ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- いつだって、そうだった
- 日時: 2014/05/30 17:40
- 名前: 苺大福 (ID: U0ZlR98r)
●登場人物紹介
レイモンド>>09
少女>>17
●目次
◆第一話 【彷徨う者】>>01
◆第二話 【出会う者】>>04
◆第三話 【素直な者】>>05
◆第四話 【駆ける者】>>06
◆第五話 【明かす者】>>10
◆第六話 【託した者】>>11
◆第七話 【見通す者】>>12
◆第八話 【越える者】>>13
突破記念
【参照100突破記念】>>14
- Re: いつだって、そうだった ( No.1 )
- 日時: 2011/11/16 17:57
- 名前: 苺大福 (ID: IpYzv7U9)
◆第一話 【彷徨う者】
たゆまぬ流れに身を預ける----------
自分には、どうしようもなかったからそう生きてきた。周りに生かされる、そんな生活に疑問を感じる事も有ったが目を瞑って過ごしてきたのだ。
……甘い考えだと嘲笑われようと、地に足が着かない私にはどうでもよかった。
*
事の始まりは、偶然だ。長い目で見れば、必然だったのかもしれない。そんな怪奇な偶然は、砂漠の一角にて始まった。
「どうした? レイモンド」
「なあ、あそこに何か落ちてないか?」
一人のレイモンドと呼ばれた若者が馬の背から何かを見つけた。
若者は砂漠越えの為に外套を纏い、牛革を何層にも重ねてつくられたブーツを履いている。一見旅慣れた行商人か旅人の様な装備だが、腰から時折見える長剣や馬の手綱を握るだけでは付くはずの無い、筋や厚い手のタコがそうではないと語っている。
一定に隆起する馬の背から、伸びあがるようにして指さす方には、大きな岩の塊がそびえている。そこらでよく見かけてきた黒っぽい岩で、その存在感は砂漠であっても威圧感を持つ。
レイモンドの隣の、彼よりもう少し年上の男は馬を止めて若者の指さした岩陰の辺りを見た。
「ん? 何も無いように見えるが……どれ、そろそろ疲れて来たんだろう」
辺りは砂漠が延々と続き、視界は時折巻き上がる砂で悪い。太陽が昇り切るまでに何処かで休まなければ、ここから先は無駄に体力を消耗するだろう。昼間は穴を掘って休み、日が傾いてから出発する。砂漠を渡る者ならば太陽の位置で時刻を把握するものだ。
この時代は人がまだ自然に敵わない時代の話。その厳しい自然の中、人々は安寧の地を作り上げ、信仰を頼りに、たくましく生き抜いている時代の話。
この話は、レイモンドという若者の好奇心から始まる。
「ちょっと見てくる」
そう言い残してレイモンドは馬をそちらに向けた。馬は一声嘶き、砂を蹴り上げる。年上の男が止めるまでも無く、その姿はみるみる小さくなっていった。
「まったく……若いやつは」
年上の男は苦笑いを隠すように顎髭を撫で、前を歩く仲間に少し待ってくれと声を張り上げた。その声は見た目より老けていて、彼の人生の一角を垣間見る事ができる。
「そんな俺も、年をとりたくないもんだな」
自分の年寄りめいた言葉に、慌ててもう一度顎髭を撫でたのだった。それは、苦笑いではなく本当に笑い出しそうになった時の癖だった。知ってか知らずか彼の馬は一際大きく嘶く。
*
「これは一体……」
岩陰に着いた若者は、目的のものを目にして息をのんだ。遠目からは布の塊に見えたそれは、黒いローブだったのだ。しかし驚いた訳はそこでは無い。
そのローブに包まるようにして、一人の少女がうつ伏せに倒れていたのだ。
「こりゃぁ……死んでる、のか?」
いつから此処に転がっているのかは定かではないが、目立った荷物が見られないところをみると、彼女は一人旅をしていたようだ。
賊にでも襲われたか、水も食料も尽き、挙句に疲れ果ててのこの様なのか。靴やローブを身に着けているところからして彼女の場合、後者の様だ。そういった者をこれまで何度も見てきているし、実際珍しい事でも無い。
若者は器用に馬から降りて少女に近付いた。それは、好奇心から。レイモンド自身、どうしたら良いのか混乱していたのだろう。でなければ、少なからず面倒事を作るような今の行動に説明が付かない。
ザクザクと踏み締める度に金色の砂は面白い程舞い上がる。馬が蹄で砂を掻く音。首筋に感じる天照。じっとりとした汗がつっと流れ、ブーツや外套の隙間から入り込んだ砂埃を纏う。
砂漠は、過酷だ。弱い者から消えて逝く。昼は灼熱だが夜の砂漠は身震いをする寒さだ。宿の酔っ払いがまるで自分の妻の様だと愚痴っていたか。(砂漠の天気と嫁の機嫌ほど分からんものは無いとも言っていたな)そんな過酷な生態系でも岩陰となればたくましい植物が生えている。空からの容赦ない睨みから、隠れる様にして生えている植物しかり。
……そして、そんな植物の陰に身を寄せて少女が倒れていたのだ。
本当に息絶えているのなら金目の物が有るかも知れない------若者は、そういった厳しさを心得ている。少女もきっとそれを承知で一人旅をしていたに違いないと、自分の良心とためらいを振り払う。
それなのに、何故こんなにも胸が熱いのか?
緊張して動機が速くなっている感覚とは違う、この全身から何かが込み上げてくる感覚は何だ? 強いて言うのなら、酷く懐かしい友人に思いもしない方法で出会ったかのような……? 奇妙な胸の熱さは、レイモンドが少女の隣に膝をついた時に最高潮になった。
いざ哀れな少女を目の前に一瞬の気の迷いもあったものの、その細い肩を押し上げて仰向けに転がした。顔の半分砂で汚れ、時折風が頬と髪を撫でていく。整っている類の顔立ちだった。砂漠をたった一人、こんな細腕細足の深層の姫君が此処まで辿りつけたのは女神様の御慈悲だろう。
「んっ……」
しかし、生きているのなら話は別だ。
そして少女は辛うじて生きていたのだった。
- Re: いつだって、そうだった ( No.2 )
- 日時: 2010/08/31 19:05
- 名前: シュルル ◆RMw3.cMGUE (ID: dBCG1FA1)
- 参照: http://kaki-kaki.daa.jp/bbs_s/view.html?1295342
ボクもファンタジー小説描いてるけど話が・・・orz
一緒に頑張りましょうね〜♪
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