ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- パンドラの箱
- 日時: 2010/07/27 14:14
- 名前: 透架 (ID: apTS.Dj.)
俺は誰も信じない
いつも人との関わりを避けていた俺
いつも「俺には関係ない」の一言で終わらせていた
なのになんでお前は俺のことを
なんでそこまで信じようとすんだよ・・・?
お前はお前、俺は俺。
あかの他人なのによ・・・・・・・———
- Re: パンドラの箱 ( No.10 )
- 日時: 2010/08/06 12:26
- 名前: 透架 (ID: apTS.Dj.)
「おいおい、一つ勘違いすんなよ?」
・・・なにがだよ? 俺は静かに水谷を睨んだ。
「確かにお前も同じ能力を使えるが、そんなすぐに使えるもんじゃねえよ」
「じゃあ、どうすんだよ?」
俺の言葉に水谷はフッと笑い、赤神は人差し指をピンとたてる。
「だから、朝言ったでしょ?パートナーだって」
は?何言ってんだよ・・・ だったら
「それ、俺を覚醒させるためだけに人間界に来たのかよ?」
俺の言葉に肯定も否定もしない。 ということは俺の言葉とそのほかにも理由があるって事か。
「あたしたちの住む天界のほかに、いろいろな界があるの。
天界も含めてそれを十界てまとめて呼ぶの」
「・・・十界」
「十界、その名の通り十個の界。
仏界菩薩界縁覚界声聞・・・
そして、天界、人間界、修羅界、畜生界、餓鬼界、地獄界」
「それで・・・?」
十界の説明をされても俺の質問には関係ない。
だから俺は先を促す。
「・・・十界でちょっとした困りごとになっちまってな。
修羅界のヤツと餓鬼界、そんで地獄界のヤツらが手を結びやがってな・・・
十界を乗っ取ろうとしてんだ」
「だから、それと俺、何の関係があんの?」
「天界には『パンドラの箱』と言う封印があるの」
「・・・『パンドラの箱』?」
「うん、それを破壊されたら十界は闇に堕ちて、修羅界たちの・・・
思いがままの世界になっちゃう」
「そんで、それを食い止めるためには天界でも数少ない『天空』の力を持っている
お前らが必要ってわけだ」
「なんでそこで俺なんだよ。数少なくてもまだ天空の能力者はいるんだろ?」
「数少ないなかで、一番強大な力を持ってるのがお前ら『二人』なんだよ」
「・・・二人?」
「透、言わなくていい」
二人という言葉に赤神は首をひねる。・・・・他にもいるんだな。
だけど俺は言うのがめんどくさくなってあえて何も言わなかった。
「・・・だからお前ら二人は一緒にいてもらわないといけない、
パートナーだからな」
・・・・そういうことかよ。
「お前の性格だと『関係ない』とか思ってると思うけど・・・『関係ある』からな」
「———どういう意味?」
水谷の真剣な言葉に俺はまた一度水谷を睨む。
「俺たちについてこればわかるよ」
水谷がフッ笑った瞬間、強い風が吹く。
「・・・やってやるよ、『関係ない』って証明してやる」
「はは、楽しみだね」
「ソラさん、調子乗りすぎ」
——続く
- Re: パンドラの箱 ( No.11 )
- 日時: 2010/08/06 15:17
- 名前: 透架 (ID: apTS.Dj.)
「や、やめてっ」
近くで男たちにかこまれて少女が泣いている。
「透ちゃん!!」
「——りゅーへい?」
「なんだぁてめぇ・・・」
——ボグッ・・!! 少年、隆平は男に殴り飛ばされる。
「隆平っ!!」
駆け寄ると彼の体は青い炎に包まれていることに気付く。
「・・・隆・・」
「透に、近づくな——」
その瞬間、周りが光に満ちた。
気がつけばさっきの男達が炎に包まれていた。
「炎・暴走—オーバーヒート—」
——————
「——隆平」
「・・・ん」
一回きり
- Re: パンドラの箱 ( No.12 )
- 日時: 2010/08/07 12:29
- 名前: 透架 (ID: apTS.Dj.)
