ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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タンテイブ
日時: 2010/08/27 13:45
名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)

初めましてではない人もいるかもしれないのですが、一応初めまして!
ガイと言います。
探偵ものの小説です。
お客様歓迎します。
がんばって書くのでよろしくお願いします。
みなさんも犯人予想してみてください。

目次
>>1 プロローグ

【1件目】       【2件目】
>>2 第1話      >>11 第8話
>>3 第2話
>>4 第3話
>>7 第4話
>>8 第5話
>>9 第6話
>>10 第7話

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Re: タンテイブ ( No.7 )
日時: 2010/08/25 11:13
名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)

第4話

「も、百瀬……さん」
「あ、あなた達ははひょろっとして暗そうな人とその友達!」

 まだ覚えてたんかい。いい加減名前で呼べ!
 横を見ると、綾人が頭をぐったり垂らし、とても落ち込んでいた。効果音にすると「ズーン」。まあそうなるだろうな。「その友達」で覚えられていたんだから。
 ……お?
 今気づいたが百瀬の目は真っ赤、頬には水の乾いた跡が。さっきまで泣いてたんだろうか。

「で、こんな所でなにしてるんだ?」

 俺が尋ねると百瀬は急にしょんぼりした顔になった。そして泣くのを我慢している顔になる。

「ど、どうした?」
「実は……私の鞄をひったくられたんです……」
「えっ!?」

 ひったくられた?それは可哀想なことだ。
 でも座りこんで泣くことか?

「しかも……亡くなった祖母の形見の指輪が入ってる鞄ですよ。もうどこかに行っちゃったし……どうすればいいのか……」

 なるほど、そういうことか。形見を盗られるとは、その気持ち痛いほど分かる。

「……分かった。俺が何とかする。俺が犯人を見つけてやる」

 ……恥ずかしー。この俺が臭いこと言っちゃったよ。
 百瀬の顔を見るとキラキラ輝いてる。まあやるしかないな。
 綾人の顔をみると———ニタニタ笑ってやがる。明日クラス中に言いふらす気だ。
 あー恥ずかしい。
 今日は最悪な日だ。


Re: タンテイブ ( No.8 )
日時: 2010/08/25 16:18
名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)

第5話

「で、その時のことを詳しく教えて」
「はい。ちょうどこの辺りを歩いていたら後ろから車の音が聞こえてきたんです。車が来るななんて思ってたら急に手が伸びてきて、鞄を盗られたんです」
「車に乗ってる奴に盗られたんだ。で、その車の特徴は?」
「鞄を盗られた時、私倒れちゃったんです。だから犯人の顔は見ていません。それと機種も……。でもこれだけは覚えています。黒い車でした。それでその車の行った方向を見たら、車がここの駐車場に入っていたんです」

 今気づいたが、俺たちの横には駐車場があった。『稲城パーキング』と書かれた看板がある。
 百瀬はここを指差している。

「この中には行ったの?」

 俺の問いに百瀬は首を横に振った。そして話を続ける。

「もし中にひったくり犯がいたら怖かったので見ていません。でも駐車場から外に出る出口はここにしかないので、見張っていたら誰も出てきませんでした」
「てことは犯人はまだこの駐車場にいるということか」

 いつの間にやら百瀬の言葉から立ち直っていた綾人に台詞を横取りされた。いつもなら「俺の言葉だろ!」とか反論してたが、今はそういう状況ではない。

「とりあえず駐車場を見てみよう」

 俺たちは中に入った。


Re: タンテイブ ( No.9 )
日時: 2010/08/25 17:26
名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)

第6話

 ここは駐車場といっても、下に砂利を敷き詰めただけの簡単にできたものだ。しかし悪戯防止のためか駐車場の周りを覆う柵だけは厳重にしてある。つまり百瀬の言う通り出口は1つしかない。
 車は駐車場の半分くらいをうめている。黒い車はそのまた半分くらい。
 手分けして詳しく見てみると黒い車のに乗っている人はいた。事件解決かと思ったがそれは違った。推理小説みたいな展開になった。
 
「えっ!?人が乗っている黒い車は3台あるって?」
「ということは犯人は3台のうちの誰かが犯人というわけか」
「そうだな。で、その3台はどこ?」
「今連れてきますね」

 数分後、犯人候補の4人が集まった。
 「ひったくりが起こったんです」と説明すると、その人達から話を聞くことができた。その人達から話を聞き終わると俺たちは1度整理してみることにした。

