ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ICONO−C−LA『S』ME 〜世界が止まるまで〜
- 日時: 2010/09/11 16:23
- 名前: 羅月 (ID: u.TmsjkF)
- 参照: http://ameblo.jp/snowjack/
時間が取れたので小説の投稿を再開しようとした時にここを見つけました、無駄にキャリアだけはあるライトな新人です、よろしくです。
- 序幕 ( No.1 )
- 日時: 2010/09/11 16:24
- 名前: 羅月 (ID: u.TmsjkF)
説明しておかねばなりますまい。
私立聖鈴学園。
ある世界規模の財団により小規模だった島の数々を人の手により統合し一つの巨大な土地を作り開発し、膨大な時間を多額の資金でまとめあげられたその都市、初等部から高等部まで完全寮制のこの一つの世界、都市全体が学園を中心に回っていると言っても過言ではない。
さながら『学園都市』とも言えるこの場所は初等部から高等部まで大多数の生徒を有し、たくさんの子供の存在と言う大きなメリットに惹かれ多数の企業が参入して覇権を争う地となっている。
生徒全員はそこでのみ使用できるプリペイドカード兼学生証によりあらゆるところで安心して買い物ができ、万が一不正使用された場合も使用時間や使用場所から監視カメラを使ってすぐに誰が不正使用したかも分かり、メインサーバーのセキュリティも強固なので何の問題もなかったりする。
一部では一年中どこかの監視カメラに監視されているという環境を批評する者もいるが、そこに住む者たちにとってカード使用による割引やポイント制は非常に魅力的なものであり、プライバシーの守られた完璧な体制に誰も文句を言う生徒はいなかった。
しかし……日本を含む世界で三つ存在するこの学園、その存在の意味の多くを知る者は少ない。この学園は勉強のできる者のためでも運動のできる者のためでもない、もっと別の何かを。
監視し統御するために存在するのだから。しかしいずれ知るだろう、そこまでしてどうにか繋ごうとした未来が、儚くも崩れ去る事を。
世界は、破壊と創造でできている。片方が行われればもう片方がその欠損を埋め合わせ、世界は今まで大きな欠落なく存続してきた。
永遠に変わる事のない世界の普遍の理。永遠に壊れることのない世界の秩序。
しかし、それは世界と言う全から見た価値観。個から見た、壊される者にとって破壊とは再生と両義であろうか?
壊されたものが再生することはない、ただ壊れて終わるだけ。多くの人が望まずして生まれ望み叶わず消えていく、個に視点を置けばなんの事はない、生きることは死に向かって進んでいく事。
絵に描いたような幸せな家庭は一夜のうちに崩れ去った。秋原珪(あきはらかい)の父親は飲酒運転による自動車事故に巻き込まれて即死、その日が珪の誕生日だったこともあって母は日ごろから極限前までため込んでいたストレスからそのショックで心を壊し廃人となってしまった。
当時中学三年だった彼は無理にでも暮らしていくことはできたが、社会的に何の保証も出来ない彼は自然と親せきの家に預けられることとなる。
叔父と叔母が遺産目当てなのは明白だった。そこは一切の娯楽のない場所。それでも彼は黙って生きてきた。家族の残した貯金と遺産は別の口座にほとんど移しておいた。案の定親の貯蓄の残りと遺産は彼らの手に渡り珪には一切渡らなかったが、それでも良かった。彼らが珪を明らかに子供と侮っていたのが要因だが、それに気がついても珪は何も言わなかった。
彼は何度倒れても立ち上がり続けた。それは彼の中に2つの罪悪感があったからだ。それは客観的には大した事ない事、テストで今まで取った事のない最悪の点数を取った事と、そのせいで友達の家に入り浸り家に中々帰れず母親に用意していた誕生日プレゼントを渡せなかった事。
これは自分の罰なのだと。今までだって自分は他人に迷惑ばかりかけてきて、それを両親に清算させてしまったのだと。
しかしそれは狂い始めた彼の人生の火種。終わる事のない珪の贖罪、生きる限り続く惨劇。生きるべきか死ぬべきか、運命は珪に考える余裕を待つことはない。
二柱の神の娯楽に巻き込まれた世界、神々がぶつかるとき、世界は歪み破滅へと駒を進める。全てを壊された少年たちの戦いが始まった……
- 0話 Non−title ( No.2 )
- 日時: 2010/09/11 16:25
- 名前: 羅月 (ID: u.TmsjkF)
(……へぇ、そんな事があったんだぁ)