「あ、起きた?・・・大丈夫」
目を覚ますと赤神が心配そうに俺を見ていた。
「・・・近い、離れて」
彼女は「ゴメンッ」といってすぐさま飛び引く。
「力を体全体でセーブすることも出来ないなんてダッセえな」
頭上から声がして上を向くと水谷がタバコを吸いながら俺を見下ろしていた。
「簡単に言うな」
「せっかく土日と言う休日を一緒になって修行を見てやってんのに」
「ソラさん、隆平疲れてんだから、今はあたしの修行に手伝ってよ!!
炎の属性が一番弱いからレベルをあげないと」
「お前には無理だ、ただでさえ炎を全然使ってねえお前がそんなすぐにあげることは無理だ」
「じゃあ、どうすれば——」
「・・・レベル?」
聴きなれない言葉に俺はその言葉を口ずさんだ。
「あ! 言ってなかったね!!」
赤神はしまった!とばかりに水谷に助けを求める。
「昨日言ったよな?天空の力にも種類があるって。
風だとか水だとか・・・」
「あぁ、だけど赤神が言ってる『炎』って天空には関係ないんじゃないか?」
空から炎なんて見たことねえし。
「あぁ、 だけど透は炎の属性のものも使えるように頑張ってたみたいでな・・・
レベル3ぐらいか?今は」
「うん、 でね?能力の属性ごとにレベルがあるの。
あたしの天空能力はレベル8、能力のレベルは全体の強さだよ。
属性のレベルは風が6、水が7、雷6・・・そして炎が3なんだ。 他の属性より二倍も劣ってる」
「レバルはわかった。だけど炎はもとは・・・」
「隆平、空とか天空っていわれると、何を想像する?」
想像・・・?
「・・・鳥とか、龍とか天使とか?」
「そっ!鳥のように空飛んだり、龍のように『炎』を纏ったり、天使のような光の力を使ったり・・・」
「・・・龍?」
「うん、天界の先祖様は龍なんだって、ほかにもわかりやすくいえば・・・
地獄界の先祖はサタンなんだけど、ない属性のものでも先祖の力だったら使えるの、
頑張ったらね;;ほとんどの人はやろうとしないから」
ますます卑怯じゃねえか・・・、強大な力を秘めてるからか?
「説明もほどほどにしろ、物語が説明一色になっちまう・・・、おら、修行!!」
「あぁっ、うん!」
赤神は立ち上がり、水谷に向き直る。
「吾妻、休憩がてらに、俺らの戦い参考にするといい・・・、コレも修行のうちだ」
「・・・——」
俺はその言葉に頷かなかったが見ることには賛成だ。
- Re: パンドラの箱 ( No.13 )
- 日時: 2010/08/08 15:10
- 名前: 透架 (ID: q9W3Aa/j)
「じゃ、お願いします!」
「武器はなしな。魔法だけだ」
「わかった」
「それと、ヒントをくれてやる」
「・・・ヒント?」
「1+1・・・、足し算だ」
「・・・?足し算?」
どういう意味だろう?1+1・・・普通に計算すると2だけど・・・、
—— いいや、まず集中しろっ!!
前に向き直ると彼の姿がないことに気付く。
「考え事は禁止だ」
影がフッと頭の上に出来る。 彼は彼女の頭上にいた。
「しまっ———」
彼女はガードをするも、一足遅かったようだ。
「水氷魔法、アクエリアスッ!!!」
呪文を唱えると、彼の周りから水龍が出てくる。 彼女はそれに直撃した。
「——っつ!!!」
———ダァァァアアン!!!! 透は岩に直撃する。
ずるずると岩から滑り落ち、腹部を押さえる。
「・・・・ゴフッ」
額から血を流し、口から血反吐を出す。それを袖で強引に拭う。
そして彼女は瞳を青色に変えて、体を青い炎のようなもので包まれる。
「・・・わかった」
「・・・?」
彼女はそういうと呪文を唱える。
「炎・風魔法、フレイムブラストッ!!!!」
唱えた瞬間、水谷の目の前に炎をまとった風、突風が巻き起こる。
「・・・正解だ」
彼はそういいながら高く飛び上がる。
「だけど、まだ未完成———」
「—— それ、囮だよ」
「・・・なっ——」
いつの間にか目の前に彼女がいた。
透は水谷の胸の方に手を当て、
「炎魔法、バースト!!!」
呪文を唱えたその刹那、水谷の目の前で爆発が起こる。
「・・・?何か、冷っ——」