「候補①ひ弱そうな顔をしている田中正三たなかしょうぞうさん、46歳。候補②大学生の金田翔かなだしょうさん、23歳と、その彼女の小西亜弥こにしあやさん、22歳。そして最期に候補③ゴリラみたいな顔をしてる権堂源三郎ごんどうげんざぶろうさん、38歳。響介、何か分かるか?」

 う〜ん。3人の車は機種こそ違うが、黒色のセダンで同じようなもの。百瀬の記憶は頼りにならない。
 
「早くしてくれないかな」

 ゴリラ顔の権堂が嫌そうな顔をした。他の3人も同じような顔をしている。せかさないでほしいけどそれも無理な話。
 う〜ん。どうすれば……ハッ!
 俺の頭の中で何かが光った。これが分かれば犯人は特定できるぞ。

「百瀬さん、ひったくられた時、道の左側か右側どちらを歩いていました?」
「えっ、確か左側だったけど……」

 やっぱりな。犯人はあいつだ。思わず口が緩んでしまう。
 そんな俺に綾人が声をかける。

「どうしたんだよ。顔が気持ち悪いことになってるぞ」
「気持ち悪いとは失礼な。まあいいや。みなさん犯人が分かりました」


Re: タンテイブ ( No.10 )
日時: 2010/08/26 17:42
名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)

第7話

 犯人候補の顔がはっとなる。この中に犯人がいるのだから当たり前だろう。犯人はあいつだからな。

「手掛かりがなくて苦労しましたが百瀬さんのあの言葉で分かりました」
「あの言葉って?」

 ひ弱そうな田中が言う。

「『道の左側か右側どちらを歩いていたか』という問いに『左側』と答えました」
「それとこれとはどういうつながりがあんの?」

 大学生の金田が言う。
 まだ気づかないのか。

「では逆に聞きますが、貴方達の車の運転席は右か左どちらですか?」
「全員日本車だから、右側だな……あっ!」

 ゴリラ顔の権堂がはっとした顔になった。
 やっと気づいてくれたか。
 そう、そうなのだ。

「道路の左側を歩いていた百瀬さんの鞄を盗るなんて、車の右側にある運転席に乗ってる人は手が届かないですよね。だから車に1人で乗っていた田中さんと権堂さんは犯行をすることは不可能なんです。しかし二人で車に乗っていた金田さんと小西さんなら、どちらかが運転してどちらかがひったくる、という方法でやれば犯行は不可能ではない」

 金田と小西の顔が強張る。
 そして勢いに乗り俺は続けた。

「もう分かりますね。百瀬の鞄をひったくった犯人は金田さんと小西さん、あなた達だ!」
 
 決まった———。
 しかし自分の顔が真っ赤なのに気づいた。
 綾人が笑っている。
 恥ずかしー。


Re: タンテイブ ( No.11 )
日時: 2010/08/27 13:53
名前: ガイ (ID: HQL6T6.Y)

【2件目】

第8話

 事件の次の日。
 休み時間に綾人と話していると百瀬が来た。

「昨日はホントにありがとうございます。おかげでお祖母ちゃんの形見も取り返すことができました」

 百瀬はぺこりと頭を下げた。
 昨日俺が華麗な推理をした後、無事犯人の2人は警察に捕まった。俺がずっと思っていた「なんでここに逃げたんだ?」と聞くと、「車がたくさんあったからここなら見分けがつかないと思った」と答えた。木を隠すなら森か……って逃げればいいだろ。まあそれが俺たちにとっていい結果をもたらすことになったけど……。

「ところで葉月ちゃんはどの部活入ったの?」

 綾人、昨日百瀬に会ったばっかなのに、もう下の名前で呼んでる。そこが俺にできない技だ。
 百瀬は少し考えるそぶりを見せてから言った。

「昨日から考えてたことなんですけど……3人で『探偵部』を作りませんか?あの推理を見せてくれた2人となら絶対出来ると思います」

 ……いや無理だろ。ていうかもう俺達映画研究部入ってる……

「そうだな!できそうだな!響介、やろうぜ!」
「……はい?」

 いやいやいや、なんか決まっちゃってるし。
 2人の顔を見ると目がキラキラ輝いている。俺の承認を待ってるようだ。ため息が出るがもうああするしかないな。

「分かったやるよ。俺もやる」
「イエーイ!じゃあやりましょか」
「そうですね。やりましょ、やりましょ」

 ……やるか。



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