjg)
放課後、先生に機械を返してもらった。
もう持ってきてはダメ、と念押しされてしまった。
もう一度持ってきたら、機械を叩き壊されそうな形相だったなあれは……あはは。
あんなにキレイな先生でも怒る時は閻魔にでもなれるってか。
「いったい、なんのゲームなんだろうな」
そんな事を考えていた。
なんのゲームって、そりゃあリアルでオンラインゲームが楽しめるとか
そういう意味があるんじゃないか?ともう一人の俺が言う。
だが、こんなに安い話があるだろうか。
ポイント程度を子供が取り合ったら喧嘩騒ぎ。
販売中止は当たり前だ。
それに、俺はインターネット掲示板にいるがこんな機械は聞いた事もない。
この地域だけなのか?
「おら!早くポイント渡せ!!」
ふいに、声が聞こえた。
路地裏からだ。そ〜っと覗きこむと
血まみれの男の人をバッドで殴っている男の子数名がいた。
みんな俺達が持っている機械を持ってる。
なぜだ!?まさかポイント欲しさに暴行を!?
「渡すから!渡すから許してくれぇ……」
「それでいいんだよ。この機械も便利なもんだぜ。ポイント取られた相手の場所が分かるから仲間集めてリベンジなんか簡単じゃねーか」
なんて奴らだ。
だが、本当に目を引いたのは、次の行動だ。
なんと、男の人から機械を取り上げて自分の腕に付けたのだ。
「や、やめろ!その機械には俺の」
「ああ?マジ殺すぞ。弱い立場の人間は悲しいなぁ!」
「くそぉ……!」
状況は飲み込めた。
あの男の人の方がポイントが高いから
それを奪えばポイントが格段に上がる。
更に勝負した相手も多いから一気にポイントが稼げる。
そんな手があったのか。
しかし、これは明らかに暴力事件だろ!?
なぜ誰も告発しない?
なぜ誰も見ざる聞かざるで普通にこの凶行を見過ごしているんだ!?
「……何か裏があるんじゃ?」
この町に仕掛けられた何かが
- Re: フルハンティング ( No.12 )
- 日時: 2010/08/11 20:36
- 名前: うぃ ◆047FkQvAf2 (ID: dyesuMjg)
昨日の凶行はいったい何だったのだろうか。
ただ単に、ポイント稼ぎたさに起こった事件か?
そんな事が起こってるなら、とっくに製造は中止されてるはずだろ?
「どうなってる……」
あいつに聞いてみるか。
登校中に一緒に登校している咲に話しかけた。
「暴力事件があるなんて、ここも物騒なんだな」
「暴力事件?そんな事起こってないよ?万引きすら起こらない町だから無いよ」
……なぜだ?あれは明らかに事件。
「嘘をつくな、俺は昨日、暴力事件の現場を見た」
「見間違いじゃないかな?この町はいたって平和。暴力事件なんか起こるわけ無い」
昨日起こった血なまぐさい事件は稀という事か?
だけど
「ならどうして、どうして警察はリンチ殺人の事件を追っている!?」
「隣町だよ。隣町でリンチ殺人が起こったの」
なら、子供に聞くのは明らかにおかしい。
「子供ですら知ってる情報なのか?リンチ殺人って。俺が違う所にいた時はニュースで一言も言ってなかったぜ?」
「それはその時だけ。引っ越した日に放送されたんだよ」
必ず否定してくる。なぜだ。
俺が間違っているのか!?
しかし、昨日の暴力事件。
更にリンチ殺人。それが起こっている上で平和だと!?
咲の目は俺の目を一心に捉えていた。
その目からは殺気すら感じられる。
鷹が獲物を狙ってる目。それほど鋭かった。
「ねぇ、忘れてよ。そんなこと。全部夢だよ?悪い夢。夢」
にじり寄ってくる咲。
夢だから忘れて、と言い続けて。
「分かったから、分かったから!!」
俺はほぼ絶叫気味に言い放った。
「そう?忘れてね」
呼吸困難に陥るんじゃないか、というくらい息が上がっていた。
苦しい……。
「さあ、行こう!こーくん」
「ああ」
手が汗でヌルヌルしていた。
- Re: フルハンティング ( No.13 )
- 日時: 2010/08/14 23:22
- 名前: うぃ ◆047FkQvAf2 (ID: dyesuMjg)
よく考えれば、あんなのは暴力事件でもなんでも無かったんだよ……
そうだ。あれは暴力事件なんかじゃない……。
「じゃあ、俺が2日続けて見てきたあれはどう説明がつく?」
自分で自分に問いかける。
そんなの決まってるじゃないか。あれは幻。
「幻?あの耳に焼き付いている悲鳴や笑いが幻だと!?」
幻だ!幻なんだ!!
咲だって言ってただろ!?悪い夢だって!
ああそうか。転校の疲れでおかしくなってるのか
そうだよな。別に俺に危険が迫るわけでも無い。
「あいつらは俺達と同じ機械を持っていて、それのおかげでリベンジ出来たと言ってるぞ?」
何かの見間違いだ!!
「同じ形で同じ色、同じ大きさで同じ性能。それでも否定するのか?」
ああ否定してやる!!
「お前は心の中で薄々気づいているはずだ」
な、何を!?
「…もしかしたら、咲達は俺をカモにしようとしてるかもしれないってな」
………。
「どんなに逃げても結局はそこにたどり着いてしまう」
必ず違う考えがあるはずだ。
「どうしてそうも否定したがる?」
あいつらは今までの奴らとは違う気がしたからだ。
「ただの思い違いだ」
そんなはずは無い。
会って2日しかたってないが分かる
「その“分かるに”に絶対的自信は?」
…………。無い
「そうだろ?所詮、友達なんか他人さ。すぐに仲良くなった程度で違うと決めつけるのはバカさ」
…………。
「これだけは言っておくぞ。お前があいつらを信じるのは構わない。だが、裏切られた時のダメージは信じてない時より遥かに大きいぞ」
あいつらは……裏切らない……
「そうか。じゃあ俺は消えるよ」
ふと、目が覚めた。
授業中だった。先生が黒板にチョークを打ちつける音だけが聞こえる。
裏切られた時……か……。
親すら信じられない俺に
果たしてあいつらを信じ抜けるのか。
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