彼女はそう呟きながら、地に戻る。
頭上の煙の方を見ると、水谷の姿がない。
そのかわり、草むらからひょこっと水谷が顔を出す。
「あーあ、身代わりやられたか」
「やっぱりか!!だから触ったとき、冷たかったんだ!!」
「水だと炎ですぐに蒸発するから氷も混ぜといたんだ。
だから強度もバッチリ!! だけど、触るとばれちまうんだ」
草むらから出て彼は透に近づく。
「他の属性を加えれば強さを増す・・・やった、正解だね☆」
「まあな、一応合格だ」
「やった!隆平ー!!見てた!?今の見た?!」
彼女は言いながら彼に近づく。
「なんでわかったんだ?」
「んー?ソラさんが『水氷魔法』って言ったからだよ。
まぁ、最初はあってるか自信ないから囮にしてみたの、 試しにね。
そしたら当たっててびっくりしたよ!」
彼女はそういいながらニコニコ笑う。
「喜ぶ前にその額の血を止めろ。吾妻ー、説明聞く前に心配することがあるだろーが」
・・・別に俺のせいでケガしたわけじゃねぇし。
「平気だよ!」
「手当てしてやるから、こっちこい!!」
俺はその様子を静かに見ていた。
俺にはそんなことしてくれる人、
誰一人いなかったよ・・・————
- Re: パンドラの箱 ( No.14 )
- 日時: 2010/08/18 14:26
- 名前: 透架 (ID: q9W3Aa/j)
俺は小さいときの記憶を持っていない。
知ってるのは、 俺の家族は・・・
————父親に全員殺されてしまったこと
隆平<過去>
質素でも、ただ平穏な毎日が幸せだった。
父親がいて、母親がいて、妹がいて・・・、じいちゃんやばあちゃんもいて。
これからもずっと、幸せな日々が続いていくんだと思ってた。
だけどある日、 その幸せが闇の底へと崩れ去ってしまった。
いつものように友達と遊んで帰ってきた。
「ただいまー!」
・・・・——
返事が返ってこない。 俺はおかしいと思った。
いつもならお母さんが「おかえり」といって俺の頭を撫でてくれるから。
不思議に思い、ゆっくりとした足取りで廊下を歩く。
妙にツンとした匂いが鼻をさす。
——血生臭い
そう思った時、リビングの方でグサッというような、何かが刺された音がした。
俺はリビングを覗いた。
言葉が出なかった。
周りは血の海。 床の血は水溜りのようになっていた。
壁は飛び散った鮮血で染められている。
「あぁっ・・ぁ・・・」
体中震えだして止まらない。
嘘だ・・・、そんなはずない・・・あの人が・・・こんなことするはずない
下を見てみると、おじいちゃんの死体が倒れていることに気付く。
顔は刃物でめったぎりにされていた。
そのとなりに倒れていたおばあちゃんは、めったぎりのうえ、腕が引きちぎられていた。
嘘だよね・・・?そうだよね?
ねぇ、嘘だと言ってよ・・・————父さん
視線を前に戻す。 それと同時に母さんが床に倒れ付す。
体中返り血で真っ赤に染めて、不適に笑う父さん。
ふいにこちらを向いてきて、俺に気付く。
「・・・りゅ、へい」
「・・・とー、さん。・・・な、なんで」
かすれた声で必死に言葉をつむぐ。
父さんは焦点の合わない目で俺を見て、ゆっくりと近づく。
俺は無意識に近づいてくると同時に、後ずさりをする。
壁まで追い詰められたところで、父さんはさっきと同様に・・・
いや、それよりもさらに顔に笑みを刻む。
だけど、笑みに似合わないものが浮かんでいた。
・・・父さん———
「・・・・・・死ね」
父さんは右手を振りかざす。 父さんの右手は得体の知れないものがくっ付いていた。
———いや、寄生されていた・・・
あぁ・・・コイツに・・・
コイツに家族を奪われた・・・
寄生虫? どうでもいい・・・ 体は父さんなんだから
俺は静かに目をつむる。
「・・・・お前が死ね」
——————
気付いたときは、火の海。
さっきよりも血の匂いがまとわりつく。
「・・・・父さん、泣いてた」
だけどもう、・・・いい
俺が父親を殺したことにかわりはない。
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