「うん、なかなか楽しかったよ。いつもは無口なあいつがアホみたいに熱くなっちゃってさぁ……」
(あ……ごめんね、時間だよ)
「あ……」
それは何処までも暗い深淵の楼閣。直接話す事が出来ずに口だけを動かす彼女はどろどろの水に満たされた透明な円筒に容れられ一糸まとわぬ姿のまま全身を鎖で縛られ、それでも笑顔を絶やさない彼女の肉体は再び色を失う。
笑顔が凍りつき、肉体は生気を失う。いつもの事だと分かっているとはいえ、何の制約も無い筒の外に身を置く彼はある意味彼女よりも自由を束縛されている。
彼の存在価値は彼女の存在だけ。彼女をそのしがらみから断ち切るためにあらゆる手段を尽くしても、数分だけ彼女の意識をこちら側に引きずり出すことしかできない。
「くそっ……これもだめなのかよ……っ」
「荒れておるのぉ、主よ」
「何の用だよ『神の頭脳』。またボクを笑いに来たのか!?」
「いいや、お前の大好きな女神様を目覚めさせる良い当てができてのう」
「だったら何でもやってみりゃいいんだ、結果だけしか聞きたくないんだよ」
この空間に侵入できるのは一部の人間だけ。この老獪な女、激昂する幼い少年、彼の話していた『無口なあいつ』、そしてもう一人、おそらくはこの老獪な女に『当て』を教えた人物。
「まあそうじゃなぁ、しかし主は私を信用できないと受け取ってもよいのかの?」
「ああそうだよ、分かったら吉報があるまで此処に帰ってくるな……っ!」
彼が台詞を吐き終わると同時に彼女の右手が彼の首筋に当てられていた。浅い傷が入り血が彼女の細い指を伝って滴る。あと数ミリずれていたらこんなものではすまなかっただろう、それも彼女の技量のなせる技と言う事だ。
「我儘はそれ位で十分じゃ……じゃあ、行ってくる」
「……お願いだ、早く起きてくれよ。君が居ないと、ボクは……」
少年は再び柱の方を向く。冷たい柱を抱きしめ、彼は他の誰にも見せない涙を、声も無く流し続けた。
「早く起きてよ……『秋菜』ちゃんっ……」
- Re: ICONO−C−LA『S』ME 〜世界が止まるまで〜 ( No.3 )
- 日時: 2010/09/11 18:24
- 名前: 羅月 (ID: u.TmsjkF)
「ん……」
自前で持ちこんだ漫画の散乱する部屋のど真ん中で、彼女は目を覚ました。入寮の日が今日の入学式の後と言うふざけた状況なので(と言ってもちゃんとホテル代は負担される)いつもの枕と布団が無い状況は彼女にとって安眠妨害となるわけで。
掛け布団もひっくり返してめちゃくちゃな格好だが、でここがちゃんと空調の整った場所でよかった、通常家でこんな事をしたら間違いなく風邪をひいて喉をやられる。
「んーんっと。そういや、昨日は夜に来たんだっけ……うわ、写真で見るのと全然違う」
窓の外は深緑の山々。彼女が前いた所とは似ても似つかない自然にあふれた場所。それでありながら揃わないものは無いという触れ込みまでしている商店街もすぐ近くにあって、早く行きたい衝動を抑えられなかったが、今はそんな事をしている場合ではない。
それにそれは昨日やった。だからこそこんなに眠いわけだ。
おろしたばかりの制服を着込み、髪をまとめ上げ、顔を洗う。あ、洗顔料が切れかかっている。中に空気を入れチューブの反対側を持ってひたすら振り回してひねり出す。
「さてとっ、そろそろ荷物まとめて出ないとな……新生活、うまくいきますように」
毎日恒例の行事として、彼女は家族写真に手を合わせる。写真の中の彼女は小学六年生、家族で映っている最後の写真だ。あの時の幸せに思いをはせ、誰もいない一室で彼女は高らかに宣言した。
「それじゃあ皆さん……『巫上希』(みかみのぞみ)、行ってまいりまs……」
その宣言を遮るように携帯が鳴った。業務用の番号はお堅い着信音にしているからすぐわかる。
「はい、もしもし」
「今どちらにいらっしゃいますか?」
無機質な声。少し不安な感じになったので、彼女は、希はおどおどしながら答えていた。
「あ、あの……ホテルの部屋ですけど」
「新入生のしおりの19ページを見てください」
とだけ言って電話は切れてしまった。でも入学式は9時からだったはずだ。今は8時きっかり……
「だよね……あ」
『入学式 9:00〜』、確かにそう書かれている。だが……その遥か上。
「SHR 7:30〜……………」
「ひゃぁああああっ!!!!!!!!!」
荷物は昨日の段階でまとめていたので、自分の周到な性格が被害を食い止めたとはいえ、それでも被害総額は甚だしいわけで。
希の新生活は、うまくいきませんでした。
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